県議会だより

Reports

平成26年11月定例島根県議会一般質問(1)

「住みやすい地方の先端県しまねについて(1)

わが社の事務所には小生がJCの現役の頃に(たぶん25年ぐらい前だったと思う)出会った株式会社ヒューマンウェア研究所の清水英雄さんの「あきないの詩」が掲示してある
清水さんは「人生はドラマ」で「ピンチはチャンスだ」と可能思考が成功に導く道だと説き、最後に次の詩を読まれた。ずいぶん時間が経過したが、インパクトが強く、昨日のことのように覚えている。

ほんものとは「あきないもの」のことであろう
いい絵は見あきない
いい音楽は聞きあきない
いい本は読みあきない
いい着物は着あきない

商売のことも あきない という
どうして あきない なのだろう
それは おもしろくて おもしろくて
しかたないから あきない なのだ

あきないものに出会うと嬉しくて笑顔が出てしまう
笑い顔 笑顔がたえないから
商売は笑売だ
「いらっしゃいませ」
「ありがとうございます」
笑顔がたえないから いつも活発
だから 勝売 となる

ところが
あきない 商売を
おもしろくないと思っていると
その商売は すぐあきる
いつも不平不満で 愚痴が出る
心が次第に傷ついて
傷売 となってしまう
こんなお店には
そのうち誰もよりつかなくなり
消売となって 消えてしまう

笑売をしているのか
傷売をしているのか
勝売をしているのか
消売をしているのか
あなたはどちらの商売をしているのだろう

県職員に本県の問題点を問うた。「人口減少」との答えが返ってきた。
まず、知事に尋ねる。知事は県政の一番大きな問題点は何であると認識しているか。(知事)

では、どうすれば「人口減少」が解決できるかと問うた。
「産業の振興」「雇用の確保」「医療、福祉の充実」だとの答えが返ってきた。

では、どうすれば「産業の振興」「雇用の確保」「医療、福祉の充実」が図れるのかと問うた。
「遅れている社会インフラの整備」「企業誘致の促進」「子育てのしやすい環境整備」「人材の確保」だとの答えが返ってきた。

確かに、山陰道に象徴される、立ち遅れている社会インフラを整備し、他地域からの企業誘致を促進し、保育所や学校教育などの充実を図り、産業や医療、福祉の人材確保につとめるというフレーズは、知事が述べる島根像に合致する。

しかし、それで島根県の人口減少が止まり、県勢が振興し、住みやすさが向上するとは到底思えない。
なぜなら、いままで、ほとんど同じフレーズで県政運営がされ、莫大な投資がされてきたが、この60年、ほぼ例外なく人口は減少し続けている。

知事は自らの所感で、2期8年の施政について「県財政の健全化を進めながら、産業振興、企業誘致、農林水産業振興、観光振興、社会インフラ整備、医療・福祉や教育の充実など、それぞれの分野で一定の成果が出ている」と総括し、人口減少について「東京など大都市圏に向け、島根の若者たちが、有利な職場を求めて出て行き、県内で子どもを産み育てる若い世代が少なくなった結果、出生「率」は高いが、生まれる子どもの「数」が少なくなった」との認識を示した。その上で、次なる4年の県政運営にあたる自らの目指す島根像を「県内各地で雇用の場を確保しながら、若い人たちの結婚から子育てへの支援、子どもの教育の充実、女性が働きやすい社会環境の整備、障がいのある方も、ご高齢の方も安心して暮らせる島根『住みやすい地方の先端県しまね』だとして、必要とする施策展開は、雇用の場の確保を第1に、産業振興の推進と基盤となる山陰高速道など道路の早期整備や交通の利便性向上を図るとともに都市部、中山間地域、過疎地、離島それぞれの地域の実情に合った定住対策を進めると述べている
知事の問題意識に対する認識は全ての職員と問題意識の共有が図られているか。(知事)

年間5000人の人口減少が続いている現状を打開するためにどのような執行体制をつくり、どのような施策を用意して、いつまでに、何をどうするのか問う。(知事)

知事の3選に臨む決意は伺ったが、今までとどこがどう違うのだろう。
この8年、人口減少、流失は止まることはなく、県勢の低下は明らかである。確かに、IT分野の起業があり、観光分野で、出雲大社を中心に大きく伸張はしたが、隠岐、石見では減少傾向は続いており、県下全体に効果がおよんでいない。
現時点では、「産業振興、企業誘致、農林水産業振興、観光振興、社会インフラ整備、医療・福祉や教育のそれぞれの分野で一定の成果が出た」などの評価は難しいところである。
小生は、人の言葉尻をとらえることは嫌いだが、島根の出生率は全国平均を多少上回る程度の水準にしか過ぎない。未婚の男女も非常に多い。

そろそろ、中央思考依存から脱し、「島根の内発的な振興」「大都市部と違うライフスタイルの追求」に舵をきる時代にきているのではないかと思う。
知事は地方が元気になる好機到来との認識を示されたが、政府の地方創生は全国を対象とした施策であり、地域間競争は従前に増して激化し、カジノに象徴される特定地域に対する大型投資によって、逆に島根県のような地域が脇に追いやられ、一気に道州制と称する都道府県の合併に追い込まれるおそれなしとは言えないのである。

知事は地方創生を好機とするが地域間競争の激化にどう対応するか。(知事)

かつて、日本全国で特区の創設が叫ばれたとき、島根県での特区創設は見送られたが、今回、どのような対応を考えるのか。(知事)

半農半Xが過疎地の定住を考えるに有効だとの提案がされているが、農山漁村の定住には農林水産業のみならず、ITビジネスを含めた展開も有効である。公務員の兼業は地方公務員法で禁止されているが、過疎地域での定住を考える上で、「半官半X」の特区創設をどう考えるか。(知事)

溝口善兵衛知事答弁(1)

県政の最重要課題について

最初の質問は、県政の一番大きな問題点についてと、こういう質問でございます。
私は、やはり人口問題だと思います。この問題は、長い経緯があって起こっておるわけでございますが、県の将来の活力、県民生活への影響、県経済への影響、あるいは社会に対する影響等々を考えますと、問題の範囲は広く、根深く、そして大きな資源を要するもんでございます。このために、この問題に取り組んでいくということは大変大事な課題だと。
この関連でいつも申し上げておりますのは、政府が、この日本の人口問題あるいは地方における人口問題というのが日本にとって非常に大きな課題であると、問題であるとされたのは初めてなわけでございます。こういう視点からいろんな政策を見ようということはなかったわけでございます。そういう意味で、好機だと、こう言っておるわけでございます。今まで向かなかった分野に大きな関心が国全体として向くようになった。しかし、この問題は、国費でやってもそれがすぐに解決するという問題じゃないわけでございます。長い年月を通じまして地方部の若者人口が減ってまいりましたから、新たに生まれる子どもが減るというプロセスがずうっと長い間続いて、それが今あらわれておるわけでありますし、それがさらに放置すればそれが進んでいくという状況でございます。そういう意味で、粘り強くやらなければならない。
しかし、政府のほうは、やはり財政に大きな問題があるわけでございます。よくヨーロッパの例などが出されます。フランスは子育て支援にGDPの3%の財政支出をしておると、日本は1%ぐらいだと。そうしますと、日本のGDPの2%というと、10兆円の金が要るわけであります。それはとてもそんなことができるような状況にはないわけでございます。そしてまた、スウェーデンなどで出生率が改善した国々を見ると、男女が一緒になって子育てをする、そういう社会環境をつくるためにいろいろ努力をしておる、それをやらなきゃいかんと。しかし、これも日本の社会で見ると、すぐにできる課題ではありません。
そういう中で必要なことは、やはり大都市部というのはなかなか生活のしにくいとこであります。子育てしにくいとこでございます。したがいまして、大都市では若者1人当たりの出生率が低いわけでありますから、子育てのしやすい地方への分散をしなければならないと、それを政府も支援をしよう、やろうということでございますから、エールを政府に送る意味で好機だと申し上げておりますし、我々もその好機を活用して、この大きな問題に全力を挙げて粘り強く取り組んでいかなければならないというのが私の考えでございます。
それとの関係で、職員との問題意識の共有はどうかという御質問がありました。
政府がこの人口問題に取り組もうとされたのは、6月の末の骨太方針においてであります。私どもは、それを受けまして、7月に人口対策本部を設けました。政府はそういう気なんだから、我々も我々としてできることを掘り起こしてやっていかなきゃいかんということで、全庁挙げて情報の共有をし、検討してきたわけでございます。
そうすると、この問題をどう考えるかということを整理をしませんと、何をどうすべきかということがあります。国の役割は何なのか、我々の役割は何なのか、我々がやれることは何なのか、国がやらなきゃいけないことは何なのか、あるいは社会自身がやらなきゃいかん問題、それを作成しようということを始めまして、それが人口問題に関する提案と、こういうことになったわけでございます。そこには、各項目でこういうことが必要だということを整理をしてあるわけでございます。それを政府にも説明をしましたし、そういう状況でございますが、そういうものをつくる過程で、市長さんたちあるいは町村長さんたちとも意見交換を2回やりまして、問題の共有を図ってきておるわけでございます。そういうプロセスを通じて、県職員も部局長以下、この問題についての取り組みの考え方は整理をされてきてると。今はこれを受けて、これを実現するために、当面来年度どうするのか、あるいは中長期的にどうするかという検討に入ってると、こういうふうに御理解をいただければと思います。
そういう意味で、3番目の質問でございますけども、人口問題に対する執行体制、施策の内容、実施時期についても若干既に触れたわけでございますけれども、今後の段取りとしては、とりあえず第1年目が始まるわけでございますから、来年度に向けてどういうことをやるべきかということを県庁内で既に検討はずっと夏以降続けております。市町村ともそういう連携をしております。政府のほうの取り組み方が明らかになってまいっております。政府としましては、来年度予算でどういうふうな対応をするかということをしておりますが、これは衆議院の解散もあり、予算編成作業がやや停滞をしますから、その分では政府の方針はまだ明らかでありませんが、私どもとしてすべきことは検討開始をしておるわけでございます。
そしてまた、市町村ともこれは連携をしなければできません。いろんな事業は、インフラの整備といった大きなものは国がやり、国から資金が出て県が実行するということもありますけども、具体的な事項になりますと、まちおこしといったものはやはりそれぞれの市町村で工夫もしなきゃいけません。それぞれの地域に合ったことを考えなきゃいけません。それで、市町村との連携を始めております。具体的に来年度に向けて何をするかと。
実は昨日ときょう、担当課長会議を開きまして、市町村に対して、今こういう状況にあると、その打ち合わせをこれからやっていくから、市町村それぞれアイデアを出しましょう、我々も構想を出しましょうということをやり始めております。12月の末には、市長さんたちあるいは町村長さんたちともそういう会合を開きます。それによりまして、来年度に向けての対策が具体化してまいります。
そして、政府のほうは、中期的な展望を持ってこのことをやらなきゃいかん。政府の方針もつくるということになっておりますが、これがまだできてないわけでありますけども、いろんなことで政府から言われておりますのは、自治体も、都道府県、市町村も中期的な展望をつくりなさいと、来年度中にと、こう言っておられますが、県としてはそういうことを踏まえまして、来年半ばごろまでに総合戦略を作成するために、既に県庁内で検討のスタートは始まっております。市町村にも、それを一緒になってやりましょうと今話をしておると、こういう状況でございます。

溝口善兵衛知事答弁(2)

特区の創設などについて

それから、地域間競争の激化に対する対応でございますが、これはおっしゃるとおりでございます。国全体の話であると同時に、それぞれの都道府県、市町村が工夫をしなきゃいかん話でございます。県内の対応は、今申し上げましたように、県の人口対策本部、それから市長会、町村会との調整、総合戦略をつくる過程での調整、そしてそういう過程の中では、経済界あるいはいろんな地域団体ございますから、そういうところからも意見を聞きながら中期的な戦略もまとめていきたいというふうに考えておるところでございます。
それから、特区への対応がございました。
特区も、今言ったプロセスの中で、さらに行うべきものを考えていく必要がありますが、特区といいますと、非常に大きな全国レベルの特区というのはたしかこれまで6つぐらいございましたけども、実際の特区はやっぱり特区なんで、地域的な特区が多いわけでございますけども、島根で地域活性化の推進をするための総合特区ということでは2区域あります。高津川のふるさと構想特区、流域たたらの里再生特区というのがございます。それから、実情に合わない国の規制を取り除くための構造改革特区というのがありまして、これは9区画あります。各地域における、例えばどぶろくを醸造してもいいという特区でありますとか、地域の特産品をつくるための特区ですね。それから、邑南町などでやっておりますけども、「A級グルメのまち」ツーリズム特区といったものもございます。
そういう意味で、地域の競争を勝ち抜いていくためには、島根が持ついろんな資源ですね、自然、歴史、文化、食材、そういうものを最大限に活用するように、特区の申請も行うように、市町村とよく検討をしていきたいというふうに思っております。
次に、半官半X特区についてでございます。
これもそういう意味で大いに可能性のある特区だろうと思います。また、特区だけでなくて、既存の制度の活用を含めて、いろんな角度からそうした考え方を実現できるように検討を進めてまいりたいというふうに思います。
それから、島根の地域資源をどう活用すれば内発的な発展が可能になるかという御質問であります。
島根は、先ほど来申し上げておりますけども、大きな島根の特色のある資源がいろいろあるわけでございまして、今後内発的な発展が期待できる例として挙げれば、次のようなものがあります。豊かな自然が育む大地や海の恵みは、都市部の人にとってはいわば貴重品であり、あるいはぜいたくな食品でありまして、そうした食材の生産及び加工、販売を一体的に行う6次産業化を行う中で、そういうものを掘り起こしていくと。これはやはり県内各地域でいろんな工夫をしなければいけないだろうというふうに思います。
それからもう一つは、出雲大社などの古代歴史文化、これは古代歴史文化は県内各地にいろいろあります。世界遺産の石見銀山、ラムサール条約の宍道湖・中海、世界ジオパークの隠岐など、他県と比べましても観光面での資源も多いわけでありまして、これを活用する。そういう要素に、食材でありますとか温泉でありますとか芸能でありますとか伝統工芸でありますとか、そうした楽しみもその周辺に織り込みまして、魅力的な観光の舞台をつくりたいと、これを県も市町村と一緒になってやっていきたいというふうに思います。
それから、島根県の中山間地域、離島などにおきましては、特に田舎というものが残っておるわけであります。そういう田園の風景の中に昔ながらの生活が維持をされておる、素朴な暮らし、営みの中に入って温かい島根の人情に触れる、人間回復としてのそういうような魅力を打ち出したものをつくっていく、こういうことが考えられます。
それから、新しい分野では、県が松江市と一緒になって進めておりますけども、Rubyといった新しい先端技術がこの地にあるわけであります。また、たたらでありますとか金属加工のところは、古いもの、新しいものもあるわけでございまして、そういうものを活用していく。いろいろのことが考えられまして、そういうことを掘り起こしていこうということで、県と市町村が一緒になってアイデアを持ち寄って、県が助成できること、あるいは私どもとしては、そういうものの財源を確保するために、国に対しまして地方財源の充実を言っておりますけども、そういう中でも特に過疎債をうまく使う、過疎債のソフト債を増額をするとかそういうことを要請をしておると、こういうことでございます。

過去の投稿

園山繁の活動日誌