県議会だより

Reports

平成23年9月定例島根県議会一般質問(1)

少子化の問題点について

なでしこジャパンあるいは福島千里など世界で活躍している女性の人を見ますと、男を超えたかなあという感がいたします。陸上女子棒高跳びのイシンバエワは5メートルの記録があります。昨日、我々は地域の運動会であり、通常は男女が一緒に走ると、辛うじて男が勝ちますが、全国レベルの大会に出場するような女性の現役選手と我々のような運動不足の者が走りますと、女性のほうが30メートルも先着するわけです。こういう事態を目の当たりにしますと、島根県も、あるいは我々も、男、女の有り様を根本的に考え直さなくてはいけないと思います。
今まで我々は、家庭では完全に女性に主権をお譲りしておりますが、一般社会でも、女性の方々にもっと前へ出ていただかなくてはなりません。男がそういう意識と決意を持つのは当然でありますけれども、むしろ女性の皆さんに、そうした自覚を持っていただかなくてはならんなあと思います。
私は、今回少子化対策に焦点を絞ってお尋ねをするわけですけれども、日本の国の高齢者対策というのは、予算でも政策でも随分進展をしております。一つの数値の比較ですが、昭和48年、年金給付の総額は1兆円で、現在の年金給付総額は48兆円です。同じように、老人医療費の給付総額は昭和48年が4,000億円に対し、現在、10兆円を超えているわけです。社会保障給付費の総額は100兆円に近づいていますが、そのうちの7割が高齢者の皆さんに対するものです。これに比較して、これから社会を構成する子供達に対する給付は、厚生労働省の資料を見ますと、昭和50年、児童手当ができたときでようやく6,600億円。すべての社会保障給付費に占める割合は5.6%でした。それが平成20年、ようやく児童手当が1兆円の水準になりました。現在、子ども手当が始まって、少し上がったわけですけれども、残念ながら、保育所とかあるいは家庭とか、そうしたものへの給付費をすべて合わせても4兆円余で、4%に届かないわけで、子どもたちに対する政策が後追いになっているような気がしてならないわけです。
日本の社会は高齢者に対する政策給付、年金を含めた金銭給付も含めて、どんどん厚くしていった。結果として、お年寄りの平均寿命はどんどん延びてきた。社会制度も、きちんと確立をし、給付に伴う財源も、きちんと確立をされてきた。ところが、減り続けている子供達に対する対策、あるいはもっと子供達を増やす、あるいは高齢化を食い止めるという政策に対しては、まだまだ着手もされていない状況だと思うのです。少子化の問題点がどこにあるのか、知事の御感想をお聞かせいただきたいと思います。
そして、この島根県にとりましては、全国で高齢化がどんどん進展している代表的な地域です。だから、高齢者対策というのは随分進んでいるように思えますけれども、残念ながら子供の数がどんどん減っている。生産年齢人口というのは18から65までと言われますけれども、島根県では、70か75まで引き上げていくような社会の仕組みを考えていかないといけないのではないかと思います。この議場にも65歳を超えた議員さんがたくさん現役で働いておられるわけですから、やはり社会でも、私はそういう仕組みが必要なのだと思います。
少子高齢化、過疎化によって、1年間に5,000人ずつ島根県の人口は減っております。島根県にとって、これ以上の政策課題はないと思います。私は、県庁の全組織、すべてのセクションが組織一丸で、この問題に多角的に、そして本当に統一をして政策をつくっていかなくてはならんと思いますけれども、まだまだ職員の意識は低いと思います。知事のリーダーシップの見せどころであり、これからどういうふうに進めていかれるのかお尋ねをします。

溝口善兵衛知事答弁

少子化の基本認識と島根県の対応について

最初は、高齢者福祉と比較してという面もありましたが、国の少子化対策が十分確立していない、おくれているという御指摘でありまして、それについての私の考え方を聞くと、こういうことであります。
おっしゃるように、高齢化に伴う問題、これが早く進行しました。そういう中で、高齢化が進むとともに子育てをする世代の人口が総体的に減ってくるという問題が出てきて、若干この問題の発生のずれが1つあったということがありますし、高齢化に伴う問題は、安定した高齢者の方々の生活をどうやって確保するのか、あるいは病気になりやすいわけですから医療をどうするのか、あるいは介護も必要になってまいりますから介護をどうするのか、そういう問題が非常に切迫した問題として早く出てきたわけでありまして、国のほうもそれに早く対応する必要がありましたし、国民の側もそういうことを望んでいたということが、1つはあると思います。
もう一つは、少子化と申しますが、子ども世代に対する問題としては、まず最初に出てまいりましたのは、やはり子どもがふえてきて保育所が足らない、保育所をどう整備するのか。あるいは、お母さん方が働くといったようなことがふえてまいりますから、そういう面でもそういう対策をどうするかっていうことが出てまいりますが、若い世代が少なくなって子どもが減ると、総体的に。少子化問題にどう対応するっていうのはその後出てきておるわけでありますし、少子化の問題っていうのは長い年月を経て顕在化してくると申しますか、後継ぎがいないとか担い手がいない、それが地域の活性化に問題を与えるということで、問題の把握っていうか、顕在化がおくれるといった面が多分あるだろうと思います。
それからもう一つの問題は、教育等に対してはこれまでは国は、教育の制度を整える、学校教育を充実する、高等教育を機関を準備する、そういうようなことには意を払ってまいりましたが、個々の家庭における問題につきましても、生活保護家庭等に対する教育をどうするかっていう問題も取り組んではきましたが、社会全体として子育てを支援することが必要だという考えが出てまいりましたのは、やはり相当後になって、最近のことであるわけでございます。そういう段階になってみますと、西洋では早くからそういう少子化の問題が出ておりますから、社会で早く子育て支援をすると、いろんな施策をとるといったようなことが行われてきておりまして、そういうことに日本もある意味で刺激をされ、社会として子育てをどうするかっていう問題に近年取り組むようになったわけでありますけども、問題点の一つは、どういうことをしたら、そういう子どもを産み育てる人たちがふえるのか、現実に子どもたちがふえるのかっていう効果が、必ずしもはっきりしないところがあるわけであります。それについて、意見が分かれるといった点もあると思いますし。
そういう中で、民主党政権におきまして、子育てを社会的に支援をしようということで子ども手当という制度をつくられましたが、こうなりますと、これ、非常に巨大な財政支出を要すると。そうなりますと、今の国の財政など等を見ますと、なかなか円滑に実行するっていうことが難しいといった問題が出てきとる。現に、現政権におきまして見直しをするといったことが起こったわけであります。こうした問題がいろいろあったと思いますけども、子育てを社会として支援をしていくという考え方は、過去よりも広がってきてるというふうに見ておるわけであります。
それからもう一つの問題は、そうした子ども、あるいはこの少子化っていう現象に着目するわけでありますけども、その原因は、私はいろんなところで言っておりますけども、都市化と大きく関係しておると、子どもの出生数が日本全体として減るっていうことですね。経済発展がどんどん大都市を中心にして行われてきました。大都市っていうのは、チャンスがあり、若者を引きつけるわけですけども、子育てなどには非常に難しい場所なわけです。さらに、共働きっていうようなことになりますと、通勤時間が長くかかりますし、家が狭いといった問題があり、子どもを1人育てるんでもなかなか難しいわけであります。したがいまして、都市におきまして、1人当たりの出生率が早く低下をしていくわけであります。これに反しまして、地方では出生率が相対的に高いといった事態があるわけでありまして、そういう意味で、日本の経済の発展をどう考えるかっていう問題ともかかわっておるわけであります。非常に広いわけであります。
それから、この日本全体の問題と同時に、私はその関連では、分散を進めるっていうことが日本の健全な発展にとって大事だっていうことを申してるのも、そういう観点からでもあるわけでありますが、この日本全体じゃなくて島根っていうことを考えますと、島根の人口の減少、少子化の現象は、若い人たちが多く都市に働く場を求めて出ていったからであります。それが非常に大きな原因なわけであります。したがいまして、島根自身を見ると、大事なことはやはり産業の振興を行って、雇用を確保するということであります。国全体の、でもそれを広げればそうでしょうが、大都市で産業が発展して雇用がふえても、それは地方から吸収するだけであって、子どもが出生率が上がったり出生数がふえるっていうことにつながるかどうかっていうのは、いろいろ問題があり得るだろうというふうに思うわけであります。そういう意味におきまして、この日本全体の問題と各地方における問題、島根のような発展のおくれたところにおける問題っていうのは、ちょっと違うわけであります。違う角度も必要なわけであります。いろいろ申し上げましたが、そういう問題が複雑に絡んでおるというふうに思うところであります。

過去の投稿

園山繁の活動日誌