県議会だより

Reports

平成23年9月定例島根県議会一般質問(3)

農林水産業とエネルギー開発について

本年、5月11日、12日の大雨で、大社の稲佐の浜は流木とゴミの山となりました。原因は神戸川上流から流れ込んだようです。流木は、2,3年前に大雪で折れ、森林あるいは川、農地に堆積していたものが大雨で流れたというものです。山林とか農地が所有者によって適正な管理がされていれば、こういうことは起こらないわけですけれども、山林も農地も荒れ、片づけは、災害として税金をもって公共が対処しなくてはならなくなりました。今後、こういうケースが増えてきます。限界集落と言われますけれども、もっと生産にかかわる人たち、あるいは生産にかかわる場、こういうところに、もっと政策給付をする必要があるのではないかと思います。農林水産業には地域を支える、あるいは定住するという長所があります。農林水産業に携わっている人たちに、もっと思い切った支援が必要だと思います。国は、中山間の直接支払や海岸の清掃に対するグリーン・ニューディールなどの施策を打っておりますが、十分ではないという気がします。
また、島根県では、不在地主で山林の持ち主がわからない、農地の持ち主がわからない、あるいは都会地に住んでいて全く地域とのかかわりを持たないというところが、たくさん出てきました。こういう不在地主に対して一定の所有制限を図っていくというような法的措置を検討する必要もあると思います。そして、農林水産業で採算性が低下をしているなら、それに何かを付加し、プラスにするという方法が必要だと思います。私は、山なら木質系のバイオマスで発電をする、あるいはバイオコークスを生産する。荒廃農地であればトウキビを植えたバイオエタノールをつくっていく。海面や内水面であれば、養殖とか波力発電、あるいは浸透圧発電、そういうようなことが考えられると思いますが、県として検討してみてはどうでしょうか。
そして、こうしたことを国や島根県が税をもってやるのではなく、いわゆる「カーボンニュートラル」、二酸化炭素の排出削減という観点から、都会地の企業にどんどん場所を提供する、あるいはLLCとかLLPで出資を得、地元の人たちが主体になってやっていくという方法もあると思いますが、知事のご所見をお伺いをいたします。
島根県の農林水産業では唯一優等生でありました宍道湖のシジミ漁業が、いま、ピンチであります。アオコなのか、夏場の水温なのか原因が特定はされておりませんけれども、シジミの資源が随分減っております。この原因究明と対策が急務だと思いますけれども、対応はいかがでしょうか。
そしてまた、種苗生産から育成など「つくり育てる」ということに強力に取り組んでいく必要があると思います。栽培漁業という観点を宍道湖に入れるという段階に至っているのではないかと思います。ヤマトシジミの問題については、県の試験研究機関のみならず、島根大学との協調を強化をし、また、研究者の助言を仰ぐなど、宍道湖の環境や資源などについて専門的な研究を進めて、対応を進めていくという必要性はないでしょうか。お考えをお聞きします。

溝口善兵衛知事答弁

農林水産業への支援と新エネルギーの開発について

農地でありますとか林野でありますとか不在地主、あるいは遊休農地がふえるといったことで、それが地域の維持、存続のために大きな問題となってるということでありまして、そのためにはいろんな対策をとるべきではないかと。その一つが、専業、兼業問わず、農業者に一定の経済的メリットを付与する制度が必要ではないかということであります。
御指摘がありましたけども、中間地域直接支払でありますとか、あるいは農地・水保全管理支払交付金制度でありますとか、あるいは現政権で始まりました農業者戸別所得補償制度といったものは、そういう国が農業の経営を支えるといった点で、議員の指摘されたようなメリットを与える制度の一つだろうと思います。こうした制度を充実していくというのは大事な課題であろうと思いますし、また、そういう制度は、地域地域の実情に応じたものになっていくということが大事なことでありまして、我々も国に対してそうしたことを要望をしておるということでありますし、引き続きそういう要望を行っていきたいというふうに思います。
農地に関連しまして、不在地主あるいは耕作放棄地対策を強化するために、例えば農地の所有権を強制的に公共部門に移転をするような制度は考えられないのかということであります。
これまで、21年に農地法等の改正がありましたが、そういう中で遊休農地をどうやって減らしていくか、あるいは所有者が不明の場合には、広告により利用希望者を募集して、希望者があれば利用権を設定する旨の裁定を県に申請をするとか、あるいは不在地主の発生原因が相続による場合がかなり多いために、相続する際に届け出をちゃんとしてもらうとか、そういう制度的な枠組みの改善も行われておりますが、強制移転というところまではいってないわけであります。その問題は、この方法も審議する過程でいろいろ議論もあったと聞いておりますけれども、憲法29条における財産権の保障といった問題もあり、どこまで進めるかといった問題がまだまだ未解決だというふうに思いますが、いずれにしましても、この遊休農地などがふえないように、いろんな経済的なメリットを与えて農業を支える、あるいは林業を支えるようなことを通じて取り組んでいく必要があるというふうに思います。
やはりその関連で林業につきまして、木質バイオマス発電やバイオコークス生産等、進めるべきではないかという御意見であります。
私もそういう考えに、同じような考えを持っております。政府も今年8月に全量買い取り法案、つまり電気自動車による再生可能エネルギー電気の調達に関する特別措置法が成立をして、来年7月からスタートをするわけであります。私どもも、この法律を活用しまして再生可能なエネルギーの生産を島根で行うということは大事な課題であり、それぞれの地域でもいろんな可能性がありますから、市町村と、あるいは事業者と相談しながら、我々としても対策を進めてまいりたいと思ってるとこであります。
ただ問題は、政府が、電力会社になるんでしょうか、保障します電力買い取り価格で、生産コストがきちっと賄えるのかといった問題があるわけであります。賄えなくても一定の支援をしていくといったような考え方も必要だろうと思いますが、そこら辺をどういうにしたらいいか、よく研究していく必要があるというふうに考えておるところであります。
それに関連しまして、税でコストの補てんをしますと多額な資金がかかるわけでありまして、それが可能かどうかということは、あるいはどの程度可能かということは、国の財政あるいは地方の財政、あるいは買い取り価格をどういうふうに決めると、それによって国民全体で負担することになりますけども、そういう問題をよく考えながら対応を考えていく必要があるというふうに思いますけども、議員が御指摘になったカーボンニュートラルという考え方に基づきまして、企業がいわば排出権を購入をするという形で負担をしてもらうと、代替エネルギーの生産者にとってはコストを補てんする要因になるわけでありますから、そういう取引をふやすというのも大事な課題だろうというふうに思います。江津市で既に、そういう木質バイオマスボイラーに伴う排出権の取引を県外企業と行っておりますけども、そういうことを県内におきましても、いろんな可能性がありますから、市町村あるいは関係者などとよく調整をしながら研究を進めてまいりたいというふうに思います。
それから、漁業に関連をいたしまして、宍道湖の環境の支援などについて専門的な研究を進展をすべきではないかというお話がありました。
この問題につきましては、つい最近も宍道湖漁協から要請がありました。宍道湖におけるシジミの生産が減っておると、その原因分析あるいは資源を回復するための手段、方法等について、県としても研究をし、支援をしてほしいということがありまして、私どもは国、島根大学を含む大学、NPO等と連携をいたしまして、資源回復の手法等について検討に着手をするということで、調査研究体制を構築することとしたわけであります。
そのやり方といたしましては、まずシジミ資源の減少原因の解明あるいは資源回復手法の開発等を行うといったこと、それから環境面におきまして、水質、栄養、それから土砂の環境等の変化について現状分析を行うと。そういうことを総合的に取りまとめまして、環境の変化やシジミ資源の減少の原因の解明に努めて、対策を打っていこうということでございます。そういうことを通じまして、宍道湖につきまして、中海につきましても同様の問題がありますが、中海につきましても、別途、対策を考えて進めておるところであります。

原仁史農林水産部長答弁

宍道湖のヤマトシジミ対策について

シジミ資源の減少の原因究明と対策についてであります。
今春、宍道湖のシジミの資源量が少なかった要因としましては、アオコの発生により、えさとなるプランクトンが減少したことや、昨年夏の高水温のストレスによる成長不良でありますとか、春先からの低塩分による産卵期のおくれが稚貝の発生に影響したこと、また昨年夏の貧酸素化によるへい死などが考えられるところですが、現段階では主たる要因は解明できておりません。その一方で、資源を直接的にふやす方法としまして、一昨年より稚貝の生き残りに効果が期待される竹林礁の造成を行っているところでございます。今回のシジミ資源の減少を受けまして、この規模を緊急的に拡大して実施しております。宍道湖漁協におきましても、資源量を管理する観点から漁を行う日を週1日減らしまして、週休4日とされておるところでございます。今後は、先ほど知事がお答えいたしましたが、国、県の研究機関等から成る調査研究体制を構築いたしまして、環境変化やシジミ資源減少の原因解明に努めてまいります。
2点目は、シジミの増殖方法についてでございます。
宍道湖では、宍道湖漁協が主体となって20年前から、天然採苗した稚貝を生息適地へ移植放流しております。これまで資源量の維持に一定の効果があったものと理解しております。しかしながら、近年、原因はいまだ特定されておりませんが、資源量の著しい減少が見られるため、先ほど申し上げました会議の研究結果ですとか、青森、茨木などの他県で実施されている種苗生産あるいは放流の方法等を参考にして、宍道湖の現況に合った、より有効的な増殖方法について検討してまいります。

過去の投稿

園山繁の活動日誌