県議会だより

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令和元年11月定例県議会一般質問(3)

100年先を見据えた森林整備について

県内の森林は、戦後や高度経済成長期に植栽されたスギやヒノキなどの人工林が大きく育ち、木材として利用可能な時期を迎えています。ようやく、「伐って(きって)、使って、植える」という森林の循環利用が可能となったのですが、長期的な林業の低迷や所有者の世代交代等により森林への関心が薄れ、災害防止や地球温暖化防止など森林の公益的機能の維持増進にも支障が生じつつあります。
「森林環境税」と「森林経営管理法」の成立により、森林の整備や管理は市町村の役割が大きくなりましたが、この際、県が主体となって、森林整備の100年計画を作り、木材の循環利用や林道整備などについて検討してみてはいかがですか。(農林水産部長)

鈴木大造農林水産部長答弁

森林整備の長期計画の作成について

島根県では、平成25年に約25年後の2040年に原木生産量を80万立米にするという長期ビジョンを策定いたしました。国が策定する基本計画でさえ最長で15年先を見通すものとなっておりますが、25年というスパンは原木需給量、必要な植林面積、苗木の需要の見通し、林業就業者などの具体的な数値を盛り込んだビジョンとしては異例の長期にわたるものでございました。関係者の努力によりビジョンは現在のところ順調に実現してきており、今般、島根創生計画を策定するに当たりまして、80万立米の達成の目標時期を10年前倒しして、2030年、令和12年とし、業界と行政が連携して、さらに積極的に取り組む決意を確認したところであります。
このような状況で最も優先すべきは、新たに設定した目標時期に原木生産量80万立米を確実に達成することであり、このために必要なことから取り組んでまいりたいと考えております。50年スパンの林業では、その間に技術イノベーションも大幅に進みますし、木材の需要、価格も将来の国内外の経済、社会の姿に大きな影響を受けることとなります。そのため、計画的な森林経営の一助として行政が非常に長期的な将来ビジョンを示すことは有効な手段と考えております。一方で、議員御提案の100年先というものを見通して、定量的に整備するということは不確実性も大きく、率直に申し上げて、我々の手に余るものというふうに判断しております。このような事情を勘案して、農林水産部としては今後次の2点について検討していきたいと考えております。
1つ目に、原木生産量の80万立米を目標時期に確実に達成するために林業専用道などの路網の整備や高性能林業機械の導入、製材工場を始めとする県内の需要、林業を支える担い手などについてどの程度必要となるか、これは定量的に数字の形でお示しして計画的な確保を進めてまいります。
2つ目に、原木生産量80万立米を達成した暁に、その先の島根の森林のあり方について県としてどのような方向を見据えているのか、このことはやや定性的になるとは思いますが、お示ししていく努力をしてまいります。
今後、5年間の取り組みにつきましては、島根創生計画の案において既にお示ししているところでありますが、申し上げたような非常に長期なビジョンにつきましては、来年度から開始される新たな県農林水産業の基本計画の中でお示しし、県内の森林、林業関係者が認識を共有して、安心して計画的な森林経営に取り組める環境を整えてまいりたいというふうに考えております。

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