Reports
1 県の木について
クロマツが県木になった理由と、その保護などに対する県の取り組みについてお聞かせください。
2 県内の松枯れの状況把握について
県内の松枯れの面積、材積あるいは損失金額は累計でどのぐらいになってますか。
3 松枯れの拡大について
平成18年、19年に続いて、昨年、ことしと出雲市周辺の松枯れが急増しているように感じます。県内及び出雲市の状況についてお聞かせください。
また、出雲大社周辺、浜山公園、宍道湖北山県立自然公園について、どのように把握されていますか。
4 拡大の原因について
ここ数年の松枯れ拡大の原因について、どのように分析されていますか。
5 被害対策について
松枯れ被害の拡大に対してどのような対策を講じられましたか。
6 対策の有効性について
対策の結果は本当に有効であったと言えますでしょうか。今まで要したこの松枯れ対策、あるいは松くい虫の枯れを防止するための対策、効果があったようには感じないんですね。これらに一体幾らつぎ込まれてますか。
7 枯損木について
松くい虫による枯損木を放置すると、どういう影響がありますか。
8 枯損木の除去について
山中に残っている枯損木をどのように処理されますか。
9 松枯れ対策の総括について
今日までのマツクイムシ対策についてどのように総括されますか。出雲市の松枯れ対策は、完全に政策的な失敗、判断ミスです。しかし、それを誘発したのは島根県農林水産部長です。県は、もう一回、本当に有効な対策を考えるべきです。出雲大社の遷宮もあります。松というのは奉るという意味から御神木になるわけですが、知事の見解を求めます。
10 シカの頭数調査について
森林の荒廃という観点からは、北山にはシカの問題もあります。ことし、シカの生息頭数調査が行われとると思いますけれども、その速報値について聞かせてください。
11 山林の荒廃について
シカの調査で山中を踏破された際、山林の荒廃についてはどういう所感を持たれましたか。
│掲載日:2011年12月05日│
クロマツが県木となった理由と保護について
クロマツが県木となった理由と保護についてですが、まずクロマツは海岸部から里山に分布し、景勝地のみならず、出雲平野の築地松などの防風林や庭園樹木として広く利用されていることから、昭和41年、県民の投票をもとに島根県を代表する木として選ばれたものと承知しております。
また、松林は災害防止機能を持ち、県民が安全で安心な暮らしをしていく上で大きな役割を果たすとともに、その美しい景観から県民の生活や文化と深く結びついております。また、銘柄材、島根松として木材市場での評価も高く、貴重な森林資源でもあります。このため、島根県では松くい虫被害が顕著になりました昭和48年から、薬剤の空中散布や地上散布、さらには伐倒駆除など、各種の松くい虫被害の防除対策を行ってきているところでございます。
松枯れについて
松枯れの被害面積につきましては詳しいデータが残っておりませんですが、昭和56年に10万7,000ヘクタールであった松林の面積が、平成22年には7万5,000ヘクタールとなっておりまして、この30年間で3万2,000ヘクタールの減少があったということになります。この多くは松くい虫による被害が原因であると推測されます。
それから、被害の材積でございますが、昭和48年から平成22年までの累計で187万8,000立方メートルでございます。これに現在の松の立木価格を掛けることによって累計の損失額を推計いたしますと、約41億6,000万円となります。
出雲市周辺の松枯れの状況について
まず、出雲市の被害量は、近年は5,000から7,000立方メートルで推移しておりましたが、今年度出雲市が行った精査によりますと、昨年度、平成22年度は10万2,385立方メートル、そして今年度は11万5,240立方メートルと、大幅にふえている状況にございます。
この出雲市の数値を反映した県内の松くい虫被害量は、平成22年度は11万6,430立方メートル、そして本年度、23年度は12万9,980立方メートルとなりまして、出雲市の被害量が県内全体の約9割を占めてるという状況にございます。
また、出雲大社の周辺では7,839立方メートルという数字でございます
松枯れ拡大の原因について
近年の松枯れ拡大の原因としましては、薬剤の空中散布の中止や、マツノマダラカミキリの発生源となる枯損木が地形等の制約で林地に残されたこと、さらには、近年の夏の異常高温と少雨により松の樹勢が弱まっていることなどが考えられます。
松枯れ対策について
松枯れ対策につきましては、守るべき松林を保全松林区域として定めて対策を講じてきてます。出雲市では、平成20年の空中散布の中止後は、伐倒駆除、樹幹注入を強化するとともに、新たに抵抗性松の植栽といった対策に取り組んでおります。県も、これらの防除事業に要する経費につきまして、森林病害虫等防除事業や造林事業などによりまして支援してきておるところでございます。
出雲市の松枯れ対策に要した経費について
出雲市で実施しました松くい虫被害対策に要した経費は、空中散布を中止した年度であります平成20年度から平成23年度までの総額で7億3,189万円でありまして、そのうち国費が4億8,071万2,000円、県費が1億1,834万1,000円、市費が1億3,283万7,000円となっております。
出雲市で実施しました対策の効果でございますが、樹幹注入と伐倒駆除を組み合わせて実施している区域では、空中散布中止以降も枯損率が0.9%となっており、高い実施効果が確認されております。これに対しまして、伐倒駆除だけを実施している区域や、それから特に対策をとっていない区域では枯損率が42%でありまして、十分な効果が得られていない状況にございます。
松枯れの影響について
ことしに被害を受けて枯れた松につきましては、マツノマダラカミキリが産卵して翌年に成虫になるということで、翌年の被害の発生源となります。すなわち、マツノマダラカミキリの生息密度が急激に高くなるということになりますので、被害が拡大し続けるということになります。
また、それ以前に枯れたものにつきましては発生源になることはありませんが、林内に後継樹枝が育たなければ、山地崩壊など山地災害の誘因となるおそれがあるほか、風致、景観上の支障や、枯損木の道路への落下などの被害が発生するおそれがございます。
枯損木の処理について
これも20年度から今年度までの数字となりますけども、出雲市での枯損木の除去につきましては、伐倒駆除1万1,693立方メートルが実施されております。また、これとは別に、枯損木の落下により道路等への被害が懸念されるものや、景観上支障があるものにつきましては、市の単独事業によりまして、平成21年度から今年度までで1,536立方メートルの伐採処理が実施されています。
被害跡地を対象にした樹種転換につきましては、出雲市におきまして平成21年度から今年度までで2万2,000本の抵抗性松の植栽が行われております。また、県においても、今年度治山事業により抵抗性松600本、広葉樹600本の植栽を計画しております。県では、平成20年度から抵抗性松の苗木の供給を始めておりまして、今年度は5万5,000本の供給を計画しております。引き続き増産に向けた取り組みを進めるとともに、保全松林区域での松くい虫被害の蔓延を防止を図るために、伐倒駆除を着実に図っていく必要がありますが、特に松林が観光地の景観上重要な箇所につきましては、市と連携して重点的に実施してまいります。
県立浜山公園における松枯れの状況について
県立浜山公園における松枯れの状況につきましては、県立浜山公園の松林には約3万本のクロマツがあり、松くい虫の被害が増加し始めた平成9年度以降、毎年松枯れ調査を行っております。調査の結果、松くい虫の被害は平成9年度から16年度の間は400本程度、平成17年度から21年度の間は1,000本前後で推移しており、平成22年度は396本、平成23年度は520本の松枯れを確認しております。
浜山公園の松枯れ対策について
浜山公園におきましては、平成9年度から被害木の伐倒駆除、伐採後の土地へは松くい虫被害に抵抗性のある抵抗性クロマツによる植樹をしており、また主要な松には、松枯れから予防する薬剤注入、樹幹注入などを行っております。
なお、植樹に際しては、平成13年度から浜山松苗植樹祭が地元自治会の主催で行われており、地域と連携しながら松枯れに強いクロマツ林の再生に取り組んでおります。
松枯れ対策の経費について
浜山公園におけます松枯れ対策の経費につきましては県単独公園事業で行っており、その経費は平成9年度から本年度までの15年間の総額で2億2,700万円で、そのうち県費が2億800万円、出雲市の市費が1,900万円となっております。
その効果につきましては、最近2年間は被害木の本数がピークであった平成18年度の半数以下、平成18年度は1,177本であったものが、平成22年度は396本、平成23年度は520本になるなど減少傾向にあり、被害木の全数を早目に処理し、抵抗性クロマツに植えかえるなどの対策は一定の効果があったと考えております。
枯損木への対応について
議員御指摘のとおり、公共施設における枯損木への対応につきましては、大変県民の安全・安心の観点から重要なものであると考えております。まず、道路につきましては、枯損木も含め倒木の危険性のある沿道の樹木につきましては、その多くは道路区域外にあり、原則山林の所有者に処分を要請しているところであります。しかしながら、山林所有者の高齢化や作業条件等が原因で対応が困難な場合や、また大雨や大雪の直後など、二次災害のおそれのあるなど緊急を要する場合には、道路維持作業の範囲内で応急的な処理を行っております。今後ともパトロールを徹底するとともに、山林の所有者に対してみずから処分をしていただくよう、引き続き求めていく考えであります。
次に、砂防施設に係る枯損木処理についてであります。
急傾斜地崩壊危険区域などの枯損木などについて、民地部分にある山林所有者に処分を要請しておりますが、換地内にあるもの、あるいは雪による倒木などで施設に支障が生じているものにつきましては、地元の協力を得ながら県で対応しております。また、砂防ダムでは土石流や中小規模の出水で流下した土石については、次期の出水に備え、リフレッシュ事業で土石の撤去しておりますけれども、その中に含まれている枯損木などの流出木につきましても、一緒に処理をしております。また、県立浜山公園につきましては、先ほど申し上げたとおり引き続き松枯れ調査を行い、枯損木の伐採処分を行ってまいります。今後とも、適切な公物管理に努めてまいりたいと考えております。
宍道湖北山県立自然公園における松枯れの状況について
宍道湖北山県立自然公園内の被害量についてでございますが、これにつきましては部独自の調査は行っておりませんが、出雲市の鰐淵寺、北山地区の被害量につきましては、農林水産部の調査結果から見ますと今年度約1万立方メートルというぐあいに推計をいたしております。
県立自然公園の松枯れ対策について
県立自然公園内におきましても、森林病害虫防除事業などによりまして松くい虫被害対策が行われております。当部といたしまして、被害拡大の防止対策ではございませんが、公園の利用促進と安全確保を目的といたしまして、公園内の遊歩道や休憩所周辺の原木処理に努めておるところでございます。
県立自然公園の松枯れ対策経費について
県立自然公園内の倒木や危険木の処理につきましては、直接職員が現場に出かけて処理を行うほか、森林組合などへ委託をいたしております。その委託経費でございますが、平成22年度は約200万円でございまして、自然公園内施設の安全確保に努めておると、そういう状況でございます。
枯損木の処理について
県立自然公園内施設の安全確保の観点から、処理が必要な枯損木につきましては、先ほど申しました職員の直接処理、または森林組合等への委託という対応で引き続き処理を進めていきたいと、このように考えております。
今説明がありましたようにいろんな対策はとっておりますけども、対策が松くい虫の進行に非常におくれてるというふうに認識をしておりますが、地元出雲市も、この問題につきまして新たな計画をつくって対応しようということでありますので、県としても、この松くい虫の防除、防止に対して、全力を挙げて取り組んでいきたいというふうに考えておるところであります。
対応はいろいろありますけども、空中散布なども過去においては行われておりますけども、この問題もどうするかということもあるでしょう。それから、樹幹注入をきちっとやっていく、あるいは倒木を処理をしていく、そういうことを進めていく必要があるというふうに思います。いずれにしましても、地元の方々の理解も得ながらやらないといかん問題だろうというふうに考えてるところであります。
シカの生息頭数調査の速報値について
毎年、広葉樹が落葉して、調査に適した10月下旬から12月上旬の時期にこの調査をやっておりまして、ことしも同様の時期に実施しております。ことしの調査でございますが、出雲市の北部に位置する出雲北山地域と湖北地域から、一部区域を抽出して行っております。ことしの調査結果の速報データを申し上げますと、出雲北山地域は、目撃頭数ですが昨年66頭のところを、ことしは85頭ということでありまして、また湖北地域は昨年42頭のところ、ことしは69頭が目撃されたという結果でございました。調査結果を分析しまして、地域全体の推定生息数、これを算出するにはもう少し時間がかかります。特に、先ほど申しましたように湖北地域につきましては、ここ数年間、増加傾向が見られておりますので、昨年の推定頭数は341頭でしたが、これが500頭台にふえているのではないかというふうに思われるところです。このため、特に湖北地域につきましては、11月15日から2月15日までの狩猟期間におきまして、狩猟による捕獲を重点的に進めることとしているところでございます。
山林の荒廃について
シカの調査で北山の、私は鳶ヶ巣山に登りまして、これ標高約280メートルぐらいありますが、山頂まで登山道で登った後、割り当てられた区画を1時間ほどかけておりながら調査を行いました。非常に急峻なところをおりていったんですが、途中、やっぱり山の中には竹、これはかなり大きな竹で孟宗竹だと思いますけど、そういう繁殖が非常に目立つところがございました。また、急峻なため下草の植生が少なくて、表層が崩れやすくなっているということで、足をとられて滑り落ちそうになるというようなこともございました。
そうした、人がなかなか近づきにくいような場所でも、造林木に、杉ですけども、シカ被害対策の枝条巻きがされてるということが強く印象に残りまして、シカはそういった急峻なところでもやっぱり動き回ってるんだあと。特に私はシカを目撃したわけでもありませんが、そういったことがすごく強く印象に残ったところでございます。恐らく他の調査地区では、もっと荒廃が進んでいるところもあるというふうに聞いておりまして、実情の一端を肌で感じたところでございます。