県議会だより

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平成29年11月定例会一般質問(3)

林業公社について

まず、島根県林業公社の目的と沿革について簡単に説明してください。
次に、林業公社の構成あるいは分収事業の仕組みと分収割合について説明してください。
現在の契約面積と造林面積、管理地の木材齢級および松くい虫による枯損木等があっている場合は、その契約地の現状について説明してください。
林業公社は木材価格の低迷によって非常に厳しい経営状態が続いており、これを克服するために、長伐期方針を掲げた第4次経営計画が策定をされましたが、その概要と債務の状況及び現況の含み損の実態について説明してください。
経営計画と決算数値に乖離が発生していますが、管理費が増加し、事務費も計画値を超え、キャッシュフローのマイナスは増加をしていますが、県の財政負担と国の財政支援の状況および今後の見通しをお尋ねいたします。
平成25年から主伐が始まっておりますが、現在の木材価格の推移からは、主伐が増加すれば事務経費が増加し、公庫資金の利息や償還金に加えて事務費の財政補填が増加し、私の概算では、65年間の事務費負担だけでも150億円~200億円になると予測されますがいかがですか。
主伐を進めると、公社職員の増員が必要で、県の財政負担は増加します。林業公社を今すぐ事業停止することは難しいかも知れないけれども、まずは出血を止める必要があり、有利子の公庫資金を繰上返済するとか、これ以上の損失、財政負担が増加しないような方策を考えるべきだと思います。その上で、事業停止や破綻処理を含めて今後のあり方について検討し、林業公社が持ってる大きな無形資産が活かせる方策、例えば、森林環境税の導入にあわせて県内市町村への無償移管などを検討するとかの方策があると思いますが、知事はいかがお考えになりますか。

溝口善兵衛知事答弁

林業公社の今後の運営について

議員御指摘の森林公社事業の停止と破綻処理につきましては、これまで整備してきた森林の機能を引き続き十分発揮するために、現在締結されております契約の取り扱いや人員を含めた体制整備を念頭に置きながら検討をしなければなりません。また、その際、日本政策金融公庫への借入金の償還に係る県財政負担にも留意する必要があり、平成31年に策定予定の次期経営計画に向けて、これらの課題を踏まえ、県としてどういうあり方が良いのか議会ともよく相談をしながら、検討していきたいと思います。
また、今後森林環境税や新たな森林管理システムの導入にあたっては、県や公社が蓄積してきた森林管理のノウハウも活用することは大事だというふうに考えており、新たな制度の具体的な内容が明らかになった段階で検討をしたいと考えております。

松浦芳彦農林水産部長答弁(1)

林業公社の現状について

島根県林業公社は、木材の生産や県土の保全を始めとする森林の公益的機能の高度発揮や中山間地域における就労の場の確保などを目的として、分収造林方式による造林を推進するため昭和40年に設立されました。公社設立後、着実に造林事業に取り組みまして、昭和63年までには現在の創造林面積の8割を超える2万ヘクタールの造林を達成しております。また、造林した森林の成長に伴いまして、平成11年には利用間伐を、平成25年には主伐を開始しております。
なお、組織形態につきましては、公益法人制度改革を受け、平成25年度から公益社団法人に移行しております。
公益社団法人である林業公社の社員につきましては、その資格が県、県森林組合連合会、公社造林が行われる地帯の市町村、及び公益法人等の団体であって、この公社の趣旨に賛同するものと定められておりまして、現在は県、県森林組合連合会及び16市町が社員として出資をしております。林業公社における造林事業は3社による分収造林契約に基づいて行われており、造林地の所有者が土地を提供し、市町村が植栽、保育等を行い、造林公社は植栽、保育等に必要な費用を提供するという役割分担で森林を造成し、最終的に収穫された木材の収入を分け合うこととされております。
分収林率は、分収造林契約を締結した時期によって異なっておりますけれど、造林地の所有者は100分の30から100分の40、市町村は100分の3から100分の5、林業公社は100分の55から100分の65となっております。
平成28年度末までに林業公社が造林してきた面積は2万3,967ヘクタールです。このうち公共事業など他の用途に供されたものや松くい虫被害により契約が解除されたものを除くと、現在契約している面積は2万1,044ヘクタールとなっております。
造成された森林の年齢につきましては、20年生以下のものが全体の2.2%、21年から30年生のものが21.8%、31年から40年生のものが44.1%、41年から50年生のものが30.9%、51年生以上のものが1.0%となっております。また、松くい虫などの原因による枯損が発生した場合は、現地調査を行いまして、森林所有者と協議の上、以降の管理は行わない、いわゆる不成績林として扱うこととしておりまして、この面積は平成28年度末時点で2,457ヘクタールとなっております。
公社の債務状況については、平成28年度末の借入金は県から345億円、日本政策金融公庫から193億円、市中銀行から1億円、市町から0.3億円の合計約540億円となっております。公社の借入金は、主に森林の造成、保育等の経費に充てられるもので、利用期となった木材を販売することで返済していくこととなりますが、昨今の木材価格を前提といたしますと、公社の最終的な収支は赤字になるものと見込まれております。このような中で、公社におきましては平成11年度から経営改善計画を策定しており、平成26年度からの第4次計画では収穫期に当たる森林の主伐を開始することなどにより、公的セクターとしての役割発揮を図りつつ、経営改善を図ることとしております。この4次計画の策定時には、計画を着実に実施した上で、公社の最終的な収支不足、いわゆる含み損が160億円になると見込んでおりますが、主伐を始めた状況を見ますと精査をする必要があり、10年単位の収支改善計画につきましては5年単位で見直すということにしております。

松浦芳彦農林水産部長答弁(2)

林業公社に対する財政支援について

平成29年度の予算におきます県からの林業公社への支援の状況でございますが、一つには、日本政策金融公庫等からの借入金の償還に必要な経費として約7億6,000万円、人件費等林業公社の運営に係る経費として約8,000万円を貸し付けるとともに、3つ目には、松くい虫の被害等により管理を断念した不成績林の処理に伴う借入元金の償還に必要な経費として約1億8,000万円を補助しておりまして、合計では約10億2,000万円となっております。今後の見通しといたしましては、林業公社に係る経費につきましては、多分横ばいというふうに考えております。また、不成績林処理につきましては峠を越えておりますので、徐々に低減していくものではないかと見込んでおります。借入金の償還につきましては、平成28年度末における政策金融公庫からの借入残高が先ほど申し上げましたように193億円ございまして、これは当分続いていくということでございます。
林業公社が行っております事業に対する国からの支援といたしましては、長伐期化、木を切る期間を長くするわけですが、長伐期化への変更契約や不成績林などの契約解除に係る事務経費に、平成28年度で約700万円の補助金が交付されております。また、林業公社が行う事業のみを対象としたものではございませんけれど、間伐や路網整備等に係る国の補助事業を活用することが可能でございまして、平成28年度では約2億1,000万円の補助金を受けております。このほか、林業公社に長期無利子貸し付けを行っている県に対して、通常の貸し付けにおいて想定される利息相当額の2分の1を特別交付税として措置されることとなっておりまして、平成28年度の算定額は1億6,000万円となっております。
まず、現在の木材価格についてでございますが、第4次計画を策定いたしました平成26年からはおおむね横ばいとなっておりまして、昨今の木材価格の推移が計画の達成に直接的な影響を与えてるものではないと考えております。一方で、第4次計画から開始されました主伐事業は、新たな手法を導入されたこともありまして、平成28年度では計画に対しまして実施面積で51%、収益で見て30%程度の達成率にとどまっております。主伐事業は林業公社の主たる収入財源でありますことから、今後効率的な収穫方法の普及などを図り、計画に近づくように努めていきたいと考えております。
また、御指摘のございました人件費を始めとする今後の事務費につきましては、我々の試算では今後約70億円と見込んでおりますが、これをさらに精査いたしますとともに、引き続き効率的な運営を促していきたいと考えております。

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