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生まれながらにして、離島に暮らす人は、動線確保に大きなハンデを負っている現状を考えると、隠岐地域から本土への動線確保をどう図るかは大変重要な課題と考えます。ある程度の時間的ロスは離島という地理的条件からして致し方ないとしても、生活するための金銭負担には何らかの支援をしていく必要であると考えます。人の移動が極めて限定的で、島の中で経済循環が実現していた時代ならともかく、グローバル社会の現代では、文化的な生活の水準は大きく変わってきています。
こうしたことと国道485号に指定されたことは、無関係ではないと思います。国道指定により状況の変化がありましたか。また、島根県の具体的な行政施策において対応されたことについて伺います。
隠岐地域の人口減少の要因には、隠岐地域での事業活動の低下、つまり、所得の低下があるように思います。海士町をはじめ隠岐の町村では、観光、畜産、水産などの産業振興に懸命の取り組みがされています。こうした中、知夫村では新たな畜産振興構想を策定され、子牛生産を倍増させたいと計画していますが県はどのような支援をされるつもりか伺います。
西ノ島や隠岐の島では、漁港整備が予算の削減をうけて、主力漁業でまき網船団の大型化に対応していないと聞いております。防波堤や岸壁など隠岐の実情にあった整備を行うべきと思いますが、どのように対応を考えているのか伺います。
海岸地域で共通な問題は漂着ゴミ対策であります。とりわけ隠岐地域では、岩場や海底ゴミが多く、船を使用して除去をしないと対応できない地域が多いと聞いております。国もようやく漂着ゴミ対策に予算措置を講じていますが、県としてどのような視点を持もって、ゴミ処理の徹底を図ろうと考えているのか伺います。
北朝鮮のミサイル基地と言われるチョンジュンから、日本への最短は隠岐である。こうした隠岐の住民の安全を担保するためには、自衛隊、海上保安庁の艦船への補給体制を整備する必要があると考えますが所見を伺います。
2 魚価対策について。
ここ近年の魚価安は深刻であります。魚種によっては3-4割の安値となっているものもあり、燃料の高騰もあって、採算性が著しく低下し、まき網や底曳き網船の代船建造が難しくなっています。また、乱獲による資源枯渇は、バイや赤えび漁に顕著で、イニシャルコストがかかり、沿岸漁業を支えてきた小型底曳きや伝統漁のシイラ漬漁は存続の危機を迎えています。加えて、一本釣り漁業者の生計を支えたカナギ漁、サザエやアワビの価格が極めて下落し、漁業漁村の衰退は著しい状況にあります。漁村の疲弊は就業者の減に比例しており、漁業就業者の確保が何としても必要であります。漁家所得の向上のためには、資源の分散出荷、加工、一時ストックを図る取り組みや、緊急資金の貸付、条件不利地の 流通コストへの支援が必要と考えますが所見を伺います。
3 県内木材の産出量、ストック量について。
県内の森林の資源量、とりわけ木材として利用できる資源や荒廃の状況はどうなっているか伺います。仄聞するところでは、出雲市の島根半島部で、県は産材のモニタリング調査を実施したとのことだが、結果について伺います。現状は、森林の放置とマツクイムシ、鹿の被害もあり、かなりの荒廃が進んでいると認識していますが、今回の調査を踏まえ、今後のどのような森林整備や林業振興を企図するのか伺います。
島根県の森林・林業の振興のためには、モデル地域を設定し、現状の実態調査をした上で、リーディングプロジェクトを投入するなど、成功事例をつくることだと思いますが、考えを伺います。
4 結婚促進対策について
近ごろ、県内で、ブローカーによる中国人妻の結婚斡旋事案が増加していると聞いております。聞くところによると、中国から来た新妻には1年たっても子どもができず、突然、「実は、私には中国においてきた子どもがいる。是非、来日させて、一緒に暮らしたい。できれば、籍を入れ、養子縁組してほしい」と言われるようです。1,2件なら別に不審とは思いませんが、こうしたことがあちこちで起こってくると、「おや?」と思わざるをえません。こうした状況を考えると島根県はもっと結婚問題に関心をはらうべきであると考えます。男女が互いに愛し合い、お互いの合意の上で、結婚に発展するのであれば、何も言うことはありませんが、結婚ができない状況につけこみ、財産を根こそぎ奪取するような詐欺を意図した状況は何としても阻止しなければなりません。こうしたことに対応するため、市町村と連携して20代半ばから30代前の男女が地域で自然に出会って結婚し、そして子育てを地域全体で見守るようなコミュニティとしていかないといけないと考えますが所見を伺います。
また、国際結婚した夫婦の状況について、アンケートをす るなどしてその後の状況をフォローすべきと考えますが所見を伺います。
│掲載日:2010年06月15日│
指摘のように、485号線として、隠岐諸島と県庁所在地であります松江市を連絡する路線が国道になったわけです。それによりまして、例えば西ノ島町の西ノ島バイパス、あるいは隠岐の島町の郡バイパスなどの道路が国道として整備をされてきた。このように、地上部分につきましては道路整備が促進をされておりますが、海上部分につきましては、道路としての整備が行われたわけではありません。したがいまして、県としましては、国に対する重点要望におきまして、隠岐航路について道路並みの支援をするようにということを求めてまいりました。
そこで、道路特定財源の一般財源化とも関連をするわけでありますけども、平成21年度に道路財源の一般財源化をされまして、地方自治体が行う離島航路への支援にも活用するということが可能になったわけであります。さらに、今年度、そういうことでございまして、引き続き私どもとしては、道路として海路が道路と似たような支援を受けるように、要請をしていきたいというふうに思っております。
また、航路支援についても、過去においても相当やってきたんだと思います。1つは、やはり財源の問題があったんだろうと思います。道路として使うにも、道路特定財源という制度がありましたから、それは道路の整備そのものに使うという制約がありまして、一般財源化されるまでは、いわば道路以外の形態に支援をするということが非常に難しかったという状況があるんではないかと思います。しかし、そういうことが可能になりましたから、我々としてはさらに力を入れて、地元と一緒になって支援を国に要請していきたいというふうに考えております。
御指摘のように、知夫村におきまして、繁殖雌牛を増頭しまして、子牛生産頭数を大幅に拡大するという計画をつくられております。県としましては、計画の実現に必要な放牧場あるいは牧道などの基本整備につきまして、国庫補助事業を最大限に活用できるよう支援をするとともに、繁殖雌牛の導入、担い手の育成、経営安定に必要な支援を行ってまいる考えであります。
それぞれのところで漁港整備の問題などがあると認識しております。そこで、地元の漁業者の方々とよく意見を交換をしまして、必要な整備を県としては行ってまいりたいと、こういうふうに考えております。
大変御指摘の困った問題だなというふうに考えております。根本的には、対外諸国由来のごみが多いわけですから、そこら辺の発生源対策をやってもらわないかんなということで、外交ルートを通じて、これは国に対してお願いをしております。
今おっしゃいますように、ごみ処理をどう、来たものをどう徹底して回収していくかということは非常に大事なことだと思っています。今年度、そのための計画をつくることにしております。基本的には、県と市町村と、それから地域住民が一緒になって、どう役割分担をして連携してその対策に当たっていくかということが非常に大事なことになってまいりますので、市町村と協議することはもちろんですけども、地元の皆さんにもいろんな意見を聞いてみたいなというように思ってます。
それから、隠岐は当然のことなんですけども、今言われましたように、本土側でも、なかなか容易にごみを陸上から回収することは難しいというようなことがあるのではないかというように思います。そのために、船を使って回収するという方法が有効だというように思います。市町村の漂着ごみの受け入れ能力の問題とか、地元の住民の方にどう協力していただくかといったような、それぞれの地域にはそれぞれの事情がありますので、そういったところについてもしっかりお聞きして、そういう事情に合ったような対策をとっていかないと、なかなかこの解決は難しいのではないかというふうに思っております。
現在、隠岐の知夫村で、金はグリーンニューディール基金を使っておりますけども、船を使った具体的な回収処理を試行的にやっております。7月末にこの事業を完了いたします。今は漁業者の方に船を貸していただきまして、浮き桟橋を使う、あるいはクレーンを使うというような具体的な道具や機器をどのようなもんがいいのかというようなことがありますし、それから費用がかかりますので、その費用はどのくらいかかるのかなというようなことを少し詳細に検討しまして、この事業を通じて得られた成果とか課題があるかもしれませんので、課題とか、そういうのを整理して、島根県での効果的なごみ処理はどうあるべきかということを見つけ出していきたいなというように思っています。
そのためといいますか、ごみ回収にはどうしても時間も必要ですし、多額の経費が必要です。そういうことを現在はグリーンニューディール基金でやっておりますが、これもいかんせん期限が限定されておりますので、引き続きやっぱり国からの財政的な支援、これが必要だと思いますので、そういった面についても国に対して働きかけをしたいと思ってます。
そういうような、今いろいろと申し上げたようなことで、我々としてもこのごみ処理の問題について前向きに対応していきたいというように思っております。
また、海底ごみの問題も、おっしゃるように非常に大事な話で、この海底ごみが浮かんできて海岸に漂着していることも十分想定されます。現在のところ、水産庁のほうで、排他的経済水域での回収作業というのは行われているというようにお聞きしております。環境省のほうでは、漂着ごみについては、その回収の方法、財源的な支援、そういうことについての法制化はされ、あるいは予算化もされましたけども、まだこの海底ごみに対する対応というのは、今年度から海底ごみの処理方法についてどういう方法があるのかということの検討に着手されたばかりのようでありまして、恐らく海底ごみに対してどう対応していくかということが、国がベースになって検討されるというように聞いておりますので、我々としても、必要な意見を言いながら、その検討状況をちょっと見ていきたいなと思っております。
自衛隊、それから海上保安庁ですね。そうした関係省庁がそれぞれの任務、防衛あるいは国境警備等々の観点から、どういう体制が望ましいかというのは、まず彼らが考えなきゃいけません。そのためには、国際情勢だとか、そういうものをどう評価するかということと関連します。これは国の役割ですが、地元としては、議員が御指摘のように、いろんなリスクがあるわけですから、そういうものを国に訴えまして、さっきおっしゃったような補給の体制を近いところで整備をすると、こういう要請は県としても地元としても要望に応じてやっていかなければなりません。
ただ、そういう問題につきましては、やはり地元でどういうふうな体制が望ましい、そういう力と相まって、呼応してやっていく必要があると思います。一部の地域におきましては、そういう活動をいろいろな団体がやっておられることも承知をしておりますから、私どもとしては、そういう方々、さらに地元の市などともよく連携をしながら、連絡をとりながら、適切な対応を国に求めていきたいというふうに考えております。
おっしゃるように、漁業もほかの産業も同じですけれども、もうかるようにならないと人が定着しない。もうかるようにするためには、漁業者自身の努力も必要でありますけども、行政も果たすべき役割はたくさんあるというふうに思います。これは産業の振興と同時に、地域振興の要素があるわけでございます。そういう意味におきまして、漁業は、大体漁業者の方は一定地域にたくさんお集まりでありますから、地域の経済に大きな役割を果たしておるわけであります。そういう意味におきましても、地域振興という観点も入れながら、漁業の振興に県として努力をしていかなければならないと思ってまして、議員がおっしゃいますように、略奪漁業とおっしゃいましたが、育てる、漁業資源をちゃんと育てるような仕組み、あるいはそのためには魚礁を設けるとか、あるいはとった魚が値段の高いときに市場に搬出、搬送されるように、保管の仕組み、冷蔵の仕組みを整備するとか、あるいは加工を生産に近いところで行うことによってコストを下げるとか、いろんな工夫をしなければならない。県としては、そういう漁業者の取り組みをできる限り支援をしていきたいというふうに考えておるところであります。
議員御指摘のように、魚価の低迷に加えまして、石油価格、最近高騰が続いております。加えまして、天候不順によりまして出漁日数の減少といったような状況で、漁業をめぐる状況は非常に厳しい状況にございます。
こうした悪化した漁業経営の安定化のために、当面の措置といたしまして、昨年度に引き続いて緊急の融資制度に取り組むことを考えているところでございます。さらに、中長期的な漁業や漁村の維持発展のために、資源の回復と漁業所得の向上を図ることによって、就業者が自然と集まるような魅力ある漁業にしていくことが必要であると考えております。今後、漁業者や産地が主体となって、例えば資源の確保のための漁網の目合いの拡大でありますとか、産地で加工することによって付加価値の向上を図ると、こういったような主体的な取り組みに対しまして、行政としても積極的に支援を行ってまいりたいというふうに考えております。
まず、島根県の森林資源量でございます。
面積から申しますと、県土の78%が森林でありまして、面積は約50万ヘクタールでございます。このうち杉、ヒノキなど人工林が4割を占めております。この材積、木の堆積でございますが、平成21年度末では、約9,700万立米ありまして、杉が約2,800万立米、ヒノキが1,200万立米、松が2,400万立米、そして広葉樹が3,300万立米程度ございます。この中で、伐期、切り出すことができる時期に達している木材として利用可能と推定されるものは、杉で言いますと2,200万立米、ヒノキで約500万立米、松では2,300万立米でございます。しかしながら、この伐期に達しておる材がすべて使えるかといいますと、松くい虫の被害跡地、手入れ不足の人工林、あるいは竹が侵入した林といった形で、荒廃した森林が含まれておりまして、平成16年度の時点では11万ヘクタールに達しております。これは森林面積50万ヘクタールの約2割強であります。特に、県の重要な資源の一つである松につきましては、昭和50年代からの松くい虫被害によりまして、面積が昭和58年から平成21年まで約30年近くでありますけれども、約3万ヘクタールも減少しておるという状況でございます。
こういった実態は、かなり荒廃の状況に、相当程度荒廃の状況にあるという中でありますが、県におきましては、5年ごとに航空写真あるいは現地調査を流域ごとに実施しておりまして、その標準的な資源量の把握に努めております。この調査を行うことによって、島根県全体としての資源量の概況、あるいは大まかなその推移といったものを把握してきたところでございます。しかし、例えば市町村といったような単位で地域の森林を見た場合には、森林病害虫や、あるいは降雪、降雨等による自然災害などによる急激な変化の状況、あるいは具体的に切り出して利用するという観点に立った場合の森林資源の状況、こういったものを十分に把握し切れていないのではないかという課題があったわけでございます。
こういった経緯を踏まえまして、本年3月、北山地域1万1,000ヘクタールでございますけれども、この中で松くい虫による被害、あるいは鳥獣、シカ等による被害の状況、あるいは利用可能な森林資源の状況、こういったものをつまびらかにするために調査を行ったところでございます。
具体的に申しますと、500メートル四方のメッシュ約600カ所を区分いたしまして、松くい虫被害についての調査あるいはシカの角こすりによる剥皮、皮がむかれる被害でありますけれども、そちらにつきましても、50カ所程度調査ポイントを設定いたしました。これらの調査の結果でございますけれども、北山においては、弥山山地の南側を主体として、この3年間で約600ヘクタール、材積に換算しますと18万立米程度の松林の減少を確認しております。また、シカによる剥皮の被害でありますけれども、杉を中心として、本数の割合で言いますと、約25%の被害、杉、ヒノキ合わせて11万立米程度が加害されていると推定しております。
こうした調査の結果としまして、松くい虫、シカ等の被害は今後も拡大することが懸念されるところでございます。
また、大体のところでございますけれども、松の面積についてでございますと、昭和58年100といたしまして、最新のもので74%という程度の割合で、材積で見ました場合には、これはあくまでも推計値によるものでございますけれども、残っている木の成長によって、材積自体は増加しております。昭和58年を100といたしますと、147%ということになります。
私もそういう考えが必要だと思っております。やはり、森林の荒廃の状況、あるいは資源の状況等をよく調べまして、それに合った対応をしていく必要があるわけです。そういう意味におきまして、例えば先ほど農林部長も言いましたけれども、病虫獣被害木もたくさんあるわけです。そういうものをどういうふうにして活用するかといったような新たな活用の方途を考えるとか、あるいは森林を再生するときも、そういう被害が起きないような対策を講じていくとか、そういうことをやりながら、森林を守っていかなきゃいかん。そのためには、やはり先ほどの病虫害の被害なんかも見ましても、やはり森林、漁業者あるいは森林を保有している人だけじゃなくて、地元の市町村も関与していかなきゃいかんわけでありまして、そういう観点から、本年度は4市町村程度において、そうした計画、地域としての計画をつくるための現地調査、あるいは策定作業のために地域が主体的に取り組むに当たりまして、県として積極的に参画をして、支援をするということを、今やろうとしているわけであります。こうした中で、一つの成功事例が出てくる、1つに限らなくてたくさんでもいいんですけども、出てくる、そういうことをほかの地域、ほかの市町村にも波及して適用するように努力をしてまいりたいというふうに考えております。
今、確かに結婚が3,000件ぐらいになっておりまして、10年前ぐらいに比べると、本当1,000件近く減ってきておるわけでありまして、この結婚の数そのものは、やはり若者の数、そこをどうやって定住していくかということが、それが一番大きな問題だと思いますが、今おっしゃいますように、若くてもなかなか結婚しない、そういう方がふえておりますので、そういう皆さん方に対する周りの地域のおせっかいといいますか、そういうものはやっぱり少なくなっていると、そういうふうには思っております。
国際結婚については平成20年の状況ですけども、全体で3,103件のうち夫妻の一方が外国の場合、112件が国際結婚という分類だと思います。そのうちの約90件が中国、フィリピンの方という状況でございます。そういう数字は把握をしております。
地域に暮らす人たちの結びつきが強いという島根県の良さを生かすと言いますか、島根には、暮らしやすい、結婚してこどもを育むのにすばらしい環境があると思っています。島根にはそういうものが大都市よりも残っているというふうに思います。我々も、地域における、ともすると希薄になりがちな人との関係、つき合い、そういうものが豊かに育つ、広がる、そういう努力を県も支援をし、地元の方々と一緒になって取り組んでまいりたいというふうに考えております。