県議会だより

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平成27年9月定例会一般質問(4)

県内中小企業の状況について

まず、県内の景気の現状認識支援についてについてお尋ねします。県内の状況はいかがですか。(商工労働部長)

アベノミクスと言われる金融の量的緩和の拡大という経済政策は株価の上昇、円安の進行などによって企業の財務数値を好転させてはいますが、中小、零細企業の多い県内企業の状況は必ずしも好転しているとは言い難いとの評価があります。県内企業のほとんどは、設備投資の原資を金融機関からの融資で賄っており、キャッシュフローのほとんどは融資金の返済に充てられ、低金利によって辛うじて資金収支を均衡させているのが現状です。
全国的な賃金上昇の流れを受け、政府方針もあって、最低賃金が上昇し、外国人ワーカーの給与水準も上昇していますが、下請け事業者の多い県内事業者の多くは、元請への納品単価が据え置かれ、厳しい状況と聞いておりますが、
本県中小企業について近年の経営実態はどのように把握されていますか。業種別の状況についてお聞かせ願います。(商工労働部長)

また、島根県の有効求人倍率は1を超える水準で推移し、県東部では製造業やサービス業でパートを含め求人がままならず、介護や保育分野でもほとんどの事業所で必要な人員が確保出来ていないとの声がある反面、引きこもりやニートの増加が指摘され、生活保護家庭も増加する一方の状況があると聞きます。
仕事の需要があるのに、働かない人や生活保護が増加するというのは明らかに不合理でありますが、実態はどうなっているでしょうか。もっと、若者や生活困窮者の皆さんなどに対する職業相談や職業指導、訓練を強化するとともに、必要であれば短期的に公的な雇用(不況時に実施された雇用対策のようなもの)を考慮するなどの対応が必要ではないでしょうか。(商工労働部長)

また、無業者や生保者をきちんと社会参画(復帰)させ、自立していただくためには、相当なきめ細かい支援が必要でありますが、福祉と教育、商工、農林などの連携はもとより、県と市町村が連携して実態を徹底調査し、自立に有効なプログラムをつくり、社会への参画を促進する対策を実施する必要を感じますが、今後、県としてどのような取り組みを考えるのかお聞かせください。(健康福祉部長・商工労働部長)

安井克久商工労働部長答弁

県内の景気動向について

これについては、県が四半期ごとに実施している110社余りの業況調査、それから商工団体からの毎月の情報提供、それから国などの公表資料のうち、中小小規模企業をより多く含んでいる松江財務事務所の法人企業景気予測調査などを踏まえてお答えさせていただきます。
まず、設備投資ですが、9月の財務事務所の調査では、平成27年度の設備投資計画は26年度に比べ約50%の増加の見通しであり、リーマン・ショック前の水準に戻りつつあるとされており、8月に行いました県の調査においても、今年度設備投資を計画している会社は全体で6割に上っております。
次に、雇用情勢ですが、7月の有効求人倍率は1.27倍で、平成25年7月以降2年にわたり1倍を超える高い水準を維持しております。一方で、財務事務所の調査にもありますが、約3割の企業が従業員が不足ぎみとされており、県の調査におきましては5割が従業員の不足を訴えておられます。
次に、個人消費については、全国のデータですが、総務省が行った家計調査によりますと、消費支出の動きは、全国では消費税引き上げ前の約95%前後で推移しております。このデータの本県の公表数値はございませんが、次のような点から考えますと同様な傾向があると推察されます。それは、1つには、大型小売店の販売額を見ますと、消費税増税前の25年と比べてここ半年で1%程度の減少があること、それからホームセンターの販売額を見ますと、同様にここ半年で10%程度の減少があること、また乗用車の新車登録台数が6カ月連続で前年を下回っていることなどがあります。
こうしたことに加えて、県の業況調査においては、コストの上昇の動向や円安傾向の影響をお尋ねしております。それによりますと、コストについては、人件費の上昇による影響があるとする企業が約4割、円安による原材料等の仕入れ価格の上昇による影響があるとする企業が約5割となるなど、多くの企業で影響が出ております。一方、円安効果により、輸出関連の製造業を中心とした約3割の企業においては、受注量の増加などの影響も出ております。
こうした状況を見ますと、好調な設備投資や円安を背景にした輸出関連企業などのよい影響がある反面、やや低調な個人消費による小売サービス業を中心とした売り上げの低迷や、多くの業種にわたる人材不足、また人件費や原材料等仕入れ価格などのコストの上昇といった厳しい状況があります。こうしたことから、県内企業の経営動向は、業種間にばらつきはあるものの、特に中小小規模企業を中心に厳しい状況が続いていると考えております。
次に、中小の製造業の業種別の経営実態についてでございます。
これについては、先ほどの県の業況調査と、関係業界等から直接聞き取りをしておりますので、これを踏まえてお答えいたします。
まず、県全体の状況としましては、県の8月の調査によりますと、製造業78社のうち、5月から7月ですけれど、対前年の売り上げが増加したとする企業が32社、減少したとする企業が25社であります。増加のほうが減少より多いわけですけれど、これは比較している時期が昨年の5月から7月ということで、消費税増税直後の時期であることを考えますれば、この増加はやや控えて見る必要があると考えております。
これを県東部と西部に分けて見ますと、東部で増加した企業は22社、減少した企業は19社であり、増加した主な業種は自動車部品、機械部品の製造業であります。西部では、増加した企業は10社、減少した企業は6社であり、増加した主な企業は自動車部品の製造業、それから食品の製造業であります。
次に、業界等から聞き取りしました業種別の経営状況についてお答えします。
食品製造の中の水産練り製品製造業ですけれど、原材料の価格上昇や物流費の上昇に対して売り上げは伸び悩む傾向にあり、利益が減少している状況があります。鋳物製造業ですけれど、これは造船や工作機械向けの売り上げが好調であり、かつ原料のスクラップなど主要原料が安くなっておるため、利益が増加している状況にあります。
次に、農業用機械部品製造業ですけれど、これは輸出用トラクター向けの売り上げが好調でありますが、人件費の上昇や円安、資材不足による原材料費の上昇などで利益が減少している状況にあります。
自動車部品製造業では、円安による輸出の増加に伴い、県内企業への発注がふえております。しかしながら、特に規模の小さい下請企業におきましては、売り上げの増に対して、原材料、燃料費等のコストの増がカバーし切れないということで、利益が確保しにくい状況もあります。
最後に、繊維製造業ですけれど、これは円安によって海外から国内生産が戻ってきており、その影響もありまして、県内の受注はふえております。しかしながら、お話にもありましたように、外国人技能実習生の実習手当等を含む人件費の上昇や人手不足から経営の影響を受けている企業が多くあります。
全体としまして、各業種ごとに差があるものの、近年の原材料費、人件費等のコストアップを売り上げの増が十分にカバーし切れていない状況も見られ、そのために利益率が下がっているという状況もあると考えております。

安井克久商工労働部長答弁

無業者等への職業相談などの対応について

ひきこもりやニート、生活困窮者等の実態と職業相談などの実態ですが、ひきこもりについては、県が平成25年度に行ったアンケート調査では1,040人、このうち20歳から59歳までの働く年齢層の方が約8割となっております。次に、仕事や学業についていない15歳から34歳までの無業者、いわゆるニートでございますが、これは総務省が5年に1回調査しております就業構造基本調査によると、直近の平成24年で約2,300人となっております。また、生活保護世帯については、ことし7月時点で4,689世帯、このうち高齢、疾病、障がい等の要因のない世帯が1,019世帯で、近年は微減の状態となっております。
次に、これらの若者や生活困窮者への職業相談等についてであります。
生活困窮者につきましては、先ほど健康福祉部長が答弁いたしましたが、市町村にある相談窓口が全市町村にあります。そこを通じて、市町村が中心になって、原因あるいはその解決、職業訓練、就労支援などを行っております。また、ニート等への支援については、しまね若者サポートステーション、これをサポステと言っておりますけど、これが県内2カ所ございまして、このサポステでは心理カウンセリングなどを行い、その人一人一人に合ったプログラムによる就労支援を実施しております。その利用実績は、26年度では443名であり、このうち167名が就職につながっております。さらに、多くはございませんが、ジョブカフェを活用して就職につながっているケースもあります。
こうした状況を見ますと、就労支援の対象を最も広く考えますと、ニート等の総数が約4,000余りですけれど、これに対して就職につながった数が200名弱ということでございます。就労への結びつきがまだまだ十分ではないのではないかと考えております。
したがいまして、今後、ニート等の若者を就職につなげる対策の強化として、次のような取り組みを実施してまいります。1つには、サポステや高等技術校で現在も実施しておりますが、適性に応じた職業訓練を拡大強化すること、それから就労に向けた心構えやスキルを身につけるためのいわゆる職場体験ですけれど、これもまだ実績が多くございませんので、これを拡充すること、それからサポステと就職のあっせんになりますハローワークですけど、連絡会議を持っておりますけど、これをより密接なものにしていくこと、こうしたことを通じまして、まずは一人一人の状況に対応した支援を強化して、求人を出しておられる企業に結びつけ、就労を伸ばすように取り組んでまいります。
最後に、関連しますが、ニート等の自立に向けた支援についてお答えします。
ニート等の支援については、先ほどお話ししましたサポステが中心になって取り組んでおりますが、現状を見ますと、サポステの利用者は440名余りということで、全体の先ほどの4,000に比べますと1割余りにとどまっております。これは1つには、サポステの支援の周知が十分でないということ、もう一つには、支援プログラムそのものの魅力とか内容に十分でない部分があるのではないかと考えております。
したがいまして、周知については、市町村の子ども・若者総合相談センターとの協力を強化するとともに、市町村教育委員会等の関係機関との連携を図り、周知の拡大に努めてまいりたいと思います。また、支援内容の魅力アップに向けては、市町村の福祉部局等の意見を聞きながら支援メニュー全体を点検するとともに、コミュニケーション力向上のためのトレーニングの内容の充実などには早々に取り組んでまいりたいと考えております。

藤間博之健康福祉部長答弁

無業者等の社会参画を促進する対策について

生活保護世帯の方や無業者の方は、心身の状況や家族関係、経済状況など、一人一人の置かれた状況が異なっており、その自立に向けましてはきめ細かな支援が必要でございます。
これまでも、社会参加が難しい方への支援といたしましては、1つにはハローワークなど国の雇用施策、またひきこもり支援センターや地域若者サポートステーションなど県の施策、生活保護受給者の就労支援や子ども若者支援など市町村の施策など、それぞれ関係機関と連携を図りつつ進められてまいりました。具体的な支援を例示いたしますと、引きこもっている方につきましては、社会とのかかわりの程度や段階に応じまして、本人が抱える悩みや不安についての相談や助言、気軽に集える居場所の提供、本人の希望や状況に寄り添った職場のあっせんや働き方の調整など、個々人の状況に応じた支援を行っております。
なお、県では、関係部局を始め福祉や教育、雇用、矯正などの機関で構成いたしますひきこもり支援連絡協議会を設置をしております。今後、関係機関との連携が一層深まるよう努めていきたいと考えております。
今年度から生活困窮者支援制度が始まりましたが、この中では、無業者全般に対しまして基礎的な訓練プログラムやきめ細かな就労指導を行うということになりました。また、就労や社会参加の受け皿を広げることも重要であることから、福祉事業所における困窮者の受け入れに向けて調整を進めております。今後さらに、一般事業所での受け入れなどについても情報収集や開拓を図りたいと考えます。
無業者などの実態把握につきましては、プライバシーの問題があるほか、どのような状態にある人を対象にするのか、どのような方法で調査をするのかなど、さまざまな課題もございます。県といたしましては、生活困窮者自立支援の相談窓口にいろいろな課題を抱えた人が相談に訪れ始めておりますので、当面はそうした窓口での相談実績を積み重ねていきまして、その上でさらに有効な支援を考えていきたいというふうに考えております。

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