県議会だより

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平成27年6月定例会一般質問

知事の所信表明について(2)農山漁村の振興と健康対策

島根県の農山漁村の存続のためには農林水産業の採算性回復が急務であり、ブランド力を高め、競争力を強化し、市場性を向上させるためには相当思い切った取り組みが必要です。
農林水産物の生産、加工、流通、販売を一体化させる6次産業化は、取り組み次第で小ロットから対応可能で、「しまね」のブランドイメージを確立することで飛躍的に市場性は向上するはずです。

観光では「しまね」をご縁・縁結びというイメージをつくり、一定の効果が上がっています。EXILEのポスターには「本物」というロゴがあります。だからこそ、この際、「本物」というコンセプトを付加させ、「島根の産品は本物で価値が高い」というイメージ戦略を徹底すべきであると思いますがいかがお考えになりますか。(知事)

認証制度や地産地消促進の取り組みを生かし、市場の動向を探り、消費者ニーズに合った生産、供給体制をつくるにはICTの積極的な活用が必要で、すでに、JAの直営店に併設されている産直市では、顧客の嗜好や季節的な産品の売り上げ動向などにデータの活用がされています。

また、今後は施設農業の拡大や魚貝や海苔、昆布など藻類の養殖、冷蔵や真空など品質保持技術の導入などが必要で、隣県の鳥取県では銀サケやサバの完全養殖が始まっています。受け身の県民性が、他県に比べて取り組みの遅れを生じさせているように見えますが、県庁が受身であってはなりません。
この際、積極的な投資を誘発できるように「がんばる」事業などを思い切って改変してはどうでしょうか。(知事)

国産材の価格低迷が、植えて、育てて、伐って、使って、植えるという林業サイクルを喪失させ、山村は疲弊、崩壊寸前であす。不在地主が激増し、固定資産税の不納付や隣地境界の不明が当然視されるなど大きな問題が生じつつあることは今までも述べてきました。

そうした中で、木質系バイオマス資源を活用した発電事業が松江、江津で実現し、運転開始を迎えたことは今後に大きな期待となりつつあります。間伐材のチップ化、活用のみならず「木を切ってお金になる」という流れが、山村に人を呼び戻しつつあります。この際、計画的な木材の活用による循環型林業の復活を期待するところですが、今後の展開に対する知事の所感を求めます。(知事)

ところで、日本創成会議は大都市部の高齢化の進行は介護難民を出現させるおそれがあり、医療や介護に余力のある地域にシルバーエイジを移住させる必要ありとし、いくつかの地域では、これを人口対策として「好機到来」と歓迎したと報道され、県内でも松江市が上げられています。

しかし、現実は、ただでさえ、若年世代の不足によって生産活動に支障をきたし、経済成長が鈍化している地方にとって、さらに停滞の因子をかかえることとなることは必至です。
さらに、社会給付が基本となる医療や介護などの福祉サービスは、財政負担が必要になりますから、国がきちんと法律で受益者となる出し手の大都市部の負担を定めなければ、地方財政の破綻は必至です。地方創生が大都市部の老人医療や介護のツケ廻しとなってはならず、同様に、過大なサービス合戦となっているふるさと納税のごとく、子育て支援やU,Iターン者への支援が消耗戦のごとくになる愚は断じて避けなければなりません。

高齢者が元気で生産活動や社会事業に参画するためには健康であることが何よりも大事です。健康増進のためには「食」が基本であり、1年間の県民医療費3000億円を圧縮するためには生活習慣病対策が不可欠です。「食」の改善には専門家である栄養士に汗をかいてもらわなければならなりません。医療費を10%圧縮すると300億円の節約となりますから、マイナンバー制度の導入によって新たなステージに上がることが期待できる「まめネット」とともに「食」への取り組みは大きな効果があると思います。

小生は都会地からの老年者の受け入れを潔しとはしませんが、受け入れに関わりなく、依然として高齢化は進展し、島根県でもしばらくは老齢人口の増加が続くのであり、健康の源となる「食」への関わりを強めることは時代の要請と考えます。この際、日本創成会議の言う老年者の地方移住に対する所感と医療費の圧縮に資する「食」指導について知事の所見を求めます。(知事)

溝口善兵衛知事答弁

島根県産品のイメージ戦略について

議員御指摘のとおり、本物というイメージを付加した戦略は、小規模の経済主体が多い島根の農林水産業では有効な必要な手段だというふうに思います。例えば、本物で価値の高い産品として少し思いつくものを言いますと、良質米として近年非常に有名になってます仁多米のようなものがあります。県内各地にも同様のものがたくさんあるわけであります。また、有機農法で有機JAS認証の葉物野菜をいろんなとこでつくっておられる方がおられて、それが近隣の広島県とか、あるいは東京などの都会地でも非常に高く評価をされておるということがありますし、あるいは漁業で言いますと、浜田のどんちっちといった魚、あるいは隠岐のイワガキといったものもそういう本物、非常に価値のあるものだというふうに都市の人たちに評価をされておるというふうに思います。
そういう意味で、県では昨年度策定をいたしました地産地消促進計画に基づき、いわゆる本物である旬の食材の活用を推進してきております。今後も、個々の農林水産物の本物のイメージをしっかりと発信をしていきたいというふうに思います。例えば、本物の価値を県として認証する美味しまね認証制度を活用する、旬のこだわりの食材や取扱店等の情報をインターネットの上で食のポータルサイトとしてPRをしていく、地元の旬の食材を使う量販店を認証する地産地消推進店をふやしていく。また、観光につきまして、後ほど出てまいりますが、EXILEの方々3人がそれぞれ分担して、隠岐地域、県西部、県東部における島根の本物を内外にPRをしていこうということで、そのPR活動が始まっておりますけども、食につきましても、その方々が隠岐へ行ったり石見に行ったり、あるいは東部でいろんな食も試されます。そういう映像なども活用して、食についても島根の本物といったイメージが広がるように努力をしていきたいというふうに考えております。

溝口善兵衛知事答弁

がんばる事業の見直しについて

県では、いわゆるがんばる事業などにより施設農業の拡大や水産加工品の開発、取り組みなどを支援をしてきております。1つは、新農林水産振興がんばる地域応援事業でありますが、これは平成24年度から27年度まで、いろんな助成を行っております。もう一つは、島根型6次産業ステップアップモデル事業、しまろく事業と呼んでおりますが、これは26年度、27年度で実施をしております。いずれも今年度で期限を迎えます。そうした中で、農林水産業の活性化計画があるわけでございますけども、新たな農林水産業、農山漁村活性化計画の次期戦略プランを年度内に取りまとめるということになっておりまして、平成28年度から31年度の間の新しいプランをつくるわけでございまして、そうした中で、新たな支援策のあり方についても検討をしてまいります。

溝口善兵衛知事答弁

計画的な木材の活用による循環型林業の復活について

県は、利用期を迎えました森林資源を「伐って、使って、植えて、育てる」循環型林業を実現するため、次のような取り組みを推進をしてきております。県単事業としまして森林所有者の負担軽減措置をとりまして、原木増産、再植林の促進を行っております。製材関係につきましては、製材、合板、チップの各工場で加工体制の強化ということで、森林、林業の再生事業を平成24年度から26年度にかけて行ってきておりまして、それによって製材工場、合板工場、チップ加工施設等におきまして、新設工場あるいは工場の増強などが行われてきております。3番目に、木造住宅の建設の促進、あるいは公共施設の木質化、あるいは木材製品の県外出荷による木材需要の拡大を図ってきておるところでございます。
さらに、議員御指摘になりましたけども、今年度、2つの木質バイオマス発電所が稼働し、林地残材の利用が増大をすることになっております。これまで大体3.5万トンを発電のために活用してまいりましたけども、今度のバイオマス発電所によりまして12万トンふえるということになります。
それから、原木増産と再生林によって原木の自給率の向上と、それによります雇用の創出を図っております。県内にも外国材とか、県外からもいろんな木材が入ってくるわけでございますけども、自給率を増加するということで県内の雇用をふやすことができるわけでございます。現在、木材の原木自給率は平成23年度が24%でございましたが、平成27年度には38%ぐらいになり、31年度には44%ぐらいに上がってるだろうというふうに見ております。これによりまして、平成27年から平成31年までの期間、林業の生産現場で150名ぐらいの雇用が創出されるものと見込んでおるところでございます。

溝口善兵衛知事答弁

食の指導について

食は健康づくりに欠かせない大きな柱でありまして、ひいては医療費や介護費の増大を抑えることにもつながるわけであります。これまでも健康長寿の県民運動として、専門家であります栄養士の方々の協力なども得ながら、いろんな取り組みをしております。例えば減塩をするための取り組み、あるいは朝食を欠かさずとること、あるいはバランスのとれた食事、そうしたものの研修などをいろんな場で行っておるということであります。
あらゆる世代に対しまして、さまざまな機会を捉えて啓発や指導を実施してまいりますが、例えば子どもに対しては、保育所や学校での食育、教育を行う、そして子育て期の親に対しましては、妊娠期の両親学級や離乳食教室で正しい食習慣指導を行うといったことを行っております。地域の高齢者などに対しましては、公民館での料理教室や高齢者サロン等を活用した低栄養防止のための健康教育などを行っているところでございます。現在、食習慣の乱れが問題になっていることから、今後さらに食の取り組みを強化することにより、健康づくりや生活習慣病の予防につなげ、健康に老いていくことを目指す県民運動を展開していきたいというふうに考えております。

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