県議会だより

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平成21年11月一般質問(1)

社会インフラの活用状況について

とかく、行政は、施設整備をすることまでは熱心ですが、一たん作ってしまったら、それがどう活用され、事業が住民生活の向上にどの程度役立っているのかを継続的にリサーチすることにはあまり熱心ではありません。
それが、国の行政刷新会議による「仕訳」で指摘され、事業の効果がきちんと評価されずに「ダメ」と言われた要因のように思います。
本来は、予算の執行や事業の評価については、議会が予算や決算の審査の過程できちんとチェックし、意見を述べることが必要であります。
今回は下水道整備を例に挙げて質疑することとします。
先ず、土木部長にお尋ねいたします。下水道整備の目的は何でしょうか。また、県内で取り組まれている排水処理、下水道整備事業の種類はどのようなものがありますか。島根県の汚水処理人口普及率と市町村別の汚水処理人口普及率、および合併浄化槽の普及率についてもお聞かせ願います。
ところで、公共下水道などが社会インフラとしてその効果を発揮するためには、トイレを水洗にするなどにより、排水処理を公共桝に接続することが必要ですが、下水道の接続率はどうなっていますか。仄聞するところでは、県内の公共下水道などの接続率は80%強で、施設整備が十分活かされているかどうか微妙なところです。下水道の接続は法律で義務化されているとのことですが、その法的根拠および罰則があると聞いておりますがどのような規定となっているかお尋ねいたします。
さらに、合併浄化槽を設置していれば、公共下水道などへの接続は猶予されると聞いていますが、屎尿単独処理浄化槽はその対象ではないようですが、県内の公共下水道などの供用区域の中で、単独層を設置し、公共への接続をしていないものはどのぐらいあるでしょうか。下水道法には管理者の義務が規定されていると思います。下水道の必要性についてはさまざまPRされていますが、接続の啓発については、供与後、しばらく経つとほとんどされていないように感じます。
下水道法には、経済的な理由があれば、しばらくは猶予するものの、市町村が工事費の支援をしてでも接続を促進することが規定されています。法の趣旨から言えば、下水道の整備については、その政策目的からすれば、財政支援を講じてでも、接続を伸展させることは、県なり市町村の義務でもあると思います。接続が頭打ちとなっている理由を良く分析して、接続率が向上するよう頑張ってほしいと思います。
知事にお尋ねします。行政がインフラ整備として実施する事業には道路、港湾をはじめ土地改良や社会教育施設などさまざまなものがあります。整備したインフラが十分活用されるようにするためには、それを活用するためのソフトが必要であり、進行管理や現状把握が必要です。モノによっては、時に、規則の改正や財政支援も必要になるかも知れません。施設を活かすための手だてをどうするかという思考が、県には少し不足しているような気がします。そうした必要はありませんか。

溝口善兵衛知事答弁

整備後の社会基盤の活用について

ご指摘の通りで、コストをかけていろんな施設をつくるわけですから、それが有効に使われるようにするというのは事業者の責任であり、それから県も事業者の場合もあります。あるいは補助する場合もあります。市町村と一緒になってそういうことを進めなければならないと思います。下水道以外にもいろんな施設の利用状況等々よく把握して、その利用の促進に努めるということが大事ですが、施設をつくる前にやはり必要度等々、午前中の議論でも水道の議論がありましたけども、将来の利用の仕方などについてもよく考えてやる。それからまた、利用するのは県とか市じゃないわけでありまして、住民の方々でありますから、計画の段階から住民の方々によく説明をする、参画をする、そういうこともやっていく必要がある、そのために県、市町村が広報、PR等をする、それからできた後も、利用方法等について先進事例を紹介するとか、いろんな工夫をしていく必要があるというふうに考えているのは議員と同じでございます。
下水道については、市町村が事業者で管理者なって、ほいで国の支援と県の支援といいますか、があるわけですね。やはり基本的に地域の皆さんが必要だからということで始められるわけでありますから、やはり地域で責任を持ってそういうことをやることが大事であります。県もそういう面で市町村と一緒になってそういう接続を促進するとか、そういう活動をやっていく必要があろうかと思います。ただ、融資制度がありますから、そこで補助までするかどうかというのはよくまた検討しないと結論が出ないことではないかというふうに思います。

鳥屋均土木部長答弁

公共下水道などの利用状況について

下水道事業の目的は、汚水の収集処理、雨水の排除という機能を持っておりまして、生活環境の改善や公衆衛生の向上、浸水の防除、さらには河川、湖沼、海域等の公共用水域の水質保全を図ることを目的にしております。
下水道整備事業としては、流域下水道、公共下水道、特定環境保全公共下水道があります。このほかに処理施設としては、農業集落排水施設、漁業集落排水施設、コミュニティープラント、合併浄化槽などがあります。
汚水処理人口普及率でありますが、これは総人口に対して汚水処理施設を利用できる人の割合を示すものであります。島根県全体といたしましては、平成20年度末で68.5%となっております。ちなみに、このときの全国の数字は84.8%でございました。県内の市町村別につきましては、一番この普及率が高いのは知夫村の100%、次いで東出雲町の96.8%であります。市部で言いますと一番高いのは松江市、95.3%、次いで雲南市が82.3%となっております。総じて県西部の4市におきまして、整備のおくれが顕著となっております。
合併浄化槽のほうの普及率は、県全体で同じく平成20年度末でございますが、12.5%となっております。比較的中山間地域が高い数字になっております。全国の普及率は8.9%でございますので、島根県は比較的高い数字となっております。
公共下水道や集落排水施設などの接続率は、下水道の集合処理施設へ利用できる地域の人口に対して、実際にどれだけ接続しているかという数字でありますが、平成20年度末で84.4%、県全体ではなっております。
法的には下水道法の第10条によりまして、供用が開始された場合においては、特別な事情がある場合を除いて遅滞なく接続することと規定されております。
また、し尿処理の単独槽を個人で設けていて、公共下水道を整備した区域内で接続をしていない方々が大体4%と出ております。接続しない人には接続を命ずることができるとなっておりますが、県内の市町村では、実際にこの命令を出すことは余り事例はございませんで、説得に努めております。特に、戸別訪問などを行いまして接続を促すこと、あるいは費用の融資制度等を御説明したりというような取り組みを行っております。
罰則については、公共用下水道が供用された場合の下水道に接続する場合の罰則ですけども、命令を出すことができるわけですが、命令に従わない者に対しては、1年以下の懲役または100万円以下の罰金に処すことができると定められており、くみ取り便所から水洗便所へ改造する場合に、その命令に従わなかった場合は30万円以下の罰金と定められております。
公共下水道への接続については、事業を始める際に、関係する地域の皆さんには説明しておりますが、不足の面もあろうかと思います。一層しっかり皆さんにわかるような説明をするように、事業主体が基本的には市町村にございますが、市町村の指導も含めまして取り組んでいきたいと思います。

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