県議会だより

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平成25年島根県議会6月定例会一般質問(1)

県政の問題点について

出雲大社の遷宮の年にはいろいろな椿事があります。テニスの錦織選手は世界ランクを13位に上げ、将棋の里見香奈さんは女流5冠を達成、大相撲では隠岐の海の3役昇進、琴弥山が新十両、11代式守勘太夫が3役格へと島根から良き風が吹いています。
大石順教尼は「できないのとやらないのを混同してはいけない。」と言いました。できないのは克服する能力がないからであり、やらないのは意志がないからであります。県庁幹部の皆さん、あなた方に志のあるやなしやと。大石順教尼は明治34年、13歳で大阪・山梅楼の芸者となり、17歳の時「堀江6人斬り事件」で両腕を切断、地方に転向し、カナリヤが口で雛に餌を与える姿をヒントに口で字を書く技法を習得し、24歳の時に書画家の山口草平と結婚、2児の母となります。39歳で離婚し、口で更紗絵を描きながら子を育て、45歳で得度した後には京都・山科で、母子や障害者の自立を支援し、昭和43年、80歳でなくなりました。

いよいよ70万人割れ目前となり、出生数の減による自然動態のマイナスは大きくなるばかりです。人口減少はさらに深刻となり、県勢の衰弱は進行しているように感じます。1年に5000人の人口減少は1年で50億円の消費が減少する計算です。長期的には、産業の定着によって定住性向高めるという政策は正しいのでしょうが、「いつまでに、何を、どうする」という将来の展望が見えません。島根県の来年、5年後、10年後の姿が見えないのです。知事、島根の将来についてどのような所感をお持ちですか。(知事)

政策の展開方法について象徴的な例をお示しします。築地松景観の保全です。出雲平野の築地松景観を維持存続するとして県は関係市町にかなりの期間にわたって補助金を出してきました。しかし、現在、どれだけの家屋に築地松が残っているのかのをお尋ねしても10年以上にわたって全く調査もされておらず、不明でした。築地松は出雲平野の象徴です。だからこれを残そうとして補助制度を作ったが、マツクイムシで枯れ、どんどん減ってきた。しかし、2の矢、3の矢は放たれない。集落の景観保全の所管は土木部、マツクイムシの防除は農林水産部であってトータルに進行管理をするセクションがないからです。
政策には目的があるはずです。「目標を定め、戦略を立て、戦術を練る。」達成されるもの・成功するものもあれば、できないもの・失敗することもある。時間がかかるものもあれば、いと容易く達成できるものもあるでしょうが、このところ、県政の進む方向が見えません。県庁組織のセクショナリズムが酷い。わたしは「所管病」と呼んでいますが、庁内外にこの病気が蔓延し、政策の連携が図られていません。県政の進む方向が皆に理解されていれば、そういうことはあり得ないことでしょうが、セクション毎に目標が細分、分散され、方向が見えなくなっています。議会の本会議に出席されるようなトップの意識統一は図られているかも知れませんが、課長などとの幹部職員との情報共有が図られているかどうか、疑問に感じるところですが、知事にそのご認識はおありでしょうか。所感をお示しいただきたいと思います。(知事)

小生は、進むべき方向が見えていないから職員に「どうすればできるか」という意識が醸成されていないと思います。知事をオーケストラの指揮者とすれば、職員は楽団員と言うことになります。譜面は発展計画です。しかし、この譜面ではまったく音楽にならないのです。県政のスピード感のなさは発展計画に問題があり、職員が政策の進行管理をほとんど行っていないのは、成果目標を達成するのに進行管理が必要ないからです。二の矢、三の矢を継ぐ必要がないほど、目標数値は温いものだと感じますが、知事はこの発展計画についてどのようなとらえ方をされているのかお尋ねします。発展計画が完全実施されれば、人口減少が止まって、島根は発展軌道に乗るでしょうか。(知事)

例えば、平成21年に海岸漂着物処理推進法が制定され、漂着ゴミ対策に国の予算措置がされたが、3年間の事業期間にされたことは1,2年目は様子見、3年目は予算消化のために海岸のゴミ拾いが公共事業として業者発注された。永らく海岸の美化に取り組んできた漁村や海岸地域の住民が高齢化や過疎化で不足、漁家経営も厳しくなったことが行政へのSOSであり、島根県も国に予算措置を要望してきました。せっかく、法律が制定され、所要の予算措置が講じられたのですが、「予算措置が講じらればこうする」という意志がないために、でたとこ勝負。予算が付いてから、その執行をどうするのかを検討を始めた結果、開始までにまる2年を要したのです。ゴミは堆積するばかりで、地域住民が行ってきた美化活動をNPOなどの設置によって取り組めるかたちもつくられず、挙げ句、業者に公共事業として海岸清掃が発注され予算が消化されました。これでは、何のために法律制定や予算措置を求めてきたのかわかりません。多分、今般の予算消化も同じことがされるに違いないだろうと思うのです。

島根県発展計画によりせっかくの政策企画局が死んでいます。即刻見直しし、県政の現状を改善するために短期、緊急的に取り組む課題とインフラ整備など長期、計画的に取り組む課題を分離し、目標数値の立て方、進行管理のあり方、分析、評価の方法を根本的に改めるべきであると考えます。知事、2期目の任期はあと1年と9ヶ月です。70万人割れを目前になった今日、きちんと結果を出されなければ県民の評価は相当厳しいものになることは必至でありますが、この際、評論家的ではない、政治家としての知事の所感を求めます。(知事)

溝口善兵衛知事答弁(1)

島根の将来について

人口の減少傾向と絡んでの御質問でありますが、その点は後で申し述べますけれども、島根の将来、やはり島根には、島根らしい豊かな自然が残っております。あるいは、今回の出雲大社の大遷宮などに象徴されますように、古きよき文化、伝統、歴史、そうしたものがよく残っております。そしてまた、そういう中で、温かい地域社会が残っておりますし、企業立地などでよく言われることでありますけども、真面目で粘り強く働く県民の方々がおられるということでございます。
これは、大都市で戦後の経済発展の中で失われていったものでありますけども、島根県は発展がやや、いろんな理由でおくれたために、こうしたよきものが残っておるということは島根の強みだと私は思います。
近年、そうしたものに対する日本全体の関心が高くなっております。それは、日本全体がこれまでのような経済発展というような事態がなかなか想定されにくい。大都市の厳しい世界がある。あるいは、近隣諸国が発展することによって、日本を取り巻く環境が変わってきている。そういう中で、人々の考え方の変化も出ております。こういうものを活用して、豊かな島根を築いていく、活力のある島根を築いていく。これが将来に対する私どもの政策の核心にあるものであります。
若干理念的でありますけども、そうした中で、若い人たちが、この島根の中で安定した職を見つけられるように産業の振興を行っていく。そして、若い世代が安定した収入を得ながら、そして安全・安心の島根で安心して子育てができる。そういうことを進めていく必要がありますし、またそうして生まれる子どもたちが、島根のしっかりした教育を受けて、あるいは地域社会の人々に守られながら健やかに育っていく。そして、御高齢の方、高齢者の方々にとっては、安心して老後の世界を送ることができる。あるいは、社会参加をそういう過程でもいろいろやっていける。そういうことを島根において実現をしていく。
さらに、女性の方々もそういう中で社会生活においても一定の役割を演じていく。そういう役割がふえていく。そういうことを県政としては、方向としては目指していかなければならないというふうに思うわけでありますけども、もちろん島根の人口の減少といったものは短時日に起こったわけではないわけであります。長く言えば、明治の近代化の過程で地方部よりも東京などを中心とした大都市の発展が起こりますし、戦後の工業化、近代化といったものがやはり平地の多い、あるいはそうした大都市部で発展をしていくということになって、島根に限りませんけれども、そうした地方部における人口の減少傾向、若い人が少なくなりますから、人口のピラミッドがだんだん垂直になっていく。これを短時日で直すというのは容易なことではありません。
しかし、そういう中にあっても、我々が言わなければいけないのは、それはやはり、日本の発展の仕方と大いに関連してるわけでございますけども、午前中の答弁でも申し上げましたが、そういう国の政策を地方に向けたものにする。分散を可能ならしめるようないろんな施策を展開していく。そういうこともやっていかなければならない。いろんな課題があるわけでございます。もちろん我々自身も大いなる努力をそれに向けてしていかなければならないというふうに考えているところであります。

溝口善兵衛知事答弁(2)

知事と幹部職員との意志疎通について

実は、私のところの内部会議というのは、本当にしょっちゅうあるわけであります。用事がないときは、大体内部会議で埋まっておるわけでありまして、部局長と、あるいは毎週定期的な会合をしますし、終わった後、特定の問題がある部局には残ってもらって、打ち合わせをしたり、指示をしたり、そういうことをやります。また、課長クラスは、私の部屋にはしょっちゅう来られるわけです。案件の説明等を行う場合は、部局長はもちろんでありますけども、大体課長クラス、あるいはGLクラスがやるわけでありまして、私も課長、部長、区別せずに議論をしておるわけでございます。そういう意味で、いろんな情報の共有、いろいろもちろん改善すべき点はあると思いますけども、私としては大事なことであるんで、これにはいろんな御意見もお聞きしながら、さらに対応を進めてまいりたいというふうに思います。
それから、その関連では、私は、幹部職員に言っているのは、人の話をよく聞きなさいと。それから、現場に出なさいと。現場でいろんなことを見てもらいたいということを言っておりますし、それから部局の連携につきましては、関連のある問題については必ず関連部局を呼んで、みんな集まって議論をすることにしておりますし、また課長クラス、GLクラスには特定の問題について研究をしてもらうといったようなこともやっているところでございます。いろいろ御意見がおありでしょうから、またそういう点についてはお聞かせいただければ、また参考にしたいと思います。

溝口善兵衛知事答弁(3)

総合発展計画について

その関連で言いますと、人口の問題でありますけども、大体毎年自然減で3,000人ぐらい減るわけであります。これは自然増が自然減に転ずるのが90年代の初めぐらいでありますけども、これがだんだん拡大をするわけであります。それは、高齢者の方が多くなりますし、若い世代が少なくなるといった人口のピラミッドの変化から来るものでございまして、それは改善すべき、改善し得る道もあります。例えば、子育てをしやすい環境をつくって、女性が生涯お産みになる子どもの数、合計特殊出生率を上げていくといったことがありますが、たまたまでありますけども、昨日、県別のその指標が発表になっております。島根県は1.68でございまして、東京あたりは1.0ぐらいでございます。2になって大体人口が維持されるということになるわけでありますけども、沖縄に次いで第2位ということで、近年のいろんな市町村を始めとした子育て支援の対応等も若干影響を受けてるのかなという気がするわけでございますし、そういう面での努力もしてまいりますし、それから社会増減であります。これは、県外に出る人、県内に入ってくる人、学生なんかが出てまいりますけども、やはり大都市地域で雇用の吸収、新規投資がどんどんなされて雇用がふえていきますと、それに地方から応募するわけであります。島根でも産業誘致を行う、企業誘致を行う、島根の産業を発展させることによって雇用をふやしていく、大事な課題でございます。それに取り組んでおりますが、これにつきましても、景気がいいときは、大企業のほうがよくなりますから、むしろ都市に出ていく人が多くなる。むしろ景気が停滞すると、都市の吸収力が少なくなるんで、むしろ島根の人口減は、社会減は減るといったような関係もあります。いろいろ複雑な要因もありますが、私どもとしては、産業振興、いろいろあります。そういうことを進めることによって、県内の雇用確保に全力を挙げていきたいというふうに思っておるところであります。
それから、総合発展計画に関連して、目標数値の立て方、進行管理のあり方、分析、評価などについての質問がありました。
総合発展計画自身は、3つの目標があって、そして重要な施策、政策は15分野ぐらいにあるわけです。産業振興でありますとか、農業の振興でありますとか、あるいは教育の充実、安全・安心の県土づくり等々ありますが、その中に施策というのが大体66本ぐらいありますが、それも大きな目標でございます。議員がお上げになったような個別の施策は事業ということでございまして、事業としては約700近くあるわけでございまして、これはそれぞれの部署で担当しとるわけでございます。
そこで、どういうふうな評価、見直し、そのサイクルを行ってるかということをちょっとお話をいたしますと、総合発展計画は10年間の計画でありますけども、4年ごとの実施計画をつくっておりまして、今は第2次の実施計画期間中であります。24年から27年度までであります。そうして、その中にいろんな数値目標のものもあります。それがどういうふうに進展してるかというのを、大体夏から秋の段階で政策企画局と関係部局と議論をしながら、データをもとに評価をします。それで、進んでるもの、進んでないもの、それに対して来年どうするかという方向の議論をします。その議論を、大体私のところで秋から年末にかけて重要施策についてやります。そこで、今度年末に、国の予算が決まってまいりますと、県の予算自身が国の予算の影響を受けますから、それがあらかた決まりますと、来年度予算に先ほどの評価、検討を入れまして、来年度予算にどういうふうな対応をしたらいいかという相談をして、その上で予算案ができて、議会に提出されると。議会の承認を得ますと、新年度からやりますが、新年4月の段階では、大体人事異動なんかがありますから、それから比較的時間のあるときですから、その1カ月近くかけまして、新任の部長、課長、新体制のもとで引き継ぎを受けた結果、今年はどういうことに注意してやるか。大粒の問題が中心になりますけども、副知事、そして政策局長、総務部長、それに関係部局の部局長、そして課長、GL等が私の会議室に来まして、一日中議論をしたりする。それによって、今年度はどういう方向を探るかという方向づけをある程度やるわけであります。
さらに、県の施策は国の財源付与にも大きく依存しております。それから、一般財源がどうなるか。あるいは、国がどういう施策を展開するか。そういうことがありますから、重点要望の形で何を中心に国に要請するかということを、我々のそうした議論を通じて整理をしていきます。それで、重点要望を国にもいたします。
それから、夏前の段階、夏から秋にかけまして、さっき申し上げたような、各部局と政策局等で進行状況のチェックをする。そういうサイクルを毎年繰り返しておるわけでございます。これにつきましても、個別の事業につきまして、議員がおっしゃるような点は当然入ってくるわけでございますけども、必ずしも長期的な視点を欠いているといたような問題もあろうかと思います。そういう問題につきましては、また我々のほうでもいろんな御意見を得ながら、しっかりと対応していきたいというふうに考えておるところであります。

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