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国立公園満喫プロジェクトは、日本の国立公園の自然を、日本を訪れる外国人の皆さんに諸外国のナショナルパーク同様、『満喫』してもらう環境省の取り組みですが、ターゲットが「インバウンド」つまり、外国人観光客ということもあり、観光と密接不可分の事業であると考えます。
大山隠岐国立公園はこの国立公園満喫プロジェクトに参画する国内8つの国立公園の1つであり、選定の経緯や今後の期待、可能性などについては、過去の議会で同僚議員からの質疑で明らかにされており、すでに平成28年12月に岡山県、鳥取県、島根県の5地域、16地点を対象に大山隠岐国立公園ステップアッププログラム2020が策定され、平成28年度の補正予算でトイレの改修等の事業が予算化、執行されております。
この事業のミソは、外国人に「ワンダフル!」と言わせ、「もう一度、家族を連れてきます!」と言わせることにあり、「きれいですね」「案内してもらって有難う」「Good・Bye」と言わせることにあるのではない、ということです。
つまり、プログラムに掲げられているトイレや看板、WiFIの環境整備などは最低の必要条件であり、大山隠岐国立公園が持つ自然の美しさを倍化させるツールではありません。大山隠岐国立公園は、大山・蒜山、島根半島(東部・西部)、三瓶山、隠岐の5地域がそれぞれに、春夏秋冬に全く特色が異なる魅力を持つ地域であり、自然と神話の時代から続く歴史が実感できる稀有の地域であること。さらにそれぞれの地域が弓ヶ浜、中海・宍道湖、島根半島など、国立公園には指定されていないけれども、ラムサールの登録湿地や国宝、国の史跡、世界遺産、自然公園などに連結していることが大きな特色です。
しかしながら、大山隠岐国立公園ステップアッププログラム2020には、一番の魅力である国立公園を取り囲む地域と公園地域の連携が不明確で、公園の魅力を倍加させるどころか半減させかねないものになっていると感じますが、立案の経緯と現時点で計画されている28年、29年の計画をお示しください。(環境生活部長)
「ワンダフル」と言わせるためには、大山隠岐国立公園ステップアッププログラム2020を大胆に見直した上で、周辺との連携を意識した計画に作り直しをし、岡山県、鳥取県はむろんのこと、県庁内での部局連携と関係市町村が一体となった取り組みを進めることが必要と思いますが、いかがお考えになりますでしょうか。(知事)
│掲載日:2017年02月28日│
大山隠岐国立公園は、島根、鳥取、岡山の3県にまたがり、中国地方最高峰の大山・蒜山地域や雄大な海岸、島嶼景観を誇る隠岐地域や島根半島地域、また火山地形や豊かな森林、草原など多様な要素を持つ三瓶山地域など、異なる魅力を持った複数の地域が一体として指定されている国内でも特色ある国立公園であります。
また、その周辺にはラムサール条約湿地の中海・宍道湖、国宝の松江城、神魂神社、世界遺産10周年を迎える石見銀山など、すぐれた景観や歴史的な遺産もあります。これらの周辺地域と国立公園の魅力を一体としたプログラムを策定することにより、国に内外からの来訪者にアピールすることができるのではないかと考えております。
昨年末策定されましたステップアッププログラム2020は、時間的な制約もあり、各地域の個々の魅力アップを重点に検討されてきて、そうした資料もできておりますが、来訪者に大きな感動を与え、繰り返し訪問していただくため、周辺地域との連携を強化するという視点もプログラムに取り入れるよう、国、鳥取、岡山両県にも働きかけ、改定を考えておるところであります。
また、今回のプログラムは県庁内の各部局や関係市町村、民間事業者等が一体となり、オール島根で事業を進めていく必要がありますので、しっかりとした連携が働くよう取り組んでいく考えであります。
このプログラムの策定に当たっては、環境省から国立公園内に重点取り組み地域を選定し、来訪者が快適に滞在できる経営環境を集中的に整備するよう、取り組みの方向性が示されました。これを受け、国、鳥取、岡山両県などと構成する協議会において、隠岐、島根半島東部・西部、三瓶山、大山・蒜山の5地域から16カ所を重点取り組み地域に選定し、各地域で検討された事業を取りまとめ、全体事業計画となるステップアッププログラムを策定いたしました。
次に、平成28年、29年の計画につきましては、トイレの洋式化、遊歩道や駐車場の改修など快適な受け入れ環境の整備を図るとともに、各地域においてそれぞれの地域の特色を生かした体験プログラムの開発やツアーの造成、ガイドの養成など具体的な取り組みの検討を進めることとしております。
また、このプロジェクトの目標年度である2020年に向けて、来年度も引き続き県内各地の関係者と検討を行うとともに、国、鳥取、岡山両県との協議を重ね、先ほど知事からも答弁した周辺地域との連携の強化を含め、プロジェクトの具体化を図ってまいります。