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松江市鹿島町に設置されている中国電力島根原子力発電所は、3号機の建設が進んでおり、来年中に工事が完了すると言われている。プルサーマルの導入を契機に、出雲市でも原子力発電に対する関心が高まり、出雲市でも中国電力による説明会が開催された。
出雲市の長岡秀人市長は、中国電力に対し、原子力発電所の設置に関する是非とは別に、周辺市長として情報の伝達、事故時の対応、防災訓練などを主とする協定を締結したいとの意向と聞いている。県が松江市とともに中国電力と締結している安全協定に関し、県は出雲市を含めた広域自治体として協定に加わっており、周辺自治体への広報等は県の役割だと認識している。
しかし、出雲市地合町は、原子力発電所を俯瞰できる施設から10㎞の圏内にある地域であり、漁業者が波浪時に恵雲港に避難するなど地勢的な結びつきも強い地域である。しかし、万が一、原発で何か起こったとき、避難しようにも4㌧以上の車が通行できる道路は原発の方向に向かう市道伊野本線であり、県道の斐川一畑大社線は、生活バスやマイクロバスなどの通行は狭隘でできないのである。住民は、原発が設置されてから30年も経過しながら、いまだに県道の整備が進まないことに大きな不満を持っており、県はもっと責任ある対応をすべきである。
そこで尋ねるが、
原子力発電所の安全協定の内容と範囲について説明せよ。(総務部長)
出雲市からの要請と県の対応について述べよ。(総務部長)
出雲市地合町の状況についてどのような対応を講ずるか。(総務部長)
│掲載日:2010年12月03日│
原子力発電所の関係でございますけれども、まず原子力発電所の安全協定についての御質問がございました。
現在の安全協定がどういうふうな内容なのかということでございますが、現在の安全協定でございますが、原子力発電所周辺地域住民の安全確保と環境の保全を図るため、市町村を包括をする広域の自治体である県と、立地自治体である松江市及び中国電力の三者で協定を締結をしておるところでございまして、その協定の内容でありますけれども、内容を申し上げますと、例えば情報の公開でありますとか、中国電力から計画に対する事前了解、県及び松江市の事前了解を得るであるとか、中国電力から県、松江市の連絡、あるいは県、松江市の中国電力に対する立入調査、それらに基づく適切な措置の要求というような内容を規定をしておるところでございます。
出雲市長のほうからは、この4月でございますが、出雲市と中国電力との安全協定の締結を仲介することでありますとか、あるいは県から出雲市への緊急情報の連絡について要望をいただいておるところでございます。この要望を受けまして、私どもといたしましては、中国電力に対しまして、出雲市との間で協定の協議を進めるようにというふうに連絡をし、お願いをしたところでございます。また、出雲市さんのほうには、いろいろ相談があれば、県としては対応をさせていただきますし、また御要望があれば、出雲市と中国電力の両者の協議の間に県の職員を派遣するというようなことも可能であるというふうな旨をお伝えをいたしました。出雲市のほうからは、現地確認の方法であるとか、それを協定上、どういうふうに位置づけていけばいいんだろうかというふうな相談がございましたので、それに対して助言を申し上げておるところでございます。
現在の状況でございますが、出雲市と中国電力との間で、安全確保情報連絡等に関する協定を締結をするということについて合意に達しており、今後その手続に入っていくというふうに聞いておるところでございます。県から出雲市に対する情報の提供でございますが、出雲市、中国電力の協定との関係などを整理し、出雲市のほうと協議を行いながら、今後詰めていきたいというふうに考えておるところでございます。
続きまして、出雲市の地合町の道路状況を含めての御質問でございます。
出雲市のほうからは、原子力災害の発生に備え、主な避難路であります県道斐川一畑大社線の拡幅整備の要望というのをちょうだいをいたしておるところでございます。原子力災害に備えた避難路の整備ということにつきましては、原発特措法に基づく財政措置でありますとか、原発関係交付金の活用というふうな制度があるわけでございますが、これらの制度が活用できるという市町村は、基本的には市町村合併前の立地であります旧鹿島町、その臨席市町であります旧松江市及び旧島根町というふうにされているところでございまして、原発関係の地財措置により道路整備を進めていくというのは、なかなか現時点では困難な状況になっておるわけでございます。
しかしながら、県道斐川一畑大社線につきましては、地域の生活や防災の面で非常に重要な幹線道路でございます。これまでも地域の方々の安全な運行が確保できるよう、待避所の設置や急カーブの解消などの工事を計画的に進めてまいっております。県といたしましては、地元の方々の意見も現地で聞くようにしております。今後も緊急性の高い箇所から順次整備を進めていく考えでございます。また、地元の意向というのもさらに聞きながら、新たに活用できる財源の有無等につきましても、関係部と研究をしていきたいというふうに考えておるところでございます。