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島根県旅館ホテル生活衛生同業組合の平成29年度総会が開催され、昨年1年間で全体の5%にあたる11件の廃業・脱退が報告された。主たる理由は業績不振の2件を除く理由は事業者の死亡または高齢による廃業で、後継者がいないというものです。
国はインバウンドに対応するためとして従来の旅館業法を大幅見直しを行い、『民泊』を合法化したが、従前から事業を継続している法人や個人の施設に対する規制は強化されこそすれ緩和はありません。加えて、ここのところ、県内にはホテルチェーンや外部資本による施設買収や施設新設が相次いでおり、地元の事業者は苦境にさらされているのが現状です。
県では、昨年度から商工会、商工会議所や信用保証協会などと連携して、企業の事業承継支援を行っているとされていますが、その内容はどのようなものかお尋ねします。(商工労働部長)
昨年に廃業した旅館は2件を除いて無借金で、事業者の高齢、あるいは後継者不足が理由です。ただ、第3者に委譲しようとすると、その時点での法令基準をクリアーするために施設改善を指導され、かなりの費用がかかることがネックで、断念したとの声もありました。一定規模の施設であれば対応できても零細事業者や何代も前からの木造建築物などでは対応が困難のことが多いのですが、こうした事業継承のケースには例外的な対応が必要とも思いますが、いかがでしょうか。(知事)
観光の観点から、関連事項としてお伺いします。
このところ、毎週のように続く北朝鮮のミサイル発射ですが、政府の発表は、発射からかなりの時間が経過してからであります。
今まではミサイルの弾頭が空でしたから問題化していませんが、隠岐島から300キロのEEZ内への着弾などもあり、もっとリアルタイムの警報、注意喚起がなければ、万が一の事態には対応ができないと思いますが、どのような方策をお考えになりますでしょうか。(知事)
また、観光客に対する災害対応が市町村の防災計画上、きわめて脆弱で、宿泊施設や集客施設の対応に任せっきりのように感じます。
熊本地震や鳥取西部地震の災害広報から感じられることは、緊急避難など、災害発生地域を対象にした広報と周辺部に対する広報、全国に対する対外広報は対象も内容も全く異なるということであります。
被災時の広報については、「誰が、何を、どこに、どのように伝えるか」が分担されておらず、正確な情報がどこに集中し、どこからアナウンスされるかが不明確ですが、この点、早急にお示しいただきたいと思います。(知事)
│掲載日:2017年06月22日│
旅館、ホテルなどの宿泊業は、観光産業の中核を担う業界であり、島根の観光産業の発展に大きな役割を果たしてきております。一方、県内の宿泊業は家族経営などの小規模な施設が多いことから、事業承継について次のような課題があると聞いております。第1に、相続により旅館業を引き継ぐ場合に、短い期間内、60日だそうでありますが、この短い期間に手続を行う必要があること、第2に、相続によらず、新たに旅館業の許可を得る場合は、施設規模の大小にかかわらず、旅館業法等に規定された細かな構造設備基準を満たす必要があることであります。また、いわゆる民泊サービスや県外資本によるホテルとの競争激化といった経営面の課題もあります。
県としましては、これまで次のような取り組みを通じて、宿泊業の事業承継や経営改善の取り組みを支援してきております。専門家派遣や商工団体により企業の事業承継計画の策定等を支援し、また、事業承継を契機とした経営革新などの取り組みに対して助成を行っております。今後、さらなる観光振興を図る上で、小規模な施設を含めた宿泊業の円滑な事業承継に向け、支援の強化が必要であります。また、国では、旅館業法の規制緩和が検討されており、こうした動きも注視し、県としましては必要な規制緩和を国に対して要望していく考えであります。
また、旅館、ホテル業界から事業承継の課題などについて現状をよくお聞きをしまして、必要な対策を検討していく考えであります。
北朝鮮から日本へ向けて弾道ミサイルが発射された場合、極めて短時間で日本に飛来することが予想されます。そのため、ミサイルが日本の領土、領海に落下する可能性、または領土、領海を通過する可能性がある場合には、国は全国瞬時警報システム、J-ALERTでありますが、これを活用して瞬時にミサイル発射情報を関係のある地域の住民に伝達し、避難の呼びかけを行うこととしております。具体的には、国は人工衛星を通じましてミサイルの発射情報を各市町村の受信機に送信をし、防災行政無線のスピーカーや家庭の受信機などを自動的に起動させて伝達することとされております。また、携帯電話会社を経由しまして、直接携帯電話やスマートフォンにエリアメール、緊急速報メールが発信され、緊急地震速報と同じように伝達されるということであります。その他、放送事業者などにも緊急情報が伝達され、テレビ、ラジオなどで放送することとされています。このように、万が一の場合には住民の方々に対して瞬時に情報が伝達される体制になっているという説明であります。
なお、ミサイルが発射されても日本の領土、領海に落下する可能性、または領土、領海を通過する可能性のない場合にはJ-ALERTは発信されないということであります。
ただし、日本の排他的経済水域、EEZ内にミサイルが落下する可能性がある場合には、国から船舶、航空機に対して迅速に連絡が発せられるということであります。
まず、大規模テロや緊急地震速報、大津波情報など事態が切迫した事案につきましては、国が携帯電話事業者を通じてエリアメール、緊急速報メールにより観光客へ伝達することとしているところであります。それ以外の災害につきましては、県災害対策本部から緊急情報を観光客の方々に対して、次の方法により迅速に伝えることとしております。
1つは、市町村の防災行政無線による一斉放送や広報車による伝達、テレビ、ラジオを通じた伝達、旅館、ホテル組合、旅行会社、観光協会を通じた伝達などであります。また、市町村は災害の状況に応じて携帯電話事業者と締結している協定に基づき、避難勧告などの情報をスマートフォンや携帯電話のエリアメール、緊急速報メールにより提供することとされております。
観光客の方々には県などから提供した交通情報などを参考に御帰宅いただいたり、必要に応じて市町村が緊急避難所へ誘導を行うこととしております。また、宿泊観光施設では、県や市町村などからの情報をもとに、観光客への情報提供と安全確保、避難誘導を担っていただくこととしております。いずれの段階におきましても、県は市町村や関係団体への迅速かつ正確な情報伝達を行うとともに、市町村と連携して観光客の方々の安否や施設の被災状況を速やかに把握し、被害が最小限になるよう努めてまいります。
また、観光等に関する風評被害の防止や誘客回復対策につきましては、県内の観光施設や宿泊施設等の被害状況を把握した上で、通常どおり営業を行っていることなどを積極的に情報発信していくことが必要だと考えております。その際、今年度新設いたしました広報部を活用して、できるだけ速やかにテレビなどの効果的なマスメディアやインターネットを活用し、また、県外を中心に活躍する遣島使の皆さんにも協力をいただきながら、国内外に向けて安心して島根にお越しいただけるよう情報発信を行っていく考えであります。
本県の企業の事業承継への取り組みは、全体としてはおくれていることから、昨年度から地方創生の事業の一つとして、県として総合的に取り組みを始めております。施策の進め方としては、1つには、日ごろから企業の経営状況を把握している商工団体やしまね産業振興財団、信用保証協会を通じたきめ細かな支援を行うこと、2つ目には、業界団体ごとの実情をよく把握している中小企業団体中央会等と連携し、業界の支援を行うこと、3つ目には、地域産業特性や地域の企業を把握している市町村と連携した支援を進めること、こうした観点で進めております。
具体な取り組みとしましては、まず、広く経営者に対して啓発が大切ですので、商工団体や金融機関などさまざまなチャンネルを使って事業承継の進め方や優遇税制、後継者育成などのセミナーを実施しております。
次に、具体的に承継を進めようとする事業者に対しては、県が商工団体に配置しました7名の事業承継推進員が、一社一社に対して承継計画の策定や承継の手続の支援を実施しております。さらに、承継を契機として、新商品開発、販路開拓など新たなチャレンジを促すために助成事業による支援を行っております。また、市町村の取り組みを促すために、今年度、市町村商工団体、金融機関等と連携した8つの地域ごとの協議会の設置を進めております。今後、こうした取り組みをスピード感を持って総合的に進めてまいります。以上でございます。