Reports
1 円高による影響について
県内の製造業の事業所数及び就労者数、そのうち、円高によって影響が経営に及ぼすというものはどのぐらいだと見込んでおられますか。
2 県内企業の損益、コストについて
県内製造業の一般的な原材料費、あるいはエネルギーコスト、人件費比率、資本に占める借入金の比率及び金利水準、これについて説明してください。また、利益率は大体どのぐらいですか。
3 円高対策としての支援メニューについて
2007年に1ドル120円の水準から現在1ドル75円まで4年間のうちに37.5%円高が進行したわけです。細かくは申し上げませんけれども、そういうのをきちんと入れてシミュレーションをすると、大体、この円高によって、県内製造業はおおむね8%から10%の減益になっているわけです。そうすると、利益率が3%ぐらいしか確保できないとすれば、5%ぐらいの赤字になるわけですね。ところで、現状で県の円高対策の支援メニューっていうのは、どんなものがありますか。
4 企業立地奨励金について
島根県の企業の借入金の比率が総資本に対して55%、半分を超えてるわけです。つまり、これ以上の融資というのは、反面、企業の首を絞めるようになるわけです。
島根県内で頑張って従事者の雇用を継続して円高に対応していこうとするためには、設備投資が必要です。ところが、企業立地奨励金など島根県の企業に対する設備投資支援は、雇用の増というのが条件になっています。ところが、円高に向かって頑張っていこうという形になりますと、生産性を上げて利益率を上げていくためには、雇用を減らさないようにするのが精いっぱいなんです。私は、この支援の要件の雇用者の増を条件から外すということも一つの方策ではないかと思いますが、知事、いかがですか。
│掲載日:2011年12月05日│
県内事業所の状況について
県内の製造業の事業所数、就労者数についてですが、従業者数4人以上の事業所を対象とした平成22年の島根県工業統計調査によりますと、事業所数は1,358事業所、従業者数は4万2,726人でございます。県が10月下旬から11月上旬にかけて実施いたしました県内企業104社の業況調査によりますと、そのうち、104社のうち製造業者は76社でございました。その76社のうち、実際に売り上げや経常利益が悪化したと、円高によってですね、企業は40社でございまして、製造業全体の53%となっておりまして、製造業の半数程度の企業で経営に影響が出ているというふうに考えております。
県内製造業コストについて
全事業所によるデータはございませんけども、しまね産業振興財団が設備貸与事業や試作開発助成制度を活用して支援しております機械金属等製造業者25社について、財務諸表から推計いたしてみますと、売上高に対する原材料費のまず比率は約28%、エネルギーコストの比率が約5%、人件費の比率は約35%、また総資本に対する借入金の比率が約55%、借入利息は約2.3%、売り上げに対する経常利益率は約2.9%となっております。
なお、先ほどの6点のうちの原材料費、エネルギーコスト人件費の比率については、平成21年の島根県工業統計調査、従業員が30人以上の法人事業所に限られますが、それの数字がわかっておりまして、申し上げますと、原材料費の比率が52%、エネルギーコストの比率が4%、人件費の比率は約16%というデータが出ております。
円高に対する県の支援制度について
円高に対する県の支援制度、現状でございますが、まず融資制度では、ことしの10月に資金繰り安定化対応資金の融資対象者に、円高の影響で売り上げ等が急激に減少している中小企業を加えました。その要件としては、通常では貯金3カ月の売上高等の減少を要件にしたものを、円高の影響によるものについては直近1カ月の実績と今後2カ月の見込みで判断するように、事実上緩和しているところでございます。
また、円高を受けて、まさに攻めに入ろうということで技術力強化や経営革新を図ろうとする企業に対しましては、新たな製品開発や試作開発、改良に対する支援を制度化しております。また、経営基盤強化のための設備対応による支援も用意しております。また、すぐれた技術力を有する県外企業との関係構築により技術力強化を図る取り組みに対する支援などの制度も設けております。さらに、大手メーカーの海外調達の拡大によりまして国内企業への発注が減少することに対応するため、国内での販路開拓を支援したり、逆に円高メリットを生かして海外から部品を調達することでコストのダウンを行う企業に対し、海外調達拡大を支援する制度も設けておるところでございます。
設備投資一般に対する助成としては、商工労働部長がお答えしましたけども、融資制度だとか、しまね産業財団が行う設備の貸与なんかがあるわけですけれども、議員は、そういう融資では難しいんじゃないかという御指摘であります。設備投資に対する支援は、県外企業が立地をする場合に、新しい技術、販路をもって島根県で立地をされる。それによって雇用もふえる。そういうことで、企業立地に対する支援は設備投資と同時に雇用っていうのが一定の条件になってるんですね。それはなかなか、そういうことは各県がやってますから、ある意味で競争みたいなところがありますから、その面からやる必要があるっていう面があるわけですね。ところが、県内企業も設備投資はするわけですね。県内にもともとおられるところの。それについても一部行う場合もありますけども、通常はしないわけです。そういう問題があるわけでありますが、雇用がふえるっていうのが一つの条件であるわけでありますけども。
しかし、世の中が変わって、むしろもう島根だけじゃなくて日本の国外へ出ていくというようなことになってきますと、今度はむしろ、減るのをどうやってとめるかっていう局面にも入る可能性があるわけです。マイナスをとめるから、むしろプラスになるっていう面もあるわけであります、出ていった場合と比べると。そういうことも配慮をしなきゃいかん局面も出てくる。それは出てくる可能性がございますけれども、そういうものをどうするかと。非常に難しい問題でございますが、よく私どもも、円高のせいでありますとか、国の動向でありますとか企業の状況等々をよく注視しながら、頭に入れておかなければいけない課題だと思いますが、今そうするというわけにはなかなかいかない。それは県内企業でも円高の影響を受ける企業もあるわけでございまして、そういうものとのバランスをどうするか。企業立地の場合は競争っていう別な要素があるから、若干特別な扱いも必要だということも考えられると思いますし、議員の御指摘のようなことも頭に入れながら、状況をよく注視をしていく必要があるというふうに考えてるところであります。