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リオデジャネイロパラリンピッが閉幕しました。出雲市出身で車椅子テニスの三木選手の健闘をたたえるとともに、障がいをありながらも、それを克服して活躍した全てのパラリンピアンに拍手を贈ります。
そこで、県内で、障がいを有する皆さんの社会参加の現状についてお尋ねします。
本年9月1日現在、県内には、障がい者(身体、知的、精神、発達)と認定され、手帳を交付された者(児)の状況はどのようになっていますか。
また、支援施設への入所の状況についてもお示し願います。(健康福祉部長)
発達障がいについては、すでに同僚議員から質疑がされましたが、手帳の交付が、精神障がいに包含されていることに、その把握を難しくしている面があるように感じます。支援法が制定されて10年となりますが、確定診断ができる専門医の不足や市町村に健診体制の差異があるなど、増加を続ける対象者に行政の対応が追いつかない面があります。この際、国に所要の対応を求めるべきではありませんか。(知事)
障がい者(児)の社会参加の最たるものは就労です。
障がいを有する人の就労には、一般就労と福祉就労がありますが、その状況はどのようになっていますか。(健康福祉部長)
県内事業所の障がい者雇用(一般就労)の現状について説明してください
職種や事業所の規模、行政機関や学校、医療や福祉現場などの状況を詳しくお知らせ願います。(商工労働部長)
一定規模以上の事業所には、障がい者の雇用が法律で義務付けられ、ペナルティもあると聞きますが、その内容と県内の状況はいかがですか。
また、県内にも障がい者(児)雇用の特例子会社があると聞きますが、事例をご紹介ください。(商工労働部長)
障がい者の社会参加を促進するためには、障がいの程度に応じた訓練が必要です。身体障がいには機能回復、発達には社会適応、知的には就労、精神にはリハビリなどが一般的と考えられますが、訓練施設(学校)や療養、支援施設を経て、就労へつなぐための取り組みの現状をお尋ねします。(健康福祉部長)
一昨年、県内の引きこもりの状況を調査したところ、想定を超える数の実態が明らかとなり、学校を卒業しても職に就かないいわゆる無業者の増加もわかりました。社会不適合の多くは何らかの発達障がいを有することが報告され、適切な支援があれば大部分が克服できると言われています。
養護学校高等部に入学する生徒が年々増加する一方で、卒業生の一般就労は頭打ちの状況があります。障がいを有する者(児)の教育、訓練は「繰り返し」と「時間」であることから、社会参加を実現するために小、中、高の連携によるジョブ訓練が必要です。
また、成人となった後の支援も必要ですが、発達障害者支援センターの存在が一般に周知されておらず、一貫性のある支援とはなっていないのが現状です。
加えて、企業(事業所)が障がい者の雇用をリクエストしても求職者がゼロという実態があり、行政はこうした状況を改善するためにどのような対応を取りますか。(健康福祉部長・商工労働部長)
│掲載日:2016年09月26日│
発達障がいにつきましては、専門的な対応を行う医師や医療福祉専門職の不足、また行政の対応のおくれなどが全国的な課題となっております。また、島根県におきましても、発達障がいについてのより専門的な診断や相談の依頼が一部医療機関に集中しているなどの課題があります。
これまでも、中国知事会などを通じまして、国に発達障がいの特性に応じた支援体制の充実を要望してきておりますが、今後、当該者や関係機関等からの意見もお聞きした上で、専門医の育成や確保などの支援策につきまして、手帳の交付を含めて国に対して要望していきたいと考えております。
直近で28年8月31日の数値ということになりますが、身体障害者手帳の所持者数は3万7,217人、知的障がいに係る療育手帳は7,438人、精神保健福祉手帳は6,130人となっております。発達障がい者は、精神保健福祉手帳の対象、この内数となっておりまして、精神保健福祉手帳所持者のうち発達障がいを主な理由とする人は551人となっております。
障がい児・者施設の入所者につきましては、平成28年8月31日時点で1,414人となっております。
障がい者の就労について
一般就労というのは、一般企業へ就労することでありまして、福祉就労は、一般就労が難しい障がい者の方が障がい福祉サービス事業所に就労するものであります。この福祉就労には、福祉サービス事業所と雇用契約を結んで就労する就労継続支援A型と、雇用契約を結ばずに働くB型がございます。
一般就労の状況につきましては、平成27年6月1日時点で島根労働局が一定規模以上の従業員を雇用する事業主を対象に行った障がい者雇用状況調査によりますと、県内では523社において1,641名が雇用されております。一方で、福祉就労の状況につきましては、平成28年6月30日現在、A型の32事業所で働いている障がい者は478名、B型の103事業所で働いている障がい者は2,279名でございます。
障がい者の職業訓練について
障がい者は、就労する前にいる場所や置かれている環境に応じまして、さまざまに就労のための教育訓練を受けております。1つには、18歳までの人は特別支援学校高等部、それからまた特別支援学校を卒業した後に就労に必要なスキルの習得を目指す人ですとか、一度就職した後、離職して再就職を目指す人は高等技術校、また一般就労が困難な方は障がい福祉事業所ということで、さまざまな場面において教育訓練を受けております。
それぞれの機関におきましては、これは障がいの種別や程度に応じて異なりますけれども、介護職員の資格取得を目指す訓練ですとか、パソコンや電卓といった作業能力を高める訓練、また挨拶や言葉遣い、身だしなみといったビジネスマナーの習得をする訓練などを行っております。
障がい者の就労は、健常者の就労と違いまして、求人する企業側が障がい者の特性を理解をするということ、また他方で、求職する障がい者のほうも、企業で何が求められているものなのか、どういう人材なのかについて知るといった相互理解をするということが大切でございます。
障害者就業・生活支援センターにおきましては、各圏域で年2回、市町村、特別支援学校、福祉事業所などをメンバーとして会議を開催をしまして、ハローワーク職員から圏域の雇用情勢ですとか求人求職のニーズを紹介いただいて、関係者で情報などの認識共有を図るということをしております。こうした状況を踏まえて、センターのほうでは就労支援を行っております。また、個々の案件におきましても、個別企業からの求人に対しまして、個々の障がい特性などによって勤務時間の就労条件を例えば変更してもらうといった、企業側と障がい者側との就労のマッチングに努めておるところであります。
県では今年度、障がい者と事業主を対象に就労のアンケートを行うこととしております。この結果を踏まえまして、企業側、障がい者側、それぞれの考えや状況を相互に伝えまして、お互いの理解が深まるように努めていきたいと考えております。
常用雇用者50人以上の企業は、法律により、2%以上の障がい者雇用が義務づけられております。そのうち、常用雇用者が100人を超える企業は、未達成の場合は、不足人数1人当たり月額5万円の納付が課せられております。この制度を所管しております国の外郭団体によりますと、昨年度の数値ですが、島根県では、100人を超える対象企業239社のうち約3分の1の88社が未達成とのことであります。
それから、特例子会社でございますが、これは障がい者の雇用義務のある企業が、専任の指導員の配置や障がい者を5人以上雇用することなど、こうした一定の要件を満たす子会社を設立した場合に、その子会社に雇用されている障がい者を親会社や企業グループ全体で雇用されているものとして算定できる制度でございます。島根県では、平成22年に県東部の事業者が平田に手帳の製造を行う特例子会社を設立しており、現在、県内にはこの1社のみです。
この平田の特例子会社では、2名の専任指導員のもと、重度障がい者2人を含む16人の障がい者の方が、障がいの程度に応じた業務についておられます。開設後6年ですが、離職者は2人と少なく、個々人の生産性も向上しており、中には健常者と同等のスキルを身につけておられる方もあるというふうに聞いております。
職業紹介とマッチングについて
県内のハローワークでは、障がい状況を把握して職業紹介を行っていますが、27年度の数字を見ますと、求職する人が1万8,000余りあることに対しまして、就職が決まった件数は870件余りでございます。率にして4.7%にとどまっているということでございます。
一方で、県内には、障がい者の雇用を円滑に進めている企業もあり、聞き取りをしましたところ、1つには、ハローワークに対して自社の必要とする障がい者の情報を積極的に伝えておられると、また2つ目には、特別支援学校と連携し、職場見学やインターンシップを通して生徒と企業との相互の理解が深まっているということ、それから既卒者を採用される場合にも同様に採用前の職場実習に十分時間をかけておられることがあります。こうしたことで障がい者の雇用を促進するために、障がい者側、企業側双方の理解を深めることが大事でございます。
先ほど健康福祉部長の答弁にもありましたが、障害者就業・生活支援センターや、あるいは地域若者サポートステーションで行う職場体験、それから離職中の障がい者を対象とした就業を前提とする職場実習型の委託訓練、これは技術校がやっております。それから、特別支援学校の一部の生徒を対象として、教員が引率して行う同様の委託訓練など、これらの充実を図って、障がい者と企業の接点をふやしていきたいと考えております。
また、ハローワーク経由の就職をふやすために、各ハローワークで企業の障がい者採用活動を支援している障がい者専門支援員に対して、県の立地企業巡回専門員が一緒に行動したり、あるいは情報提供するということで、企業と障がい者のすき間を縮めていきたいと考えております。