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私は、何度も「『小才は縁に気づかず』『中才は縁を生かさず』『大才は袖擦り合う縁まで生かす』」という柳生家の家訓を紹介し「調査・分析・企画・行動・評価」の5サイクルによる戦略的な政策実施の必要性を述べてきました。
JTB広報室によると、今年は遷宮の年に当たる伊勢、出雲に若い女性が押しかけており、近鉄の観光特急「しまかぜ」のプレミアムシートやJRの寝台特急「サンライズ出雲」は連日満席だとしており、いま、「出雲ガール」「伊勢女」との形容がされています。
実は、この現象を裏付ける興味深い調査があります。楽天グループの結婚相談所・オーネットは5月17日~19日、インターネットで全国の20~59歳の一般独身女性計489名を対象に行った「独身女性とパワースポット」アンケート調査の結果を発表しました。
パワースポットを信じるか否かについては、肯定が56.0%、否定が12.1%で、神社や寺院での願い事は「交際相手を見つけたい」「結婚したい」が上位で、行ってみたいスポットの1位は、日本一の恋愛成就の神社として名高い「出雲大社」が48.9%、2位には、年間参拝者数が800万人を超える最高峰の神社「伊勢神宮」が41.1%で、まさに「出雲ガール」「伊勢女」と言う呼称が付くほどに若い女性の支持が高く、2つの神社の遷宮が重なる2013年は両神社への参拝者数が例年よりも増えると予測しました。ちなみに、3位「屋久島」、4位「厳島神社」、5位「マチュピチュ」、6位「熊野古道」などであります。
「パワースポットはお願いをするところ」という人はわずか15%弱で、「心身が浄化され、元気になるところ」とする人が60%を占め、特に、「心のよりどころ」と回答した20代独身女性の全員が「恋人がいない」とし、ひとりで不安な気持ちや、頼ることができないプレッシャーの緩和をパワースポットに求めていると考えられると分析しています。
先日の代表質問の答弁に、いま首都圏やネット上で展開されているDAIGOと高橋真麻の「運は一瞬・縁は一生」の観光PRが、調査結果の分析から発したものとの答弁を聞き、徹底して2の矢、3の矢を継ぎ、1年を通じた観光商品の造成と受け入れ体制の整備を継続すれば、島根の観光は大きく飛躍する可能性があると思いました。
米子空港のスカイマーク便就航のニュースはちょっとキシャガワルイのですが、しかし、この圏域の交流手段が飛躍的に拡大することは間違いありませんから、ここは、徹底して「取り込む」準備をすべきであります。それには、追い風が吹いている「今」、徹底した島根の売り込みを図るべきであり、全組織が一丸となって「島根からの発信」という意識を持つことが欠かせないと感じます。
ところで、島根県は、国民の歴史文化への関心を高めることを目的として、三重県・奈良県・島根県・宮崎県と共同で、古代歴史文化に関する書籍を表彰する「古代歴史文化賞」を創設し、9月9日、東京都で審査会を行ない、第1回の古代歴史文化賞を発表しました。
授賞式は11月17日に東京のよみうりホールで「日本の始まり 出雲・大和・日向・伊勢」とするシンポジウムとバイオリニストの川井郁子さんのコンサートにあわせて行う予定とのことです。しかし、せっかくの報道発表が、東京五輪の開催や隠岐の世界ジオパーク選定のニュースに隠れてしまったのは残念でした。
考えて見て下さい。9月7日(日本時間では9月8日朝)は、アルゼンチンのブエノスアイレスでIOC総会が開催され、2020年のオリンピック、パラリンピックの開催地を決める委員投票が行われ、立候補している東京、イスタンブール、マドリードの3都市からいずれかが選ばれる日で、世界中の報道、メディアの注目が集中することは容易に予測でき、また、9月9日が新聞休刊日であることを考えあわせれば、9月10日の新聞紙面はオリンピックの報道記事で埋まることは誰でもわかることです。
また、同日、韓国では隠岐諸島の世界ジオパーク登録を審査するユネスコの関係機関会議が開催されており、登録が決定すれば、オリンピック招致のインパクトはおよばないものの、島根県にとってはビッグニュースとして発信できる題材で、事実、9月10日付の山陰中央新報1面トップは「東京五輪」ではなく「隠岐ジオパーク登録」でした。
小生がこうした指摘をすると、島根県の関係者は全国紙に取り上げられているとか、TV放映されていると反論し、また、「授賞式のニュース発信で巻き返し」と言うに違いありません。しかし、イプシロンの打ち上げの例を出すまでもなく、2度目はニュースの鮮度が低く、扱いは半減します。古代歴史文化賞には商工労働部も一定の関与をしているように聞きましたが、そうであれば、もっと、マスコミやメディアに対する戦略を教育委員会と共有すべきだったと思います。現実、県庁の広報セクションに県のイメージアップや戦略的広報という意識があるとは感じられず、対外広報のケーススタディの蓄積は観光PRを手がけている組織にようやく少しあるという程度です。
9月9日、10日で、古代文化賞のニュースが電波、活字でどの程度取り上げられたのか把握しておられれば、お示しいただき、今後、古代歴史文化賞の広報についてどのような視点で取り組みされるのかお示し下さい。(教育長)
もちろん、古代文化賞は優れた古代史研究の著述を顕彰することが主なる目的で、メディア報道はあくまで、それを周知する手段かも知れません。しかし、従たる目的には、古代史研究を通じて、島根のイメージアップがあると思うのです。また、賞の権威や重みには、報道の有無、扱いの大きさと全く無関係とは言えず、受賞された方々の露出が栄誉には欠かせないものであると思います。
改めて、この古代文化賞のめざすところをお尋ねするとともに、今後、続けていくためには、賞の権威づけが必要であり、また、「古代史研究を一般にわかりやすく」と言うのであれば、学会のみならず社会的評価を高めることが必要不可欠であります。しかし、今回の取り組み状況を見れば、準備不足の観は否めないところであり、今後はいかなる取り組みをお考えになりますか。(教育長)
島根県の広報下手は今に始まったことではありません。竹島関連の会議の開催周知ひとつ取っても、電波や活字で全国に発信されることは微弱、僅少です。そして、今回。島根県が全国で認知度が低いのは、他地域に比較して魅力が少ないわけではありません。情報発信に対する「意識の低さ」にこそ原因があると思います。
取り組む事業の一つ一つを関係者だけではなく、広く県民一般や全国の人々にどうすれば効果的に広報できるかを日頃から徹底的に意識することで、大きく変わると思います。その萌芽は、観光セクションの取り組みに見られるものの、古代歴史文化賞に見るまでもなく、職員の意識は極めて低い現状ですが、必要性に対する知事の認識、意識改革の断行の有無についてお尋ねします。(知事)
│掲載日:2013年09月25日│
島根県が取り組む事業を効果的に広報するということは大変大事なことであります。私自身、常々言っておるんですけども、事業の中身を詰めて計画をつくる作業、サブスタンスですね、それと同じぐらいのエネルギーと工夫の努力を、事業を広報する、人に知らせる作業に使わなければならないと、そのぐらい大事なもんだということを、幹部職員などにはいろんなところで言っております。それの一番いい道は、やはり先進事例をよく見たり聞いたりして、それをおくれている島根が取り入れるとか、それから実践の中でそういう経験をする人たちをふやすということだというふうに思って、いろいろ努力をしてるところであります。また、そういうことで、若手職員などには2年前から、例えば情報発信に関する職員研修などもやっております。
最近の状況を見ますと、多くの職員が、産業振興でありますとか島根の物産のPRでありますとか、あるいは島根が行ういろいろ事業をやりますけども、そのPR、広報、さらに特に最近では観光に関するPRいろいろやっています。そういう中で、実践的なことに関与をして、そういう中で広報のノウハウを蓄積したり経験を積んで、かなりそういうことができる人たちがふえてるように思います。いろんな説明会などでもそうであります。
今般の歴史文化賞なども、芥川賞をやられた文芸春秋社の職員であった人に何度も何度も教育委員会の職員が聞きに行きまして、やり方、広報の仕方、記者の集め方、いろいろやったりしたわけですが、議員が御指摘になったところまでは注意が行かなかったということは残念でありますが、こういうことを経験して、さらにスキルと申しますか、蓄積と申しますか、そういうものをふやす努力をしていきたいというふうに思います。
古代歴史文化賞は、御案内のとおり、9月9日、選定委員会で受賞作が決定をされました。大賞には都出比呂志さん、「古代国家はいつ成立したか」ほか、共催をやりました4県の地域賞、4つの作品が選定をされております。
この賞の決定後、9月9日、10日でニュースでどういうふうに取り上げられたかという御質問でございます。
大変、御質問にございました、こう言うに違いないという答弁で申しわけございませんが、まずテレビでございますが、NHKの全国ニュースで放映をされております。それから、ローカルニュースで3局放映をされております。それから、新聞でございますが、全国紙で4紙、全国社会面で取り上げていただいております。地方紙が4紙掲載をされました。それから、インターネットで地方新聞社37社に配信がされております。9月9日、10日は以上のような状況でございます。
今後の広報についてのお尋ねでございますが、この賞につきまして、一層県内外のあらゆる世代の多くの世代に知ってもらうことが大切だというふうに思っております。このため、1つには、観光部局と連携をいたしまして、御紹介もございましたが、11月17日、それから12月には島根のほうでも表彰記念事業を開催をすることにいたしております。それから2つ目に、新聞社、出版社、書店への働きかけ、現在もやっておりまして、今後、全国紙あるいは雑誌等の定期刊行物等で関連記事が文化欄等で掲載をされるというふうに聞いております。それから、東京、大阪、島根の各書店で、特に東京の紀伊國屋書店等でございますが、この賞のフェアを開催してもらうという計画になっております。
なお、この賞の選定委員会の日程について御指摘がございました。御指摘のありましたように、9月9日、大きなイベントと重なったということ、この点につきまして、この賞のPR効果という面で配慮が不十分であったというふうに認識をいたしております。今後はこうした点に十分留意をしてまいりたいというふうに考えております。
それから次に、古代歴史文化賞の目指すところは何かという御質問でございます。
近年、国民の間で、日本という国家の成り立ちについて関心が高まってまいりまして、古代や神話関係の本が数多く出版されるようになっております。また、昨年の古事記編さん1,300年に合わせた事業、またことしの出雲大社の遷宮などによりまして、国民の古代や神話への関心が高まっております。また、何よりも島根への関心も高まっております。こういった高まりを持続させていく取り組みが必要であるというふうに思っております。こうしたことから、古代歴史文化に関連の深い三重県、奈良県、宮崎県と共同で、学術的基盤に立ちながらわかりやすく書かれた本を表彰するというこの古代歴史文化賞を創設をしたところでございます。この賞によりまして、古代文化への関心がさらに高まり、豊かな歴史文化に恵まれました島根にも興味関心を持つ方々がふえることを期待をしてるところでございます。
今後の取り組みでございますが、賞の社会的評価を高めるための今後の取り組みにつきましては、何よりも多くの方々にこの賞を知ってもらい、受賞作を読んでいただき、そのよさを認識してもらうということが大切だというふうに思っております。このため、先ほども申し上げましたようなメディアへの働きかけ、それから観光キャンペーンなどと連携した事業の展開、PRを行ってまいります。また、できる限り多くの本が審査の対象として推薦をされ、この賞にふさわしい本が選定されるように、推薦、選定のやり方につきまして、各方面の御意見も聞きながら工夫、検討を重ねてまいりたいと思っております。
先ほど知事からもありましたように、この賞の準備に当たりましては専門家の意見も伺いながら準備に努めてきたところでございますが、今回は初回ということもあり、日程調整など準備に不十分な点もあったと思います。今後、こうしたことを十分に踏まえまして、広く国民に応援していただけるような賞になるように取り組んでまいりたいと思います。