県議会だより

Reports

平成22年11月定例県議会一般質問(5)

過疎化による問題点について

島根県の高齢化、過疎化の進行は深刻である。高齢化・過疎化によって過疎地の商店や医療施設のみならず一般商店や理容、美容院などが消滅し、住民の足の確保が大きな課題となっている。出生数の減少は、小、中、高校の教育にも大きな影響をもたらしている。独り暮らしや認知症の高齢者については、ホームヘルプサービスやディーサービスなどの介護福祉によって一定のサービスが実践され、地域を支えている。しかし、家事支援は介護保険の適用を受けられるものの理・美容サービスについては保険の適用は受けられない。法令で理・美容の出張サービスは認められているが、過疎地や山間地域への出張サービスはロスが大きく、恒常的に行うことは難しい。高齢者や病床にある人達の一番の癒しは「おしゃれ」である。一番は介護や医療保険に福祉理・美容、医療理・美容サービスをメニューに加えることであり、県としてもこうした観点を政策メニューに加えることを検討すべきである。
また、核家族化によって家庭に育児の手がなく、また、1世帯あたりの子供の数が少なく、家庭に子育てのケーススタディが少ないことから、小児の軽症患者の救急診療受診が多いと聞く。ただ、一方で、老親同居家庭では、爺・婆が孫のことになるとすぐに「旦さんに見てもらえ」と言うことになるようである。もう少し、♯8000でのサービス内容を充実させるとともに、県内幼稚園や保育所に出掛けて、軽症患者の救急受診回避を進めるべきである。
9月議会で石倉議員から指摘のあった芸術系教員の採用、配置について指摘しておきたい。昨年、細田議員から、隠岐島前高校で物理の教員が不在で、受験に支障が生じていると指摘された問題については本年4月から教員が配置されたが、芸術系の教員の問題は大きな問題である。島根県は橋本明治、石本正、宮廻正明など日本画壇を代表する大家を輩出した地域であり、荒川亀斎や米原雲海など彫刻の巨匠もある。特に、戦後の絵画美術は浜田市の名誉市民となられた山崎修二画伯や東光会理事長であった有馬侃画伯などの高校教員によって支えられている。音楽は中学校の器楽合奏において全国屈指のレベルにあり、それが地域の芸術レベルを支えているのである。私は3年前にも、島根大学の芸術系コースが無くなったことについて指摘したが、音楽や美術等芸術のレベルは地域の文化のみならず、地域の潜在力を引き出す要素である。
島根県の教員は少、中、高校合わせて7000人程度居るはずである。高校だけで解決できなければ、中、高校の連携で考えるとか解決策はあるはずだと思う。島根県の芸術文化のレベルを維持・存続させるために学校教育が果たすべき役割を含め、根本的に考える時期に来ているのではないか。

そこで尋ねるが、
福祉、医療に対する理・美容サービスをどう考えるか。(健康福祉部長)

軽症の小児救急受診を抑制するための啓発を行う考えはないか。(健康福祉部長)

高校の美術、音楽教員の配置状況の詳細と、過去20年の年次別採用人数を述べよ。(教育長)

抜本的な取り組みについて県教委は今後どのように対応するのか、また、知事はこうした事態にどう対処するか。(知事、教育長)

溝口善兵衛知事答弁

高校の芸術系教員の不足について

最後に、高校の芸術系教員の不足に対してどう対処するのかという御質問であります。
御指摘になりましたように、島根県におきましては、美術の日本レベルでの大家の方を何人も輩出をしておりますし、あるいは高校、中学校等におきましても、全国大会等で高い成績を残しておるわけであります。また、美術はやはり人々の生活を豊かにするものであり、物の見方とかいろんなことに影響するもんでありまして、美術教員を高校におきましても適切に配置をするということは大事な課題ではないかと思います。
そういう点につきましては、教育委員会にもよくこの問題を検討してもらい、採用を含めまして、年々の採用でありますけども、そういうものを含めまして、教員配置にどのような工夫が可能なのか、よく研究をしてまいりたいというふうに思っているところであります。

今井康雄教育長答弁

芸術系の教員の配置について

高等学校の芸術系教員の配置についてお尋ねがございました。
まず、高等学校の芸術科目についてでございますが、音楽、美術、書道と3つのうちから1科目を選択するということになっております。こうした点を踏まえまして、現在、まず美術でございますが、美術を開講している学校は27校ございます。そのうち正規職員を配置している学校は13校でございます。これ教育事務所単位で申し上げますと、松江教育事務所管内で、安来、松江北、松江南、松江東、松江商業の5校でございます。それから、出雲教育事務所管内で、横田、三刀屋、出雲、出雲商業、大社の5校でございます。それから、浜田教育事務所管内が、大田、浜田の2校、それから益田教育事務所管内が益田の1校、合計で13校でございますが、1名ずつ正規教員を配置をいたしております。議員からの御指摘がございました石見地域は3校ということでございます。残り14校でございますが、これは非常勤講師を配置をして対応をいたしております。
それから、ちなみに音楽でございますが、音楽を開講している学校は32校ございます。そのうち正規教員を配置している学校が26校、残りの6校が非常勤講師ということでございます。
一般的に申し上げますと、学級減がございますと、学校で行います教科ごとの授業時間数が減ってくるわけでありまして、今申し上げました学級減がありますと、一般的ですが、3年間で6人程度の教員の定数が減となります。言いかえますと、6教科の教員が減ということになります。そのうち仮に芸術の教科が減ということになりますと、もともと芸術の教科、授業時間数の関係で学校に1名しか配置してないという状況にございますので、かわりに非常勤講師を配置をして対応しているというのが現状でございます。
次に、高等学校の過去20年間の教員の採用について御質問ございました。
まず、美術教員でございますが、これも議員御質問にございましたように、ここ20年で、平成4年、5年、それから11年、13年、これにそれぞれ1名ずつ計4名採用をいたしております。ちなみにこの間の退職者でございますが11名おります。したがいまして、7名減ということでございますが、先ほど申し上げました学級減の影響によりまして、正規教員を非常勤に振りかえたということでございます。
ちなみに音楽教員でございますが、平成4年から本年度まで15名の退職者がございましたが、採用も15名行っているという状況でございます。
それから、今後の対応でございます。
今申し上げましたように、非常勤講師の増加に伴いまして、特に美術系の進学を希望する、こういった者への放課後への指導あるいは美術部等の部活動の指導、これが十分でないという現状もございます。認識をいたしております。こうした状況を踏まえまして、今後の美術教員の配置につきましては、1つは正規教員を配置をいたしまして、近隣の他校と兼務をしてもらう。先ほど申し上げました授業時数が少のうございますので、ここら辺、正規教員をある学校に配置をして、地理的な条件も加味した上で他校との兼務ができないのか、こういった点。それから、先ほど石見地域の話もございました。地域の実情に応じまして、特別に加配をするといった措置も検討してまいりたいと考えております。
それから、中高の連携というお話もございました。中高の連携による教員の配置でございます。実はこれ国庫負担法の制限の関係もございまして、ちょっとどういう方法が可能なのか、これを今後検討させていただきたいと思っております。いずれにいたしましても、県内の高校教員が地域の芸術振興に果たす役割というのは大きなものがあると思っております。今後も授業や部活動あるいは地域活動を通しまして、学校教育が地域の芸術文化レベルの維持向上に力を発揮していくことが大切であると考えております。先ほども申し上げましたような具体的な措置を検討してまいりたいと考えております。

錦織厚雄健康福祉部長答弁

福祉理美容と軽症の小児救急受診について

福祉理美容と軽症の小児救急受診のお尋ねについてお答えをいたします。
要介護状態や病気により療養生活をされている方にとりまして、整髪など理美容サービスを受けることが心のいやしとなりまして、日々の前向きな生活につながるものと考えております。また、外出などの動機づけにも非常に効用があるというふうにも言われております。ただ、理美容サービスの経費につきましては、現在の医療保険でありましたり、介護保険などの制度の中には保険給付の対象とされておりません。こうした中ではありますが、県内の3市町村においては、独自の財源によりまして、外出が困難な方などを対象に、訪問理美容サービスへの派遣費用の補助であったり、カット代金の助成を行う制度を設けられております。
それで、今後はどうだということでございますが、現在、いろいろ検討されておるわけですけども、来年度策定をする必要があります第5期の介護保険事業計画、ここにおきまして、見守りであったり買い物などの多様なニーズに対する介護保険外の生活支援サービスにつきましても、提供できる体制づくりを構築することとされております。このことから、県といたしましても、福祉的な理美容など、生活支援サービスの提供につきましても、各市町村において、介護保険事業計画の策定時に、住民のニーズを十分に踏まえた上で検討していただくように働きかけていきたいと考えております。
次に、軽症の小児救急受診抑制についてでございます。
県内の救急病院におきまして、軽症患者が夜間や休日に気軽に受診する、いわゆるコンビニ受診によりまして、病院勤務医師の負担が増加をいたしまして、本来の役割に支障を来している状況が見受けられます。特に、小児の救急外来は軽傷者の受診が多くなっている実態がございます。そうしたことから、保護者の方などに、症状に応じた上手な医療機関のかかり方を理解をしていただく必要がございます。そのために、県や市町村が保育所とか幼稚園などの保護者の皆さんが集まられる場に出向きまして、小児救急電話相談事業、いわゆる#8000ですが、一定の効果があると我々考えておりますので、こういうものの活用であったり、それから身近なかかりつけ医を持つことの必要性や、いろいろな情報などについて啓発する取り組みを、現在一部で始めております。このような取り組みは、議員御指摘のように大変重要でございますので、県内各地で積極的に進めていきたい、そのように考えております。

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