県議会だより

Reports

平成24年2月定例会一般質問(2)

ITの活用による医療・福祉政策の転換について

政府は2015年度から国民総背番号制を導入し、ようやく住民情報や税、福祉などの行政情報を一元管理できる法律を閣議決定し、通常国会に提案すると報道されている。

1仄聞するところでは、岡山県では、電子カルテを導入している医療機関が患者の診療情報を交換・共有する取り組みを実施すると報道されたが、内容は。(健康福祉部長)

2 県内主要病院54病院中23の施設が電子カルテを導入しているが、診療情報の共有、交換はどのように図られているか。(健康福祉部長)

3 平成22年度に支払われた島根県内の医療費総額および75歳以上、65歳以上75才未満、65歳未満の総額と1人あたり医療費をともに示せ。(健康福祉部長)

4 医療費総額について、昭和55年、平成2年、平成12年の数値と平成23年以降の見込みを示せ。(健康福祉部長)

5 過去にも何度か指摘したが、県民が住民登録を行ったとき(生まれたとき)ID番号と1人1枚の基本ファイルが与えられ、それに受診した医療機関での診療記録がすべて書かれ、診察にあたる医療機関や医師が患者情報を共有できれば、かかりつけ医と専門医、一般診療所と高度医療を行う基幹病院の連携が飛躍的に図られるが、どの程度のイニシャルコストと運営コストがかかるか。(健康福祉部長)

6 医療の高度化によってかなりの病気が克服される一方で高額の療養給付が必要となり、1人あたりの医療費は増嵩を続けている。病気を重篤化させないためには日頃の健康チェックと健康増進が不可欠だが、せっかくのIT技術や全県高速情報インフラの整備などが活かされていないように感じる。また、重複受診や二重検査・投薬などがなくなれば、医療費の大幅圧縮につながるが、国の背番号制導入に先がけてこれを実施し、2~3割の医療費を圧縮する取り組みを始めるべきではないか。(知事)

布野典男健康福祉部長答弁

ITを活用した医療・福祉サービスの状況について

岡山県では、医療機関の機能分担と連携を促進し、医療の質の向上を図ることを目的として、診療情報を共有するネットワークの構築が計画されているところです。内容としましては、電子カルテを導入している病院の診療情報を、他の病院や診療所が情報ネットワークを介して閲覧できる仕組みであります。検査結果や処方などを含め、どのような診療情報を提供するか、現在具体的な検討が進められていると聞いております。
電子カルテを導入した多くの病院におきましては、院内の医療の質の向上や管理運営の効率化、あるいは患者サービスの向上などを目的としており、セキュリティー対策や費用などの面から、基本的に院内での情報共有にとどまっております。しかしながら、出雲圏域では一部の医療機関が、患者紹介を情報ネットワークにより、本人の了解を得て紹介状に検査結果などの診療情報を添付して送受信するなど、情報共有の取り組みが行われております。
これは、国が3年ごとに公表しています都道府県別の医療費から推計をしますと、平成22年度の島根県における医療費総額は約2,380億円となります。その内訳は、75歳以上で医療費、これ医療費総額ですが1,024億円、1人当たりでは84万8,000円。65歳以上で75歳未満は、医療費が418億円、1人当たりで46万4,000円。65歳未満は、医療費総額が938億円、1人当たりが18万5,000円となっております。
先ほどの推計等で同じような積算をしておりますが、昭和55年で約835億円、平成2年で約1,436億円、また平成12年度で2,034億円となっております。今後の医療費の見込みにつきましては、国の社会保障改革の将来推計に基づき試算しますと、平成27年度に2,899億円、平成32年度で3,412億円、平成37年度によりますと、これは3,925億円と見込まれております。
県内ですべての医療機関、病院が先ほど申し上げられましたが54病院、診療所が762ございます。これらの診療所、病院等に電子カルテシステムを新規に整備し、その診療情報をID番号で集約して、医療機関が閲覧できる仕組みを想定した場合に申し上げますと、これまでの整備事例等からの推計でございますが、大まかな試算でありますがイニシャルコストは、電子カルテシステムやネットワーク基盤の整備費などで総額およそ150億円程度になると思われます。また、運営コストにつきましては減価償却費が必要で、これが大体30億円、これは先ほど申し上げました150億円が、おおむねその設備は5年程度で更新するということで、単純に5で割って30億円になります。それプラス保守料と回線使用料等がこれ10億円でございますので、単年度当たりは総額およそ40億円程度になるものと思われます。

溝口善兵衛知事答弁

医療サービスのIT化について

現在、病院、医師会など関係者とともに、具体的なシステムの内容を検討中であるわけです。そうした事業が進めば、議員がおっしゃいますように、重複検査あるいは投薬なども減って、医療費の削減にもつながるものだと言われております。この問題につきましては、県単位のネットワークでは県外の医療機関とつながらないとか、そういう面で全国的にどうするかっていうこともあるでしょうし、そして、現状では医療機関の参加は任意っていうことでございますし、いろいろ検討すべき問題があると思います。それから、これはよくわかりませんが、巨大システムになると、システムっていうのが本当にいつもワークするのかといったような大きな問題もございますし、そういう点も踏まえながら、国の動きとかいろんなことを考えながら進めていかなければならない課題ではないかというふうに考えております。

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