県議会だより

Reports

平成29年2月定例県議会一般質問(1)

マイナンバーについて

いま、毎日のテレビや新聞、インターネットのニュースを見て、本当に多くの人々が「日本人に生まれて良かった」「日本に生まれて良かった」と感じているに違いありません。
5000万人の国民によって選出された大統領が、支持率が5%前後に落ち込んだとは言え、容疑者の有罪も確定していない時点で、一部の市民のデモで退陣に追い込まれる国。
自分の統治に邪魔になるものは、自分の兄や伯父といった近親者でさえ無慈悲に殺害・排除する最高指導者が君臨する国。
「自国の核心的な利益の保護」として平然と国際法のルールを無視して力による国境線の現状変更を行い、国民の言論、出版などの自由を奪っている国。
これらの国々は、紛れもなく私たちの対岸、隣国の有り様なのであり、報道は、こうした事態に傍観者であってはならないと言うことを如実に表しています。
私の愛読書である「ビッグコミック」に、かわぐちかいじさんの『空母いぶき』が連載されています。現在、先島・尖閣に侵攻した中国軍に対する総理官邸や自衛隊の対応を描き、曲折の末、日本が武力奪還作戦を始動するところですが、読者に日本の防衛を問い、緊張感を投げかけた佳作と感じます。
さて、小生は、先に行われた知事の施政方針と今期定例会に付議されている議案のなかから、何点かの問題についてお尋ねいたしたいと思います。

初めに、マイナンバーについて伺います。
今年の確定申告からマイナンバーの記載が必要となりました。マイナンバーはすべての国民に割り当てられた個人番号で、マイナンバーカードを取得することで個人情報が記録され、様々なことに活用できるとされています。
マイナンバーの導入の目的は、国の責任で、複雑多岐に亘る膨大な個人情報を管理し、ITを活用して、行政サービスを含めて、様々なサービスを高度化、迅速化することで、大幅なコスト削減を図ることができると期待されているのです。
例えば、マイナンバーカードと健康保険のレセプトを一体化させれば、生まれてからの診療記録がわかるようになります。しかし、せっかくのマイナンバーですが、カードの取得は全く進んでおらず、現時点でも発行枚数は1割にも満たないと聞いております。
マイナンバーカードも島根県で行っている「まめネット」も同様ですが、せっかくのサービスでありながら、なかなか参加者が増えない(カードの取得が進まない)理由は何だとお考えですか。(地域振興部長・健康福祉部長)
マイナンバーカードが普及すれば、どのようなサービス提供が期待でき、国や自治体、さらには民間事業者にどのような効果をもたらす可能性があるとお考えですか。また、現在、マイナンバーカードの取得状況は、全国、島根県でどのようなものでしょうか。(知事)
島根県が始めた「まめネット」の稼働状況と同意カードの発行状況についてもお聞かせください。(健康福祉部長)
私は、いずれも住民に導入の目的や効果、期待が理解されていないことに原因があると思います。もっと、粘り強く住民への啓発を進めて、本来の目的が達せられる努力を進めるべきと考えますが、そうした努力をするおつもりはありませんか。(地域振興部長・健康福祉部長)
知事は、島根の魅力を外部に発信するために広報の強化を謳い、広報部の新設を提案されていますが、「まめネット」の普及・認知度を見ると、県外発信もですが県民広報の必要性を感じるところです。むしろ、組織をいじる前準備として、県の広報戦略を抜本的に見直し、対外広報の一元化を含めた組織のありかたを検討した上で、新組織をスタートさせても良いのではないかと思いますが、この問題については同僚議員から質疑通告がされているようでありますので、敢えて、答弁は求めません。

溝口善兵衛知事答弁

マイナンバーカードについて

マイナンバーカードは、昨年1月から順次国民への交付が始まっております。本年1月末の普及率は全国で8%、島根県内では7%にとどまっております。
このカードの導入目的は、住民の利便性の向上と各種の官民の業務の効率化、コストの削減であり、受けられるサービスの範囲は現在拡大されるプロセスにあります。
まず、カード利用者にとっては次のような利便があるようであります。例えば、行政手続上必要となる各種の申告等が自宅のパソコンや最寄りの店舗で行えること、また例えば保育に必要な行政機関の情報など、自分に合った行政情報を取得することができることなどが挙げられております。
また、民間事業者にとりましては顧客へのサービス提供等に発行している各種カードに関する業務の効率化やコスト削減が図られるというふうに言われております。今後、さまざまなサービスを取り込んでいく方向で利用が拡大するならば、公的機関や民間企業がそれぞれに発行しているカードがマイナンバーカードに集約されていく可能性もあるとされております。
現在、インターネットや認証カードを利用しまして個人向けサービスを利用している住民の方々や、サービスを開発、提供している事業者は、カードが一元されていく動きも注視をしていく必要があろうかと思っております。

穐葉寛佳地域振興部長答弁

マイナンバーカードの取得が進まない理由と啓発について

カード取得が進んでいないのはこういう理由であると明確に示されたものはありませんが、今回改めて県内市町村に対し、カードの取得が進まないのはどういった理由が考えられるか聞いたところ、現時点においてカードの使い道が限られ恩恵が感じられないためではないかとの回答が全ての市町村からあったところです。
また、昨年1月のカード発行開始以降、地方公共団体情報システム機構が運用するカード管理システムに複数回にわたって障害が発生したことなどにより、カード交付の滞留があったため、総務省が積極的なPRを控えていたことも一因と思われます。現段階においてカード取得のメリットや利便性に対する理解が住民の方々に広がっていない、それが取得が進んでいない利用ではないかと考えております。
マイナンバー制度の周知につきましては、これまでも各市町村においてそれぞれ取り組まれているところです。例えば、江津市では制度が市民に段階的に理解されるよう、広報紙を活用し、9回にわたって連載されました。この取り組みは総務省のマイナンバーマイナンバーカード広報大賞においてすぐれた取り組みとして入選団体に選ばれたところであります。
しかしながら、そうした取り組みにもかかわらず、先ほどお答えした理由などからマイナンバーカードの普及が進んでいないものと思われます。
国におきましては、パソコンを使った確定申告、いわゆるe-Taxに加えまして、今後各種行政手続におけるオンライン申請や、健康保険証を始めとする医療分野での活用など、マイナンバーカードを活用したサービスの拡大を図ろうとされております。また、県内市町村の中には、マイナンバーカードを利用した住民票の写し等のコンビニ交付導入にあわせまして、カードの周知に取り組まれるところもあります。
今後、こうした利便性の向上やサービスの拡充の動きを捉え、マイナンバー制度の目的やマイナンバーカードの利便性などに対する住民の方々の理解が深まるよう啓発に努めてまいります。

藤間博之健康福祉部長答弁

まめネットの普及と啓発について

県の医療情報ネットワークまめネットは、医療機関の診療情報を共有し、質の高い医療の確保と効率化を目指すものでございます。平成25年1月から運用を開始して丸4年となりますが、できるだけ多くの医療機関、また県民の皆様が加入することでメリットが高まることから、その普及拡大に努めているところでございます。
まず、医療機関側の参加、稼働状況について申し上げますと、ことし1月時点での加入機関数は775機関、内訳は病院43、診療所279、介護施設317などとなっております。加入率で見ますと、病院では8割を超え、診療所や訪問看護ステーションでは5割程度ですが、薬局や介護施設は3割以下となっております。診療所や薬局、介護施設への普及をもっと図る必要があると考えております。
次に、主な機能の稼働状況について、平成28年度の月平均の実績で申し上げますと、連携カルテの情報閲覧回数が1,576回、紹介状の送付回数が979回となっております。近年増加しているものの、県内で紹介状が月に1万6,000件程度やりとりされているというデータと比較いたしますと、活用実績はまだ低い状況にあると分析をしております。
一方、患者、県民側のカードの発行枚数ですが、ことし4月末で3万5,450枚、平成27年度末までに3万5,000枚を目標としてこれまで取り組んできておりまして、数カ月おくれましたが、このたび目標を達成いたしました。しかしながら、県民人口の割合で見ますと、加入率は約5%ちょっとにとどまっております。また、県の同様のシステムと比べれば、加入率はやや高いというものの、苦戦している状況と認識しております。
また、圏域別では大田圏域、雲南圏域は10%程度と高い一方、松江圏域、益田圏域は2%程度と低い状況にあります。今後、これら特に加入率の低い地域への普及を強化していく必要があると考えております。
まめネットの参加者がふえない理由につきましては、議員御指摘のとおり、患者である県民の皆様にまめネットの周知が十分でなく、制度の維持、目的や効果に対する理解がまだまだ不足していると認識をしております。まめネット自体を知らない人、また制度は知っていてもふだん複数の医療機関を受診しないためにカードのメリットを感じない方もおられます。また、システムを使う医師の側の操作の習熟不足や未加入の医療機関があるということもカード普及が進まない理由の一つと考えております。
まめネットのカード普及につきましては、制度を開始した翌年の平成26年度から啓発事業を強化をし、県政情報番組等、県の広報媒体の活用、また運営主体であるNPO法人島根医療情報ネットワーク協会に営業活動を行う普及担当職員を5名を配置をする、また県内10の拠点病院にカードの普及窓口を設置をする、病院や地域のイベントに参加して呼びかけをするなどに取り組んでまいりました。
医療資源が少ない島根県におきましては、病院相互、また病院と診療所との図るこのまめネットは極めて重要なツールであります。また、今後地域包括ケアを推進していく上では、医療機関と介護施設の連携強化が大切であり、まめネットの維持、必要性はより一層高まるものと認識をしております。
先ほども申し上げましたが、県としてまだまだ制度の周知が不十分であると認識をしております。今後とも県民、医療機関双方にカードの目的や効果をよく説明をし、多くの方の参加と活用がいただけるよう、引き続き粘り強く普及啓発に努めてまいります。

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