県議会だより

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平成23年9月定例島根県議会一般質問(5)

若者の活躍と社会人の登用、高校や警察組織の再編について

高齢化、過疎化、少子化というこの現状で、島根県に元気が出るのは若者の活躍です。中央新報を見ますと、隠岐の海の記事がちょっと小さいですね。琴奨菊が大関になるよりも、我々としては、隠岐の海が小結になるのかどうかが関心が高いわけです。千秋楽の記事なら、隠岐の海の勝ち越しを頭に持ってきて、白鵬が優勝したっていうのを次にしてもらいたい。そういうふうに中央新報にはお願いをするわけです。
島根県にとって、例えば国体の競技得点を取るためには、中高生の競技力向上が不可欠であり、そのためにも、学校の部活をどれだけ頑張らせるかということがカギだと思っています。教員は一生懸命頑張っていますが、教員にも限界があり、もっと社会人に支援を求めていくべきだと思います。これは、スポーツに限らず、音楽や美術も同じで、島根の体育や芸術文化を支えている社会人の力を借りることを考えてください。
また、現場の判断という意味では、益田の教育事務所管内で行われた中学校の教科書採択で、労働組合からクレームがついています。私は、文部省の検定に合格した教科書を、県教委の意見を参考にしながら、採択権者である市町村教委が適切に判断したものと考えておりますけれども、県教委の所見はいかがでしょうか。沖縄では、現場の判断を県教委が覆したと聞いておりますけれども、言語道断です。政治や偏った思想の介入を防ぐための制度が、一部の思想的な背景を持つ人たちのクレームを受け、大々的に報道されることが不可思議です。
県警本部にお尋ねしますけれども、交番、駐在所の再編、整理・統合を起案されていると聞いております。社会情勢の変化に対応した施設の再配置は当然です。ただ、小学校区に概ね1つの駐在所がなくなり、地域の人にとっては身近な「旦さん」居なくなる。警察官がいくらパトカーで警邏・巡回しても、一般にとって警察は「犯罪者とか犯罪を志す人を検挙、取り締まる」ものであって、「安心の象徴」ではなくなります。駐在所がなくなることは、施設がなくなることよりも、警察と住民の心の距離が大きくなるということを考えてほしいのです。警察の機動力や捜査力が向上することはもとより大切なことですが、警察は取り締まり機関だというものが前へ出ていけば、私たちを守ってくれるという部分は後ろに来ます。「駐在所の頼れる旦さん」は「住民を犯罪から守るというよりも犯罪者にしない」という役割を担ってきました。学校の前に立つ制服のお巡りさんに地域の人たちが永らく抱いてきた気持ちをこれからも大切にしていかなければならないと思いますが、公安委員長の見解を求めます。
再編という点では、高校の再編があります。佐田分校の問題が新聞に出ましたけれども、出生数が6,000前後になってる中で、現在、高校定員は8,000人。それがいずれ6,000人ということになれば、4分の1はなくなるわけです。そうすると、大規模な再編なり、あるいは施設の再配置など将来的にはきちっとした計画が必要だと思います。こういう再編について、教育委員会はどういうふうに検討をお進めになりますか、お示しをいただきたいと思います。

溝口善兵衛知事答弁

社会人の登用について

学校等におきまして、社会人がスポーツを児童生徒に教えるといったことについての御質問でありますが、これは大変いいことだと思います。経験豊富な第一線の方々が子どもたちを指導していただくということは、大変いい機会だと思います。子どもたちにとっても、先生以外の大人の人とつき合うといったことからも、大変いい機会ではないかと思います。実は、こうした制度は現在もあるわけでございまして、県の派遣事業といたしましては、スポーツ活動で今100人ぐらい、文化活動で40人弱の方々に、部活動の指導に当たっていただいております。これには国の補助があるものもありますし、ないものもあります。そうしたことで、教育委員会のほうにおきましても、学校のニーズとしてどういうものがあるか、あるいは地域でそういう人材が供給できる人が何人ぐらいおられるのか、そういうことなどを調べまして、さらにそうしたやり方を活用する方途は何か、どういうことが必要なのか、よく検討してまいりたいというふうに思ってるところであります。

北島建孝教育委員会委員長答弁

教科書採択について

公立小中学校で使用する教科書の採択は市町村教育委員会が行うこととなっており、その際、県教育委員会は指導、助言、または援助を行うこととなっております。県教委は、本年6月16日付で各市町村教委に対し、採択にかかわる基本方針や教科書ごとの特徴を記した、選定に必要な資料を通知いたしました。これらを参考に、県内5カ所の教科用図書採択地区において、地区内の市町村教育委員会がさらに調査研究、協議を重ね、地区内で使用する教科書の採択について適切に判断されたものと承知しております。

今井康雄教育長答弁

高校の再編成について

議員からは、子どもの数の減少が見込まれる中で、中長期的に将来を見通した方針を示すべきではないかという御指摘でございます。今後の県立学校の再編成、例えば学科の改編でありますとか学校の統廃合、これらにつきましては、現在、平成21年2月に策定をいたしました県立高等学校再編成基本計画、これにのっとりまして実施をしていくこととしております。御案内のとおり、この基本計画では、これまでの計画のように高校ごとに5年先、10年先の学校像を示すということは困難であるといたしまして、高校配置の基本的な考え方、あるいはその基準等を示すにとどめまして、地域との話し合いを進めながら具体化したところから逐次計画を策定し、公表、実施という手はずにしております。
この考え方の背景でございますが、御質問ございました県内の中学校卒業生、今後10年間で約900人程度減少が見込まれております。これは学級数で申し上げますと、1学級40名といたしますと20学級を超える数でございます。こういった中で、この計画の中では、今後高校教育の水準を確保していくためには、学級数の削減という手法だけでは限界があると。道路整備の進展などの状況も踏まえまして、ある程度通学可能な広域エリアにおいて、統合、再編成を行うことにより、望ましい学校規模を確保するという、まず原則を示しております。
ただ、一方で、高等学校は地域の高校教育を担うことはもとよりでありますが、地域のコミュニティー、文化的拠点としての役割を果たしていること、あるいは離島、中山間地域が島根県に多いと、こういった実情も考慮する必要があるというふうに述べております。こういった観点から、現在特に離島、中山間地域におきましては、地域が主体となりまして、県外からの生徒の勧誘も含めまして、高校の活性化を図るためのさまざまな取り組みが行われてるところであります。こうしたことを踏まえますと、現時点で今後の高校再編の全体像を示すと、なかなか困難であるというふうに考えております。したがいまして、今後の高校再編は、ただいま申し上げましたように現在ございます再編基本計画、これにのっとりまして、1つは、社会経済情勢の変化を見きわめながら中長期的展望に立って教育環境を整えると、こういったことを基本としながらも、各地域での取り組みの動向あるいはその成果、こういったことを踏まえながら、具体的な検討を進めていきたいというふうに考えております。

川津愛子公安委員会委員長答弁

交番、駐在所の再編、統合・廃止について

島根県警察におきましては、変化する犯罪情勢等に的確に対応し、本県の良好な治安を確保するため、今般、地域警察を中心とした基盤整備の基本構想を策定し、力強い組織体制の構築を進めることとしたところでございます。この構想につきましては、治安情勢や地域実態に即して、交番、駐在所の適正配置、パトロール体制の整備を進め、限られた人員を効率的、そして弾力的に配置、運用することにより、県全体の治安レベルの向上を目指すこととしたい旨の報告を、検討の段階で警察本部から受けたところでございます。公安委員会といたしましては、駐在所が地域住民の皆様の安全・安心のよりどころとしての役割を担っていることを踏まえ、駐在所が地域に溶け込んだきめ細かい活動を行い、地域の皆様のより身近な存在となるよう、またこのことを地域住民の皆様に丁寧に御説明し、御理解を求めるよう、意見を申し述べたところであり、これを踏まえて、この構想が策定されたものと承知しております。
この構想では、交番、駐在所の適正配置にあわせ、パトロール体制の整備を行うことによって、とりわけ中山間地域の駐在所勤務員が、受け持ち管内の御家庭等を訪問しての防犯指導や、意見、要望の聴取、各種会合、行事への参加など、より地域に溶け込んだ、本来のきめ細かい活動に重点を置くことが可能になるとの報告を受けております。
一方で、県警察では、駐在所の勤務員及び家族の待遇の改善にも努力しているものと承知しているところでございます。したがいまして、適正配置によって交番、駐在所の受け持ち範囲が広くなりましても、勤務員が意欲を持って、地域住民の皆様と相互に連携しながら地域の安全を守る活動が、これまで以上に活発に展開され、このことが議員御指摘の、警察が住民の身近な存在になることにもつながるものと期待しているところでございます。公安委員会といたしましては、この構想を着実に進めることで地域の治安水準が一層向上するよう、県警察を今後も督励してまいる所存でございます。

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