県議会だより

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平成24年6月定例会一般質問(4)

外国人観光客の受け入れについて

日本政府観光局の報道発表資料から外国人訪問率ランキングでは、訪問率第1位は東京都で59.33%。これは訪日外国人の約60%が東京を訪れていることを意味しています。訪日外国人にはビジネスマンも含まれており、商用も多い東京都の訪問率が高くなっているのは当然ですが、2位は大阪府の25.17%で3位は京都府の22.00%。上位を見ると、都市部に加えて北海道や奈良県、大分県、広島県など有名観光地をかかえる地域が並んでいます。
日本を訪れる外国人観光客は年間800万人を超え、最も多い韓国からは2,439,816人で訪日外国人の約28%、中国1,412,875人、台湾1,268,278人など、韓国、中国、台湾を合わせると5,120,969人で、訪日外国人の約59%を占めています。
島根県の外国人観光客訪問率 0.2%で、45位、訪問客数は47位と低迷しています。島根県は韓国の隣国ですが、来訪は高々6000人弱に止まっているのが現状で、昨年の外国人観光客の実績は20000人ぐらいと聞いております。
大都市や有名観光県のなかで目立つのが山梨県で、東京に近いとはいえ、全国レベルの有名観光地が少ないにもかかわらず10位に入っています。訪日外国人の構成を見ると他地域に比べてアジアからの観光客が多いのです。山梨県では東アジア地域向けの観光客誘致活動に力を入れており、その成果が表れています。
また、よく調べてみますと、鉄道旅客輸送量と正の相関があり、自動車普及率と負の相関があります。鉄道が発達し、自動車普及率が低いところほど外国人観光客が多いことを意味しています。外国人観光客は公共交通機関で移動することが多いため、車がないと移動できないような地方を敬遠していると思われます。
さて、島根県では外国人観光客受け入れの現状についてお尋ねします。
まだまだ、外国人観光客を受け入れする体制、例えばサインや案内板なども未整備で、韓国語や中国語、英語などのバスガイドや案内体制も十分とは言い難いと思います。県庁の玄関を見てください。外国からのお客様を迎えることができるような準備を感じることができますか。
まず、ここ数年の外国人観光客の推移と受け入れ態勢の現状についてお聞かせ下さい。(部長)とりわけ、県内の道路を含めた公共施設のサインは、せいぜいローマ字表記があるくらいですが、日本を訪れる3/2が中・台・韓であることを考えれば、最低でもこの3カ国語の表記について県内市町村と協調して対応する必要を感じますが、いかがお考えになりますか。(部長)
また、受け入れ数伸び悩みの原因についてどう分析しておられるのかもお聞かせ下さい。(部長)
外国人観光客は、隣県の広島や岡山にかなりの実績があるにもかかわらず、島根に訪れる人が少ないのですが、他地域の誘致事例をどのように分析し、どうすれば誘致が進とお考えかお尋ねします。(部長)
少子、高齢化が進む日本社会にあって今後交流人口を確保し、観光振興につなげていくためには、中国、台湾、韓国をはじめ発展著しいアジア諸国の人々を積極的に受け入れすることが何よりも大事です。そのためには、拠点となる空港や駅からの2次交通の確保、整備と宿泊施設の整備が不可欠であり、そうした施策の伸展を図るためにどのような施策を展開されるのかお尋ねします。(知事)

溝口善兵衛知事答弁

アジア諸国からの観光客の増加対策について

御指摘のように、二次交通の確保が大事でございまして、定期的なバス路線もありますけども、ツアーバス等に対する支援という方法もあるわけでございまして、そうしたことに対応を今検討中でございます。具体的には、関西、山陽方面の空港からツアーバスが出て、そのツアーバスが島根に来るような対応を、そうした商品をつくるというふうなことを今検討中でございまして、台湾、香港などへのセールスを進めるよう努めてるとこで、これからやろうとしてるとこであります。
それから、関連して、施設の整備でありますとか、あるいはハード、外国語の表記でありますとか、いろんな整備も必要であるわけでありますが、旅館業等につきましては、平成23年度から観光施設向け長期低利の設備運転資金の融資制度を設けております。これまでに21件、5億円ぐらいが活用されてますけども、こうしたものもさらに活用していきたいというふうに思います。それから、昨年度から、企業が外国語のホームページの開設、施設内のインターネット環境の整備、レストランの外国語表示などを行う場合の助成も行ってるとこであります。
今後とも、こうした制度を利用される事業者の意見も踏まえまして、充実継続を図っていきたいというふうに思います。

西山彰商工労働部長答弁

外国人観光客の受け入れについて

まず、外国人観光客の推移と受け入れ態勢の現状、サインの表記についてあわせてお答えいたします。
まず、推移についてですが、県東部及び石見銀山地区の主要観光施設の外国人利用者数によりますと、5年前の平成19年は約3万5,000人でございました。平成21年には、新型インフルエンザやリーマン・ショックがございまして、約2万9,000人まで減少いたしましたが、平成22年には、DBSクルーズによる韓国人の観光客が大幅に増加したため、約5万人までふえております。しかし、平成23年には、東日本大震災、円高などもございまして、3万4,000人まで減少しております。
次に、宿泊者数で見ますと、同じく平成19年に約3万3,000人余りでございましたが、その後のリーマン・ショックや東日本大震災の影響を受け、約1万人減少して、昨年は約2万人となったところでございます。
受け入れ態勢の現状ですが、松江市が松江の駅前に設置しております国際観光案内所において、英語、韓国語、中国語で対応をしているほか、西ノ島町では外国人スタッフを雇用して英語による対応を行っています。それ以外のところでは、外国語のパンフレットやマップが置かれている程度でございます。また、路線バス等における案内体制につきましては、松江市で整備が進んでおり、主な観光地を回るレイクラインでは、英語、韓国語、中国語による案内表示がなされています。また、境港と松江を結ぶ連絡バスでも、英語、韓国語による案内放送が流されています。松江以外の地域においては、このような対応はございませんけども、一部高速バスの路線で英語による案内の準備が進められているというふうに聞いております。
次に、案内サインについてですが、現在、観光案内サインの外国語表記の考え方につきましては、英語併記を基本としつつ、中国語、韓国語については整備主体の市町村等が必要性を判断して加えていくことで進めてまいりました。昨年度まで、県の助成制度も利用して、県内で日本語、英語併記の観光案内板が約570基整備されましたが、一部の市町村ではまだ整備が不足してるところもございます。また、英語に加え、韓国語、中国語などを併記した観光案内板は、松江市を中心に約80基というふうになっております。
一方、道路についてですが、美術館など県が設置している施設では、日本語、英語を併記した案内標識を141カ所で整備しております。
御指摘のように、近年、県内では、韓国、台湾などのアジア地域からの観光客が増加しておりますので、サイン整備の考え方につきましても、再度市町村と十分に協議をして対応していきたいと思います。
次に、外国人観光客の受け入れ数の伸び悩みの原因についてですが、1つは、海外で発刊されている日本旅行向けのガイドブックの中で島根に関する情報が少ないこと、また海外の旅行会社に島根を周遊する旅行商品を造成してもらう営業活動が不足していること、また入国する国際空港において、島根の観光や交通情報、そして国内の有名観光地から島根に周遊してもらうための情報提供も弱いと考えています。県内では、先ほどお答えしたとおり、外国語表記のサインの整備がまだまだ不十分だと思っておりますし、外国人観光客に十分な対応ができる観光施設もまだ少ないというふうに考えてます。宿泊施設では、一部のホテルでは対応されましたけども、外国人が好むような部屋の大きさへの整備、またおもてなしなどソフト面での対応も十分ではないんではないかなあと感じております。
このように、原因は多岐にわたっておりますけども、観光客が不便に感じていることをきちんと把握分析した上で、県、市町村、民間事業者が協力連携して一つ一つ解決していきたいというふうに考えております。
次に、他地域の誘致事例についてお答えします。
1つは、岡山県における誘客活動についてです。宿泊客の減少に危機感を抱いておりました岡山県のある温泉が、その旅館が連携をいたしまして、独自に台湾の旅行会社へのセールスを実施いたしました。現在、その温泉には毎日継続して台湾から団体客が入る施設もあると聞いておりまして、海外での民間事業者による直接の営業が功を奏したものと思われます。県内でも同様な動きが今計画されておりますので、今年度中に取り組めるよう支援していきたいと思います。
また、もう一つは、広島県と岡山県が連携した誘客活動です。両県が連携して海外メディアを招請したり、フランスでの旅行博への出展、旅行ガイドブックへの広告掲載などを行っています。知名度の高い宮島と、岡山県などが瀬戸内海の島々で行っております現代アートの取り組みなどを連携してPRし、周遊ルートの提案を行うことで、新たな誘客につながっていると聞いています。このように、知名度のある観光地とテーマを持って連携することは大きな成果が期待できますので、例えば広島県と組んで世界遺産連携などに具体的に取り組んでいく考えです。
こうした他県の事例や、先ほどお答えしました伸び悩みの原因を一つ一つ解決し、外国人観光客の増加につなげたいと考えております。

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