県議会だより

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令和元年9月定例島根県議会一般質問(4)

産廃税とリサイクルの拡大について

産業廃棄物減量税(以下、産廃税)は、産業廃棄物(以下、産廃)の排出量や処分量に応じて課税される法定外目的税で、税収は、産廃の発生・排出抑制、リサイクル率向上支援、不適正処理の対策強化などに使われ、提案では、1トン当たり1,000円を最終処分業者特別徴収方式 (最終処分場に搬入される産業廃棄物の排出事業者から徴収)によって賦課するとされています。
国は、産廃の排出と環境負荷を抑制するため、従来、「逆有償の場合は産業廃棄物の収集・運搬に当たる」とした指針を「有償で譲り受ける者が占有者となった時点以降については、廃棄物に該当しないと判断しても差し支えない」と変更し、リサイクル率の向上を企図していますが、自治体によって見解が異なっている現状です。
島根県東部の産廃の最終処分場である「クリーンパークいずも」は、先年、処分地を拡張しましたが、処分量が計画よりも多く、5~7年で満杯になると危惧されています。
本来、最終処分地への埋却処分する産廃は、処分場が環境汚染に対する相当の安全確保が講じられているとしても、産廃は、有害物質の除去後に処分されるべきですが、従前、処理不能とされたものであっても、リサイクル技術や化学処理技術の進化によって、環境負荷を抑制することは十分可能となっていると聞いています。
県は、産廃税の趣旨に鑑み、産廃の排出抑制の観点からも、リサイクルの拡大・奨励を図るべきであり、現状で、「リサイクルに適さない」とする廃棄物の基準をリサイクル率が高い自治体の例を参考に見直しし、最終処分する産業廃棄物の処分量を減らすべきではないでしょうか。
必要であれば、この際、埋却処分した廃棄物の再処理によって産業廃棄物の減容を図り、処分場の延命を考慮すべきです。
また、処分場に搬入する産廃の環境汚染物質除去に関わる経費支援やリサイクルの拡大に向けた試験研究、検査体制の整備等に産廃税を充当することを検討されてはいかがでしょうか。
そこでお尋ねしますが、
①産廃搬送の逆有償に対する県の見解どのようなものですか。②産廃リサイクルの搬出(搬入)基準を島根県と他自治体(例えば広島市)と比較するとどのように異なっていますか。③島根県の産廃のリサイクル率はどの程度ですか。近隣の岡山県や広島県、鳥取県のそれはどの程度ですか。④「クリーンパークいずも」の初期費用、拡張費用および周辺対策費の総額はいくらですか。操業開始から現在までの処分量と収入総額、維持管理経費(経常収支)および一般会計からの負担総額についてお示し下さい。⑤「クリーンパークいずも」の延命策についてどうお考えになりますか。⑥産廃税の使途と今後の方向についてお聞かせ下さい。

松本修吉環境生活部長答弁

産廃税とリサイクルの拡大について

産廃輸送の逆有償に対する県の見解は、一般的に産業廃棄物が売却される場合は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律の適用を受けませんが、運送費が売却代金を上回る逆有償となる場合、法律の適用を受けることになります。しかし、議員御指摘のとおり、リサイクル等を促進するため、平成17年と25年の国の通知によりまして、逆有償の場合であっても再生利用が適切に行われる場合には、引き渡された時点以降、廃棄物に該当しないと判断して差し支えないとされております。島根県におきましては、リサイクル促進の観点から、この通知を踏まえ、法律の適用を判断することとしております。
島根県は、産業廃棄物をリサイクルする際の搬出、搬入の基準は設けておりませんが、処分後のリサイクル品については、環境基準への適合等、安全性確保のための指導を行っております。近隣自治体においても同様であると伺っており、各処分業者におかれましては、それぞれの処理方法に応じて、リサイクル品の安全性が保たれるよう、受け入れ基準を設定している状況です。
なお、他の自治体の例では、そのままではリサイクルに適さない、環境基準等を超える廃棄物を受けている処分業者がございますが、これはその業者が基準を超える廃棄物を無害化する技術を有しているためと聞いております。

松本修吉環境生活部長答弁

産業廃棄物の再生利用率について

農業系を除く産業廃棄物の再生利用率は、これまで50から60%台で推移しておりまして、直近の実績である平成29年度で57.3%であります。これに対して、岡山県では44.5%、鳥取県では75.8%となっております。また、広島県は、農業系を含む集計を行っておりまして、77.5%、島根県は68.1%、全国平均は、平成28年度実績で53%となっております。島根県における再生利用率は、全国平均は上回るものの、鳥取県、広島県はさらに高い状況となっております。

松本修吉環境生活部長答弁

クリーンパークいずもに係る整備費、県の負担額等について

島根県環境管理センターが運営するクリーンパークいずもは、県内唯一の公共関与産業廃棄物最終処分場として、平成14年4月に供用を開始されました。第1期処分場の整備費は59億4,000万円、周辺対策費は6億7,000万円、その後、平成19年に第2期処分場、平成29年に第3期処分場を拡張し、これらの整備費は48億1,000万円、周辺対策費は1億6,000万円、全体としましては、整備費と周辺対策費合わせて115億8,000万円となります。
なお、クリーンパークの整備費及び周辺対策費に対する県の負担額は、55億2,000万円であります。
クリーンパークの操業開始後の搬入量は、平成30年度末時点で102万3,000トンとなっております。また、クリーンパークの平成30年度末までの事業収益の総額は109億円、一方、経常費用の総額は54億5,000万円となっております。
クリーンパークいずもの埋め立ての進捗状況は、当初の計画よりも早くなっていると伺っており、県としても、長寿命化策の検討が必要と認識しております。例えば、搬入される廃棄物にリサイクル可能なものがないかの確認を徹底したり、搬入量の多い鋳物くず等のリサイクルを支援するような方策が考えられると思います。
既に、クリーンパークいずもを運営する島根県環境管理センターと協議を始めておりまして、関係業界団体の方の協力も得ながら検討を進めてまいります。

松本修吉環境生活部長答弁

産業廃棄物減量税の使途と今後の方向について

産業廃棄物減量税は、産業廃棄物の発生抑制、再生利用等による産業廃棄物の減量に係る経済的な動機づけとあわせて、税収の活用による廃棄物の再資源化や適正処理を進め、環境への負荷の低減を図るため、平成17年4月から導入されております。
県ではこれまで、この税を活用しまして、3つの柱で施策を展開してきております。再資源化等への支援としまして、再資源化に資する基礎的研究や技術開発、施設整備、リサイクル製品の販路拡大の支援など、適正処理の推進としまして、不法投棄防止対策として監視カメラの設置や廃棄物適正処理指導員の配置など、環境教育の推進としまして、子どもたちを対象とした学校における3Rの環境学習の支援などを実施してきております。
こうした取り組みを実施してまいりましたが、再生利用率や最終処分量は近年横ばいであり、さらなる取り組みが必要であると考えております。産業廃棄物減量税の税収を用いて、産業廃棄物の発生抑制、減量化、再資源化の取り組みを効果的に行うことが、ひいては最終処分場の長寿命化を図ることにもつながると考えております。環境審議会の検討部会での事業者との意見交換会においても、税の使途として、再資源化等の研究開発、施設補助制度の緩和、リサイクル製品の販路開拓への支援などを求める意見を伺っております。
今後とも、排出事業者、中間処理事業者などのニーズを把握するとともに、有害物質の除去など、リサイクルを推進する研究開発、技術導入、設備投資などに対する支援のあり方など、先進的な自治体等の取り組みについて情報収集を進め、より効果的な施策が展開できるよう検討してまいります。

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