県議会だより

Reports

平成24年11月定例県議会一般質問(1)

食育の必要性について

食育の必要性については健康増進のみならず、多方面から所管を超えた取り組みが必要だと思いますので、幹部の皆さん、一緒にお考え下さい。
現在、島根県内でアトピーを始めとする食物アレルギーを発症して、対応を求められている者の数が増加しているように感じていますけれども、乳児、幼児、学童、生徒の状況を把握していますか。また、そのアレルギーの原因とされている主な物質はどのようなものですか。
同じように、島根県内で、糖尿、高血圧、動脈硬化、がんなど、生活習慣病として治療中の患者数及び予備群となるメタボリックシンドロームとして医師の管理、指導を受けている人はどのぐらいですか。また、その要因はどのようなものですか。

人の平均体温は36度半ばで、牛は37.5度から39.5度、豚は38度から40度、鶏は39.5度から44度、魚は生息水域の水温とほぼ同じであると言われております。私たちはヒトの体温よりも高い体温の動物を食べているわけで、体の中で動物の脂肪などを分解して消化吸収することはなかなか難しいわけです。そこで、動物性脂肪、いわゆる飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸についての認識を求めるとともに動物性脂肪の摂取過多となる食の欧米化がもたらす健康への影響について説明してください。

仄聞するところでは、食品の期限に3分の1ルールというのがあって、実際に食べては何ともないものが大量に廃棄をされておるということを聞きました。私たちはいつの間にか、自分の舌や鼻、いわゆる自らの五感で食しても大丈夫かなということを判断することができなくなっているような気がいたします。缶詰など5年以上も保存できるものが、1年半も残して廃棄されていると聞きますが、こうした食品表示に対して、消費者として正しい認識を持つことが必要ですが、3分の1ルールを含めて消費期限、賞味期限、製造年月日などの食品表示について説明してください。

毎日、テレビや新聞ではダイエットや健康に効くという健康食品、サプリというコマーシャルが洪水のごとく流れております。今、健康食品、サプリの市場規模は日本の米の販売額に匹敵する2兆円と言われており、健康食、サプリは国民食だと言う人さえおります。正確な知識もないままに、健康によいと信じてお金を払っているバカな消費者がいっぱいいるわけです。さて、食育というものですけれども、子どもよりもむしろ親、保護者あるいは一般の無知な大人に必要だと思います。学校や保育所、医療機関のみならず、もっと広範な取り組みが必要だと思いますが、今後、こうした取り組みの実践についてどう考えますか。
また、子どもに正しい箸の持ち方や、感謝して残さず食べるなどの食事のマナーが壊れているのではないかとの指摘があり、その一つの要因に、学校給食に限らずが献立が挙げられています。もっと和食を主体にしたものを考えるべきだと思います。地元でとれた魚や季節感のある野菜、果物などをふんだんに取り入れた献立というのはやっぱり和食です。作った人、獲った人、育てた人たちの顔が見えるような取り組みが大切だと思いますが、
学校給食の献立の傾向や主食となるご飯、パンの割合、多い多いと言われている残飯の量についてお尋ねするとともに、米は白米でしょうか、伺います。

近年、日本食にある発酵食品の代表、しょうゆ、みそあるいは納豆、漬物、酒、こういうものが低価格競争で添加物だらけになっとるような気がします。しかし、本来の製品には、消化吸収を助ける酵素や乳酸菌や、食物の消化、分解、吸収に不可欠なものがたくさん含まれており、いわゆる健康食品でありますが、その必要性がほとんど一般の人たちに認識をされていません。むしろ、塩分が高いだとか、多量に摂取するとがんにるなど、生活習慣病の要因のように言われております。アメリカやEUなどでは政府が和食の優位性を研究して、健康食としてこれを推奨する取り組みを始めているというふうに聞いておりますけれども、もっと和食の良さとか日本の伝統食品の優れているところというのをPRするべきではないでしょうか。
食べるということは命に感謝をすることであり、「いただきます」というのは、あなたの命を本当に私の命にかえますよ、ありがとうございますという意味だと子どもの頃に教わりました。お母さんが子どもに母乳を与えるのは、まさに、愛情の交換であり命の交換です。和食の持つ優位性というのは、ヘルシーとかという単純なものではないと思います。季節と地域を実感できると同時に、健康や育ちの観点からも、極めてすぐれた日本文化の象徴だと思います。もっと社会全般にその優位性と必要性をアピールして教育すべきだと思います。私は、食育を進めると、自然にそういうところへ行き着くと思うのです。深めていけば、日本人が日本人としてよって立つ起源、島根であればその地域資源を知る、生かす、つまり島根を再見するということになると思いますが、知事の所感をお聞かせください。

布野典男健康福祉部長答弁

食物アレルギーについて

先般、食物アレルギーの除去食等の対応状況につきまして保育所、幼稚園、小中学校を対象といたしまして、教育委員会と合同で調査を実施いたしました。その結果、保育所では全287保育所のうち241カ所からの回答があったところであります。
回答のあった中で、全体の4.2%に当たる810人に対して除去食等の対応をしております。その内訳が乳児62人、幼児748人でありました。また、公立の幼稚園、これ61ありますが、全て調査いたしまして、全体の1.4%に当たる57人、また公立小学校、これ229校ありますが、全て調査した結果、1.6%の579人、中学校、公立中学校101校ありますが、全体の1.6%に当たる292人に対して除去食等の対応を行っているという状況でありました。
食物アレルギーは、食事をした際に食事に含まれるたんぱく質を体が異物として認識し、じんま疹や下痢、嘔吐などの症状があらわれるものであります。こうしたアレルギーを起こしやすい食品といたしまして、エビ、カニ、小麦製品、そば、卵、乳製品、落花生などがあります。
先般実施いたしました調査結果によりますと、除去食が必要な子どもの食物アレルギーの原因は、保育所では第1位が鶏卵で77%、第2位は牛乳・乳製品で31%でありました。また、幼稚園、小学校では1位が鶏卵、2位が牛乳・乳製品ということでありました。中学校では1位が牛乳・乳製品で、第2位がそばという状況でありました。

布野典男健康福祉部長答弁

食物と生活習慣病の関連について

生活習慣病とは、生活習慣に関連いたしまして、さまざまな疾病の総称であります。全体といたしまして、この患者の総数というのは把握しておりませんが、その代表的な疾病であります糖尿病あるいは高血圧、脂質異常症につきましては、平成22年度の特定健診の受診者、これは13万5,000人のうち、重複はしますけれど、高血圧症で約2万9,000人、糖尿病で約5,800人、脂質異常で約1万9,000人が治療中でありました。また、メタボリックシンドロームの該当者及びその予備群と判断された方は約3万3,000人で、実際に医師等の指導を受けた方は約2,500人であります。
また、がんにつきましては、毎年がん登録によると、約6,000人が新たにがんの治療を行っております。
いわゆる生活習慣病につきましては、食生活の偏り、運動不足、喫煙、飲酒、ストレスなど、日常の生活習慣が深くかかわっていると言われています。

脂肪を構成します脂肪酸には、議員言われたとおり飽和脂肪酸と不飽和脂肪酸がございます。飽和脂肪酸は乳製品や肉など動物性脂肪に多く含まれ、過剰に摂取しますと肝臓でコレステロールの合成を促進し、血中のLDL、いわゆるローコレステロールが増加し、動脈硬化が促進されるとも言われるとともに、心筋梗塞や糖尿病の罹患が増加すると言われております。また一方、摂取量が少な過ぎますと、脳出血が増加するとも言われております。
また、不飽和脂肪酸につきましては、魚類あるいは植物油などに多く含まれ、血中の中性脂肪値の低下や血栓生成防止作用等、生活習慣病の予防効果がありますが、これまたとり過ぎますと、動脈硬化を防ぐHDL、これはハイコレステロールの低下や、がんや炎症性の疾患が生じるリスクが増大することから、適切な量を摂取することが大事だというふうに思います。
我が国におきましても、食の欧米化によりまして、脂質の過剰摂取が指摘されているところであります。特に、この脂質が幼児期から継続的に過剰摂取されることで、肥満や生活習慣病のリスクが高まることが懸念されています。
一方、日本型の食生活は、米を主食に季節の食材を利用したおかずを組み合わせ、栄養バランスにすぐれており、健康によいとされております。

伊藤修二環境生活部長

食品表示について

食品の表示につきましては、平成7年に製造年月日表示から期限表示に変更されております。法令によりますと、賞味期限はおいしく食べられる期限ということでありまして、これを過ぎましてもすぐに食べられなくなるわけではございません。一般的には、スナック菓子とかカップ麺、缶詰など品質の劣化が比較的穏やかな食品に表示されます。
一方、消費期限でございますけども、期限を過ぎたら食べないほうがよい期限ということで、一般的には弁当であったり生麺など、品質が急速に劣化しやすい食品に表示することになっております。
それで、お尋ねの3分の1ルールでございますけども、食品小売店などが設定をしますメーカーからの納入期限及び店頭での販売期限の慣習でございまして、法的な位置づけはなく、あくまで任意で行われているものであります。加工食品の場合、製造日から賞味期限までの期間を3分割をいたしまして、最初の3分の1までに製造者は小売店に納入をすると、次の3分の1までにその小売店は消費者に販売するという業界での慣習となっておりまして、この納品あるいは販売の期限を過ぎた商品は、まだ賞味期限に達していなくても廃棄をされる場合が多いというふうに聞いております。
こうした慣習の背景には、消費者の過度な鮮度意識というものがあるのではないかというふうに思っております。そうした中で、消費者が食品表示の意味を正しく認識するよう、県といたしましても消費者に対する啓発を進めていきたいと、このように考えております。

今井康雄教育長答弁

食育の実践と学校給食について

議員からございましたが、我々子どもに対する教育ということで取り組んでおりますが、この子どもに対する食育ということは、一義的には家庭で行うというのが本来だと思っておりますが、核家族化とか、あるいは共働き、あるいは食生活に対する意識の変化、こういったことで、なかなか家庭において十分な知識に基づいて指導が困難になってきているというのが実情だろうというふうに思っております。
そうした中で、今議員からもございました保護者あるいは地域住民に対する食育、そういった考え方を広めていくということは大変重要なことだというふうに思っております。例えば、保護者向けですと、現在親子で料理教室を開いたり、あるいは給食の試食会を開いたり、あるいは保護者と連携した献立、こういったものをつくったりしてる学校もございます。それから、幼小中連携して食育講演会を開いているところもございます。こういった取り組みをもっと広げていく必要があるというふうに思っておりますし、地域住民に対しましては、今公民館等で地域ぐるみで講演会あるいは食事に対する標語づくりなども行っております。こういった取り組みももっと進めていく必要があると思っております。
御指摘のとおり、学校給食で米飯を主食としました和食の献立、日本の伝統的な食生活の伝承でありますとか、あるいは箸の持ち方など、マナーの点でもそういったことを身につける指導ができるよい対象だというふうに思っております。
また、地元産の米や野菜、果実、海産物など食材を活用することで、生産に携わる方々の努力や苦労も理解できるという意味で、大変意義のあることだと思っております。
そういう意味で、学校給食でも地場産物を取り入れた和食、これを積極的に取り入れるように配慮をしておるところでございますが、先ほど申し上げましたように3割という数字で、これが高いのか低いのか、なかなか難しいところですが、そういったことで和食の意義、これにつきましては今後ともさまざまな機会を通して伝えまして、積極的な活用に向けて啓発に取り組んでいきたいというふうに思っております。
学校給食のおかず、献立の傾向でございますが、全部調べたわけではございませんが、県内74カ所、調理場がございますが、そのうちの11カ所を指定をいたしまして、その11カ所を1カ月ずつ、合計で11カ月ですが、献立を調べました。その結果ですが、ちょっと分類がなかなか難しゅうございますが、例えば和食あるいはそれ以外の洋食、中華、こういった観点で中身を見てみましたら、米飯を主食にいたしまして和食、この場合例えば酢の物でありますとか五目きんぴら、サバのみそ煮と、こういったものを和食ということで整理いたしますと、これが全体の3割程度でございました。これ以外が洋食、中華ということになりますが、これもハンバーグとかオムレツあるいはマーボー豆腐、なかなかこれを和食でないという整理はいたしましたが、なかなか和食と洋食の定義は難しいところもございます。一応、今申し上げた傾向でございます。
もう一つお尋ねございました米飯、パンでございますが、これは全調理場を調べましたら、週5回の給食のうち米飯が平均で3.6回、それからパンが1.4回ということでございます。
それから、残飯量ですが、これにつきましては、全ての調理場につきまして10月の特定日を指定をいたしまして調べました。その結果、米飯給食につきましては重量ベースで5.84%、残飯率です。それから、パン給食が2.83%ということでございました。
それから、学校給食に使われております精米の状況でございますが、白米が全体の9割、それから8分づきが全体の1割ということでほとんどですが、玄米が0.2%ということでございました。

溝口善兵衛知事答弁

和食の効用とその普及・啓発・周知について

調べてみますと、米国では1980年ころから5年ごとに、アメリカ人のための食生活の指針というものを発行しておるようです。その主な内容は3つぐらいありまして、必要なカロリー内で十分な栄養を摂取すること、それから2番目に、毎日多種類の果物や野菜、穀物類、低脂肪の牛乳を選択をして食すと。それから3番目に、飽和脂肪酸やコレステロールの低い食事を選択して、総じて脂肪の摂取を控えるといったようなことを出しておるようです。ヨーロッパ、EUでは2005年に健康な食生活と身体活動の促進を提言をしておりまして、フランスでは野菜、果物の摂取の推進、スウェーデンでは野菜、果物、魚の摂取量の増加といったようなことを国民に知らせておるということのようです。
日本食が健康によい食事であるということにつきましては、今健康福祉部長あるいは園山議員がおっしゃられたとおりだろうと思います。
また、それをどういうふうにして県民の方々に知らせていくかということにつきましては、教育長がお答えしたように、学校で教えるとか、あるいは食育を進めるとかいろいろありますが、園山議員がおっしゃいますように、もうちょっと広範なPRなり広報というものが必要ではないかと思います。そうした活動は、県自身も講演会でありますとか、あるいは広報紙に載せるとか、いろんなことをやっておりますけども、やはりこういう問題に活動している民間のNPOの方とか、いろんな方がおられますから、そういう方々の活動も支援をするといったような形で、総合的にやっていくのが適当ではないかというふうに思います。
おっしゃるように、和食は四季折々の旬の食材でありますとか、地元の野菜等々、地域に伝わるものを食すわけでありまして、和食を家庭でいただくということによって、子どものころから健康な体づくりと同時に、食習慣を身につけることによって心身の健康、豊かな人間性を育む、そういう意味で大事だというふうに思います。
しかし、核家族化が進むとか、食材なんかも多様化しておりますし、それからやっぱりもう一つ一番大きいのは、みんな忙しくなってますから、ゆっくり食事を楽しんだりするということは難しくなっておりますね。特に、戦後の発展の過程で、サラリーマン家庭は親が帰ってくるのも遅かったり、それから夫婦共働きあるいは核家族化というようなことが進んで、買い物なんかもなかなか大変な時代になっておりますね。
そういう意味で、食育ということを超えた大きな人の生活の仕方ということが、こういう問題に関連をしてるんじゃないかと私は思いますが、いずれにしても和食はいいものでありまして、国におきましても伝統あるすぐれた日本の文化として、ユネスコにも無形文化遺産ということで登録申請中でありまして、県もそれを支持しております。その意味におきまして、県としても県民の方々に正しい食習慣と申しますか、を身につけたり、あるいは子どもたちに食育を施すとか、総合的に余りお上がというようなことじゃなくて、地域で活動している方がいろいろおられますから、そういう方と一緒になってそういう知識、活動を広めていくということが大事ではないかというふうに思っています。

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