県議会だより

Reports

平成23年9月定例島根県議会一般質問(2)

女性の職場確保と結婚・子育てに対する社会支援について

先般、文教厚生委員会で島根県の人口の状況というのを報告されました。びっくりしましたのは、25歳から45歳までの女性の数は、男性に比較して5,000人少ないというショッキングな事実です。25歳から45歳の男性というのは、自分が選ぶという、そういう立場にはないと。5,000人あぶれるという、こういう悲しい現実です。それは、とりもなおさず若い女性が、島根は自己実現の場ではないと見限っているのではないかと思います。少子化、いわゆる子供の数をふやす、あるいは高齢化を食い止めるということなら、県内の主要事業所は、新卒あるいは採用するときには女性を半分以上採ると、そういう宣言が必要です。県庁は、まだ、男の職場になってます。議場の執行者席の女性は、公安委員長さん一人です。女の人が職場で主体的に働ける状況をつくれば、自動的に管理職、あるいはトップリーダーも女性になるわけで、数値目標なんか要らないわけですね。男女共同参画ではなくて、女性の人たちに社会的にもっと活躍してもらう条例とか、就職の門戸をきちっと開き、一定規模の事業所は女性を半分以上とると、そうじゃなかったらペナルティーを払うとか、達成した事業所には減税するとかのインセンティブを与えていくとかの仕組みが必要なのではないかと思いますけれども、知事の見解を求めます。
また、結婚をしてもらう、あるいは結婚に対して夢を持ってもらう、あるいは子どもを産むことに喜びを感じてもらう、産みたいと思ってもらう、そういうふうにするためには私はまず、日本では婚外子を奨励するという文化がないわけですので、まず結婚をするということが大事だと思います。そうすると、結婚をして子どもを持つということに対して、みんながそうありたいと願ってくれるような、そういう教育も必要だと思います。邑南町で行われた「赤ちゃん登校日」という事業を参観したときに、鳥取大学の高塚先生は、男性と女性が結婚をするためには、若年世代が、もっとコミュニケーション能力というものを身につける必要があると。「アイ・ラブ・ユー」という自分の意思を、きちっと相手に伝える。結婚をしてからも、相手が思っていることをきちっと忖度をして会話をするという能力が、どんどん低下をしているということを言われました。
先日の一般質問の答弁で、教育長は、いま進めている「ふるまい向上運動」は、コミュニケーション能力の醸成に対応したプログラムであると、仰いましたけれども、「ふるまい」は、行儀作法とか立ち居振る舞いというふうに受け取るわけで、結婚奨励とは言いませんけれども、小学校の子どもから大人まで、もう少し「家庭」や「結婚」ということに力点を置くプログラムを用意されるべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。  さらに、教育委員会では、特別支援学校に対する10年間の新たな計画の立案をしておられると伺っておりますが、障がいを持ってる人たちが、社会できちんと自立をして自己実現を図る、あるいは親や兄弟が亡くなった後もきちんと生きていけるような仕組みをつくるということは、もちろん大事です。ただ、先日の山陰中央新報に、島根県は発達障がいの発症件数が全国でトップだというふうな記事がありました。発達障がいは、もちろん何かの病的な原因がある方もあるかもしれませんし、先天的な方もあるかもしれませんけれども、早期発見が必要だと思います。乳児健診あるいは幼児健診のときに発見し、市町村の保健センターや児童相談所、保健師、保育所、幼稚園などと連携すれば、様々な対応が可能となりますが、現状は、就学前は幼稚園が主で、情報の共有による適切なプログラム対応はできていないように見えます。特別支援教育については、計画の策定段階から知事部局と教育委員会がきちんと連携をとり、共管で進める必要性を感じますが、知事、教育長のご所見を伺いたいと思います。

溝口善兵衛知事答弁

結婚問題と定住支援について

この島根では、25歳から44歳までの人口で見ますと男のほうが女性よりも5,000人ぐらい多い、女性が5,000人ぐらい少ないということがあって、それに対して議員は、女性の雇用の場をふやすと、あるいはそれを条例で義務づけるようなことはどうかという御質問があるわけでありますけども、男女雇用均等法ということもありますが、個々の企業に何かを強制するというものについては、一定のやはり限界があろうかと思います。そういう意味で、雇用自身をふやすっていうことは大きな課題であります。雇用がふえて、働く場が女性にとってもふえ、男性にとってもふえますと、安定した雇用がふえますと、そこで結婚を通じて、女性のほうも島根にとどまっていくっていうことがあるわけであります。
島根の人口を見ますと、働く20歳前のところでは、大体男女そう大きな違いがないわけであります。働く世代のところで今おっしゃったように、世代と申しますか25から44歳ぐらいの間で、5,000人ぐらい女性が少ないということであります。で、島根の中をそれを、まだ詳細な数字わかりませんけども、郡部と市部に分けますと、郡部のほうが多いんです。郡部のほうで女性の働く場がないんで、都市部に出ると。ほいで、島根全体でも働く場が少ないんで、外に出るといったことが起こっておるんだろうというふうに思います。したがいまして、条例で定めるという点についてはいろいろ難しい問題があろうかと思いますけども、女性、男性通じて雇用の場をふやしていくということが大事ではないかと。
それで、原因でございますけども、男性の場合は家を継ぐとかいろんな問題があって、一たん出ても、島根に戻ってくるということも多いんではないかと思いますけども、その数字の分析につきましては、もう少し勉強してみる必要があるというふうに思います。
再三申し上げておることでありますけども、島根の人口減少っていうのは、多分過去において大きな人口の県外移動があったという影響が、ずうっと残ってきておるということでございます。これは数字を調べればわかることでありますけども、昭和30年代の高度成長期から、日本の高度成長が大体終えん近くになる、第1次の石油危機ですね。30年代、40年代。この20年間ぐらいに、相当数の若い人たちが県外に出たわけであります。その後は、大きな人口のネット流出っていうのはないわけであります。大都市部で景気がよくなる、つまり日本全体の景気がよくなる、大企業等の景気がよくなる。そうしますと設備投資が行われて、雇用の機会があって、人を雇用する必要があるということで、地方から出ていく人を吸収するということは続いておりますけども、景気の変動によって、これは左右をされておるわけです。むしろ、日本の景気が悪くなると島根県外の就職の場がそんなにふえませんから、出ていく人が必然的に少なくなると。ここ一、二年は、そういう状況が続いておるわけでございます。
しかし、流して見ますと、大体ネットの流出が、ちょっと正確な数字はあれですが、2,000人から3,000人ぐらいですね。そして、自然減はもう、これは人口構成で短期的にはなかなか変わらないわけでありまして、これが大体3,000人ぐらい。それを合わせますと、自然減、社会減で5,000人ぐらいの人口が減るということであります。これを短期的に直すっていうことは大変難しい課題であります。特に自然減のところは長年にわたる人口構成に由来するもんでありますから、短期的にはなかなか変わらないと。そうしますと、流出を減らし、そして流入をふやすと申しますか、そういうことが大事なわけでありますが、そのためには、やはり県の中で働く場がふえない限り、これは無理なわけであります。
そういう意味で、産業の振興を行うということは最も大事な課題だと。そのためには、いろんな施策がございます。私の1つ見るところは、やはり島根が大都市から遠かったと、距離的に。その間を結ぶ道路等の整備が進んでなかったということが大きな原因だろうと思います。例えば東北地方を見ますと、これは近年、物すごい勢いで工場移転が進んだわけであります。多分、新幹線の開通といったようなものが首都圏との距離を非常に短くしたというようなことが、大きな影響を持ってるんではないかと思いますけども、いずれにしましても、こういう問題につきましても、県民一体となって、あるいは県庁一体となって頑張ってまいりたいと思いますけども、問題は、これもいつも申し上げておりますけど、2つあるわけであります。
1つは、やはり国の政策がそうした地方に対して配慮したものになりませんと、これは難しいわけであります。そのためにもインフラの整備を政府にお願いしておりますけども、なかなか進まないといった面があります。そして、地方に対する、財政力の弱い県等に対する財政支援を強化してもらいたいということであります。交付税、地方税等の一般財源を確保すること、あるいは補助金につきましても整備率等を配慮した補助金の配分、そういうものを要請していかなければなりませんし、離島振興法、あるいは過疎といった特別な施策も、国にお願いをしなきゃいかんということがあります。
それと同時に、我々が今度は、もう一つの課題は、島根が持つ地域資源を大いに活用して島根らしい産品を都市に販売をしていく、あるいは島根の産業力、技術開発力を強化する、あるいは観光など、あるいは農林水産業など、島根の持つ地域資源を活用して販路を拡大していく、こうしたことに全力を挙げていく必要があるというふうに考えておるところであります。
発達障がいに関連しまして、乳幼児の時代に発達障がいなどがわかってくるわけでありまして、その段階からいろんな対応をしなければならない。そういうことで、健康福祉部、教育委員会は協調していろんな仕事をしておりますが、御指摘の基本計画の策定におきましても、健康福祉部、教育委員会、協調して作業を進めております。議員の御指摘は、共管にしてはどうかということでございますが、実質的に共管のような形で作業等は進められておりますけれども、形式上、そういうことが適当なのか、うまくいくのか、そこら辺はよく検討してみたいと思います。

北島建孝教育委員長答弁

コミュニケーション能力向上について

人と人とのかかわりの中でコミュニケーションは重要な意味を持っていると考えます。現代社会においては、個人を尊重する余り、場合によっては人と人との関係が希薄となる状況もあるように思います。学校や職場だけでなく、「赤ちゃん登校日」の高塚先生や園山議員が感じられるように、家庭の中でさえもコミュニケーションが不足してるように思えます。
現在学校では、授業の場を始めさまざまな活動の場面において、コミュニケーション能力を高める取り組みを行っています。例えば社会や理科の授業では、子どもたちが調べて発表する学習の機会を通じて言語活動の充実を図っておりますし、総合的な学習の時間やふるさと教育では、職場体験やボランティアなどさまざまな体験活動を通して、世代の異なる人々との触れ合いに努めております。また、学級活動や生徒会活動では、集団や社会の一員としての人間関係形成力などを養い、子どもたちのコミュニケーション能力をはぐくんでおります。私は、コミュニケーションで一番大切だと思いますのは、相手を思いやる気持ち、相手の立場に立つことではないかと思っております。今後ともそういうことを大切にして、学級活動やクラブ活動がより充実したものとなり、学校や職場でコミュニケーション能力が高まるよう、取り組みを進めることが必要だと思っております。

今井康雄教育長答弁

発達障がいなどに関する県庁内での連携について

現在検討しております特別支援教育の推進に関する基本計画の策定に当たりましては、先ほど知事からも答弁いたしましたように、教育委員会と健康福祉部が、それぞれの課題や今後の取り組みにつきまして、お互いに意見を交わしながら進めているところであります。
また、御指摘のございました、障がいのある子どもたちの発達の早い段階からの支援、大変重要であると思っております。これまでも教育委員会の側からは、特別支援学校や教育センターにおきまして、保育所や保育士に対する研修などを支援をしているところであります。また、発達障がい者支援センター、これは健康福祉部サイドで設けられてる施設でございますが、そちらのほうで、幼稚園に対する指導、研修も行われてる状況にあります。それから、施設に入所している児童生徒、この施設と学校との間で毎月連絡会を開催するなど、連携協力に努めてるところであります。今後もこういった連携、協力、さらに密にしていく必要があるというふうに思っております。お尋ねのございました基本計画の策定はもとよりでありますが、その実施に当たりましても、引き続き関係部間の連携を図って取り組んでまいりたいというふうに考えております。

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