県議会だより

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平成28年2月定例会一般質問(1)

「マイナス金利」について

私は、平成3年に平田の市議会に出まして、25年が経過をしました。今議会がちょうど100回目の定例議会でございます。そして、質疑が今回99回目でございます。国政では、地方創生、一億総活躍、こういうことがスローガンに掲げられて、地方の活性化や子育て、女性の活躍、社会進出を支援する取り組みを充実させるとされております。地方がみずからの将来を考えて、政策目標を掲げて戦略を練り、具体的な施策、事務事業を立案して実行、具現化させていくこと、当たり前のことですけれども、地方が自立して自分の足で立っていくということができれば、これはすばらしいことだと思います。
また、若い男女が結婚して子をなす、そしてその子どもの育ちや子育てを周りが応援して、女性や高齢者の皆さんの社会参画を促していく。もとより、妻を愛し、世の女性をあまねく敬愛する私にとりましては、こうした方向に異論のあろうはずはありません。しかし、十分な準備もなしに、少子高齢化の進行で人口が減少して、社会や生産現場の担い手が不足するから女性や高齢者を活用しようということでは、例えば女性の皆さんが家庭の中で果たしてきた家族の健康を気遣うだとか、あるいは子の育ちを見る、あるいは近所の人たちと本当にコミュニティーを形成してみんなで助け合っていくというようなことは、じゃあ誰が代行していくのか。行政が全部、社会が全部、こういうことが代行できるのか。本当にそうした備えというものをきちっと講じる前に、やれ専業主婦は時代おくれで悪だ、産休育休が明けたらすぐ働きなさいとばかりの風潮には、私はいささか違和感を持っております。
そしてまた、近ごろイクメンという言葉で要らざることをした人もおりますけれども、基本的に子を育てるのは親の務めであります。両親が相和し、それぞれが役割を分担して子の成長を図ることは当然で、その分担の仕方は、置かれた環境や職種、経済的事情や健康状態などの、それこそ千差万別、いろんな夫婦のあり方、家庭のあり方、それぞれの方法があると思います。
私は、夫婦がそれぞれの状況に応じて役割を分担するためには、必要な家庭生活の知恵、炊事、洗濯、掃除、いわゆる家事一般についての基本的な学習、なれが必要だと思います。従前は、就職や進学で親元を離れてひとり暮らしをすれば、自然にそういうことが身についた。あるいは、父、母、おじいさん、おばあさんと一緒に生活しておれば、そういうことは自然に身についた。そういうもんだと思います。
島根の強みというのは、都会、都市部では莫大なコストを支払って手に入れらないけん安全とか安心が、ただで、一銭も払わなくても毎日の生活の中で手に入るということであります。ただ、それを身につけるためにはちょっと勉強してもらわにゃいかん。学習が必要だと思います。ですけれども、この議論はきょうはやめまして、きょうは少し視点を変えまして、今の国の政策について、あるいは国の政策がもたらす影響について議論をしていきたいと思います。
日銀の総裁は、1月28日、29日の政策決定会合で、民間銀行が日銀に預ける当座預金の一部に0.1%の手数料を課すマイナス金利を導入することを決めました。これによって、金融機関が必要以上の資金を日銀に預けておくメリットが薄れることから、日銀の口座に積み上がっている金融機関の資金を、より積極的に貸し出しなどに振り向けるように促す狙いがあると見られ、果たして、このマイナス金利導入が島根県にとって良薬となるかどうかということであります。
統計を見ますと、県内の預金は約6兆円、借り入れは県、市町村、民間合わせておおむね2兆円です。預金金利が1%になれば600億円の利息が島根県に入ります。県民の皆さんに600億円入ります。利子課税が20%、源泉されても480億円の付加価値のほとんどは消費に向かいます。島根県のGDPはおおむね2兆4,000億円程度ですから、単純計算で1%金利が上がれば、県の経済は2%の成長が見込めます。
一方で、金利が上がると財政が苦しくなるという意見があります。県の財政を見れば、県債残高は赤字県債を入れて1兆円ですから、1%の金利で100億円、利子課税の地方分は5%ですから、30億円しか補填できません。70億円のマイナスです。しかし、1年で480億円の新規消費が発生するこの経済効果は莫大です。その波及効果は絶大で、きっと県税収入となって還流するはずです。また、債務の利払いや償還の懸念があれば、利子課税を30%にして、従来15%と5%の地方の割合をフィフティー・フィフティーにすれば、大体財政的な心配は払拭できると思います。
預金の多くはお年寄りのものです。退職給付が先細りし、預金本体の取り崩しで生活する現下の状況は、政府の低金利政策がもたらしたものであります。民間の資金需要が極めて低い県内の金融機関は、国債で資金運用しております。そうすると、地方の資金は中央へ流れます。そして、地方はその一部を交付税や国庫支出金でもらって、そしてまた、証券や債券市場で投資されたマネーは都市部の大企業に流れるという図式ですから、地方が自立できるわけはないと思います。私は、今のような超低金利政策、とりわけマイナス金利などというのは地方の疲弊を加速させるだけだと思いますが、いかがですか。

溝口善兵衛知事答弁

マイナス金利の影響について

マイナス金利は2月16日から実施をされたわけでありますが、1月29日に決定をされていろんな論議があるわけでございまして、マイナス金利導入自体について日銀内におきましても、決定会合におきまして賛成が5に対して反対が4ということでございまして、決定時から意見の違いもあると。その後のいろんな論調などを新聞などでフォローしてみましても、両説あって、国全体としてどうかという議論はまだまだ決着がついておりませんし、いずれにしましても導入してまだ間もないわけでございますから、これからの動向をよく注視をしないと、その様子っていうのはわからないんではないかというふうに思います。
そうした中で、島根ではどういう状況になってるかということを調べてみますと、県内の現状は、預金金利の引き下げや個人向けローンの引き下げが行われておりまして、この影響は今後出てくるのではないかと考えられます。一方、企業向け貸出金利の引き下げについては、まだ発表がされてない模様であります。また、規模の小さい企業が多く、総体的に資金需要が少ない島根県のような地方におきましては、企業向け貸出金利の引き下げの効果があらわれるのには若干時間を要するんではないかというふうに見られます。いずれにしましても、このたびの日銀の政策につきましては始まって間もないことでありますので、今後の状況をよく注視をしていく必要があろうかというふうに思います。
島根県の金融機関の経営に支障は生じないのかという議員の懸念につきましては、このたびの追加的な金融緩和におきましては、日本銀行の当座預金の一部分に限定的にマイナス金利が適用され、金融機関の収支への過度な圧迫がないように配慮はされておられるわけであります。それから、県内の金融機関と全国のほかの金融機関との状況を見てみますと、県内の金融機関の預金残高と貸出残高の比率ですね、預貸率と言っておりますけども、これは全国平均と余り変わらない、おおむね同様でございました。したがいまして、貸し出しに回らず運用してる部分も、全国のほかの銀行群とも同様の傾向ではないかというふうに思います。金融機関が特に大きい影響を島根で受けるということは、いずれにしてもまだよくわからないことでございますので、よく注視をしていきたいと考えておるところでございます。

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