県議会だより

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平成22年2月定例会一般質問(2)

知事のめざす島根県について

県は、3年前に政権交代した。澄田前知事は「県土の均衡ある発展」を企図し、石見、出雲、隠岐を1つのエリアとしてくくり、行政、交通、医療などの社会インフラを含めたネットワークの単位に、県政推進の指標としてきた。平成22年度は知事が就任して4年目、任期最終の年を迎える。
当初、知事は県の財政の再建を最大の政治課題と位置づけ、敢えて、財政規模の縮小を選択した。同時に、県内各地に出かけ、現状を自らの目で見、県民と語り、県政の課題を知り、その中から、目指すべき・行くべき方途を見つけられたと思う。
知事は「島根にはすばらしい自然があり、勤勉で真面目な県民が居る。都市化していないことは、逆に都市地域が失ってしまったものがあり、自然、風土、習俗、価値観、コミュニティなどのすべてが価値であり財産だ。」と語っている。
小生はこの3年間、「知事の県政にあたる基本コンセプト」をずっと探ってきた。先般、島根県を売り出すツールとして、古事記と出雲大社、一畑電車を選択されたことに、知事は古代からの島根の歴史の中に島根の隠された価値があるのであり、県下の全域で地域の歴史や文化を調査・分析する中で、隠れている地域資源を発掘し、アレンジすることで地域振興につなげようとしているのではないかと類推した。希少野生生物の条例が提案されたのも、そうした思考があると見た。
しかし、小生が、県の職員に「溝口知事が目指す島根県はどのようなものか」「澄田県政との違いは何か」と尋ねても、幹部職員ですら小首を傾げ、明確に答える者はほとんどいない。
知事に尋ねる。澄田県政と溝口県政の違いは何か。この3年間で職員の何が変わったか。

溝口善兵衛知事答弁

自らの政治姿勢について

澄田県政と私の行政、県政についての違いは何かということであるが、島根県各地を回って、島根は東西に長く、離島、中山間地域といった地理的な条件が大きく異なる地域の集合であるわけで、県民の方々がそれぞれの地域で安心して生活できる、そのためにその地で雇用の場がある、あるいは健康のため医療体制が整備されている、そういう環境づくりを進めていかなければならない。交通、医療など基本的な生活基盤を確保しながら、県全体としてバランスのとれた発展を図っていくことが大事だと考えており、こうした考え方は多分、澄田県政と、澄田さんが目指してこられたことと余り変わりはないと思う。
一方、経済の状況等を見ると、大きな長期的な課題の上に、景気後退といういわば緊急の事態が発生をしており、県民の方々の安定した生活を守るために、雇用の確保、景気の対策が非常に大きな課題になっている。県内各地における医療不足の深刻化など新たな問題に対応するということも、当面、県政の大きな重要な課題である。つまり、大きな方向は私は変わらないが、その時々の経済の状況あるいは環境の変化など緊急の課題にも十分対応するため、私は県内各地に出向き、多くの県民の方々から直接意見を聞き、現地をよく見て、できる限り各地の事情に必要なものを県政の中に反映するように努力をしている。

予算に関連して、今度の予算では国の交付税措置が増え、予算の編成において匙加減に甘さはないかとのことだが、経済対策を説明した時に申し上げた通り、財政の健全化は、公債の残高が非常に高い中で健全化を進めるという底流は変わっていない。しかし、経済の状況は悪くなっており、それに対して政府は景気対策を打つ、県もそれに呼応して景気対策を打つということで、いわば健全化の路線は維持しつつも、政府から供与された交付金、補助金等を活用する、あるいは一般財源をも(今回の民主党政権だけでなく前政権においても交付税等の増額は少しずつなされてきているが)活用して、いろんな対策を考えたということである。今回は、たまたま国から資金の交付があり、経済対策が打てたが、景気が良くなると、政府のほうは対策を打たない。景気が良くなるときは大体、大企業、大都市にリードされるから、地方に非常に厳しい事態が起こるわけである。そういう意味から、財政健全化という基礎的なところは維持をしていかなければならない。県職員には申しわけないことであるが、給与の減額を続けつつ、予算の効率化、市町村の役割あるいは県の役割、そういう、あるいは民間の役割をよくわきまえながら予算編成を行ってきている。
また、国に対しては、国でやるべきことは私は国でどんどんやるべきだということを言っている。医療とかそういった問題は国がやらなければならないし、あるいは子育て支援、あるいは乳幼児の医療費支援といったようなものは地域で余り格差があるのは適当ではない。公的なサービスについては、全国どこでも同じような水準がある程度確保されるというのが大事である。

出雲市のトキ飼育に対する支援については、トキという日本で絶滅をしかけたトキの品種を日本で交配をすることによって増やし、将来はトキが自然の中、田畑の中で飛来をするような、飛翔するようなことを国は目指してやっている。その中で、飼育のために3カ所を選んで分散飼育をしようということで、島根が選ばれたわけである。出雲市が長年、トキについていろいろ努力をされてたことが評価をされた、いわば島根の豊かな自然を代表するというようなことで選ばれたのである。そういう観点から、地元出雲市だけでなく県としても、環境の保護、子どもたちへの啓発、環境農業などの問題もあり、そうすべきと判断した次第である。

石垣英司農林水産部長答弁

大社町稲佐の浜の飛砂対策について

海岸から住宅密集地等に向かって大量の砂が飛び、住民生活にさまざまな障害をもたらしている、いわゆる飛砂が問題となっている出雲市大社町の稲佐の浜は、漁港漁場整備法に定められた漁港区域内の海岸であり、農林水産部が所掌している。
この飛砂については、出雲市からの要望もあり、平成19年度から竹柵を設置する対策に着手してきたが、現地において強い風をまともに受けやすいなどといった地形や気象条件等の特性もあり、なお不十分との声が聞かれるところである。このため、県としては、早期に現地に出向き、地元住民の意見を聞き、被害状況を把握するとともに、出雲市や関係機関と竹柵工に植栽を加えた工法など、最適な方法の実施に向けた話し合いを進めたいと考えている。

鳥屋均土木部長答弁

地合町地域に関する原子力発電所有事の避難動線確保について

出雲市地合町や坂浦町においては、県道斐川一畑大社線が生活や防災の面で重要な幹線道路となっているが、日本海に面した急峻な地形にあり、抜本的な改良が困難なことから、これまでも地域の方々の安全な通行が確保できるよう、待避所の設置や急カーブの解消などの工事を計画的に進めてきた。この3年間では、特に幅員が狭く危険な箇所など8カ所の改良を実施したところである。また、斐川一畑大社線と同様に、島根半島西部の幹線道路である大社日御碕線についても、道路の整備の状況は同様に十分ではなく、現在、トンネル工事の整備促進や防災対策などに取り組んでいるところであり、これら幹線道路の整備については、来年度以降も出雲市や農林道事業等とも調整を図り、なが要望箇所を中心に、安全を確保するための対策を進めたい。

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