県議会だより

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平成25年9月定例県議会一般質問(2)

「おもてなし」について

IOC総会で脚光を浴びた「おもてなし」ですが、ビッグコミックオリジナルに連載されている「テツぼん」で、一足早く日本の「おもてなし」が、外国語の概念を離れた独自の響きがあることを紹介しております。
今年の流行語大賞は「おもてなし」だろうと言う人が多くあります。最前までは「アベノミクス」「かつて経験したことの無い」との意見が多かったのですが、オリンピック招致での滝川クリステルさんの流暢なフランス語アピールによって逆転させたのではとの観測が飛んでいます。
外国語訳ができない「おもてなし」とは、どのような概念なのでしょうか。「表も裏もない、相手の立場になって真心で尽くす」と表現できる日本の心で、「心づくし」とか「もてなし」という言葉がありますが、これも同義だと思います。まず、はじめに「おもてなし」という言葉の意味について知事のご認識をお示し下さい。(知事)

さて、島根はどうでしょうか。他所からお越しいただいた来訪者をお客様として温かくお迎えしているでしょうか。道路や鉄道、航空路、航路などのハード面では高速化の遅れや施設の老朽化、維持管理に問題点を見つけることが出来ます。また、道路標識や案内看板、トイレや休憩所、駐車場などの利便施設もまだまだ不十分で、高齢者や身障者への対応は大きく立ち後れています。
出雲縁結び空港は、出雲大社の大遷宮もあって、首都圏からの観光客で大いに賑わっています。出雲空港への乗り入れ航空会社はJALグループで、多くの利用者はJALのマイレージを積み立てて、旅行やショッピングに活用します。ところが、出雲空港でJALカードが使用できないと聞き、わが耳を疑いました。

過去、何度も指摘をしてきましたが、隠岐汽船の窓口ではクレジットカードが使用できません。世界ジオパークの登録で国内のみならず海外からの研究者や観光客が来訪すると見られますが、登録に至ってなお、未だにカード対応は「検討中」とされています。ジェットフォイル就航の26年3月から改善されるだろうとの観測もありますが、運航側の都合、理屈を並べ、一向に顧客サービスの改善を果たそうとしない会社など、指定管理の適格者たる要件を欠いていると思います。事業者に対しレインボージェットの就航を機にどのような顧客サービス向上を求め、具体的な改善についての担保はどうされるのか。また、改善が見られない場合、どうされるのか、知事のお考えをお尋ねします。(知事)

出雲空港も隠岐航路も全てではありませんが、公設民営の運営形態で、県には一定の発言力があるはずであり、上下分離方式で運行管理を委託する一畑電車の駅舎や車両の管理もきちんとチェックしなければなりません。つまり、ハード、ソフト両面での点検が必要でしょう。

「おもてなし」には、季節の食材や産品の開発も欠かせません。例えば、隠岐に行くと、眼前に拡がる青い海があり、島内で牛が放牧されながら、新鮮な魚介類や隠岐牛を提供する飲食店は驚くほど少ない上に必ずしも安いとは言えない現状があります。水揚げした魚介類を本土の市場に水揚げし、逆送するという流通の不合理を一日も早く解消すべきであり、中山間地域や農村、漁村を問わず産直、6次化への対応は県内すべての地域に共通した課題ですが、どのように取り組むのかについてお考えをお聞かせ願います。(知事)

先ごろ、老親と京都に行きましたが、駅や観光地、ホテル、空港などでタクシーの乗車、降車の折に、車いすの利用者を最寄りの車の運転手が介助する様子は自然で、観光地の案内も親切で、とても心地よく過ごすことができ、おまけに、タクシーの中に名刺入れが落ちていたと、帰宅してから2日後に宅配で届きました。まさに「おもてなし」の心でしょうか。
人口の減少で、国内市場は否応なく縮小に向かい、シルバーエイジへの対応と外国人観光客や来訪者の積極的な受け入れは島根の活力を維持・存続させるために不可欠で、それに関わる人材の養成と課題研究と対応を考察する機関が必要です。

そこで、期待するところが島根県立大学であります。過去、同僚議員から、県立大学の改革の必要性について、とりわけ、浜田キャンパスの有り様について指摘がありました。その最たるものが、県立大学で、学術研究にあたる大学院生のほとんどが、外国人留学生で占められ、島根県のシンクタンクとしての役割が期待できないと言う実態であり、政策研究や交流範囲を北東アジアからモンゴルやインド、インドシナ、インドネシア、フィリピンなど東アジアやASEAN地域へ拡大させる必要があると思います。
インドとは中村元記念館の設立により急速に関係が深まったように思いますが、実は60年も前に日印協会の設立に大きく貢献し、永らく会長を務めたのは本県出身の桜内義雄であると在日インド大使のディーパ ゴパラン ワドワ氏から聞きました。
また、昨日、島根大学医学部で歯科系医療のシンポジウムが開催され、モンゴル健康科学大学のドクター17名が来訪されました。昨日はモンゴルとの交流促進に尽くした恒松克巳さんと坪田正氏にモンゴル政府から勲章が伝達されましたが、坪田正氏は「地球のひみつ」のモンゴル語訳本1万冊の贈呈を機に交流促進に尽力され、恒松氏はモンゴル健康科学大学の名誉教授として歯科医療の指導を行い、島根大学と同大学の交流を橋渡しをされ、今春、島根大学医学部口腔外科の島田浄治教授がモンゴル健康科学大学に客員教授として招聘されています。
特命全権大使ソドブジャムツ・フレルバータル氏が同席された夕食会の席上、島根大学の小林学長は島根大学にはモンゴル健康科学大学から受け入れた医学生は40名に上っていると述べ、モンゴル健康科学大学のバザール・アマルサイハン副学長は来訪したドクター全員が日本語を理解すると述べ、ソドブジャムツ大使は日本とモンゴルは今後5年の間にアジアで最も関係の深い2国関係を構築するだろうと挨拶されました。
県立大学と言うからには、島根県にとって有為な人材養成機関でなければなりません。次なる時代に必要な人材を育てるためには、常にアンテナを張り、時代を見、必要な対応が出来る経営者、指導者でなければ、大学の運営は難しいのであります。10年1日のごとき対応を続け、現状は、単に、地元に存在する大学というだけのものでしかない県立大の様は極めて憂慮すべき状況であり、早急に今後の方向性を検討する組織を立ち上げ、大学の抜本改革に着手すべきであります。
県立大のあり方を根本的に見直しし、「どのような人材」を「どのように育成するか」そのためには「どのような要素が必要で」「どのような学科・組織が必要か」を徹底して検討し、必要であれば、人事の一新や特命職員の派遣も考慮すべきと考えますが、知事のご見解を伺います。(知事)

溝口善兵衛知事答弁

「おもてなし」について

おもてなしは、もてなすという言葉が名詞化されてもてなしになり、それに「お」が丁寧語で相手を尊重するということでついて、おもてなしになったんだというふうに理解をしております。近年使われますのは、やはりそういう中で、相手をもてなすということでありますが、相手の立場に立って、相手が気持ちよく感じる、そういうふうにするために親切に丁寧に、かつ大仰でなく自然な形で応接をする、応対をする、あるいは歓待をする、そういうことだろうというふうに思います。

溝口善兵衛知事答弁

隠岐汽船の顧客サービス向上について

隠岐広域連合は、今年の3月に、レインボージェットの指定管理者であります隠岐汽船との間で、就航率の向上に加えまして、次のようなことを整備するよう求めております。1つはクレジットカード決済の導入、インターネットによる予約決済の導入、それから座席指定の導入、ホームページの外国語表記化などについて、できることから順次整備をするということを求めております。隠岐広域連合からは、これらの状況について次のように聞いております。まず、クレジットカード決済、ホームページの外国語表記化は来年の3月までに実施をする、それからインターネット予約も来年の3月までの導入を検討すると、それからインターネットによる決済は平成27年3月までの導入を検討中であると、それから座席指定は来年の10月までに導入の可否を決定をすると、こういうふうに報告を受けております。
隠岐広域連合では、こうしたサービスの向上策について、外部有識者を入れた評価委員会で評価をして、改善が必要と認める場合には指導助言をするというふうになっております。県もこの評価委員会に加わりまして、具体的に提言をするなど、サービス向上に向け、地元隠岐4町村と一緒になって取り組んでまいります。

溝口善兵衛知事答弁

産直、6次産業への対応について

島根の豊かな食材を観光客の方、地元の皆さんに味わってもらうということは地域の魅力づくりにとって大変大事なことであります。そのためには、地域の食材を販売する、提供する場づくり、安定供給に向けた仕組みづくり、新たな商品開発などが必要であります。こうした課題に対応する上で、産直及び6次産業化は有効な手法の一つと認識をしております。県としても、市町村や生産団体などと連携して、県内各地で産直や6次産業化を進めることで、おもてなしの充実に向けた取り組みを支援をしていきたいというふうに考えております。

溝口善兵衛知事答弁

県立大学のあり方について

県立大学のあり方につきましては、例えば議員もお触れになったわけですけども、近年における日本の経済社会の変化、あるいは雇用情勢の変化、さらに国際的には、日本を取り巻く東アジアの情勢などに大きな変化があり、こうした中で、県立大学の役割も見直すべきだという意見があります。よく承知をしておりますし、我々も何ができるか、どうすべきか、県立大学とも意見交換などもしております。
他方で、県立大学の浜田キャンパスは、前身の国際短期大学、開設は平成5年でありますけども、その後を受けて、北東アジアなど国際的分野の教育、研究を中心に設立をされ、また平成12年の4大化後は総合政策学部として、地域経済に関することも重要な学問分野として取り組んできておるところであります。国際分野につきましても、中国の研究あるいは韓国の研究といった研究だけでなく、海外に短期留学をして海外の様子を見る、あるいは語学の勉強をする、あるいは交換留学生として実際的な海外生活もする、そして語学の研修なども大学で強化をする、より実践的な人材の育成に力を注ぐということも近年かなり行われておるわけでありますけども、もちろんそれで十分でないという意見もあります。ただ、こうしたことから、県立大学は県外からたくさん来られるわけです。むしろ県内のほうはなかなか推薦の枠が満たないというなこともあって、県外の方々がいい大学だからということで来られる。それは、卒業生がやはり例えば県外の大企業などに就職する率が非常に高い、就職率も高い、それが日本における大学の中で県立大学の評価が上がり、それで優秀な人たちが来る、来るからまた就職もよくなる、そういう面がありますから、その面をどういうふうに生かしながら議員がおっしゃったような問題に取り組むかという問題もあるわけです。
それともう一つは、国内あるいは地域とのかかわり合いでありますが、それも岡本議員が御紹介になりましたけども、総合政策学部になり、先生方もそういうことを専門にやられる先生方もふえたりして、学生も中山間地域などに入りまして地域の方々と協働して地域振興をやられる、かなり進んでおるわけであります。そういうこともありまして、これも岡本議員の質問にありましたけども、センター・オブ・コミュニティー、COCの事業に島根県は島根大学と県立大学が2つ選ばれたわけであります。2つ選ばれたような県というのはそれほど数が多くないわけでありまして、県立大学の地域における活動も全国レベルで見れば非常に高いということなんですね。
だから、国際的にも非常に高くて、県外の学生がたくさん来る、これは大事なことだと思うんです。県内だけでは来ません。現実にそういう状況になってるわけでございます。だから、そうした県立大学の役割、今ある活動、そういうものをやっぱり総合的に見ませんといけませんし、こういう問題につきましてはいろんな意見があるわけであります。我々もいろんな意見を聞くわけであります。そして、県立大学の運営につきましては、公立大学法人評価委員会があって、そこでもいろいろ御議論をなさる、あるいは地元や民間会社の方々で構成される経営委員会なども活動を見ておられるわけで、我々もそういう方々からも意見を聞きます。そういう意味で、県内にもいろいろ意見がありますし、議会にもあります。そういうものを総合しながら、これまでの経過あるいは今の県立大学が持ってる魅力、力、そういうものも総合的に勘案しながら、議員の言われたような問題に取り組んでいきたいというふうに考えておるところであります。

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