県議会だより

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平成23年6月定例島根県議会一般質問(4)

教科書採択制度について

今年は中学校の教科書採択の年である。
高校や国立学校、私立学校の教科書は学校ごとに選定されるが、公立の義務教育学校は 採択地区ごとに選定されることになっている。県は、すでに5つの採択地区について教科ごとに教科書見本を展示し、助言のとりまとめを行っていると聞くが、選定に関する協議の内容は全面開示はされていないようであり、従来、ほとんど同じ出版会社の教科書が制定される傾向にあるように思うが、県内の教科書採択の手続き、手順について尋ねる。
特に、選定権限を持つ市町村の教育委員各位に教科書採択に携わるという意識が希薄で、ほとんどが事務局と県教委任せの状況のように感じる。これは、委員に教育委員会が行政委員会で、自身が執行者であると言う意識がなく、自らを諮問委員としてを位置づけしていることに原因があるように感じる。教育委員会の議事録を含めた情報開示の必要性について尋ねる。
小生としては、島根県の教科書には竹島の記述はもちろんのこと、タブーとされ、ほとんど事実が教えられていない日本の近現代史や日本の美しい伝統文化、習俗などについての記述があるものを選択してもらいたい。

1962年までは、教科書は各学校ごとに決定され、生徒は本屋で代金を払って購入していたが、1962年の「義務教育諸学校の教科用図書の無償に関する法律」および1963年の「義務教育諸学校の教科用図書の無償措置に関する法律」(いわゆる「無償措置法」=教科書統制法)により、各学校ごとの採択制度から広域採択制がとられ、全国を1市2郡程度の規模の471地区に分け、地区内は同じ教科書を使用する広域統一採択制となった。採択地区は、無償措置法第12条により、市もしくは郡、あるいはそれを合わせた地域(東京の特別区および政令指定都市は区あるいはそれを合わせた区域)に設定し、一教科一種類の教科書を採択する。採択地区内に二つ以上の市町村がある場合は、採択地区に採択協議会を置き、採択を行う。
採択を決定する権限は、採択地区内の市町村教育委員会が持つ。一地区内に複数の市町村教育委員会がある場合は、採択地区協議会をつくり、そこに選定作業を委ね、協議会の結論にしたがってそれぞれの教委が同種の教科書を決定する。ただし、国立・私立の学校及び高校は校長(実質的には教員)が採択を行う学校採択制度である。
検定を終えた教科書のなかから、翌年4月から4年間使用する教科書を一教科一種類ずつ選ぶ作業を教科書採択と言い、採択の手順は都道府県教育委員会が行う指導と、それを参考にして市町村教育委員会が行う実際の決定作業の2段階がある。
採択における都道府県教委の役割は、市町村教育委員会への指導として、採択の参考用に各種の文書を作成することである。県教委では「教科用図書選定審議会(以下選定審議会)」を設けて指導のための文書作成を諮問し、この選定審議会の答申をもとにして、選定資料を作成し、採択地区に配布する。
選定委員会の構成は、①校長・教員、②教育行政機関、③学識経験者とされ、その内、校長・教員は全体の3分の1を占めることになっている。その主な仕事は、①採択基準の作成、②選定に必要な資料(「選定資料」など)の作成、③その他、指導・助言・援助とされている。
. 採択地区の市町村教育委員会は、都道府県教委の指導を参考に、地区独自の採択方式で各教科1種類の教科書を選ぶ。1地区に複数の市町村がある場合は、合同の地区採択協議会に採択作業を委ね、その選定にしたがって同じ種類を決定する。複数の市町村にまたがる採択地区は、教育事務所(県教委の出先機関)の管轄範囲に重なることが多い。

今井康雄教育長答弁

島根県内の学校で使用する教科書の採択について

まず、県内の小中学校の教科書採択の手続、手順についてであります。
公立の小中学校で使用いたします教科書の採択は市町村教育委員会が行うことになっておりまして、その際、県教育委員会は指導助言または援助を行うということになっております。来年度から中学校で使用する教科書の採択に関しましては、この指導等の一環といたしまして、県教委におきまして、採択に当たっての基準や留意事項、あるいは教科書ごとの特徴を記した資料等を作成をいたしまして、先般、各市町村教育委員会に対して通知をいたしました。
一方で、単独の町村では、専門の調査員の確保が困難であるといったこともありまして、島根県では、法律に基づきまして、5つの教科書の採択地区を定めております。採択地区内の市町村教育委員会は、協議によりまして、種目ごとに同一の教科書を採択しなければならないということになっております。
このため、採択地区内の市町村教育委員会は、その協議を行うための場として、各市町村教育委員会の教育委員や保護者、こういった方から成ります採択地区協議会を設置をいたしまして、先ほど申し上げました県の資料を参考にしながら、地域ごとの独自の視点で教科書の選定協議が進められております。こうして採択地区協議会でまとめられた意見をもとにして、最終的には各市町村の教育委員会において小中学校で使用する教科書が採択されると、こういう手続になっております。
次に、市町村の教育委員に教科書採択にかかわる意識が希薄ではないかという御質問でございます。
教科書採択は、小中学生の学習の主たる教材を決定するものでありまして、保護者や地域住民の関心も高く、市町村の教育委員会にとりまして極めて重要な案件であります。当然、教育委員の方々もそうした意識のもとに教科書採択に当たっておられるものと認識をいたしております。
ただ、先ほども申し上げましたように、採択地区内の市町村教育委員会は同一の教科書を採択することになっております。このため、前面に出ます採択地区協議会と比較いたしまして、市町村の教育委員の方々の姿が見えにくいと、こういった面もあろうかと思います。
市町村の実情によりますが、この採択地区協議会の選定委員といたしまして、各教育委員会の教育委員、人数違いますが、参加をして加わっておられます。そういった協議会での協議の過程で、それぞれの市町村教育委員会の考えがしっかりと反映されますとともに、最終的には市町村の教育委員会で教育委員の総意のもとで責任を持って教科書の採択をやっていただく必要があるというふうに思っております。
それから、3番目でございます。教科書採択に係ります情報の開示の必要性でございます。
教科書採択におきましては、適正かつ公平な採択を確保するとともに、保護者や地域住民の関心の高さにこたえるために、開かれた採択の推進を図ることが必要であると思っております。このため、採択地区協議会の委員名、採択結果や採択理由など、教科書採択に係る情報につきましてはできる限り公開するように指導をしております。各市町村教育委員会におきましては、地域によりまして、開示する内容や、あるいはやり方に差異はあるとは思いますが、おおむねこうした方向で対応されているものと考えております。
今後も、開かれた教科書採択の推進に向けまして、さらに必要な情報の公開が進むように、指導助言に努めてまいりたいと考えております。

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