県議会だより

Reports

島根県議会平成28年5月定例会一般質問(4)

教職員等の待遇について

県職員(知事部局、教育委員会、公安委員会)勤務状況についてその詳細を明らかにしてくだい。具体的には、職員数、平均年齢、給与(実支給額の平均)、年間勤務時間、残業の実態と手当の状況(残業時間の平均と最大値、残業手当の平均額と最高額および支給総額)、有給休暇の取得状況について、全体および職種別の数値をおしらせください。(総務部長)
給与実態については、近隣県(鳥取県・広島県)と若干の差異があると聞きますが、その状況比較ができれば、支給状況をお知らせください。(総務部長)
仄聞するところでは、職員への各種手当支給と勤務評定の実態について一般職員と警察職員、教育職員に差異があるとのことですが、実情はどうでしょうか。(総務部長)

県内公立高校の学力と大学進学の状況について伺います。(教育長)
週刊誌には今年の大学受験の結果が詳しく報道されています。その結果を見ると、本年春の状況は、従前、優位にあった本県は大きく凋落し、島根県と鳥取県の公立高校で大きな差がついたように感じます。以前、東大や京大などの難関大学合格者数(率)が他の都道府県に比べて低いのではとの問いに「私立学校の多い(幼稚園から入試がある)都会地と比べると、島根県の子どもたちは『受験』に取り組む年齢が遅く、また、学習塾等で学力を補足、向上させる機会が限定されている」と答弁されましたが、全県にIT対応の学習塾が出現しており、都市部と周辺部に従前ほどの格差はないように見えます。小中の全国学力テストの結果では、島根県では全問正解の子供の数が全国平均より少ないと聞きますが、高校生の学力について県教委はどのようにとらえていますか。(教育長)
小生は、全国学力調査の結果や大学入試合格者の報道を見る限り、島根県の小、中、高校の児童、生徒の学力は低下し、近隣県に遅れを取ったことは紛れもない事実と感じます。
県教委は算数指導の強化を図る方針を示していますが、学力が伸び悩んでいる根本要因に踏み込まない対症療法的な対策では、結果は限定的だと思います。学校は「学力をつける」ことが第1義ですが、近年、それ以外の意義が強調されすぎて、本来の目的が希薄になったのではないかと危惧するのです。
35人学級の完全実施によって現場のマンパワーは他地域と同等または平均以上となったと思いますが、『鍛える』体制となったか否かは不明です。教員が授業児童・生徒に向き合い、目標と意欲を持って、十分な学習指導や生活指導ができるための体制整備(待遇を含めて)を、どう図るのかお聞かせください。(知事)

溝口善兵衛知事答弁

児童生徒の学力回復と教員の待遇について

児童生徒に学力をつけることは、議員御指摘のとおり学校が果たすべき大きな役割であります。教育委員会からは、教員の指導力を高める取り組みや各学校が組織的に学力育成に取り組む体制づくりを進めていくというふうに聞いております。例えば、学校の学力課題に応じて授業改善の研修会を開くといったことも始めているようであり、こうした取り組みの積み重ねが児童生徒の学力育成につながることを期待をしておりますし、やはり全国各地でいろんな工夫をしながら子どもの教育を行っておるわけでございまして、そういう意味で先進地域のやり方などもこの島根に導入をするといったことも必要ではないかというふうに考えております。
また、学校現場の教員には多忙感があるといったような事情もありますが、教育委員会からは現場の教職員には児童生徒としっかり向き合って、質の高い教育を提供していくということでございます。また、教員の待遇面につきましては、後ほど他の職種や近隣県との比較について、総務部長から報告をさせることといたします。

松尾紳次総務部長答弁

県職員の勤務実態と待遇等について

県職員の勤務状況について
県の職員数は平成27年4月1日現在、全体で1万2,698人でございます。
内訳でございますけども、一般職員、これは知事部局職員と各行政委員会の事務課の職員を合わせて3,268人。そして教育職員7,613人。内訳は、高校教員が1,732人、小中教員5,050人、そして学校事務を含む教育委員会の事務局職員831人でございます。そして、警察職員が1,817人。内訳は、警察官が1,510人、警察事務職員が307人となっております。
平均年齢及び扶養手当や時間外手当なども含んだ全ての手当を含んだ平均給与月額は、職員全体では44.3歳で42万1,181円でございます。内訳は、一般職が44.2歳で41万3円、そして高等学校教員が44.5歳で43万5,719円、中小教員が46.3歳で43万70円、警察官が38.6歳で42万9,709円となっており、年間勤務時間は職員全て1人当たり1,867時間45分となっております
平成27年度の残業の実態と手当の状況は、一般職の平均残業時間数は176時間で、手当の平均額は48万6,000円であり、最大は1,567時間で、それに伴う手当は516万6,000円、支給総額は約13億3,000万円でございます。次に、警察職員では警察事務と警察官を含めた数字で、平均残業時間数は220時間、手当の平均額は59万3,000円で、最大は914時間、手当の最高額は307万円で、支給総額は約9億9,000万円となっております。この2つを合わせた職員全体で、平均残業時間数は191時間、手当の平均額は52万7,000円、支給総額は、合わせまして23億2,000万円となっております。
なお、教員につきましては、時間外勤務手当の支給対象外であるため時間数は把握されておりません。参考までに、労働安全衛生法に基づき教育委員会が把握しております実績は、1カ月に100時間を超えて時間外勤務を行った者の平成27年度の数値は月平均342人程度で、これは全体の5.2%に当たる数字でございます。
有給休暇の職員1人当たりの年平均取得日数は、昨年分につきましては現在調査集計中で、平成26年の実績で申し上げますと、職員全体では9.7日。内訳は、一般職員が10.7日、教育職員9.6日、警察職員で7.7日となっており、過去3年の実績はほぼ同じ状況でございます。
近隣県と比較した給与の実態については、一般職員の給料を国家公務員を100としたラスパイレス指数で比較をいたしますと、島根県が97.6、鳥取県が91.8、広島県が99.8というふうになっております。
なお、教員と警察官につきましては、このラスパイレス指数がございません。したがって、全ての手当を含んだ平均給与月額、これは各県が公表している数字でございます。この資料から比較をしてみますと、同じく27年4月1日現在でございますけども、高等学校の教員、島根県が平均年齢44.5歳で43万5,719円、鳥取県が45.1歳で41万8,063円、広島県が45.8歳で44万3,835円でございます。中小の教員につきましては、島根県が46.3歳で43万70円、鳥取県につきましては45.0歳で40万3,120円、広島県が44.1歳で41万6,092円となっております。また、警察官でございますけども、島根県が38.6歳で42万9,709円、鳥取県が36.5歳で41万2,563円、広島県が38.5歳で42万7,605円となっております。
期末勤勉手当の年間支給月数については、島根県が3.9月、鳥取県が4.1月、広島県が4.2月となっております。

職員への各種手当支給と勤務評定について
まず、各種手当の支給でございますけども、これは一般職員、教員、警察官、それぞれの職種、業務に応じた手当を支給してございます。例えば一般職につきましては、税務手当や福祉業務従事手当、教員につきましては、これは週休日の部活動の指導等ということで教員の特殊業務手当、また学年主任等にかかりましては教員業務連絡指導手当、また、警察官につきましては捜索特別手当、警ら手当等々がございます。これらは、業務に従事した場合に特殊勤務手当として支給されているものでございます。これに加えまして、教員の場合は全職員に支給される固有の給与が2つございます。1つは、義務教育等教員特別手当というものでございまして、これは教員の人材確保を目的として、月額8,000円を上限として小中高全ての教員に毎月支給をされているものでございます。もう一つは、教職調整額というものでございます。これは、授業の準備や課外での指導など、教員の勤務における自主性や創造性による活動を評価したものでございまして、給料月額の4%が管理職を除く小中高の教員に毎月支給をされているものでございます。
勤務評定の実態についてでございますが、一般職員の場合、勤務評定の結果を人材育成に活用をするとともに、給与の一部に反映をしております。また、任用に当たっての参考ともしているとこでございます。教員の場合は勤務評定の結果を給与への反映はございませんけども、評価の結果を本人にフィードバックをして、資質能力、意欲の向上につなげ、適材適所の校内の人事配置に活用をしております。警察職員の場合は勤務評定の結果を給与、そして昇任試験などの任用に反映をしております。

鴨木朗教育長答弁

高校生の学力について

高校の入学時における高校生の学力の状況を高校入試から見ますと、全体の傾向として、基礎的、基本的な力はかなり定着しておりますが、論理的、総合的に考え、処理、表現する力に課題が見られます。また、5教科の総得点が500点満点で400点以上のいわゆる高得点者の割合は、近年減っています。また、高校入学後の状況につきましては、指導に当たる教員の意見として、高校1年生から2年生にかけては全体的には徐々に伸びていきますが、3年生になると伸びがとまる傾向にあります。これは、難易度の高い問題に対応する力が十分に身についていないためであると考えられております。
また、大学の進学状況につきまして、本年春の卒業生で全体に対します割合で言いますと、国公立大学19.5%、私立大学20.0%となっており、ここ数年同じような傾向にはありますが、いわゆる難関大学への合格者数は減少しております。このことは、小中学校の全国学力・学習状況調査で把握している学力の状況と同様でありまして、小学校段階から高校までを通じまして、一人一人の児童生徒が持つ能力を伸ばし切る指導や、家庭での学習習慣を身につけさせる指導の面で、本県の学校教育に基本的な課題があるものと考えております。このため、高校では教員の指導力を高めるために、現在次のような取り組みを進めております。1つは、教科指導充実のための非常勤講師配置事業といたしまして、普通科高校の進学指導に精通した退職教員を非常勤講師として配置し、教員に指導技術を伝承していくこと。2つ目は、教科リーダー養成活用事業として、教科指導に意欲を持って取り組む中堅教員をリーダー教員に指定し、授業研究や県外研修などで力量を高めてもらい、校内外でその成果を波及させていくこと。そして3点目ですが、チームしまね進学対策事業として、学校の枠を超えて数学、理科の教員が大学入試センター試験の問題分析を行ったり、みずから教材開発を行うなど、県内教員にその成果を普及していくこと、こういった事業を行っているところでございます。学校現場と課題意識を共有しながら、教員の指導力の向上、さらには児童生徒の学習習慣の定着に向けた取り組みを重点的に進めていきたいと、このように考えております。

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