県議会だより

Reports

平成25年11月定例県議会一般質問(3)

乳幼児医療などについて

現在、高齢者の医療費は70歳~75歳が高齢者医療制度によって自己負担が原則2割、75歳以上の高齢者が後期高齢者医療制度によって原則1割と決められていますが、0歳~6歳までの乳幼児の医療費は原則2割となっています。島根県では乳幼児の医療費について自己負担を軽減するため1割相当分を県が単独で補助していますが、全国の乳幼児医療負担軽減対策および県内市町村の状況についてお尋ねします。(健康福祉部長)

例えば、島根県内で出雲市や大田市、邑南町から益田市や隠岐の島町へ転勤すると小児の医療費負担が大きく異なる現状について適切だと思われますか。同じ県民でありながら生まれた地域、住む地域によって給付水準が大きく異なることは不合理で、せめて県下で均一の水準となるよう、あるいは近づけるよう努力すべきだと思いますがどのように考えますか。(健康福祉部長)

近頃増加傾向にあると言われる発達障害についてお尋ねします。まず、発達障害についてご説明いただくとともに県内の発達障害の状況についてどのようにとらえていますか。仄聞するところでは、近年、発達障害が増加していると聞きます。徳島大学の宮崎臨床教授によると、要因のひとつは少子化にあるとのことであります。従来、家庭や地域で異年齢の子供達が毎日の接触によって社会性を身につけ発達障害を自然に克服していたものがなくなってきたからだとのことであります。また、発達障害の診断は脳の前頭部位の発達が終了する満5才での健診が極めて有効と言われますが島根県の状況についてお知らせください。(健康福祉部長)

発達障害は早期に発見して適切な支援をすることによって克服できるとされています。仮に少子化で発達障害が増加するとなると看過できないものとなりますが、島根県での取り組みを深化させる必要性についてどのように考えますか知事の見解をお尋ねします。(知事)

溝口善兵衛知事答弁

5歳児健診について

発達障がいの診断に対する5歳児健診の有効性は報告をされておりますけども、国のほうは、聞いてみますと、どうすべきかということについて、まだ考えをまとめておられないようであります。やはり実施に当たってのスタッフの確保とか、支援体制の整備なども課題になってるんだろうというふうに思いますが、私どもとしましては、国の考え方をよく聞きながら、そして市町村、医療機関など関係の方々の意見も聞きながら、よく研究をまずしなければならないというふうに考えておるところであります。

原仁史健康福祉部長答弁(1)

乳幼児医療の軽減について

全国全ての都道府県で乳幼児医療費の負担を軽減する制度を設けております。しかしながら、対象となる年齢や所得制限、自己負担額等につきましては、都道府県によってさまざまでございます。例えば、中学校卒業までを対象とし、所得制限や自己負担もなしとする県もありますれば、3歳未満を対象とし、所得制限や自己負担を設けている県もございます。
島根県では、小学校就学前の乳幼児を対象に、自己負担は原則1割とし、さらに1カ月ごとに入院で2,000円、通院で1,000円、薬局で0円という上限額を設けております。なお所得制限は設けておりません。
また、県内の大半の市町村におきまして、この県の制度に上乗せする形で、独自の制度が設けられております。例えば、対象について見ますと、小学校3年までというのが1市、小学校卒業までというのが3市、中学校卒業までというのが10市町ということになっております。自己負担につきましても、入院通院ともなしとしている市町村が多うございます。
基本的に、医療費のような基本的なサービスは、地域間に格差があるというのは適切ではないというふうに思います。全国どこでも同じ負担で受けられるよう、国において、全国の実態を踏まえた一律の制度とすべきというふうに考えます。そのような観点から、県の重点要望でも、国に対し、そういうふうな見直しを要請しているところでございます。

原仁史健康福祉部長答弁(2)

発達障がいについて

発達障がいは発達障害者支援法におきまして、主に3つの類型が定義されております。
1つの類型としましては、自閉症、アスペルガー症候群、広汎性発達障がいというグループですが、これは視線を合わせて会話ができなかったり、話の文脈が理解できず、言葉どおりに受け取ってしまい、トラブルを起こしてしまう、そういった社会性やコミュニケーション能力などに障がいがあるものでございます。
2つ目の類型としまして、学習障がい、LDと言ってるものでございますが、これは全般的な知的発達におくれはありませんが、読み書き、計算などの特定の領域だけが全体の能力に比べて極端に劣っているもの、そういう状態でございます。
それから、3つ目の類型としましては、注意欠陥多動性障がいと、ADHDと言われているものですが、これは極端に忘れ物が多かったり、じっと席に座っていることが難しいなどの特徴を持つものというふうにされております。
これらはいずれも脳機能の障がいでありまして、通常低年齢において発現するものというふうにされております。
発達障がいの診断は、症状が多岐にわたっておりまして、年齢によっては、発達障がいであるとなかなか確定診断をすることが難しいというような特徴がございます。したがって、正確な数字の把握は困難ではございますが、本県の1歳6カ月児健診におきまして、発達、行動、言語等で診察所見があった子どもの割合は、平成18年から20年度の3カ年平均が4.4%、これに対して、平成21年から23年度の3カ年平均が5.3%で、0.9ポイント増加しております。
それから、3歳児健診のほうですが、これでも同様に、そういうことを見ておるわけですが、この3歳児健診では、平成18年から20年度の3カ年平均が5.8%、平成21年から23年度の3カ年平均は4.9%ということになっておりまして、数字上は0.9ポイント減少しているという状況にあります。
それからまた、県の教育委員会におきまして、平成25年度に独自調査というのが行われております。通常の学級、いわゆる特別支援学校とかを除いた通常の学級でございますが、通常の学級に在籍している児童生徒のうち医療機関において発達障がいの診断を受けた子どもと、これに教員がその可能性があると判断した児童生徒を加えた人数は、小学校で全体の4.8%、中学校で全体の3.5%という調査結果が出ております。
さらに、県内2カ所に設置している発達障害者支援センターにおきます相談の実人数は、平成19年度が762人であったものが、平成24年度は1,137人となっておりまして、この5年間に1.5倍増加しております。
発達障がいにつきましては、早期発見、早期支援の観点から、発達障がいの捉え方が広がってきたことが1つあります。それから、発達障がいというものが広く社会的に知られるようになってきたということもあろうかと思います。そして、胎児の生育に影響を及ぼす母親の行動様式、たばこを吸うとかそういったことなんですが、そういう母親の行動様式や生活環境というものが変化してきたこと、こういったことなどさまざまな要因が絡み合って増加してきているのではないかというふうに言われております。
発達障がいは、その種類や子どもによって症状が明確になる時期が異なっているというふうに言われております。例えば、広汎性発達障がいですと、2歳ごろに大体見えてくると。注意欠陥多動性障がいですと4歳ごろ、そして学習障がいですと、集団生活が開始された後というようなことが言われております。
国の厚生科学研究班の報告によりますと、3歳児健診で発達障がいに気づくことには限界があると。3歳児健診から就学までの間に5歳児健診を実施することは、発達障がいの発見に有用であるとの知見が示されているところでございます。
また、この5歳児健診では、時間をかけた丁寧な診察や集団遊びでの行動観察を行うような必要がございます。健診を少人数で実施することが適当であるというような考えも示されているところでございます。

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