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報道では小、中学生の15人に1人が発達障がいを抱えると言われています。
過去に、何度も発達障がいに対する診断、認定の必要性と支援を述べてきましたが、一向に有効な対策が見えてきません。障がいを有する人が一般就労に向かうと、多くが解雇されたり早期に退職して引きこもりや無業者になってしまう可能性があります。
障がいを有する人に適切な支援を講じるためには手帳の交付が必要ですが、身体、知的、精神の各障がい認定のなかで、県内では発達障がいを診断する精神障がいにかかわる認定医や専門機関が少なく、支援が後手になるきらいがあると思います。
はじめに、県内の発達障がい者の状況把握の状況について伺います。(健康福祉部長)
発達障がいについては、障がい認定(手帳交付者)を受けた者が少なく、障がいを有すると思われる者、いわゆる潜在的な障がい者の把握が難しいと思われますが、その割合はどの程度と見ていますか。(健康福祉部長)
ただ、学校で「支援を要する」とされた者で、手帳を交付されずに一般就労し、ドロップアウトして無業者、引きこもりに至るケースがかなりに上ると思いますが、経度、重度を問わず、発達障がいを抱える者の就労支援と就労状況についてお尋ねします。(健康福祉部長)
発達障がいに限らず、障がいを抱える人は、ある程度の支援を行うことで一般就労が十分可能ですが、そのためには、適切な障がいの証明(手帳交付)が必要です。しかしながら、多くの人は障がいの証明が偏見、差別につながるとしてこれを拒否して、結果として、大きな不利益を被っています。
この主たる要因は一般の人たちの障がいに対する認識の不足があり、学校教育にも欠けたところがあるように思います。
この際、島根県では障がいを有する者に対する証明(手帳交付)を奨励し、また、学校での障がい教育を充実させ、中学、高校、大学および各種学校とハローワークの連携によって一般就労を進める取り組みを拡大させる考えはありませんか。(知事)
私も齢六〇を超えて、初めて加齢による衰えを実感するとともに、思いと体が一致しない辛さを理解できるようになりました。
亡き父に、「お前も年を取れば分る」と言われたことを思い出すます。
少し手伝ってもらえれば、少し時間を多めにもらえれば、いわゆる「配慮」ですが、そうしたことが、当たり前になる世の中を作っていくためには、「理解をする努力」が不可欠だと思います。
島根は老人県で、高齢者比率は全国トップクラスです。介護施設などの施設福祉はずいぶん進展したように思いますが、認知機能の低下した高齢者が地域社会で普通に暮らす地域であるかと問われると、答えに窮します。
是非、優しい地域と胸を張って答えることができる地域にしようではありませんか。
以上で、質疑を終わります。
│掲載日:2017年06月22日│
障がいのある方の就職を進めるに当たって、障害者手帳を取得することは、就労を支援するさまざまなサービスが活用できることや、手帳取得者が法定雇用率に算入されるために、企業は手帳所持者を積極的に採用しようとすると考えられることなどから、重要なことであると考えております。このため、手帳の申請窓口となる市町村とともに、手帳所持者が受けられるサービスや取得によるメリットを周知したり、個別に相談を受ける中で手帳の取得を積極的に促すなどの取り組みを進めてきております。しかしながら、例えば発達障がい者については、手帳をしていない方も数多くおられると推測しております。この大きな要因としては、そもそも発達障がいが手帳の交付の対象となること自体が認知されていないことに加え、どのような状態であれば発達障がいが認められるのかについての理解が進んでいないことがあるように考えられています。こうしたことから、発達障がいの基礎的な知識の普及を目的とした一般の県民の方々を対象とした講演会を開いております。また、教員や障がい者支援機関の職員を対象とした発達障がいを適切に支援するためのスキルアップの研修会を開催しております。また、障がいのある人とない人がともに学ぶことを理念とした教育を進めることにより、児童生徒の障がいへの理解を深めるなど、さまざまな取り組みを行っております。
また、ハローワークと中学、高校、大学、各種学校との連携については、障がいのある学生の就職に関する学校からの相談をハローワークで受け付けて支援が行われております。県では、各圏域の障害者就業・生活支援センターを中心とした圏域ネットワークの強化を取り組んでおりまして、この枠組みの中で学校とハローワークの連携も深め、障がい者の方々の一般就労の促進につなげていきたいと考えておるところであります。以上であります。
発達障がいにつきましては、1歳6カ月児健診、3歳児健診において、県内全市町村で社会性や行動の発達のおくれを確認、把握しています。これらの健診で支援が必要だと思われる子どもの割合は、平成25年から27年の3カ年の平均で見ますと、1歳6カ月児で1.2%、3歳児で2.5%となっております。こうした健診で把握した支援が必要な子どもを対象に、県内全ての市町村で定期的に専門医や保健師などによる相談を実施し、支援につなげております。そして、こうした健診の精度向上を図るために県では乳幼児健診マニュアルの作成や乳幼児健診従事者、保育士等への研修を行い、発達障がいの早期発見、早期支援に努めております。また、県教育委員会が27年度に医療機関の診断と教員の主観判断をあわせた独自調査をし、県内の発達障がいの可能性のある児童生徒の割合は、小学校で全体の5.2%、中学校で全体の4.0%という結果が出ております。乳幼児や小中学生の段階では、このような形で把握に努めておりますが、全ての年齢にわたっての把握は難しい状況にあります。
なお、発達障がいを主な理由とする手帳所持者は、今年3月31日現在で574人となっております。
潜在的に発達障がいを有すると思われる方の把握は、有効な手だてがなく、できておりませんが、平成24年度の文部科学省の調査によりますと、小中学校の通常の学級において学習面または行動面において著しい困難を示す児童生徒の割合は6.5%となっております。また、先ほどの県教育委員会の調査によれば、教員の主観的判断を含んだものではありますが、県内の発達障がいの可能性のある児童生徒は、小学校で全体の5.2%、約1,800人、中学校で全体の4%、約700人との推定結果が出ています。
発達障がいを主な理由として手帳を所持している15歳未満の方は、ことし3月31日現在、89人と大変少ない数になっています。ただ、15歳以上25歳未満の手帳所持者は305人となっており、就職に向けて手帳を取得する方が多いものと推測されます。
発達障がいを抱える方の就労支援は、まずどれだけの職業能力があるのか、障がい者就業センターや就労系事業所で確認して、その職業能力に合った就職先を見つける支援をハローワークや障害者就業・生活支援センターが行っております。県としましては、障がい者の就労支援には事業主側の理解や障がい特性に合った配慮が重要だと考えております。このため、事業主と障がい者の橋渡し役を務める福祉サービス事業所の支援員が障がいが持つ特性を正しく事業主側に説明をすることができれば、就職に当たっても有効であることから、支援員を対象に特性を正しく把握するアセスメント研修を実施しております。
また、発達障がい者本人、家族、支援者を対象に、就労支援のあり方を学ぶ発達障がい基礎講座を県内2カ所で実施しております。平成28年度の就労状況につきましては、島根労働局の障がい者の職業紹介状況から推測いたしますと、60件から70件の発達障がい者の就職があったものと推定いたしております。以上でございます。