県議会だより

Reports

平成25年11月定例県議会一般質問(2)

人口減少対策について

島根県は全国に比べて合計特殊出生率が高いと報道されていますが、実は人口減少により分母が小さくなっているという一面があります。まず、平成24年の出生数(率)と本年の見通しをお尋ねします。島根県の出生数は昭和22~24年頃のピーク時と比べるとほぼ7分の1になっていますが、出生数低迷の一番の理由は何であるとお考えですか。(健康福祉部長)

小生は、たくさんの要因の中で、いちばん大きな理由は婚姻が進まないからだと考えます。婚姻が進まない理由には雇用の劣化をあげる向きがありますが、高度成長期から一貫して婚姻率も出生率も漸減しており、「生命の継承」という役割、生物の摂理を離れた多様性や自己実現などといった自分本位の価値観によって結婚や出産を否定する流れを感じます。結婚や子供を為すという「あたりまえ」ことを教育の必要性を強く感じるのですが、知事はこのことについてどのように考えますか。(知事)

政府は消費税の増税を機に子育て支援の充実を言います。保育所と幼稚園を一体化させてこども園とする方向を示しました。しかしながら、一般的に幼稚園の保育料は一定額ですが、保育所の現状は世帯の収入によって保育料が異なるなど依然として子育て支援施設と言うより就労支援施設の考え方のままです。平成21年の保育指針第3章の改訂によって保育所は幼稚園と同じように幼児教育施設としての取り組みが付加されたことを考えれば、幼稚園から保育所にニーズが移行することなど自明です。「婚姻を勧める」婚姻対策を進めるためには婚活の支援や妻帯者への財政支援、税制優遇など広範な政策出動を考える必要があると思いますが、今後島根県としてどのように考えますか。(知事)

溝口善兵衛知事答弁

子を為すなすことに対する教育の必要性について

人間に限らず、生き物は子孫をつくってずっと先祖から続いておるわけでありまして、生き物の一つの特性として体の中にそういう機能が組み込まれておるわけでありまして、しかしそういうことはなかなか個人個人にとりましては、当たり前のこと、あるいはそういうことが大事なこととか、そういう面は個人個人によっていろんな差があるでしょうね。
それから、時代の変化によってもそういうことが異なってきます。やはり経済が拡大をしておる、生活が豊かになっていく、そういう初期の段階などにおいては、子どもをなすということもふえてまいりますが、人間の場合は成熟した社会になってきますと、個人個人が自分の生活を楽しみたいと、そういった部分も大きくなってくる。そうすると、結婚をして子どもをつくるというような意識が後退をする。一時期、アメリカなどでは、ダブルインカムノーキッズというようなことが言われたことがあります。結婚はするけれども、子どもはつくらずに、夫婦で楽しもうと。こういうことがありますし、そういうことは変わるわけであります。
ただ、日本の現状を見ますと、今出雲大社が縁結びで大にぎわいでございますけども、特に若い女性の方々が縁結びを願って来られるわけであります。これもかつてないような大きな変化であります。キャリアウーマンの方々は組織の中で仕事をしていこうというような考えでありましたが、最近はやはり経済の先行きが不透明であるとか、いろんな要素から、いい伴侶を持って、いい家庭を築いて子どもを育てていこうと。そのためにはやはりいい縁が大事だというような考えにつながってる面があろうと思います。
そういう意味で、人によっても違いますし、時代のあれによっても変わってくるもんでありますけども、しかし生き物としては、やはりそういうものがふえていくということが大事な要素でありますから、なかなかそういうことに個人個人が気づくというのは難しい問題でございますけども、教育の中、その教育も家庭の教育、お父さん、お母さんが和やかに家庭が円満であると、自分もそうした家庭を築きたいということに自然に気づくでしょうし、あるいは隣近所を見てということもあるでしょうし、社会的なこともあるでしょうし、そしてまた学校でも、そういうことをある程度意識するような教育も必要だろうというふうに考えておるところであります。
また、少子高齢化が進み、人口が減っていくという時代でありますし、また議員のような考え方から、そういうものを、婚姻が進むように国が支援をする、あるいは子育てを支援するということもありましょうし、いろんな理由がありますが、私はやはり、婚姻が進んでいく、そして子育てがしやすい、そういう社会をつくっていく、そのためのいろいろな施策を展開するというのは今の時期に必要なものだというふうに考えております。

原仁史健康福祉部長答弁

出生数の推移等について

平成24年の島根県の出生数ですが、5,585人で前年を若干上回りました。合計特殊出生率は1.68でございます。全国の数値が1.41ですので高い値で推移しているという状況です。
本年の見通しですが、ことしの11月1日現在の島根県推計人口月報によりますと、1月から10月末までの出生数は5,070人でございます。昨年同期の出生数と比較しますと、42人の減少となっております。これを年間に換算しますと、5,546人ということになります。昨年の数字と比べますと39人の減少ということになりますが、こういうふうになりまして、合計特殊出生率の見込みとしては1.69という数字がはじき出されております。
出生数が低迷している要因は、主としては、3つ大きなものとして考えられるんじゃないかと思います。
1つは、親となる若い女性自体が減少しているということ。それから、未婚、晩婚化が進行しているということ。それから、雇用環境とかも影響しますが、子育てへの不安感とか負担感が増してきているというようなことが言えるんじゃないかなと思います。
島根県が行いました少子化に関する意識調査によりますと、未婚、晩婚化の要因としては、適当な相手にめぐり会わないというのが最も多うございます。次いで、自由や気楽さを失いたくない。今は仕事に打ち込みたい。結婚の必要性を感じないといった個人生活を優先する理由が挙げられております。このほか、結婚資金が足りない、あるいは経済的な余裕がなくなるといった経済的な理由も挙げられているところでございます。
基本的に保育所は、日中の子どもの生活全般を世話をする児童福祉施設というふうに位置づけられておりますが、結果的に親は安心して保育所に子どもを預けて就労することができるということになりますので、本来的な機能として、就労支援機能を持っているというふうに位置づけられており、子育てに対する社会支援が必ずしも十分ではない点もあると思っております。

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