県議会だより

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平成15年9月議会一般質問(3)

国体の競技力向上について

長崎ゆめ総体が終わりました。昨年に比べて一、二回戦の突破はあったものの上位入賞種目は半減し、来年の中国04総体を前に結果としては惨敗でした。一昨日、国体の夏期大会が終了し、速報では競泳や飛び込み、セーリングの3競技5種目で入賞したものの(ゴルフの個人を含めると4競技6種目ですが)冬期夏期あわせた競技得点は最下位の47位とのことであります。教育長はこの現実をどのように受け止めておられるのか、見解を質したいと存じます。
平成12年度からの第3次競技力向上5カ年計画であるジュニア競技力パワーアップ事業により16年総体を見込んだ強化指定による精鋭選手強化が図られ着実な底上げがあるとのことであります。しかし、現状では未だ全国大会を勝ち抜き、上位入賞を果たすという見通しはつきかねるのではないかと思います。近年の学校体育の停滞傾向は活動の主体をスポーツ少年団や地域クラブへ移行させ、少子化による児童、生徒数の減と過疎化による人口減は指導者や競技者の新陳代謝を阻害しボディブローのようにじわじわと本県の競技人口と競技力を低下させています。また、学校間の競い合いが少なくなりました。島根のスポーツ競技力の向上には小、中学校の段階で優れた運動、身体能力を持つ人材を発掘して発育、発展段階に相応しい地道な指導、強化を図る以外に途はありません。しかし、競技の普及、強化は地域や競技団体の篤志家、愛好者のボランティアによって支えられており、傷害保険や責任賠償保険の掛け金も自腹というケースも珍しくありません。総合型地域スポーツクラブの設立が言われておりますが、これも生涯スポーツの実践には効果があっても特定競技の競技力向上に資する可能性は極めて低いのであります。
県内の公的体育施設や小、中学校の体育館のほとんどは毎日のように社会体育に開放され、様々な活動が展開されていますが、発育段階や年齢に応じた基礎トレーニングを指導する専門知識、能力を有するものは、学校の体育教員のほかにはほとんど皆無の状況にあります。教員OBの活用をとの声もありますが、まず競技の着実な普及、強化を図る上からも、学校と地域、競技団体の指導者との連携の上からも現役教員が望ましく、是非こうした取り組みが可能となるような施策を考慮されたいと思うのですが教育長の見解を求めます。
全国に通用するような優秀な資質を持つ人材の発掘、育成、強化は一朝一夕で達成できるものではなく、長い道のりです。20年前の島根国体はいわば、ジャイアンツ方式の大量補強によって優勝しましたが、競技力の底上げは思ったほどではありませんでした。
2年前、全国中学校選抜大会が島根県を中心に開催され、バスケットボールやホッケー競技で全国優勝を果たしました。今年の高校総体でも結果を残しており、来年の04総体も有望です。いったん身に付いた地力は簡単には落ちません。島根には企業スポーツやプロ集団のチームはありませんから社会人の競技力は他地域に劣ることは如何ともし難い。しかし、この地域だからこそキメの細かいジュニアの着実な強化が可能だと思うのであります。地道な強化は必ず日の目を見ます。来年の中国04総体に向けた現在の強化体制を来年を最終年度にするのでなく、そのスタートにしてほしいのであります。
本県出身の選手の活躍は県民に大きな歓喜と勇気を与え、自信と誇りを持たせます。望むらくは県教委で県内小、中学生のスポーツテストの成績優秀者の中から教育事務所管内ごとに有望選手をピックアップし各人の希望、適性にあった競技について学校と競技団体の連携によって指導、育成、強化が可能となるようなプロクラムを用意するぐらいの取り組みがほしいと思うわけです。静岡での国体秋季大会もいよいよ間近となりました。目先の勝敗に一喜一憂することなく強化の王道を歩むことによって一つずつ順位を上げていってほしいと願うわけでありますが、教育長の見解と取り組みへの決意を質したいと存じます。

広沢教育長答弁

国体における競技力の向上についてであります。まず、「長崎ゆめ総体」と「夏季国体」を終えての結果についてでありますが、「長崎ゆめ総体」につきましてはご指摘の通り優勝や準優勝などの上位入賞は減りましたが、昨年の4競技を上回る7競技が入賞すると共にベスト16にも12競技が進出し、昨年の6競技を大きく上回る活躍をしており、全体的な競技力向上という観点からはこれまでの取り組みの成果が表れているものと評価しております。
また、先般開催されました「夏季国体」終了時においては、残念ながら47位という成績になっております。「夏季国体」ににおいては、競泳や飛び込み、セーリングなどにおいて選手個々の活躍や健闘は見られたものの、期待していたボートやカヌー競技など十分な活躍ができなかったことや全体的に選手層が薄いこともあって、結果として5種目のみの入賞に終わり県民の皆様のご期待に添えずまことに残念に思っているところであります。
次にジュニア競技力の育成と指導者としての教員の活用についてであります。
ご指摘のように、少子化により児童生徒数が減少する中で、運動部活動の縮小や社会体育への移行などにより、小・中学校における学校体育スポーツは厳しい状況にあります。ジュニア競技力向上のためには、優秀な選手の発掘から各年代や競技レベル、個性に応じた練習プログラムによる強化を長期的な展望の下に実施していく必要があります。また、小学校から高校まで一貫した指導体制の下、各年代を担当する指導者が密接な連携を図りながら進めていくことが極めて大切であると考えております。
こうしたことから、本県では平成12年度から、小・中学生を対象に「長期ジュニア競技力育成事業」を創設し、種目別拠点を設け、体育教員や競技団体指導者の下で素質ある選手の発掘や一貫指導による選手の育成を目指すとともに、平成14年度からは高校入試の一環として「スポーツ特別推薦入試」を導入し、種目ごとの重点校に中学生の優秀選手の集中化を図りました。
さらに、「ジュニア競技力パワーアップ事業」の創設によりこれまでの強化対策を抜本的に拡充して、中・高校生を対象に県外遠征や招請合宿などにより「中国04総体」に向けた競技力強化を中心に、国体や全国規模の大会で競い合える選手・チームの育成を図るなど競技力向上に努めているところであり、今後とも強力に押し進めてまいります。
一方で、ご指摘のように専門的指導者の少ない本県にとっては、選手の発育段階や個性に応じた指導のできる専門的指導力を持った教員が、地域のスポーツクラブやスポーツ少年団活動などに参画していくことは、本県スポーツを振興していく上で極めて大切なことであると認識しております。さらに、体育教員OBや民間の熱意ある指導者にも可能な限り参画していただき一体となって取り組んでいく必要があり、「小・中学校のスポーツテストの活用による選手発掘を」とのご提案はこうした観点からも極めて有効であると考えております。また、今後も関係機関や関係団体と連携を図り、これまでの取り組みの成果等を十分に活かしながら「中国04総体」以後も効率的、効果的な選手強化を図っていく考えであります。
現在、「夏季国体」終了時点では残念ながら最下位という不本意な成績ではありますが、10月に開催されます「秋季大会」においては選手団一丸となり、力を出し切って県民の皆さんの期待に応えられるよう頑張ってまいります。

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