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台風18号が日本列島を駆け抜けた刹那、東京では「解散風警報」が発令され、政界天気図は風雲急を告げてきました。
高齢化の進行で日本は働き手が減り、活力が低下し、将来は極めて暗いものになるとアナウンスされています。
「生産年齢人口」は年齢別人口のうち労働力の中核をなす15歳以上65歳未満の人口層と定義され、日本の生産年齢人口は1996年から減少に転じ、90年代前半には8700万人だった生産年齢人口は、2016年には7600万人と、約20年で1割強減ったと言われています。加えて9割を超える人が高校へ進学し、8割を超える人が大学や専門学校へ進学しますから、15歳から20歳まで約700万人のうち就労者は100万人程度ですから、その数はさらに低下しているはずです。
社会保障・人口問題研究所の推計では、出生率・死亡率などに大きな変化がなければ、20年後(2036年)の生産年齢人口は6200万人、2050年ごろには5000万人を割り込むと見込まれており、総人口は現在の1億2600万人から2048年に1億人を割り込み、2050年には9800万人程度となり、総人口は23.5%減る計算ですが、生産年齢人口は34.6%減と、総人口よりも大きく減少すると報告されています。
景気の回復によって、製造業のみならず建設業や運輸業、飲食業、保育・介護などで人手不足が起きていますが、早晩、業種・職種を問わず、すべての分野で働き手が足りない状況となることは必至です。
生産力の維持には、生産性の向上と労働力の確保とが必要です。生産性の向上は、近年目覚ましい普及、進化を遂げているITの活用があり、モノとモノをインターネットでつなぐIoT、人工知能、自動運転技術など、人手不足に対応した新技術が次々と生み出されており、「第3次の産業革命」とも称されているほどに進化を続けています。
安倍内閣は専業主婦として家庭にいる子育て中の若年女性を労働力として活用すべく「女性の社会参画」と称する政策を掲げていますが、夫婦がどんなに協力し合っても、出産・育児と就労の両立は保育所の増設や短時間勤務などのワークシェアで解決することは至難で、核家族から複数世代の同居、近居を進めて行く以外に子育てや若年世代、とりわけ女性の活躍を拡大させる方途はないように思います。
ところで、65歳から高齢者と定義され、生産年齢人口から除外されていますが、働く意欲のあるベテランは大きな戦力であり、労働者です。しかし、ほとんどの事業所には「定年」の規定があり、年功序列式の賃金制度や正規・非正規の規定、定員など、紛れもなく硬直的な人事・賃金制度が存在し、未だ、高齢者を歓迎、雇用する風土はありません。
昭和38年に制定された老人福祉法では、9月15日が老人の日、9月15日から21日までを老人週間として定められました。
昭和41年には、国民の祝日に関する法律に「多年にわたり社会につくしてきた老人を敬愛し、長寿を祝う」ことを趣旨として「敬老の日」が規定され、老人福祉法の「老人の日」は「敬老の日」に改められました。
ところが、「敬老の日」が9月の第3月曜日に変更となり、老人福祉法は、再び、9月15日を「老人の日」、同日より1週間を老人週間と規定しました。どうも、この頃から「長寿を祝い、喜ぶ」から「年寄りが増えて大変だ」というような社会風潮に変化してきたように感じます。
│掲載日:2017年09月19日│