県議会だより

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平成22年2月定例会一般質問(1)

知事の政治姿勢について

国は、政権交代した。国家経営の基本コンセプトが大きく変わるわけであり、多少の混乱や、手戻りは致し方ないと思う。
ただ、60年近く、国土の均衡ある発展を基本コンセプトにした行政主導の政策給付から、政治主導の個人に対する現金・現物給付への変更に国民合意があるとは思えない。
選挙で示された民意は、永年に染み付いた政官業の癒着・しがらみを一掃することと肥大化し疲弊した社会システムを再構築してほしいと言うものである。
そういう民意は、鳩山内閣の進める子ども手当や高速道路無料化などの政策に対する国民の評価が意外に低いことに如実に顕れており、「事業仕訳」を拍手喝采したことからもうかがえる。
小生は事業仕訳の行われた国立印刷局市ケ谷センターに行ったが、何千億円もの国の事業をわずか数分の意見聴取で「仕訳」する政治ショーに違和感と嫌悪感を覚えた。
政府予算を編成する権限を有するのは内閣である。 事業仕訳は、事業の効果や評価について執行権原者である内閣が、本来、予算の要求、あるいは、査定の前に行うべきものだと思う。
議員内閣制の元で内閣を組織する与党の議員は、予算の編成や執行にあたる責任があるのであり、それ故に、予算要求や査定・編成の段階で上がってくる関係団体や自治体などからの意見、政策に対する第3者機関からの評価などの経過情報もあれば、予算案や法律案などの立案、決定プロセスでの最終情報まで、得られる行政情報は莫大なものがあると思う。
国会議員には与野党の別なく、国政調査権が与えられている。法令の効果や予算の執行状況や有効性などについて調査することが職務であり、その結果に基づいて国会に報告し議論されるべきものだと思う。
しかし、議員内閣制での与党は執行者であるから、国会でチェックする役割は野党にあるということになる。
では、与党の政策の決定プロセスが民主的に行われ、透明性が確保されているかと問うたとき、残念ながら、依然として「密室」「不透明」なのである。
小生の議員生活は今年で20年になる。明時代の洪自誠の随筆集である『菜根譚』に「事を議する者は、身は事の外にありて、よろしく利害の情を尽くすべし。事に任ずる者は、身は事の中に居りて、まさに利害の慮を忘るべし。」とあり、「和して流れず」を常に自らの信条として微力を尽くしてきた。
しかし、この場で、知事の施政方針について尋ねる前に質さなければならない、残念な事案がある。
先日、民主党島根県総支部連合会が「鳩山政権島根県の2010年度予算」という冊子を発行し、1000円で有償配布しているというを事実が明らかになった。
発行の日付は平成22年2月18日、2月定例県議会の予定議案が明らかにされた全員協議会の翌日である。内容は国の予算が5ページで、60ページにわたって計数資料として掲載されているものは、2月17日の全員協議会で議員に配付された資料が掲載されていた。まさに、いま、県議会が知事から提案を受け、審査しようとしている予算の内容である。
2月定例会は2月24日に開会され、議案は同日上程された。22年度の当初予算は、未だ本会議での質疑さえも行われておらず、常任委員会での審査も未了で、議員各位の賛否も不明である。
われわれ地方議員は国の制度と異なり、すべての議員に与えられている職務は、執行権原者である首長および関係行政委員会のチェック、監視である。
県議会開会前に、審議もされていない上程前の議案内容を、国政与党の国会議員が関与・編成したかのような文言を付して販売するなど、議員としての矜持を弁えないばかりか、選良の態ではない。
行政情報には著作権はないから、印刷して有償配布は違法ではないかも知れない。しかし、その冊子には、県民から信託を受け、県民に代わって22年度予算を審議するべき立場にある、何人かの現役県議会議員の名前と写真が掲載されていることを心の底から残念に思う。
小生は島根県議会議員として、上程された議案に対する十分な説明を求め、調査・審議した上で、最終日に自らの良心に従って、知事の提案に対する賛否を明らかにしたいと思うが、今回の行為は、知事および県議会に対する侮辱であり、とても容認できない。
小生は、政治学を教わった林修三先生から「権力を持つ者は、その大きさを懼れ、抑制的に行使しなければならない」と教えられたが、驕り高ぶって足許を見ようとしない民主党の姿勢とそれにかかわった皆さんにまず強い警鐘を鳴らしたい。
そして、知事に問う。あなたはこうしたことを許容するのか。また、島根県の22年予算は国政与党である民主党の思惑通りの予算を編成したのか。

溝口善兵衛知事答弁

民主党県連総支部発行の冊子について

民主党が発行した予算に関する冊子については、私も園山議員の質問の内容の中でこの冊子のことを存在を知り、昨日初めてこの内容を見たが、1つは、県議会での審議がなされてない、そういう段階で冊子が発行されたこと。2つには、内容が、これから本会議、委員会等で審議がされるという時期に、予算がこうなったというような表現もあり、県民に誤解を与えるおそれがあるという点は適切でないと考える。
また、予算の内容については、常々申し上げる通り、私は、県内の県民各層各界のご意見、県議会各党各会派の要請などをよく聞き、総合的に判断をして編成したものを議会に提出をしており、一党一派の主張通りに予算を編成したものではない。

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