県議会だより

Reports

平成27年6月定例会一般質問

知事の所信表明について(3)観光振興

島根県の外国人観光客は増加したとは言え、全国47位をキープしている現状です。先の報道では、島根県が期待していた瀬戸内エリアとのリンクが見送られたとのことであり、まことに残念でした。

外国人観光客の誘致拡大には、通訳の確保やパンフレットの作成、道路や観光地のサイン、トイレなど利便施設の改修などハード、ソフト両面からの受け入れ態勢整備や商談会への出陳をはじめとする海外地域でのアピールなどの取り組みは言うまでもないことですが、国際空港を持たず、定期貨客船の寄港がない島根県が外国人観光客を誘致しようとすれば、インバウンド対策、とりわけ、最寄りの空港や港湾とのアクセス支援となる2次交通の確保が不可欠です。

しかし、昨年から通達された貸し切りバスの運行ルールが外国人観光客の受け入れに障害として大きくのしかかっています。バスの運航費助成のほとんどが回送料金に充てられ、観光商品造成に寄与しなくなっているのが実態です。この際、神戸空港、神戸港、岡山空港、広島空港、広島港、米子空港、堺港などと島根の主要観光地をリンクする「バス特区」の申請や外国人観光客受け入れのための2次交通の支援制度の拡大が求められるところです。

昨年のDAIGOや本年のEXILEのイメージキャラ起用によって「ご縁」キャンペーンは当たったと感じます。松江城の国宝指定など観光分野の追い風が吹く中、せっかくの好調を1日でも長く維持し、観光誘客につなげて行くには、前述したとおり、産品のイメージを「本物で価値がある」とするばかりでなく、「本物を体感したい」と言うところまで地域のブランドイメージを高める必要があります。

観光キャンペーンを産品のキャンペーンと一連のものととらえ、ステージを上げていく広報戦略の必要も感じますが、外国人観光客の受け入れに対する対応と広報戦略に対する所感をお尋ねします。(知事)

観光政策に関連して、先日、気にかかる報道がありました。地域の消費喚起対策として発売されたプレミアム付の宿泊券は完売したものの、島根県のおみやげ券はさっぱりで、10万枚が売れ残ったと全国紙で報じられています。担当課によると、原因をPR不足だったとされていますが、明らかにミスジャッジ、違います。売り方を間違えたのです。宿泊券のプレミアムは5割。おみやげのそれは3割。セットで販売すれば、ここまで無残な結果を生むことはなかったでしょうが、別々に販売するから、このような結果になるのです。確認はしていませんが、まさか、宿泊券の販売とお土産券の販売担当が別々だったということは無いでしょうね。
「どうするのか」と問うと、もっとPRをしたり、県人会に依頼したりして販売をすると返ってきました。もはや、新たな消費喚起、消費拡大の目的は失せ、残ったおみやげ券を消化することが目的になってしまっています。即刻リセットしてやり直しをすべきです。宿泊券は冬季の閑散期対策として、もう一度売り出されるはずですから、その際にお土産券をセットで売るとか、新たな観光商品造成のプレミアムとして活用するとかを考えるべきで、ケチのついた売れ残りのチケットをそのまま流通させてはなりません。この際、担当部長の見解を質しておきたいと思います。(商工労働部長)

溝口善兵衛知事答弁

観光キャンペーンについて

議員もお触れになりましたけども、今年度からEXILEの3名の皆さんをイメージキャラクターとして、新たな観光キャンペーンを実施をしてきております。EXILEの3名と東京で行いました記者発表会におきましては、この模様が全国放送のテレビ番組などさまざまなメディアに取り上げられ、多くの方々にごらんをいただいております。EXILE3名によるご縁の国しまねのPRの映像につきましてインターネットで紹介をしておりますけども、若い人を中心に多くの方々がそれにアクセスをされておりまして、記者発表を行った6月3日から、これまでの視聴回数は2万7,000件ぐらいに上っておると。若い人が中心でございますけども、若い人の口コミなどを通じまして、島根のイメージが広がってきておるわけでございます。こうした人たちに島根のよいイメージを与えることによって、すぐに若い人たちですから島根に来るというところまでつながるかどうかということはありますけども、大きなイメージがそういう若い人に植えつけられるということを期待をしております。
特に、このEXILE、私自身もよくは知らなかったわけですけども、非常に若い人に人気のグループでありまして、その指導者であるHIROさんっていう方が隠岐などに来られまして、あるいは「渾身」の映画を見られまして、島根には本物があるというふうに感じられて、錦織監督などとも意気投合して島根のPRをやってくださるということになったわけでございまして、こうしたものを活用しながら、島根の本物についてのイメージが広がるように努めてまいりたいと思います。
これとの関連で、外国人誘客の話につきましても、こうしたものを活用しながら、あるいは隣県鳥取県とは外国人誘客につきまして、境港に来られる方々の接遇でありますとか既にやっておりますし、これからも山陰を中心としたイメージの広がりを持たせるような取り組みをやっていこうと、今相談をしてるとこでございます。また、中国5県で外国人の誘客についてのPR活動を強化することを今検討中でございます。

安井克久商工労働部長答弁

プレミアムつきおみやげ券について

プレミアムつきおみやげ券は、県外の方に来県していただき、県産品を購入していただくことで消費を呼び込むために発行したものであります。今回の申し込みでは、同時に販売した宿泊券は見込んでいた申込数に達しましたが、おみやげ券は用意した13万3,000冊余に対し約2万8,000冊と、2割の申し込みにとどまりました。申込者のうち、おみやげ券のみを申し込んだ方は1割に満たず、宿泊券とおみやげ券をセットで申し込んだ方が5割、宿泊券のみを申し込んだ方が4割おられました。この結果から見て、宿泊券との組み合わせをもっと強化すべきだったところであり、販売戦略の立て方が甘かったと考えております。
現在、販売を一旦終了し、新たな戦略で販売を進めるよう検討しておりますが、今回の状況を踏まえて、今後、1つには宿泊券の申し込みの機会を秋に用意しておりますけど、前倒しして夏にも設け、改めておみやげ券と宿泊券をあわせて販売することや、おみやげ券を県が造成している旅行商品に組み込むなど、宿泊客向けの販売を強化してまいります。また、新たに金券を中心とした日帰り観光客向けなどの準備も進めており、重点的に売り込む対象や宣伝方法などを工夫しながら、おみやげ券の申し込みを7月に開始する予定で進めております。今後も状況を見きわめながら、宿泊券とおみやげ券による効果が最大限に得られるようスピード感を持って対応してまいります。以上でございます。

安井克久商工労働部長答弁

外国人観光客の受け入れについて

貸し切りバスの運賃料金は、昨年4月、安全性の向上を図るため、労働環境改善コストなどを反映したものに改正されました。これにより、出発前、帰着後の点検時間の加算や回送区間の距離、時間が全て料金に加算されたため、バスツアーの料金が大幅に引き上げられることになりました。
これの観光への影響は、国内では、関西、中部方面からの日帰りバスツアーが減少していること、インバウンドでは、広島空港や岡山空港を使った中国や台湾からの団体ツアーが組みにくくなっていること、あるいは境港への大型クルーズ船寄港時、この際には山陽方面から相当多くのバスを調達する必要がありますが、これに大きな影響が出ていることなどがございます。
県内のバス事業者からは、1台当たりの利用単価の上昇を歓迎する声がある一方、稼働率が低下し収益が下がったなどのさまざまな声も聞いております。この対策として、議員から御提案のあった貸し切りバス運賃の算定に特例を設けるなどの規制緩和については、バス事業者や観光事業者の意見をよく聞き、隣県と連携した国への要望などを検討してまいります。

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