県議会だより

Reports

平成23年2月定例島根県議会一般質問(3)

シカ対策について

知事は施政方針で、シカを駆除を進めると述べられました。平成12年度に糞塊法から区画法へ生息調査の方法が変更され、推定生息頭数は200余から800超に跳ね上がりました。私は、平成15年の11月議会で、澄田知事に対して、県の瑕疵を認め、シカ対策を根本的に改めるよう申し上げ、知事は、北山で生息するシカの頭数を180頭に管理するとともに、被害に遭った造林木の処理や間伐、受光木によって生息環境の整備などをすると約束されました。しかし、実態は、県の財政危機を理由にシカ対策の予算は斬減され、毎年、区画法の調査結果を基に300~600頭の駆除を行っても、450頭程度と発表される生息数は減少しないばかりか、弥山、鼻高山地域で増え過ぎたシカが、本来、生息がないとされていた湖北地域に移り、昨年末には300頭を超える生息が推定され、被害が発生するという事態となりました。
今年、兵庫県立大学の協力を得て、ベイズ法による解析方法により、1,378頭の推定生息頭数が発表されました。住民としては、県もようやく正直に言われたと、これを是としましたが、5,6年前には、2,500頭ぐらい生息していたかも知れないと言われると、ちょっと待ってくださいと言わなければなりません。北山地域に住む人たちは、1から10まですべての鳥獣被害を行政に対処してくださいと言っているわけではありません。もちろん、わなの免許を取得したり、受光伐を行ったり、枝条巻き付けをしたりなど、自衛手段を講じつつ、一生懸命県の施策に協力をしてきました。しかし、必ずしも島根県はそれに応えていないと思うのです。いや、むしろ、鳥獣保護を関係住民の一方的な犠牲によって成り立たせていると思うのです。遅々として進まない180頭の保護管理計画の達成について知事はどう考え、どういう手を打ち、何年で実現するのかお示し下さい。また、湖北地域の対応について出雲市とどのような連携を考えるのかお聞かせいただきたいと思います。

溝口善兵衛知事答弁

弥山・鼻高山山地のシカ対策について

シカの問題については、私も経過をよく調べてみたわけでありますが、鳥獣保護法によりましてシカなどの数が非常に減ってるところに対して、昭和47年でありましたか、シカについては弥山山の近辺しか多くのシカが生息しとるとこはないということで、それを保護しようっていうことで、あの地域を狩猟捕獲禁止区域に県がしまして、それで県が関与をしてるわけであります。それ以外の地は各市町村なりの野鳥等対策として行われておりますが、弥山山はそういうことで、むしろ頭数が少ないんで保護しなきゃいかんっていうことで始まったわけでありますけども、議員が御指摘になりましたように、どうも予想以上に、あるいは推計以上にふえてんじゃないかということが、被害などの状況から、地元の人たちに指摘をされるようになったわけであります。
それに対しまして、県のほうも捕獲頭数をふやすっていうことをやってまいりましたが、どうもその頭数をきちっと把握するっていうことが困難なことが続いたわけです。議員が指摘されましたように糞塊法、一定地域における糞の数をベースにして推計をすると、それから区画法は、一定区域に見られるシカの数から推計をするということでやってましたが、どうもそれでやりますと少な目に出るんではないかという話が地元などからあったわけでありまして、県のほうも、それはどうしたらいいかっていうことは所管部局においても検討してきたわけでございますけども、なかなかいい方法が見つからなかったと。
聞きますと、昨年の秋の段階で、もとのデータは糞塊法による頭数の推計、そして区画法による頭数の推計、そのほか、ライトによる調査もあるようですけども、そういうデータをどういうふうに解析して全体の数を推計をするかということについて、ベイズ法っていう方法でやっておられるところがあるという情報を、県の中山間地域研究センターから受けたわけであります。それを受けましたところ、兵庫県立大学におきましてそういうことをやっておられる先生がおられると、たまたま島大を出られた方がおられて、そういう人が見つかりまして、それでベイズ法っていう、新しいっていいますか、新しくないのかもしれませんが、ベイズ法っていう統計の推定の手法ですね。データを分析、解析して推計したところ、議員が御指摘になったように、1,300頭を超えるぐらいのシカがおると推定されるっていう結果が、ことしの1月の中旬ぐらいにわかったわけであります。そういうことを踏まえまして、県では、来年度の予算で捕獲頭数をふやそうということを決めたわけであります。
本来、弥山山の近くで保護しようとした目標が180頭でございますから、それに比べれば非常に大きい生息、大きい数の生息が推計されてるわけでありますから、できるだけ早く目標とする数値に近づけるように努力をしたい、そのために捕獲頭数をふやすということをやっておるわけでございます。そこで、いつ、じゃあ捕獲、生息保護目標に到達するのか。180頭に到達するのかということでございましたが、できるだけ早くということでございますが、捕獲の能力にも若干の限界がございますから、できるだけ早くやっていきたいということであります。
それから、その点については専門家の意見もさらに聞く必要がありますけども、いずれにしましても、従来の推計方法に基づきまして対応をとっておりましたが、新しい推計方法で大きな違いが出ます。このことは県としても重く受けとめて、対策の早期の実行、充実に努めてまいりたいと思ってるとこでございます。
180頭の目標でございますけども、過去2年を見ますと、捕獲目標を600頭としております。600頭を目標にして、平成21年度が579頭、22年は590頭の実績を残しておりますが、先ほど申し上げましたように、23年につきましては800頭を目標とするということでございます。それによりまして、3年をめどに目標数に到達できないかということを検討してるところであります。23年度の捕獲の実績あるいは状況等を踏まえて、さらによく検討してまいる必要があろうかと思いますが、現段階ではそんなふうに考えておるところでございます。
それから、弥山山地域以外の外でありますけども、湖北地域に広がっておる、これもそのとおりでございます。この問題につきましては、これまで出雲市が中心になりまして、県も支援をして、電気柵でありますとかそういうもの、そういう被害防止対策を進めております。県としましては、生息数がふえておりますから、地元出雲市と相協力しながら、そして関係団体、地元の皆様の御意見をよく聞きながら、捕獲をさらに進めていきたいというふうに考えておるところであります。来年度の例えば方策として、これまで大きな実績を上げております自衛班によります捕獲の取り組み、あるいは弥山山地で実施をしてきた対策の成果なども活用しながら、湖北山地におけるシカ被害の防止、抑制に努めていきたいというふうに思っております。

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