県議会だより

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平成23年6月定例島根県議会一般質問(3)

知事の所信表明について(3)

美味しまね認証制度が始まって3年、なかなか、拡大しないが、残留農薬の検査体制はどうなっているのだろうか。島根県には原発の設置県ゆえのモニタリングポストの設置があり、リアルタイムの大気中の放射能検知システムも整備されている。
風評被害が発生するのは、風評に惑わされるという点で、消費者は未だ未成熟という観がする。原発事故に起因する産品の放射線値が報道され、海外で日本製品や日本食に対する風評被害があったように、その原因は安全を求める意識であり、同時に食品の安全確保に対する理解が不足しているからである。
しかし、いずれ消費者教育が進み、消費者が科学的に安全が証明されているものを評価するようになることは自明で、近視眼的ではなく、地道に、辛抱強く、生産履歴の記録や残留農薬の検査などの態勢整備を進めることは、県産品に対する信頼につながると確信する。きっと、産地間競争を勝ち抜くツールになるだろう。
国内農林産物の検査体制という点では宮崎県が最先進県であり傑出している。これに続くのが鹿児島県なのだが、しかし、現状は、宮崎や鹿児島の品質、安全が特段の評価を受けて、他産地の産品よりも有利販売とは必ずしもなっていないかも知れない。しかし、それは、消費者が未成熟であるからであり、いずれ、安全・安心という面がいちばんになる可能性は強い。本県の、認証制度の拡大および検査体制の確立、強化を図るべきと考えるか所感は。

平成25年は出雲大社の大遷宮だが、島根県には石見銀山の大森地区や大社の鵜鷺地区のように江戸時代からの町並みが残っている地域がたくさんある。必ずしも伝統建造物群として指定されていない地域でも、江津や平田などにたくさん風情を残している地域がある。
神々のふるさとしまね事業では、島根県をPRする事も必要かも知れないが、まず、島根にどのようなツールがあるのか、必ずしも地域に住んでいる人たちに評価されていないものであっても、隠れた価値があるものがたくさんあるはずで、そうしたものを徹底して掘り起こすべきである。
売れるか、売れないか、事業化できるか、できないかは時代や環境で大きく変わるのであり、いずれ、目利きをする人に判断を求めれば良いのではないか。

松江尾道線の開通がいよいよカウントダウンに入った。山陰自動車道が出雲インターまで延伸して感じることは、土日のR431の通行量や平日のR9の斐川町での通行量が大きく減少したことである。それによって、沿線の商業事情が変化していることは見逃せない。
小生が心配しているのは、R54の赤来から三刀屋までの市街地である。特に、尾道松江線は通行料金が無料となる新直轄の区域であり、従来、R54を利用していた一般通行車両の多くが自動車専用線を利用するのではと思える。ガソリンスタンドや飲食、ホテルなど、道路沿線に立地することが必要な業種への影響は大きく、市街地の衰退は避けられないと考える。
高速自動車道の開通が地域の衰退を加速する事態は何としても避けなければならない。通行料金を徴しない高速道路など、特急料金を徴しない特急と同じで、不合理である。無料の高速道路に対する対応が必要ではないか。

東日本大震災の発生は企業の生産計画を大きく変質させている。従来は、効率化で、企業は生産施設を集約化させてきたが、リスクの分散、管理の観点から生産拠点を、東日本、西日本、。海外というように分散する、あるいは、グループ化する方向で生産計画の見直しを進めている。
また、電力使用の自粛、削減によって、休業日の分散、従来、土、日を休業日としてきたものを、自動車や電機業界では、木、金を休業日とする方向で生産計画を立案していると聞いている。
先月、政府に対する島根県の重点要望を聞いた折に、指摘したが、企業の休業日の変更は、働くお母さんや子育て世帯に対する育児支援の方向、幼稚園や保育所、学校の放課後クラブなど育児サービスの拡大が要請される事態となっている。
県内では、土日や夜間保育の対応はまだほんの一部で行われているだけだが、これらの対応施設を増加させるためには、施設整備よりもむしろマンパワーの確保が求められる。また、採算についての懸念から取り組みを躊躇する事業者が多いことから、実状に応じて支援する取り組みが必要だと思う。

最後に竹島問題について申し上げる。韓国は日本の東日本震災発生後、海洋基地や大型宿泊施設の建設工事を発注した。現職閣僚の竹島視察も相次いで報道されている。これらに対する日本政府の対応は型どおりの抗議だけであり、韓国の実効支配は益々強化されるばかりであり、残念に思う。
こうしたなか、政府は日韓図書協定を締結し、このほど批准・発効した。韓国政府が求める朝鮮王朝儀軌の引き渡しに同意し、李大統領の訪日時に引き渡しするとしているが、韓国と日本は戦前に発生した両国の財産の引き渡しは、昭和40年の日韓共同宣言によって双方が請求を放棄しており、韓国政府が朝鮮王朝儀規の引き渡しを求める権利は消滅しており、これは大切な外交カードである。
しかるに、こうした事実がほとんど顧慮されないままの一方的な取り決めで、竹島がどんどん遠くなり、日本海が国境の海、緊張の海になっていくことを歯がゆく思うのは私だけでない。
竹島の日条例は、この問題を国民世論に訴え、国民の関心を喚起するというものだ。しかし、今年の竹島の日式典の新聞報道は、全国紙でとりあげたのはわずか2紙。しかもベタ記事で、ほとんどが地方記事のみであり、パブリシティのありかたが問われる。
島根県は竹島問題に関するアピールの方法をもっと国民世論に訴えるべく強化するべきである。韓国の姿勢をこのまま容認すれば、取り返しのつかない事態に至ることは必至だ。

溝口善兵衛知事答弁

美味しまね認証制度、景観の保全および竹島問題について

宮崎県は、独自の残留農薬分析の体制を確立をしており、島根県も宮崎方式の導入を交渉いたしましたが、県外に出すことはできませんというようなお話であり、鹿児島県におきましては、GAPという、生産工程を管理することによって残留農薬等の問題を解消しようという仕組みを実施をしておりまして、島根県はいわば鹿児島県などが使っているGAPの方式を平成21年4月から導入をしたということでございます。現在認証されてる産品は、青ネギ、鶏卵など44品目でございますけども、これからも品目の増加を図っていきたいというふうに考えております。
それから、残留農薬検査の問題も、若干時間がかかるといったようなことがあり、認証制度検証委員会を設置をして、その中で残留農薬検査のあり方も検討しまして、県産品の安全・安心を高めていくような努力をしてまいりたいというふうに考えておるところであります。
それから、議員は、神々の国しまね推進事業の関連で、歴史的な町並み、風情の保存継承について御質問がありました。
島根県は、風情のある町並み、伝統的な町並みや風習、あるいは他では味わえない食など、すばらしい素材がたくさんあるわけであります。こうした身近にある素材に光を当て、工夫を凝らした取り組みをされ、それが地域に人を引きつける魅力となってるものであります。
この神々の国しまね推進事業では、地域資源を掘り起こし磨き上げる取り組みが各地域でなされておりますから、そういうものに対しまして助成を積極的に行い、県が進めるというよりも、地域地域の自発的な努力を待つ、あるいはそういう努力を後押しをするというような形で進めてまいりたいというふうに考えてるところであります。
次に、尾道松江線開通に関連して御質問がありました。
尾道松江線は、平成24年度には三次まで、26年度には全線が開通するわけであります。これは長年の願いがかなうものでありまして、大変喜ばしいことでありますけども、しかし並行して走る国道54号の交通に大きな影響を及ぼすわけであります。
そこで、地元の雲南市、飯南町におきましては、既にいろんな取り組みを始めておられるとこであります。飯南町におきましては、インターチェンジの周辺に、交流人口の拡大あるいは情報発信の強化を図るため、施設の整備を検討しておられます。飯南町では、開通後の地域活性化のためのアクションプランを策定しまして、沿線美化活動やスキー場での雪祭りなど、住民参加の事業を実施をしております。県としましても、こうした取り組みを積極的に協力をしていくとともに、尾道松江線の開通に伴いましてどのような影響が交通などに生ずるのかという調査を行い、さらにこうした各地域における取り組みが効果的に進むよう、関係自治体とも協議、連携をしていきたいというふうに考えているところであります。
高速道路料金の無料化については、議員が指摘された問題がありますが、根本にある問題は、道路をどういうようなやり方で整備をするのか、あるいは道路の体系を高速道路と国道と県道と市道等、どういうふうな役割分担でやるのかと、それをどういうタイミングで整備をするのかということについて、必ずしも道路財源の不足といった問題、あるいは事業がすぐにはできないといった問題から、ずれが生じたりしておるんだろうと思います。ただ、私が申し上げたいのは、議員がおっしゃったようにいろんな問題が出てくるんで、そういう問題に対して、国もそうですけども、県も必要な対応をとりたいと思いますし、地元でもそういう対応が進んでおって、県も相談、連携などもしていきたいということでございます。
いずれにしましても、高速道路に限らずいろんな道路ができる、鉄道ができる、当然大きな変化を伴うもんであります。いわば経済発展はそういうプロセスがダイナミックにずっと進んでおるわけでございまして、そういうプロセスが円滑に進むようにするというのも公共部門の私は一つの役割だろうという意味でございまして、議員のこの問題の提起には私も共感するところはあるということであります。
次に、企業の生産拠点の分散等に伴いまして、土日の就業と申しますか、そういうことがふえる可能性があるし、現実にもふえてきつつあるわけであります。そうしますと、そこでお働きになる方々の中には、保育所に預けるということが必要な方がおられるわけであります。
そうした問題にどう対応するかということでありますが、現在でも休日就業というのがありますから、休日保育を求める声もあるわけであります。そして、それが今後さらにふえるというようなことになりますと、受け入れ先を確保する、そしてそこにおけるマンパワーを確保する、大事な課題であります。
市町村もそういう面で努力をされておられますが、県もマンパワーの確保という面では、既に若干取り組みはしておるわけであります。例えば保育士の方々が一たんおやめになりまして、家庭にお入りになっておられる方がおられると。子育てなどが一段落などしまして、保育士としてまた活躍ができるような方に対しまして、再就業につながる研修を実施をしたり、あるいは島根県の福祉人材センターへ保育士の方々を登録していただくということをやっておりまして、このことを通じまして、新規の卒業の保育士さん以外に既に保育士として経験ある方々を必要な保育所で働いていただくと、そういうことをさらにこれからも進める必要があるというふうに考えておるところであります。
次に、竹島問題についてであります。
竹島の問題につきましては、島根県としまして、竹島の日条例によりまして、毎年2月に竹島の日の式典を行うとか、そういうことを通じまして県外にもPRをする、いろんな広報資料を提供する、あるいは学校教育でDVDを活用した教育を行う、いろんなことをやっておりますけども、議員がおっしゃったような問題はあると私どもも認識をしておるところであります。今年の竹島の日の式典には、東京からも与野党の国会議員の方々もかなりの数でお見えになったわけでございますけれども、そういうものに対する報道が必ずしも全国的になってないという問題があるわけでありまして、私どもも、こうした問題をどのようにして全国のメディアに取り上げてもらえるのか、よく検討しなければならないと思います。
そういうこともありますが、やはり政府の取り組みということが大事なわけであります。政府の取り組みとして、私どもがいつもお願いをしておりますのは、政府内に北方領土と同じような窓口をきちっとつくってくださいと、その上で全国に対して政府みずから広報啓発を行うようにやってもらいたいということを言っておるわけであります。さらに、隠岐の島におきまして啓発施設を設けたいという意向もありますし、私どももそれを支援をして、国にもお願いしてるわけでございますが、全国からやはり注目を受けるような施設をつくったりするということがやはり大事なことであります。そういうことをやりながら、全国の方々にもこの問題に対する理解が進むように、私どもも努力をしますが、政府にもよくお願いをしたいというふうに考えておるところであります。

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