県議会だより

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平成29年9月定例会一般質問(5)

第11回全国和牛能力共進会宮城大会について

島根県は9月7日から宮城県仙台市の夢メッセ宮城で開催された全国の和牛を集め優秀性を競う“和牛のオリンピック”「第11回全国和牛能力共進会(全共)宮城大会」に、全9区で26頭の精鋭を出品しましたが、入賞となる優等賞獲得は4区に止まり、目標としていた全9区での入賞は果たせませんでした。
対照的に、隣県の鳥取県は種牛と肉牛の両観点から総合審査され“花の7区”と称されている部門の肉牛審査で全国1位となるなど、島根県と明暗を分けました。近年、鳥取和牛は市場評価が急上昇しており、「白鵬85の3」や「百合白清2」など全国トップ級の種雄牛育成で子牛の取引では全国最高値が付いていますが、市場評価に共進会の評価がお墨付きを与えたかたちで、正直、悔しい結果でした。

ところで、本県では、5年前の長崎全共の総括を次のように行っています。
〇種牛について
若雌牛、未経産牛を出品する2区、3区、7区は、鳥取全共以降に改良を加えて生産された牛を出品し、体積に係る各審査項目で、前回の成績を上回った。
組で出品する4区、5区、6区につきましては、年齢等の出品条件があり、鳥取全共以前に生産された牛を出品せざるを得なかったという事情があり、期待した成績を上げることはできなかった。
次回は、若雌牛の出品牛の世代が組出品の主力を担うことから、この世代の雌牛を中心に、能力の高い牛の保留及び増頭に向けた取り組みを強化することが必要である。
〇肉牛について
12段階区分であらわす脂肪交雑、いわゆる霜降りの度合いに大きな差があった要因は、自県産の優良な肥育素牛の確保が十分にできなかったことと早期肥育技術が不十分であったということが考えられ、新しい審査項目であるオレイン酸等の含有率のデータ収集が不足していた。
肉牛の部では出品要件である24カ月での早期肥育技術の確立を図るとともに性選別精液や受精卵移植などの新技術を活用して、優秀な肥育素牛を確保することが必要である。
以上の総括をもとに、宮城全共に向けた対策として次の3点が掲げられました。
〇量の確保対策
繁殖雌牛の頭数拡大のために、和牛繁殖経営の新たな担い手として集落営農組織等に繁殖雌牛をリースする制度を創設し、放牧を積極的に推進し、候補牛の頭数拡大を図るとともに、子牛を預かって集中管理するキャトルステーションの設置を進め、飼養管理の分業化を進める。
〇質の向上対策
産肉能力が高く、体積に富む繁殖雌牛群への世代交代を図るために、優良な雌牛の保留を支援し、優秀な候補牛の確保を図る。
(交配種雄牛を7区は隆娘を、8区は勝照茂号を選定し、優秀な雌牛との交配で優秀な肥育素牛、雌牛の確保に取り組むこととしたが、7区は隆娘号から恵茂勝号に変更した)
〇早期肥育技術の確立
生産コストの低減が見込まれ、全共にも対応できる早期肥育技術を畜産技術センターにおいて確立する。

さて、今回の結果は前回課題とされた体躯や肉質の問題が改良され、しまね和牛の名声復活の1歩が踏み出せたと言えるでしょうか。
宮城全共の結果をどう受け止め、今回の総括をどのように行うかが今後の島根和牛の消長を決すると言っても過言ではありません。江戸時代に松浦静山が著した『剣談』に「勝ちに不思議な勝ちあれど、負けに不思議な負けなし」とあります。長崎全共の惨敗から復活をかけた宮城全共の結果についてどう受け止めているのかお尋ねいたします。(知事)
(代表質問での農林水産部長の答弁に敗北感はなく、危機感は感じられなかったが) 今回の反省と分析を誰がいつまでに行い、その上で、次回に向けた対策をどう立案し、いつからどのように実施するのか知事の所感をお示し願います。(知事)
県の関係者は、早くも次期鹿児島全共は、スーパー種雄牛とされる「久福茂」で勝負する方針と聞いていますが、鳥取、長崎、宮城と県が主導した和牛改良が必ずしも良い結果とはなっていないことに関係者は「県の方針を押し付けておいて結果(子牛や肥育牛価格)に責任を持たない」との不満は大きいものがあります。今回の敗北は、福平高と隆娘のチョンボによって、極めて窮屈な時間となったことにも大きな要因があるのではないでしょうか。
次期鹿児島全共は言わば「背水の陣」であり、2022年までの一貫した支援体制の構築が不可欠であり、責任者がコロコロ変わる体制では成果を期待することは至難です。
「過ちは改めるに如くはなし」。島根和牛の名声復活をかけて、もう一度、鹿児島に向かって着実な歩みをスタートさせていただきたい

溝口善兵衛知事答弁

宮城全共について

今回の宮城全共では、前回、優等賞を得ることができなかった主要な区で入賞することができましたが、一方で、全ての区で優等賞をとるという目標に届かなかったのが結果であります。県、JA、そして出品者の皆さんの努力が十分な評価につながらず、極めて残念に考えております。
次回に向けまして、早急にしっかりと取り組んでいかなければならないと考えております。次回全共に対しましては、宮城全共の反省を踏まえ、県やJA、和牛登録協会で構成する出品対策委員会において、まず早急に今回の結果について、上位入賞県との違いなどを分析し、地域に出向いて、生産者組織と意見交換を行っていくことが必要であります。これを受けまして、次回全共で成果としてあらわれるような戦略を構築し、関係機関による支援のあり方の見直しを行い、新年度からは新たな形での出品対策をスタートさせる考えであります。全共に向けた取り組みは、しまね和牛の振興の礎となるものであり、次回全共に向け、県が主体となって、戦略的に全力を挙げて取り組んでまいります。以上であります。

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