県議会だより

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平成23年2月定例島根県議会一般質問(2)

海面漁業と漁村を守るための漁業者の所得補償について

今回の知事の施政方針からは、「この1年、どんな理念で、どういう島根県をつくりたいのか、目指す島根県はどんな姿で、そのために必要な政策はこうで、だから、これだけの政策経費をかけて、こういう具体的な施策を展開するんだ」という基本線が弱く、残念でした。
私は、この4年間、海岸集落が危機だと、申し上げてきました。魚の値段が安く、漁をしても、なかなか採算がとれない、農業は販売金額に対して農業者が受け取るべきお金は44%ぐらいだそうですが、漁業は29%ぐらいだそうです。島根県の平均所得は240万円ですから、漁業で平均所得ほどもうけようと思うと、800万円ぐらいの売り上げが必要です。漁業でそのぐらいの水揚げがあるのはシジミぐらいで、ちゃんと後継者もおるわけです。残念ながら、海面漁業の今は、そういう状況にはありません。漁村のなかには、定置網などに従事するサラリーマン漁師もおりますが、漁業を守っても漁村を守る人では必ずしもないかもしれない。そうすると、漁業・漁村に対して、例えば所得政策だとか、あるいは魚の魚価対策を講じて、一定の生活水準がきちっと担保されるというか、漁業をやって生活できる仕組みをつくらなければならないと思うのです。
私は一定のとにかく資源管理を漁業者の皆さんに課して、そして休漁をさせるなり、あるいは資源回復なりを待って、そのときに質量の制限だとか、あるいは網目を思い切って大きくさせるだとかということで、減少するものを一定の条件を付して行政が支援をしていくと。一遍に、オール島根ではできないかもしれませんから、どっかの地域を指定して、そういう実験をしてはどうかと。つまり、島根モデルでいいと思うんです。どういう施策を投入すれば具体的な成果が上がるのかということを実証して、成功事例をつくり、国に対して意見具申、適切な政策立案を求めるべきだと思います。
国が打つ政策を待っておっては、国が有効な手だてを打つまでに、県内の漁村は疲弊をして、あるいは、担い手がいなくなってしまうのではないかとさえ思います。県が主体的に、漁業・漁村に対してパイロット事業を企図してはと思いますが、県知事の認識を問いたいと思います。

溝口善兵衛知事答弁

魚価対策について

魚価の低迷、燃油の高騰などにより、漁業経営は厳しさを加えておるわけであります。しかし、漁業、漁村は水産資源の供給だけでなく、環境保全等、多面的な機能を有しておりますから、その維持は大変重要なことであり、県としても、例えば経営安定化のために、昨年、緊急融資制度を設けたり、昨年の9月には燃油セーフティーネット支援事業等も行ってきております。しかし、中長期的に漁業、漁村の問題は取り組む必要があるわけでございまして、国も来年度から、農業における所得補償にかわるようなものと申しますか、対応するようなものとして、収入が一定水準以上減少した場合に、その減少分を補てんする農業共済制度の仕組みを活用をして、収入の安定を図ろうということをやりますし、あるいは資源管理の観点から、網目の規制でありますとか休漁による資源の保護を計画的に取り組むという漁業者を対象としまして、資源管理、収入安定政策が行われるわけでございます。
さらに、魚礁等漁場の造成による資源の増大、国にもお願いをいろいろしております。さらに、地元として高鮮度の維持でありますとか、美保関におきますサワラでありますとか、あるいは浜田におきますドンチッチアジだとか、付加価値の向上に向けた取り組みに対しましても、県として支援をしていかなければならないというふうに考えておるところでございます。
ほかにもいろんな施策を展開しておりますが、議員が特に私に聞かれた点は、所得補償の制度を仕組みを県として試行して、そういうものを国に提案をする、そういうようなことをやってはどうかというふうに理解をしますが、先ほど申し上げましたように、国自身が国全体のことを考えまして、基礎的な共済っていう制度を活用した所得の安定制度を実行してまいりますから、その状況をやはりよく見た上で、県として必要な対応を考え、国にも申し入れていくというふうにすることが必要ではないかと考えておりますが、こういう点につきましては、さらに皆さん方の意見も聞きながら対応して、必要な対応をとってまいりたいと考えているとこであります。

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