県議会だより

Reports

平成24年6月定例会一般質問(3)

宍道湖しじみ漁業について

農林水産省の統計で、しじみの昨年の全国漁獲量は9474トンで、島根は前年比1443トン減の2358トン。一方、十三湖や小川原湖がある青森は3672トンで、島根県は宍道湖のシジミの漁獲量が昨年、大幅に減少し、21年ぶりに全国2位に転落し、青森県に日本一を明け渡しました。
宍道湖は日本を代表するヤマトシジミの名産地で、島根の漁獲量の9割以上を占めています。島根は70年代からシジミの漁獲量日本一で、90年に一度、秋田県に首位を明け渡しましたが、その後も年間6000~7000トンで、ダントツのトップでした。
首位を明け渡した直接の原因は、シジミ漁師280人が所属する宍道湖漁協が07年、1隻当たりの漁獲量を1日150キロから120キロ、08年には90キロに制限し、1週間の操業日数も昨年8月から1日減らし、3日にするなどの漁獲制限をしているのが大きな理由ですが、過去、97年ごろから多雨などで宍道湖の塩分濃度が低下し、大量死が度々報告されました。昨年の資源量は、アオコの発生や湖中の酸素濃度の低下などによって、大量死があった06年の35%に激減したと報告されています。
県では、4月23日、宍道湖の環境について検討する「宍道湖保全再生協議会」を設置し、大学の研究者や環境系NPO関係者ら汽水湖に精通する専門家が全国一を誇るシジミの漁獲量が近年激減している原因解明を進め、「問題解決につながる成果を数年かけてまとめられるようにしたい」としていますが、まず、資源の現状把握と漁獲量大幅減少の要因についてお尋ねします。(部長)
宍道湖漁協では、「プラスになると思えることは何でもやる」として、漁業者自らが湖底の耕耘やゴミの除去、国土交通省の理解を得て斐伊川の川砂の提供を受け、覆砂を事業化するなど、資源量復活対策の取り組みを行っています。
特に、覆砂は生息環境を好転させるとされ、漁協の取り組みに対し、出雲市では砂の運搬費を助成するとしていますが、年間1000㌧程度では広大な水域の環境改善には僅かであり、せめて10000㌧程度の覆砂が必要だと思います。この際、県と松江、出雲両市が協力して、ガット付の台船を導入し、通年、覆砂を事業化する取り組みを支援するスキームを宍道湖漁協と一体となってつくり、実施してはどうかと思います。(知事)
小生は、市議の時代、茨城県の霞ヶ浦で水質改善の取り組みを視察させていただいた折、ビオトープの設置や石鹸の奨励、ゴムへらの配布など「市民ができる浄化対策の実施」の実例を見て感激した覚えがあります。それに比べると、宍道湖の上流、沿岸地域の水質浄化への取り組みはぬるいと感じますが、この点ご見解をうかがいます。(部長)

溝口善兵衛知事答弁

宍道湖のヤマトシジミについて

シジミ生息地への覆砂につきましては、稚貝の発生が増加するなど一定の効果が期待できる一方で、その効果は短期的ではないかという研究もあるようでございまして、したがいまして、議員が御提案の覆砂の大規模な覆砂計画につきましては、今年4月に宍道湖保全再生協議会を立ち上げたとこでございまして、そこにおきまして、今、資源量減少の原因の究明だとかそのための効果的な対策などを検討を行っておりますから、そういう場所でよく検討をさせていただきたいというふうに思います。

原仁史農林水産部長答弁

シジミ資源について

県では、毎年春と秋の2回、シジミの資源量調査を実施しております。昨年の6月の調査では、資源量は2万トンと推定され、前年6月の4万1,000トンから大幅な減少が見られたところでございます。その要因としましては、えさとなるプランクトンの減少や、前年夏の高水温のストレスによる成長不良、低塩分による産卵期のおくれ等々の影響が考えられますが、現時点では、何が一番の要因かということはまだわかっていない状況でございます。
宍道湖漁協では、この調査結果をもとに、昨年8月から、1日当たりの漁獲量の上限90キロを維持しながら、週4日の操業を週3日とする資源管理対策を講じられたところであります。その結果、平成23年の漁獲量は、平成22年の約3,700トンから2,200トンへと大幅に減少することとなりました。
なお、昨年秋、10月ですが、この時期に行った資源量調査では、資源量は3万3,000トンと推定されておりまして、6月の資源量からは約1.6倍の増加が見られたということでございますけれども、秋の平常の水準、約5万トンですが、このレベルには達しておらず、資源の回復がさほど進んでないことが明らかとなったところでございます。
こうした状況のもと、本年4月に立ち上げました宍道湖保全再生協議会では、資源量減少の原因究明とともに、効果的な対策の検討を行うこととしております。そこでの意見を参考にし、漁協等の関係機関と連携して、できることから対応を検討したいというふうに考えております。

伊藤修二環境生活部長答弁

宍道湖の上流、斐伊川沿岸地域の水質浄化について

宍道湖では、平成元年以降、湖沼水質保全計画を策定をいたしまして、下水道の整備、工場、事業場の排水規制などを総合的、計画的に推進をしてきたところであります。こうした中、水質浄化のためには、流域や沿岸の住民の皆さんの理解と協力が必要と考えており、宍道湖での一斉清掃であるとか、小中学生によります流入河川の調査、さらには湖沼環境を五感、見る、聞く、触れるといった五感でございますけども、そういったもので評価する調査などを定期的に実施するなど、地域ぐるみでの水質浄化活動への参加を促してるところでございます。これらの対策によりまして、湖に流入する河川などの汚濁負荷量は着実に減少はしておりますけども、湖内の水質はいまだ環境基準の達成に至っておりません。
このため、こうした取り組みに加えまして、湖内対策として、水質汚濁メカニズムの解明でありますとか湖底の状況把握のための調査などを実施しておりまして、今後、こうした調査を踏まえまして、具体的な水質改善策を関係機関と調整しまして実施をしていきたいと、このように考えております。

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