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今年になって、娘の結婚や全国イベントで何度か長野、北陸の新幹線に乗る機会があり、沿線の地域を見るなかで少し感じることがありました。
北陸新幹線開業で観光客が増加し、勢いを感じる石川県を代表する温泉はと言えば、山中、和倉、片山津。その中でも、トップにあげられるのが、旅行新聞新社が主催する「日本のホテル・旅館百選]で三十六年連続で総合一位に選ばれた「おもてなしの宿」として有名な、和倉温泉の加賀屋で、能登半島地震の被災からわずか一月で、奇跡的に営業再開を果たした宿の女将である小田真弓さん。
長野県八ヶ岳山麓の茅野市で「住民とともに作る地域医療」が、国が進める「地域包括ケア」のモデルとなり、また、「神様のカルテ」として劇画・映画化され、温もりのある病院として若い医師の勤務希望が高く、自治体病院として黒字経営を続ける諏訪中央病院の鎌田実名誉院長。
偶然、新幹線の車中で読んだ本に取り上げられていたのですが、人口流失と高齢化で衰退が続く山陰地方で、「住まいのおたすけ隊」とする民間需要を取り込み、右肩上がりに業績を伸ばし、今年四十三人もの新卒を雇用。新採の3年離職率が1%という驚異的な実績を上げている島根電工株式会社の荒木恭司社長。
不思議だったのは、島根県に帰って、出席した大学の同窓会で隣り合わせになりました。
この3人に共通するのは「現場に宝物あり」とする徹底した現場主義であり、問題や課題を解決する手立てを無形資産投資、いわゆる人への投資に求めていることにあります。
島根県が支援する誘致企業への立地奨励金は設備投資と雇用を対象にしたものがほとんどですが、県内企業がスキルアップ、いわゆる内発的な発展を遂げるための方途は、技術革新を取り込む設備投資と並行した無形資産投資が生産性と収益性を向上させるばかりでなく、企業のイメージや求人に大きな影響を及ぼすということを示していると感じました。
本年は吉田松陰が安政4年に松下村塾を開いてから百六十年となるそうですが、松陰の言に「夢なき者に理想なし、理想なき者に計画なし、計画なき者に実行なし、実行なき者に成功なし。故に、夢なき者に成功なし。」とあります。
県庁職員の皆さん、島根の地方創生を成し遂げるために、2040年の夢を描き、きちんとしたプランを掲げて具体の政策を実行して成功を収めようではありませんか。
以下、通告にしたがって、質問をいたします。
森林の水源涵養機能を保持していくためには、山村地域の市町村に対し、森林整備に必要な財源が必要として、元奥出雲町長を務められた岩田一郎氏などが全国の市町村長に呼び掛けて、「水源税」として検討されてきましたが、産業界の理解が得られず、今日まで導入に至っていません。
「日本には『水』『空気』『心』に課税しないという不文律がある」とも聞きますが、島根県議会の林業バイオマス議員連盟では役員を中心に、森林環境の保持には森林環境税の導入が不可欠として、一昨年から県選出国会議員や総務省、林野庁に積極的に働きかけてきました。導入に向けた検討会で議論になったのは、島根県の『水と緑の森づくり税』と同様の独自課税がすでに37道府県で導入されており、二重課税を避ける知恵が必要とされたことであります。
昨年末の与党税制大綱に「平成30年税制改正で結論」と明記されたことから、総務省は、本年四月に政務3役が参画した検討会を設置し、与党税制改正大綱等を踏まえた森林吸収源対策として、市町村が主体となって実施する森林整備等に必要な財源に充てるため新税導入を検討し、今夏に中間とりまとめを行うとされており、2019年度からの導入を前提に、住民税を払っている約6千万人から年数百円を上乗せするかたちで国税として徴収し、森林面積(民有林)に応じて市町村に配分するというフレームで議論が進んでいるとのことであります。
今議会に請願書が提出されたとおり、島根県の林野3団体(森林組合連合会、森林土木協会、木材協会)も、林業振興予算の増額になるとして導入に期待を寄せられております。
県内の森林は木材価格の低迷や山間地域の過疎、高齢化などによって所有者不明の森林が増加し、放置、荒廃も進んでいますが、市町村の森林政策を担当するマンパワーは極めて脆弱で、森林台帳の整備も進んではいません。
今日まで、島根県の森林・林業政策を担ってきたのはマンパワーを含めて、紛れもなく県庁と東西の農林振興センター、隠岐支庁であり、森林環境税導入による施策の推進には県と市町村の連携と役割分担が不可欠であります。
森林環境税が森林吸収源対策の財源として機能し、国、県、市町村がそれぞれの役割を分担しながら、適切な森林環境の維持、保全に貢献するために、知事には全国知事会で主導的な役割を担っていただきたいと思う次第であります。
そこでお尋ねしますが、県内の森林の現状についてお聞かせいただくとともに、森林環境税(仮称)法制化の見通しと期待について伺います。(知事)
また、現在進められている総務省の検討会の議論で、島根県の現状と乖離、あるいは考慮しなければならない事項があると考えられますが、今後、国に対して、知事としてどのように働きかけをされるのかお尋ねします。(知事)
森林政策の関連事項でお尋ねいたします。今年、富山県で開催された全国植樹祭は、30年は福島県で、31年は愛知県で、そして32年には島根県で開催が予定されていると聞いております。今後、開催地の決定を含め、具体的な準備スケジュールが固まっていくと思いますが、現状で見積もっている予算、体制など開催に向けた準備状況について伺います。(農林水産部長)
│掲載日:2017年06月22日│
島根県内では、戦後、造林された森林が本格的な利用期を迎える中で、木材価格の低迷や担い手の減少など林業を取り巻く環境は厳しい状況にあります。一方で、県内の合板工場が原材料を県内産原木にシフトしたり、木質バイオマス発電が稼働するなど明るい動きも出てきております。今後、安定的な財源を確保して、植林や間伐などの森林整備を適切に実施する循環型林業の構築を図っていくことが課題であります。
政府では、平成30年度、税制改正大綱が取りまとめられる今年12月に向けて、森林環境税の創設に向けた具体的な検討を行っております。森林の環境保全や地球温暖化防止に必要な国民の共有の財産であり、森林環境税の創設は県の循環型林業の構築にも寄与するものとして期待をいたしております。
総務省は、今年4月に設置しました検討会では、森林環境税の基本的枠組み、税の使途や配分方法について検討をしております。夏ごろには中間取りまとめをし、秋ごろには最終取りまとめの予定だと聞いております。この中で、新たな税収を活用した森林環境整備につきましては、森林現場に近く所有者に身近な存在である市町村が主体となって実施する方向で検討が進められているようであります。同時に、森林整備を実施する体制が十分でない市町村もあることから、その体制支援についても議論がなされているようであります。この点につきましては、県としましては、県と市町村が連携するなど、森林整備が円滑に実施できる仕組みを構築することが必要だろうと考えております。森林環境税は、日本の森林整備を進めていく上で重要であり、県としましては森林県として税の創設に向けてさまざまな局面で働きかけを行ってまいります。
平成32年の全国植樹祭島根大会につきましては、昨年8月に公益社団法人国土緑化推進機構から開催の内定がありました。これを受けまして、昨年11月に全国植樹祭島根県準備委員会を設立し、準備を開始したところであります。今後、ことし7月に開催を予定しております第3回目の準備委員会で式典の会場や規模などを盛り込んだ基本構想案を取りまとめ、その後、知事を会長とし、県内関係機関が広く参画する実行委員会を設置する予定としております。具体的な予算や体制につきましては、近年開催された他県の状況や実行委員会における議論も踏まえまして、今後決定していくこととなりますが、32年春に向けまして、森林県島根らしい大会が実現できるよう着実に準備を進めてまいります。