県議会だより

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令和元年9月定例島根県議会一般質問(1)

学力の向上について

本日、細田博之議員の自民党憲法改正推進本部長就任と青木一彦参議院議員の国土交通副大臣就任のニュースが伝わりました。重責を担われることになったお二方には健康に留意され、国家のため、島根県のために貢献されますよう祈念するところです。
また、宮川典子衆議院議員の急逝が報道されました。教員出身の宮川議員は、自民党青年局のメンバーであり、国会では領土権確立に向けた学校教育の必要性を述べ、2月22日の竹島の日に来県し、街頭に立ってともにアピールをしてくださいました。40才での早世は惜しみてもあまりあり、心からご冥福をお祈り申し上げます。
さて、日韓関係が揺れています。
台湾では中学校の歴史教科書に烏山頭ダムの建設を進めた台湾総督府の土木技師であった八田与一の功績が紹介されています。先年、ダムの傍らに設置されている銅像が壊された折にも、政府は直ちに修復するよう指示されました。
2002年に出版され、ベストセラーとなった金完燮(キム・ワンソプ)の『親日派のための弁明』は、戦前の日本による朝鮮統治について述べた評論ですが、その中で、大正末期に枢密院議長を務めた穂積陳重(のぶしげ) の3男で、朝鮮総督府で朝鮮の産業近代化に尽くし、京城商工会議所や朝鮮商工会議所会頭などをつとめた日本人として、穂積真六郎(しんろくろう)が、「朝鮮の国父」として紹介されています。
この著作は、日本の朝鮮半島経営はもとより、慰安婦や徴用工、創氏改名などに至るまでその内容を検証したものですが、著述の内容が韓国人の子孫の名誉を毀損したとして本の内容が問題視され、金完燮(キム・ワンソプ)は逮捕・投獄され、ソウル中央地裁から9600万ウォンの罰金刑が言い渡され、著作は青少年有害図書に指定され、韓国での販売を差し止められています。
同じ時期に、日本が統治した2つの国が、全く異なるスタンスでお付き合いをすることに、私は戸惑い、その理由が見つかりませんでした。
先日発売された文芸春秋に「国家の品格」の著者である藤原正彦氏の評論が掲載されていますが、その中に、朝鮮の国教は朱子学で、「目上に礼を尽くす」という意識があり、2000年に亘る中国の支配下で、中国を『大中華』、自らを『小中華』とする「華夷秩序」、つまり、中、朝以外の国を蛮族として軽蔑しており、目下である日本が目上である朝鮮、韓国を支配するなど言語道断という意識が根底にあると述べています。
現下の韓国・文政権の外交政策は、国交回復の基本である1965年の日韓請求権協定を反故にするもので、明らかな国際法違反であり、日本から歩み寄る必要はありません。7月には出雲-ソウルのチャーター便が、昨日、米子-ソウルの定期便の運航中断が発表されました。確かに、インバウンドなどに一時的には影響はあるかもしれませんが、徴用工の問題は半世紀も前に決着し、慰安婦の問題も前政権下で完全決着した問題であり、いずれも韓国の国内問題であり、ここは相手方のスタンスが変わるまで、静観することが日本のとるべき方途であると申し上げます。
昨日の代表質問の答弁で、知事は、島根創生に向けた施策を進める上での財源確保にスクラップアンドビルドの徹底を挙げ、その具体的な尺度として10億円を超える県単事業を見直しすると、お述べになりました。この問題については、次回の定例会に議論を送りますが、大きな財源を要する事務事業を見直しすることはもとより大事ですが、節約によって生ずる小さなお金の積み上げの徹底も必要です。夥しい、印刷物の量、例えば、県議会で配布される紙の量などにもスポットをあてていただきたいと思います。
はじめは、学力の向上についてであります。
文部科学省は、大学入試センター試験を2020年1月(2019年度)の実施を最後に廃止し、2020年度(21年1月)から新テスト「大学入学共通テスト」に移行する方針を示し、国語と数学に記述式問題を導入するほか、英語は国が認定した英語の民間検定試験も利用可能とし、各大学の個別試験を改革するよう求めています。
1990年に始まったセンター試験は、マークシート式でありながら、「暗記だけでは解けない、考えさせる設問がある」と高校の先生の間での評価が高かったのですが、高度情報化や社会構造の変化は「優秀」の定義を「知識の量」から「問題を発見し、答えや新しい価値を生み出す力」に変え、思考力や判断力、表現力をより重視した新しい考査方法が導入されることとなったと考えられます。
北欧のフィンランドは小国ながらもPISAの多分野で1位を獲得し、世界一の教育だと評価されておりますが、その背景にあるのは徹底した権利の保障と「機会均等」であり、知識の押し付けや善悪の刷り込みとは異なるシンプルなものであると聞いております。
翻って、島根県。一向に学力の回復が見えません。3か月ほど前に、何人かの議員と一緒に、現在は人吉市立大畑小学校に勤務する椿原正和氏の講演会に参加いたしましたが、資料から答えを見つけ出す手法の訓練法は極めて興味深いもので、是非、県教委の皆さんにも紹介したいと思いました。
来年の夏休みに授業改善のセミナーを開催するとの情報もありますから、是非、たくさんの教員の皆さんに参加していただきたいと思います。
「優秀」の定義が変わり、学校教育が変わることは社会の価値観が変わることであり、人材登用の基準も大きく変わるということです。周回遅れの島根県が、取り組む方向を誤らず、先駆けて改革を勧めれば、トップランナーになれるチャンス到来であります。
全国に先駆けて行っている「学校の魅力化」とする取り組みは、大きな効果を見せ始めており、評価されていることは、日本財団の支援やかかわっている何人かが文科省の中央教育審議会の委員に選出されていることでも分かります。
こうした方向が、社会と時代が求めている教育の方向であることに県教委は気づくべきであり、教育行政の執行に生かすべきではないでしょうか。
それが、「島根創生」のバックボーンになり、若い人たちが島根にやってくる要素になりうると思います。
そこでお尋ねしますが、①島根県の教育(指導法)に欠けている要素と時代が求めている「学力」をつけるために何が必要だとお考えになっていますか。②「知識偏重」から脱却し、「正しい答えを見つけ出す訓練」を徹底する指導方法に変えるチャンス到来で、1か月ほど20~30人をフィンランドに派遣して実態を見てきてはいかがですか。③島根大学教育学部と連携し、「島根方式」と呼べる教育法を開発すべきではありませんか。④高校では「地域課題解決」をテーマに課外授業を実践している学校がありますが、こうした展開を県内学校すべてで実施してはいかがですか。⑤教員の確保が困難になりつつあります。10年前に指摘しましたが、その当時、全く頓着されなかった教員確保困難が、採用志望者の推移を見ると、現実のものになっています。「教育の魅力化」はもとより大事ですが、「教職の魅力化」が必要です。「教職の魅力化」に必要な視点と取り組むべき課題についてどのようにお考えになりますか。

丸山達也知事答弁

教職の魅力化に必要な視点について

島根県におきましても、教職を目指す方が減少しており、島根の学校教育を支える人材を確保するためにも、教員の皆さんの仕事が魅力的であることは重要な要素であります。
教員の仕事の最大の魅力は、将来を支える子どもさん方の学びと成長に直接かかわることができることであろうと思っております。こうした教員の仕事のやりがいや喜びを十分に引き出せる環境を整えることが大切であります。
島根県では、ふるさと教育など特色ある教育を通じて、地域に愛着と誇りを持って生き生きと学ぶ子どもの姿を見ることができるという、その面から、島根の教職の魅力が高まっているというふうに伺っております。一方で、子どもたちを取り巻くさまざまな環境の変化によりまして、学校や教員の抱える課題が複雑化、多様化しております。その結果、学校現場からは、多忙により、子どもさん方に向き合う時間が十分確保できないといった悩みが多いと聞いております。
これらの課題を解決するために、教育委員会では、教職員の働き方改革プランを策定し、専門家の配置や、管理職による業務改善の推進など、教員の負担軽減に取り組んでおられるところであります。島根創生計画の素案におきましても、学びを支える教育環境の整備を掲げているところでありまして、教育委員会と連携して、学校を取り巻く環境を含めて、教員が子どもたちにしっかりと向き合える環境の整備に取り組み、教員の仕事を、よりやりがいのある魅力的な職にすることに努めてまいります。

新田英夫教育長答弁

学力の向上について

これからの時代は、グローバル化、情報化、技術革新が加速度的に進展し、将来の変化を予測することが困難になると言われています。このような時代を生きる子どもたちには、主体的に情報を捉えながら、何が重要かを考え、見出した情報を活用しながら、他者と協働し、新たな価値の創造に臨んでいく力が求められています。
これまでの学校教育で重視されてきたのは、何を理解しているか、何ができるかでありましたが、理解していることやできることをどう使うか、どのように社会、世界とかかわるかという点にも重きが置かれつつあります。そのような力をつけるためには、物事に受け身で対処するのではなく、子どもたちがみずから主体的に学び続けて、自分なりに試行錯誤したり他者と協働したりして、新たなことに挑戦していくことが必要だと考えております。
島根県の公立学校では、小中学校でのふるさと教育、高校での課題解決型学習などにおいて、現実の社会、とりわけ生徒自身が当事者となって考えることのできる地域資源や地域課題を素材とした学習に取り組んでおります。しかしながら、先ほど申し上げた時代が求めている学力を児童生徒一人一人の生きる力として育んでいるとはいまだ言えない状況であると考えております。
島根県の公立学校教育には、子どもたちが主体的に課題を見つけ、粘り強く学び、考えることを身につけるような教育、そして、知識や記憶を引き出し、新しいものを見つけていく力をつける教育が、今後さらに必要であろうと考えます。

新田英夫教育長答弁

フィンランドの教育実態から学ぶことについて

世界有数の教育国として知られているフィンランドは、教育の無償化と平等な機会の提供、子どもの権利の保障のもと、子どもたちが創造的思考と批判的思考を身につけ、自分自身の考えを持つこと、主体的に社会にかかわる市民として成長することを目指しているものと理解しております。
県教育委員会では、子どもたちがみずからの夢や希望を実現していくためには、学習意欲や知的好奇心など、学びに向かう力をしっかりと育むことが重要であると考えております。こうした力を、自分が理解していることや自分でできることをどう使うかという視点で伸ばしていく教育は、議員からのお話にございましたフィンランドの、正しい答えを見つけ出す力、新しいものを見つけ出す力と重なるものではないかと受けとめております。
県教育委員会では、島根大学教育学部と平成27年に山陰教師教育コンソーシアムを共同で設置し、県内の教員の資質能力の向上を図り、課題解決型の指導法の開発など、実践的な研修に取り組んでいるところであります。このコンソーシアムのさらなる連携のテーマとして、議員から御提案のあった島根方式の教育法を、本県で進めている例えば地域との協働による教育活動や地域課題解決型学習といった取り組みと、フィンランドのすぐれた指導法にヒントがないかといった視点での共同研究とすることについて、島根大学に提案することを考えてまいります。こうした検討の中で、フィンランドに派遣し、現地で実態を体験、調査することも相談、検討してみたいと考えております。

新田英夫教育長答弁

地域課題解決をテーマとした授業の実践について

地域課題解決型学習は、子どもたちがみずから考えて学習したことを活用し、課題の解決に挑戦する力を育むのに有効な学習であると考えております。島根県では、小中学校でふるさと教育を進めており、そこでは、子どもたちがみずから地域課題を見つけ、多くの人とかかわる活動を通して、自分にできることを考え、行動に移していく姿や、失敗からも多くのことを学びながら成長していく姿が見られています。
高校では、こうした小中学校での取り組みを受け、離島、中山間地域の学校を中心に、課題解決型学習にも先行的に取り組んできました。そして、市部の学校でも、文部科学省事業の指定を受けるなどして、大学や地域の産業界等と連携し、地域課題を探求的に学ぶ取り組みが始まっております。
教育委員会といたしましても、これから地域課題解決型学習とふるさと学習の充実に取り組もうとする小中学校を含めた全ての学校に先行事例を周知するなど、県内全域への展開を推進してまいります。

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