県議会だより

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平成26年9月島根県議会定例会一問一答質問(1)

島根の食について

私たちを取り巻く「食の問題について」いくつかの問題を指摘し、執行部の皆さんの見解を問う。

(1)食品添加物に関する国の基準の基本方針(国の使用基準や安全とされる範囲の設定方針の決め方など)について尋ねる。(健康福祉部長)

(2)添加物情報の開示(表示)基準について説明されたい。(健康福祉部長)

(3)市販されている県産の濃口しょうゆ(混合醸造)の原材料名表示に脱脂加工大豆(遺伝子組み替えではない)、小麦、食塩、アミノ酸液、糖類(砂糖、果糖ブドウ糖液糖、
ブドウ糖)、アルコール、調味料(アミノ酸等)、甘味料(ステビア、甘草)、保存料(安息香酸Na)とある。卑近な例で恐縮だが、コンビニやスーパーで400円ぐらいで売られているハンバーグ弁当の表示には、原材料ハンバーグと書かれ素材の記載はない。また、添付されているミニしょうゆもしょうゆと書かれ、原材料の記載はない。弁当1個に使われている食品添加物は概ね何種類ぐらいだと推定されるか。(健康福祉部長)

(4)国が定める食品表示基準には、一括表示、キャリーオーバー、加工助剤など(聞きなれない用語である)、表示が免除されるケースがあるようだが、それはどのようなケースであるのか具体的に説明されるとともに、アミノ酸液、酵母エキス、調味料(アミノ酸等)などの紛らわしい表示について解説されたい。(健康福祉部長)

(5)近年、天然系の味の濃い調味料として、ほとんど、あらゆる加工品に「たんぱく加水分解物」という聞きなれない物質が使われていると聞く。EUでは塩素化合物の残留によって日本製(多くは中国で作られたたんぱく加水分解物が日本の食品に添加されたことに起因する)のしょうゆが販売禁止になったこともあるようだが、たんぱく加水分解物とはどのようなものか。(健康福祉部長)

(6)乳幼児や小学校低学年児の食物アレルギーの発現率が上昇しているように感じるが、全国の状況と県内の現状について尋ねる。(健康福祉部長)

(7)家事に占める炊事の時間が大きく低下している。調理器具の進化や冷凍冷蔵庫の普及なども要因に挙げられるが、一方で、食事に占める加工食品や調理済み食品の割合が80%を超えるとの調査データもある。日本の標準的な家庭で、炊事、洗濯、掃除などの家事一般にかかる時間はどのぐらいと見るか。(政策企画局長)

(8)安倍内閣は女性の社会進出を促進したいとしている。家族の健康や子供の育ちなどを担ってくれたお母さんの家事にかけてきた時間を社会が取るには、それを補充しなければならない。それをお父さんに求めるのであれば、男性の就労時間や形態を変えなければならない。保育所を作って女性の就労環境を整備しても、社会にそうした準備が無ければ、逆に、女性の負担はますます大きくなり、結果は、コンビニ、スーパーの惣菜、弁当、ファストフードになるのは自明である。食品添加物が法の基準の範囲内だとしても、それを生まれてから死ぬまで体に入れ続ければ、莫大な量となり、正常な生存が子々孫々まで持続できるとはとても思えない。NHKの日曜名作座で放送した日本婦道記(山本周五郎著)は涙なしには聞かれなかったが、女性が日本社会で果たしてきた役割は、とてつもなく大きいものがあり、もっと正当な評価をする必要がある。中途半端な準備しか無い状況下で、性急に女性の就労時間延長を企図すれば、得るものよりも失う恐れがあるものが多いと思うが、所感は。(環境生活部長)

(9)現状で、社会が応援できるとすれば、まず保育所、幼稚園、学校の給食で、添加物を拝した献立を作ることである。それは、昔から言われる「10里四方」で取れた旬の食材を活用する地産地消であり、コメ、乾物、発酵食品、魚をつかう和食の効用を奨励することであり、子供に本物を味あわせることであるが、県内の給食の状況と保護者に対する栄養教育や消費教育の現状は。(教育長)

(10)安全と言えば、隣県では脱法ドラッグを取り締まる条例が制定されたようだが、放置すれば島根に影響が及ぶ。喫緊に対応する必要があると思うが、鳥取県の条例の内容と島根県の対応方針を示せ。(健康福祉部長)

(11)アメリカ、カリフォルニア州バークレイはヒッピィの発祥地として有名だが、ファストフード蔓延のアメリカで40年も前からオーガニックをキーワードにした地産地消の「食のまち」として知られている。島根が目指すべきはこの方向である。侵されていないきれいな自然のなかで、海、山、川、野、湖の恵みにあふれ、生産される本物がある本県こそ、それが実現できると確信している。ただ、こうした取り組みは一朝一夕では実現できない。まず、給食から、一切の添加物を排し、次に家庭で、朝食をご飯、味噌汁、豆腐、納豆、漬物、干物という和風に変えていけば、状況は大きく変わるのである。健康な子供たち、次代も、その次もずっと健康な子供たちをつくるために、私たちにできることは「意識すること」であり、それは直ぐ出来るのである。9月25日付けの山陰中央新報のコラムはすばらしい指摘をした。県は、現在、地産地消計画を策定中だが、わたしは、これを県の農林水産と特産、村づくり、町づくりの中心にすえるべきだと思っている。そのためにも「地産地消推進条例」または「地産地消立県宣言」でも検討すべきだと思う。本物を味わうことと健康を推進すること、この2つを実現することこそ島根が日本の最先進県になる方途であると思うが所感は。(知事)

原仁史健康福祉部長答弁

添加物と食品の安全等について

(1)食品添加物に関する国の基本方針について
食品添加物の使用基準ですが、その前にまず、内閣府の食品安全委員会で、物質ごとに人が一生涯毎日食べ続けても健康に影響がない量を1日許容摂取量として、略称はADIと言いますが、定めております。その値は、動物実験などで有害な影響が見られなかった最大量をさらに安全を考慮して、100、これを安全係数と言っていますが、この100で割った数値ということでございます。
そこで、食品添加物の使用基準ですが、これは厚生労働省が作成した1日の平均的な食事モデルをもとに、食品添加物が先ほどの1日許容摂取量を上回らないように食品ごとに設定されているということでございます。

(2)添加物情報の開示基準について
食品添加物は、食品衛生法に基づきまして、食品を製造する過程において、加工、保存の目的で使用される物質の全てを個々の物質名で表示することとされております。加えて、保存料や甘味料など8つの用途に使用される添加物につきましては、用途を表示することが消費者の購入の判断に役立つという理由から、物質名に用途名、すなわち保存料や甘味料などといった名称もあわせて表示することとなっております。

(3)市販されている一般的なハンバーグ弁当の食品添加物について
食品添加物の表示が免除される場合は、次の3つがあるようでございます。
1つは、食品の製造途中で使用されるけれども、完成前の段階で洗浄等により除去される添加物である場合、これ加工助剤と言っております。2つ目に、原材料となる食品には使用されているけれども、加工後の食品では濃度が低くなるなどのため、効果を発揮しない添加物である場合、これキャリーオーバーと言っております。3番目に、ビタミン類、アミノ酸類、ミネラル類など、栄養強化の目的で使用される添加物である場合、これは栄養強化剤、この3つの場合が表示が免除されるというふうに理解しております。
次に、弁当1個に使われている食品添加物でございますが、その数について、担当者に調査をさせました。松江市内のコンビニエンスストア3カ所、ローソン、ファミリーマート、ポプラで販売されておりましたハンバーグ弁当について調査いたしました。3品のハンバーグ弁当に表示されている添加物は10から18種類でございました。一方、表示が免除されている添加物がどの程度あるかを、日本食品添加物協会編集の食品添加物表示実務教本などをもとに、原材料を調べましたところ、23から26種類以上の添加物が使用されていると考えられました。その結果、ハンバーグ弁当には、表示が免除されているものを含め、36から41種類以上の食品添加物が使用されているものと推測されたところでございます。

(4)たんぱく加水分解物について
たんぱく加水分解物というものは、別名といいますか、同じようなものでアミノ酸液というような言い方をするものと同等なものということでございます。このアミノ酸液というのがどういうものかといいますと、動植物のたんぱく質を加水分解して得られたもので、単一のアミノ酸ではなく、種々のアミノ酸等が複合して存在する液状のものということでございまして、これは食品と同様に扱われ、添加物ではなく原材料として表示されているものでございます。たんぱく加水分解物は、こうしたアミノ酸液と同様なものでありまして、大豆、トウモロコシ、小麦等の植物性のものや、動物性のたんぱく質を塩酸や酵素などで加水分解して得られたものであります。

(5)乳幼児や小学校低学年の食物アレルギーの発現率について
全ての乳幼児を対象とした食物アレルギーの調査結果はございませんけども、保育所の状況についての統計を御紹介いたします。
まず、全国の状況についてですが、平成21年の日本保育園保健協議会の実施したアンケート調査の結果では、保育所に入所している乳幼児のアレルギー有病率は4.9%となっております。なお、その後の調査がないため、最近の状況との比較はできません。
次、県内の状況ですが、県が行った保育所を対象としたアンケートの結果では、平成24年が、アレルギー有病率を有する者が4.2%、平成26年は4.9%ということでございまして、この2年間で0.7ポイント増加している状況でございます。
また、小学校低学年時に限定した食物アレルギーの調査結果はございませんが、全国の公立小学校を対象にした文部科学省の調査結果では、平成16年全国2.8%、島根県は2.4%、これに対しまして、平成25年、全国4.5%、島根県3.6%となっておりまして、全国、島根県ともに増加しておる状況にございます。

丸山達也政策企画局長答弁

標準的な家庭における家事一般の時間について

(7)標準的な家庭での、炊事、洗濯、掃除などの家事一般にかかる時間について

平成23年の総務省の調査によりますと、夫婦と子どもの世帯の1日当たりの平均の家事時間は4時間13分となっております。

鴨木朗環境生活部長答弁

安易な女性の社会進出促進政策のリスクについて

(8)安易な女性の社会進出促進政策のリスクについて

女性が家庭の中で担ってきた役割を、それを代替、補完する準備がない中で削っていくということになるとすると、家庭の役割、家庭教育の役割が劣化していくということが懸念されると思います。例えば、次のようなおそれがあるのではないかと考えます。
食生活のバランスの崩れは家族の健康に影響を及ぼす。親子や夫婦の関係が希薄化すれば、家族のきずなや家族愛を実感できなくなる。時間的、精神的な余裕がなくなると、学校行事や地域行事とのかかわりも減る。家族のために精いっぱい尽くす親の姿を見る機会が減ったり、子どもの悩みに親が向き合う時間が減ることは、子どもの人格面の発達にも影響を及ぼす。落ちついた日常のよりどころであるという家庭の基本的な役割が揺らぐようなことがあれば、家族の精神面にも影響を及ぼす。
こうした家庭や家庭教育の劣化が生じないようにするためには、議員御指摘のとおり、意識改革も含めまして、社会全体での準備が大切だと思います。子育て支援、家事支援や社会教育を始めとしまして、社会の側で代替補完できる機能を整備すること。男性、女性ともに家庭の役割の重要性を再認識し、仕事優先のライフスタイルを改める。すなわちワーク・ライフ・バランスを徹底する。さらに、労働や家事、育児、介護などの分担を男女ともに選択できるよう、関連する制度のあり方を見直す。こうした社会全体での環境づくりが重要であると考えます。

藤原孝行教育長答弁

学校給食や消費者教育の状況について

(9)学校給食や消費者教育の状況について

県内給食の状況ですが、学校給食の食材は、産地、製造者、栄養成分など細かい分析を行ったものの中から、各市町村ごとに選定委員会を開き、食品添加物が含まれている食品などは選ばないよう配慮しております。また、食材は、新鮮さ、旬のおいしさ、生産者が身近に感じられる地場産物の活用を進めています。平成25年度の学校給食食材仕入れ状況調査によれば、県内産の活用割合は全体で51%と、全国平均の25.8%を大きく上回っております。
また、学校給食では、和食の普及推進事業に取り組んでおりまして、和食のレシピ集の各学校への配付、栄養教諭、保育所の調理担当者を対象とした和食料理講習会を開催するなど、普及に努めており、しょうゆは本醸造を使うように努めております。ます。また、多くの保育所の給食においても、米飯を中心とする和食が提供されており、近隣の農家からの食材購入など、地元食材の優先的な利用も取り組まれております。
次に、保護者に対する栄養教育や消費教育の現状ですけれども、学校給食の試食会などにおいては、給食が家庭の食事の手本となるような献立であることを伝え、和食のよさや食品添加物の怖さなどについても指導しております。さらに、親子料理教室や各家庭に配付している給食だよりなどで、地域でとれる食材のよさや調理方法を紹介し、家庭の食事に取り入れられるよう働きかけています。
また、保育所においても、保護者に対する研修として、栄養士による食物アレルギー対策や栄養に関する指導が行われているところもあり、県ではその費用の一部を助成しています。

溝口善兵衛知事答弁

島根県が目指すべき本物志向と地産地消について

(11)島根県が目指すべき本物志向と地産地消について

議員のおっしゃる方向、それは私も賛同するものです。自然のもの、天然のものを食べる。本物を味わう、これは大事なことであります。また、そうした食を通じて健康を推進するということも大変大事なことであります。
県では、本物を味わうということにつきましては、現在、地産地消促進計画を策定中でありまして、その中には、地元の旬の食材の利用拡大でありますとか、本物の味覚を育てる和食献立を学校給食に取り入れることなどを入れることとしておりまして、こうした計画に基づきまして、本物の魅力を生かした特色のある取り組みを推進していこうと、今やってるところです。
もう一つ、食を通じて健康を推進することにつきましては、食育推進計画というのがありまして、ここで家庭、学校、地域において、食生活の改善などに取り組むことによりまして、県民の方々の心身と健康の増進を目指すこととしております。地産地消とも連携して、これを推進していくというところであります。
そういうことでございますが、この問題は、添加物でありますとか、あるいは食品も島根全体でつくられるわけではありません。県外からも入りますし、県の産品も外へ出ていくという関係にあるわけでありまして、またそうした添加物のようなものにつきましては、国の規制といったものが必要であるわけでありまして、そういう面ではいろんな複雑な関係がありますから、県の条例で定めるといった、あるいは宣言をするといったようなことにつきましては、関係者が非常にたくさんおられますから、関係の方々の意見をよく聞いたり、議会の考えもよくお聞きした上で、検討していかなければならない課題ではないかというふうに思います。

原仁史健康福祉部長答弁

脱法ドラッグの取り締まりについて

(10)脱法ドラッグの取締条例について

島根県の状況の前に、鳥取県がどうなってるかということをお答えしたいと思いますが、鳥取県では、平成25年3月に、鳥取県薬物の乱用の防止に関する条例を制定されました。今回の鳥取県議会において、その改正案を提出されておりまして、現在審議中というふうに聞いております。今回の改正の概要は、法律では規制されていないけれども、人の精神に興奮や幻覚等の作用を及ぼす薬物について規制強化を図ろうとするものであるということでございます。具体的には、作用のある薬物、興奮や幻覚等の作用ですが、そういったものを含む製品を知事指定薬物として指定し、販売や所持を禁止する。また、作用のおそれのある薬物を、これはおそれのあるということですので、知事指定候補薬物として指定し、それを授与した者及び受領した者に届け出をさせる内容というふうに承知しております。
一方、国におきましては、未指定の危険ドラッグ乱用によります重大事故発生等を契機としまして、この7月から8月にかけまして、大きく2点の薬事法の規制強化が図られたところでございます。
具体的には、1つに、パブリックコメントの手続を省略するなどによる薬物指定の迅速化ということが、この7月に通知として出されております。これによりまして、7月、8月、9月の3度にわたり、薬物の緊急指定が行われております。まず、7月15日ですけど、6月24日の東京池袋の事故で使用された薬物の2物質を指定しております。また、8月には、東京都などが条例で指定していた9物質を含む21物質の追加指定がなされております。さらに、9月には、その後に東京都が条例で指定した7物質を含む14物質が追加指定されております。
また、この関係の2点目でございますけども、8月に、幻覚等の作用のおそれがあるものの指定されていない薬物を無承認医薬品とみなして販売されないようにするなどの指導取り締まりの強化が図られたところでございます。
こうしたことによりまして、鳥取県の改正条例案に規定する知事指定薬物及び知事指定候補薬物についても、実質的には薬事法に基づく販売等の規制の対象になるものと考えております。こうした状況の中、中国地方では、本年1月に8店舗確認されていた危険ドラッグ販売店舗が、これまでに全て閉店となるなど、このたびの薬事法の規制強化が成果につながっているものと考えております。
なお、今後県内に危険ドラッグ販売店舗が開店するなどした場合には、立入検査や指導取り締まりなどについて島根県警等と連携を密にして対応してまいりたいと考えております。

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