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子育てに対する支援についてお尋ねしたいと思います。私も、長女が嫁ぎ、4人の子育ての第1ラウンドが終了しました。民主党の目玉政策の「子ども手当」ですが、政府はこの財源について地方に一部負担を求めることを検討していると報道されております。確かに、直接給付は受け取る側にとって魅力な政策ではありますが、安定的な財源が確保され、将来に亘って給付が保証されませんと、逆効果になりかねません。端的にお尋ねします。知事は「子ども手当」についてどう思いますか。
次に、健康福祉部長にお尋ねします。子育てのコストについて、概ねどのくらいと見込んでおられますか。乳児期、幼児期、義務教育期、高校通学期、大学進学期で1人あたり月額どのぐらいと見込んでいますか。また、医療費の負担は概ねどのくらいでしょうか。保育園や幼稚園の保育料や学校の学費についてもお聞かせ願います。
子育て中の保護者が求める育児支援にはさまざまなものがあると思いますが、リクエストが大きいことはどのようなものでしょうか。
小生は、子育てを社会全体で応援するためには、高齢者などOB世代のマンパワーを活用した育児支援制度の創設が必要だと思っています。いちばん相応しいのは、公民館を拠点にしたNPOなど非営利のボランティア組織による活動で、その必要経費を行政が支援するというしくみや、
また、望むらくは、20歳以上の全ての国民が加入・負担者となる育児保険制度を創設して、医療や教育のサービスについて受益者負担必要額を給付して、実質無料化する方法を採るべきだと思います。
私は夫婦で必死に働いて、幸いにしてある程度の収入が得られたため、4人の子どもはおりましたが、1円の育児給付もありませんでした。子どもの保育料は、子どもが乳児の頃は1人あたり1月あたり55500円でした。国から、親の収入に関わりなく、1月26000円の給付が受けられれば、それは当事者は助かると思います。
しかし、5兆円、国民1人あたり4万円、納税額の1割にあたる金額を永続的に支出すれば、さまざまな行政課題に充てる財源は削減を余儀なくされ、科学技術や産業投資など国際競争を勝ち抜くための予算は確保できなくなり、結果として、将来世代がそのツケを支払うこととなります。むしろ、親が病気になって子どもの面倒がみれないときに代行する制度や子どもが病気になって、医療費がかかったり、親がこどもの看病で仕事が出来ないときにきちんと収入の補填が受けられるような制度こそ必要だと思います。
扶養、育児手当に始まり育児休業中の所得保障や育児休暇、休業後のスキルアップ講習など、現行の育児支援制度は企業の負担を大きくすることで構築されてきました。これを、「社会全体で」とすることには大賛成で、企業に応分の支出を求めることにも異論はありませんが、子育て支援を直接給付で解決する姿勢には反対を表明したいと思います。
社会全体で子育て支援をするために、こどもの世話を代行したり、医療教育のサービスについて実質無料化するような制度が必要だと思いますが、知事はどのようにお考えになりますでしょうか。
│掲載日:2009年12月03日│
「子ども手当」についてですが、日本は少子高齢化ということがございます。そういう意味におきましても、この子育てといったものを社会全体で支援をしていく必要があると、こういう基本的な考え方については国民の中で異論はないと思います。あるのは、どういう形でやったほうが効果的なのかとか、あるいは公平な観点から見てどうかという議論でありますね。それで、それともう一つ、外国においても欧米等におきましては、少子高齢化が進んでいる。そういう中で、子ども手当というようなものが大きな効果を持っているということがあって、それが日本の議論にも影響を及ぼしているわけでございます。したがいまして、問題はこの考え方ですね、子育て支援をみんなで支えていこうと、それは異論がないわけですから、どういう手段がいいのか、これはやはり国民の間で利害が違ってくるわけでありますから、よく議論をする必要がある。特に、今検討されてます子ども手当というのは巨額の負担が来るわけですね。そうすると、ほかの財源がなければ、新たに国のいわば所得の再分配というのが、税金で取って配るという規模が大きくなるわけですけども、そういうものが受け入れられるのかどうか、そこをやはりよく議論をしなきゃいかんと思います。あるいは、ほかのものをやめてこちらに回すということであれば、それについてもいろいろ利害が違うわけですから、そこの議論をよくする必要がありますが、まだその議論が十分できてないように思います。ただ、一般論として言えば、今の案をそのまま実現しようとすれば、たしか5兆数千億円かかるわけですね。これは国の教育予算と同じぐらいの規模があると言っているわけですから、巨大な規模ですね。それから、国、地方を合わせた借金の額からすると、相当なものになっているわけですから、そういう中で何が現実かといったところをもう少し議論をしないといかんだろうと思います。そういう面では、やはり所得による差異があってもいいんじゃないかとか、そういう議論もさらにする必要があると思います。政策をどういう選択をとったほうがいいかということではないかと思います。それについてはまだこれだということは必ずしも国民の間で一致をしてないんじゃないかと思います。私は全体のこの財政の状況なんかを見ると、やはり巨額な金額ですから、そのまま実行するというのはなかなか難しいだろうと、それはまた適当でもないだろうと思います。徐々にやっていくとか、あるいは所得制限をかけるとか、そういうことも考えながら合意形成をすべきだというふうに思います。
子育てに対する社会支援の方法については、いろんな支援の仕方があるわけでありまして、それぞれいい点と悪い点があると思います。今おっしゃったような病気のときに子どもを見てくれるようなサービスを提供するような施設がある、これなんかは非常に現実的なものでありますし、そう大きくかかるわけでもないと思いますけども、そういうやつは多分市町村でやっていく事業じゃないかと思います。そういうものは国全体としてどうするか、そこら辺はちょっと議論をする余地がありますね。それから、交付金という形で現金給付をするのがいいのか、あるいはサービスの提供ということで現物給付をするのがいいのか、2ついずれにしてもあるわけです。それに所得制限があるかないかちゅうような差異があって、どういう手段、仕組みを選択していいかという問題なんですね。だから、ただ子ども手当の場合なんかですと、もうそれは負の税と申しますか、そういうことで考えたらいいという哲学もあると思います。だから、そこはどういう手段をとったほうが効果的だとか、あるいは公平かとかという議論によるわけです。それは必ずしも意見は私は一致しないと思います。それをやっぱり選択するのが政治の仕組みなんですね。政治でそこは決めるほかがないんだと思います。みんなで意見が一致するということはないわけですね。そういうような問題ですが、それにしてもどういうやり方がいいかちゅう議論をもう少しして、どういう選択肢があるのか、こういう選択肢がいいかという、そういう議論がまだ余り十分なされていないような感じはいたしますね。以上です。
県内におきます子育てに要する費用を把握したデータは、申しわけございませんが、持ち合わせておりません。全国平均でございますけども、内閣府が平成17年3月にまとめました社会全体の子育て費用に関する調査研究によりますと、子育て費用の子ども1人当たりの家計負担額では、6歳未満の乳幼児期は月額6万2,000円余り、小学校から中学校の義務教育期は月額8万5,000円余り、高校通学期は月額10万5,000円余り、18歳以上の大学進学期は月額9万3,000円余りと推計されております。また、よく利用されます民間の生保会社の調査資料によりますと、誕生から22歳までの合計でございますけども、教育の進路で違いますが、4,900万円から6,600万円ぐらいかかるというふうにされております。
本人が医療機関の窓口で支払うべき一部負担金の額につきまして、県の国保連合会の国保被保険者に係ります平成20年5月診療分の調査をもとに推計をいたしました。それぞれですが、ゼロ歳から4歳が月2,900円、5歳から9歳のうちの就学前が月1,500円、就学後が月2,300円、10歳から14歳が月1,500円、15歳から19歳が月1,600円となっております。また、乳幼児医療助成によりまして1割程度減額されますので、これをおおむね半額と考えますと、ゼロ歳から4歳は2,900円が月1,500円、5歳から9歳の就学前につきましては1,500円が800円となります。
県内におきます児童1人当たりの平均保育料は、平成20年度の実績で月額約1万8,000円でございます。義務教育段階を除く県内の公立学校の平均授業料は、幼稚園では月額約7,000円、全日制高校では月額約1万円でございます。このほかにもサンプル調査の結果ではございますが、給食費、教材費などとして、公立幼稚園では月額約5,000円、公立小学校では月額約6,000円、公立中学校で月額約7,000円、公立高校では教科書代と合わせまして月額約1万1,000円の負担がございます。また、私立学校では、平均授業料はそれぞれ幼稚園では月額2万円、中学校では月額約1万3,000円、高校では月額約1万8,000円でありまして、このほかにも施設諸費用として、幼稚園では月額約6,000円、私立中学校で月額約2万円、私立高校では月額約2万2,000円の負担がございます。なお、私立学校ではその他の経費負担がございますし、公私とも例えばクラブ活動の経費でありますとか、通学のための経費でありますとか、修学旅行の経費でありますとか考えられますが、把握できておりません。
昨年度におきまして、県内の18歳以上から50歳未満の男女を対象といたしまして、少子化に関する意識調査を実施しております。3,000人を対象といたしましたが、879人から回答を得ております。その中で、子育て環境を整備するための行政に対する施策について聞いた結果のうち主なものを申し上げます。まず1番に、子育てに伴う経済的負担の軽減が最も多く、次いで職場環境の改善の企業への働きかけ、以下、子どもが犯罪等の被害に遭わない安全・安心な環境の整備、それから妊産婦や乳幼児に対する健康診査等の充実、それから保育や放課後児童クラブなどの充実の順でございました。また、最も希望が多かった経済的負担の軽減の内訳でございますが、教育費の減額、軽減、それから保育料の軽減、それから児童手当の増額の順となっております。こうした結果から申しますと、子育て中の家庭ではさまざまな課題や要望がございますので、きめ細かく幅広い対策が必要であると考えております。