県議会だより

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平成26年島根県議会2月定例会一般質問(1)

観光振興について

私は2月12日の本会議で明らかにされた溝口知事の施政方針ならびに提案されている平成26年島根県一般会計予算など知事提出第1号から第21号の予算案に関連するいくつかの事項についてお尋ねいたします。
ただいまソチオリンピックが開催されています。力を出し切った選手があれば、力が出し切れず思ったような成績が残せなかった選手、悲喜交々の光景があります。4年に1度しか開催されない大会の、しかも、たった3つしかないメダルをめざして、しのぎを削り、栄光を手にした選手のコメントはいつも感動的です。
全身火傷で瀕死の母が残した日記の「『いまこの時を頑張れ。絶対お前は世界一になれる。おまえがどん底から這いあがってくるのを楽しみに待っているよ。』という言葉を支えに、リレハンメル五輪の団体銀メダルから20年、7回目の五輪で日本選手団の主将をつとめ、個人、団体のメダルを獲得してソチ五輪で一際輝きを放った、葛西紀明選手の活躍に象徴されるように、修羅場をくぐり抜けたアスリートの言葉には重さがあります。
勝負に勝つということは「乗り越える」ということであり、それは、向かい合う相手のみならず、「自分自身に打ち克つ」ことでもあり、鍛錬を重ねて初めて到達できる領域なのでありましょう。
さて、少子高齢化が進行し、人口減少が続く島根県の知事をはじめとする職員各位。葛西選手の母君からの言葉を自らにあてたものと置き換えて、ことにあたろうではありませんか。
まず産業振興についてであります。観光振興についてお尋ねします。
昨年は5月に斎行された出雲大社の本殿遷座祭、いわゆる大遷宮によって全国津津浦々にまで「出雲」が発信され、過去最高となる多くの観光客にお越しいただきました。本県の観光振興施策は平成22年度にスタートした神々の国しまねプロジェクトが25年度で終了し、島根の観光は「神々」から「ご縁」にテーマを移行して、新たなステージを迎えます。
さて、知事は島根の観光がめざす方向は何であるとお考えになっていますか。
観光立県条例には島根の魅力を「時空を超えた営みが放つ輝き」としていますが、それは、美しい自然景観のみならず、連綿と続く風俗・習慣であり、海、山、野、川、湖から産出される食材をこの地ならではの歴史がつくり育てた食の豊かさにあると思います。
そこで、お尋ねするのですが、平成26年度から取り組もうとしている観光振興施策の力点およびターゲットとして展開する市場や対象について具体的にお示し下さい。また、前年比26%増と報告されているものの、依然として全国47位に低迷している外国人観光客の誘致について、どの地域を対象にした売り込みを図り、どうするのか、また、そのためにはどのような受け入れ準備や施設整備、地域連携等が必要と考えているのかお尋ねします。また、MICEと表されるコンベンションや企業旅行、展示会などへの取り組みについてもお尋ねします。
私は、現在、隠岐広域連合議会に議席を有するため、時々、隠岐に出かけますが、旅館、ホテルは言うに及ばず、土産品店や飲食店などの観光関連産業に元気を感じません。隠岐を訪れる観光客数は順調な延びを見せている本土地域とは裏腹に減少の一途であり、ホテルの客室数はここ10年で半減しています。世界ジオパーク登録やレインボージェットの就航を契機に反転攻勢を図る必要がありますが、それには、1にも2にも隠岐汽船の運賃低廉化にかかっており、隠岐の活性化のためにも国に対してあらゆる方策を尽くし、JR並の移動コストを実現すべきと考えますが、ご見解をお伺いいたします。

溝口善兵衛知事答弁

島根の観光の目指す方向について

島根県には、豊かな自然、そして神々の時代から連綿として受け継がれた文化や歴史、そして、そうした地で育まれた穏やかな人々、そして豊かな地域社会が残されておるわけであります。こうしたものは、戦後の経済発展の過程で大都市部におかれては失われていったもんでございます。そういう意味で、いわば発展がおくれたがゆえに、そうしたものがたくさんこの島根に残っておって、そして時代とともに日本の経済社会が成熟化することによって、そういうものに対する価値を認める、あるいはそういうものが大切だという人々がふえておるわけでございます。これが島根の魅力であるわけでありまして、これを観光にも生かしていくということが私どもの目指す方向でありますが、この点は平成20年3月に定められました県の観光立県条例の中にも書き込まれておるわけでございます。こうしたこと、こうした方向で観光振興をさらにPR、キャンペーン等々を行っていきたいというふうに考えております。

溝口善兵衛知事答弁

隠岐汽船の運賃の低廉化について

私は、ほかの人もそうですけども、隠岐航路は国道のようなものであり、動く国道だというふうにみなすべきではないかと。離島が近ければ橋をつけることができるわけでありまして、橋は国道になるわけであります。遠いから船で、フェリーで運ぶと、こういうことでありますから、基本的に国道と似たような考えで対処する必要があるというふうに考えております。離島振興法におきましても、そういう人、物の移動費用の低廉化ということが明記をされておるわけであります。県といたしましても、議会と一緒になりまして重点要望などにおきまして離島航路に対する補助制度の充実を要請をしてきておるところであります。今後も引き続き、国に対してこうした働きかけをしてまいりたいというふうに思います。
航路についても助成がないわけではないんです。特に瀬戸内海などの近いところの航路等につきまして、一定の要件のもとに助成がなされたりしておるわけであります。隠岐と似たような航路、佐渡島に渡る航路でありますとか、対馬、壱岐などに渡る航路等々ありますが、そういうところとも話をしながら国に対してやっていくことが必要ではないかというふうに考えておるところであります。

中村光男商工労働部長答弁

新しい観光振興施策の力点、ターゲットとして展開する市場や対象について

県では、島根といえば神々やご縁というイメージの定着に向けて、情報発信と地域の観光商品づくりに引き続き力を入れてまいります。まず、縁結びに魅力を感じて首都圏などからの若い女性の観光客がふえていることから、ご縁の国しまねキャンペーンを拡充いたします。島根ゆかりのタレントを起用して話題性のある宣伝を行い、首都圏の20代から40代の女性を中心にアピールしてまいります。一方で、県が首都圏で行いました調査では、島根を訪れてみたい方の割合が60代が最も高いことから、古代歴史文化賞によるPRや、東京、大阪での歴史講座の開催などによりシニア層の関心を高め、誘客につなげることも必要と考えております。
観光商品づくりとしては、女性客に対しては、神社めぐりなどご縁にちなんだ観光商品を充実してまいります。また、シニア層に対しましては、本物が残る島根を満喫いただける観光ルートづくりや、地元の食材を生かした食の魅力アップなどを進めてまいります。県としては今後こうした取り組みに力を入れていきますが、実施に当たりましては事業効果の検証を行い、効果的な誘客に努めてまいります。

中村光男商工労働部長答弁

外国人観光客の誘致について

県では、アジア地域や欧米地域を中心に誘客をしてきましたが、近年有望な市場として注目されているタイなどにも今後力を入れてまいります。アジア地域では、主に団体客を対象に現地での旅行博への出展や商談会の開催、旅行会社、マスコミの島根への招請などにより、情報発信や旅行商品の造成を働きかけてまいります。欧米地域については、個人客主体であることから、著名な日本紹介サイトや旅行ガイドブックを通じた情報発信、フランスの旅行見本市への出展などに取り組んでまいります。
また、誘客に当たりましては地域連携が非常に重要でありまして、広島、岡山、香川県等と連携し、各県の国際線を利用した旅行商品造成の働きかけや情報発信、それから岡山、鳥取県と連携し、JRの外国人向け割引切符のPRなどの取り組みを強化してまいります。
一方、外国人の受け入れ環境の整備としましては、無料の公衆無線LANの整備、観光案内サインの外国語表記の整備、それから観光施設等のトイレや公衆トイレなどの洋式化、それから外国人観光客受け入れに取り組む宿泊施設の増加などをさらに進めていく必要があります。県では、公衆無線LANの設置支援制度の創設や既存制度の活用等により対応してまいります。

中村光男商工労働部長答弁

MICEの取り組みについて

学会や全国大会、企業旅行など頭文字をとりまして、いわゆるMICEの誘致では地域への経済効果は高く、観光振興にもつながることから、県としても積極的に取り組んでいく必要があると考えております。県では、一般財団法人くにびきメッセと連携して開催にかかる経費を助成する制度を設け、国際会議や全国大会などの誘致に取り組んでまいりました。また、昨年、島根県観光連盟が首都圏の企業を対象にしたアンケート調査では、開催場所の選定に当たっては研修施設等の設備環境のほか、アクセスの利便性や旅費、周辺観光スポットの有無などを基準としてることがわかりました。これらを踏まえまして、県としてはくにびきメッセや県の観光連盟等と連携を強化し、来年度は以下の事業に取り組むこととしています。
1つは、大会開催までの誘致活動や開催準備経費の助成、これを新規で設けます。それから、県西部隠岐地域で開催される小規模の大会の助成、これも新規で設けます。それから、会議等を計画してる企業への観光スポット視察等を組み入れた受け入れプランの提案は拡充していきます。また、中四国、関西などの近県の市場調査も拡充してまいります。こうした取り組みによりまして、会議や企業の研修旅行など、それぞれのターゲットに応じた旅行需要の開拓を進め、MICE誘致を積極的に推進していきたいと考えております。

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