県議会だより

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平成30年2月定例会一般質問(3)

地域包括ケアシステムについて

厚生労働省は地域包括ケアシステムについて2025年からの完全実施を、2040年に先送りを示唆したと報道されていますが、その真偽と県内市町村の整備状況(進捗状況)についてお聞かせください。(健康福祉部長)
また、地域包括ケアシステムについては、共助とされている生活支援などについて地域的なアンバランスや遠隔地の医療・介護の訪問サービスの採算性など、克服すべき問題点が解決されていません。
また、過疎化による医療・福祉・介護事業の人材不足は深刻で、老々介護が増加し、片方が亡くなった後のケアも大きな問題となりつつありますが、現状の問題点と今後の課題および対応策についてお聞かせください。(健康福祉部長)

吉川敏彦健康福祉部長答弁

地域包括ケアシステムの整備状況等について

厚生労働省が地域包括ケアシステムの完全実施について、2025年から2040年へ先送りを示唆したとの報道の真偽についてでございますが、厚生労働省に確認しましたところ、そのような事実はないということでございました。
なお、三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社が国の補助を受けてまとめた地域包括ケア研究会の報告書によりますと、2025年は、いわゆる団塊の世代が全て75歳以上になるときでありますが、その後、その団塊世代のジュニア世代が65歳となる2040年ごろに、全国の高齢者人口がピークを迎えるため、そこに向けての対応も必要であるということが述べられております。このことを指したものではないかと思っているところでございます。
県内市町村の整備状況でございますが、島根県では、高齢化率で見ますと、2025年の全国の高齢化率であります30%は、2015年に既に迎えております。今後、高齢者人口も2020年をピークに減少に転じる見込みです。島根県の場合は、今後急速な高齢化を迎える都市部と違いまして、現在のサービス量を拡充していくということよりは、必要なサービスをいかに維持し、提供していくのかということが、より大きな課題であると認識しております。
地域包括ケアは、医療、介護、予防、生活支援、住まいなどさまざまな分野にわたり、また、地域ごとに高齢者を取り巻く状況やサービス資源の状況も異なっているため、各市町村においてそれぞれの地域の状況に応じた取り組みを進めていく必要がございます。
県内市町村の取り組み状況ですが、例えば飯南町では、町立病院と行政が一体となった組織、これ地域包括ケア推進局と呼ばれておりますが、ここを中心に、川本町では社会医療法人を中心に、益田市では医師会病院を拠点といたしまして、医療と介護の連携体制が構築され、一体的なサービス提供が行われるようになってきております。また、松江市の淞北地区では、開業医グループと社会福祉法人により在宅医療介護連携の取り組みが行われております。これはほんの一例でございますが、このほかにも、住民主体やNPO法人による買い物支援や移送支援などの取り組みが始まるなど、取り組みの分野、範囲、進捗状況に差はあるものの、それぞれの市町村や地域で地域包括ケアシステムの構築に向けた取り組みが進んでおります。

吉川敏彦健康福祉部長答弁

地域包括ケアシステムの問題点と課題について

まず、現状の問題点についてでございますが、さまざまあると思いますけども、主なものといたしましては、医師、看護師、介護福祉士などの専門職を中心としたサービスの担い手の確保、これが課題だと思っております。また、中山間地域を中心として、事業の非効率性、こういったこともあると思っております。そして、先ほど申し上げましたように、各地で取り組みは進んでおりますけども、市町村や地域によりその対応に温度差があるということも問題だと思っております。
次に、今後の課題でございますが、現時点、県内においては医療、介護のサービスはどうにか提供されてる状況にありますが、今後の人口減少や高齢化に伴い、現在のサービス水準を維持していくことが必要であり、そのために病院や介護施設等の連携や役割分担の推進、また、支え手となる現役世代が減少していくことから、新たなサービス提供の担い手の確保、こういったことが必要になると思っております。さらに、島根県では高齢者人口は2020年ごろをピークに減少に転ずると見込まれますが、単身高齢者の世帯は2025年ごろまで、そのうち75歳以上では2030年ごろまで増加することが見込まれます。支援を要する単身高齢者世帯のサービス提供、これも課題だと考えております。
こうした課題への対応についてでございますが、地域包括ケアシステムの構築の中心となるのは市町村でございます。県といたしましては、まずは市町村の取り組みを進めるために、先進事例、好事例の紹介や地域における課題が見えるようなデータの提供、こういったことを中心に支援をしていきたいと考えております。その上で、医療、介護の人材確保については、これまでの取り組みを一層強化するとともに、医師の負担を軽減するための特定行為看護師の養成でありますとか、今後需要がふえると見込まれる訪問看護ステーションに対する支援などにも新たに取り組んでまいります。
また、支援を要する単身高齢者の増加につきましては、例えば飯南町や川本町で実施されました医療近接型居住施設の整備のように、住まいや住まい方についての対策にも取り組む必要があると思っております。このほか、今後の人口減少を考えますと、病院、診療所、介護施設等の連携や役割分担、事業の多角化、大規模化などについても、それぞれの圏域で検討を進めていく必要がございます。
また、今後は各地域の現状や問題点、課題について、住民にしっかり理解していただく必要があります。そして、一緒に考え、支えて、担い手として参画を得ていくことが重要であり、住民啓発にも取り組んでまいります。
なお、通所や訪問系サービスを中心とした採算性の問題など、制度的な課題につきましては、高齢化先進県として現場の状況を具体的に把握し、必要な制度改正を国に求めていきたいと考えております。

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