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農業情勢は、自由化の拡大による価格低迷、産地間競争の激化、担い手の不足、高齢化など様々な問題を抱えていますが、東京オリンピック、パラリンピックを機に国際水準のGAPやHACCPの制度化などが強まり、食の安全・安心に対する社会的要請はますます高まりを見せることは必至です。
「地域をけん引する経営体」の育成が急務で、かつ、就農者の確保が大きな課題として、県は令和2年度から、農林大学校の定員増や短期学科の創設、新規就農者への経済的支援の年齢制限撤廃や事業承継となる自家就農者への支援拡大を企図していますが、見込みはいかがですか。(農林水産部長)
農林水産省は、日本産農林水産物の残留農薬等についてポジティブリストに登録された農薬の使用と残留基準を定め、厚生労働省は、食品添加物や殺菌・防腐剤等についての使用基準を定め、適切な表示を義務付けています。日本人の一般的な感覚は、「日本産は安全」です。
農薬の使用、残留基準はそれぞれ1品目当たりの基準しか定められていないと聞きますが、現状の問題点は。(農林水産部長)
同じように、食品添加物の使用、残留基準もそれぞれ1品目当たりの基準しか定められていないと聞きますが、重層的、複層的に使用されている現状から鑑みると超甘基準で、健康への悪影響について全く放置されているように見えますが、問題点は無いのでしょうか。(健康福祉部長)。
さらに、原産国表示や詳細な原材料表示が省略され、必ずしも遺伝子組み換え食品に関しても、詳しい表示がされないと聞きますが、実態はどうですか。また、健康や環境に問題はありませんか。(環境生活部長)
WHOがマラチオンやダイアジノンと同じグループ2Aに指定され、欧米ではすでに大部分の国で使用が禁止されているグリホサート(ラウンドアップ)系の除草剤が、全国どこの量販店やホームセンターで販売されています。
子どもの尿からグリホサートの成分が検出されているとの報告に驚き、宍道湖の『あまさぎ』がほとんど獲れなくなったことと農薬使用の関わりを指摘する報告もあります。
早急に、グリホサート(ラウンドアップ)の使用実態、とりわけ、閉鎖水域を抱える地域や河川、農耕地、水道用水の取得にかかわる地域について強い関心を持ち、調査を行う必要があると考えます。(環境生活部長)
日本の農薬使用基準や食品添加物、表示等は性善説に基づくもので、国際標準とは大きくかけ離れており、島根県が目指す方向は「徹底した安全」だと確信しています。
美味しまね認証はブラッシュアップされ、ゴールドの取り組みが始まりましたが、さらに島根県独自に農薬や添加物の総量基準を定めたり、遺伝子組み換えを徹底除外し、高い市場評価が得られる、「プレミアム基準」を目指してもらいたいと思いますが、お考えをお聞かせください。(農林水産部長)
│掲載日:2020年03月05日│
現在、県を挙げてレベルの高いGAPに取り組もうというシンプルなメッセージを強く発信しておりますが、一方で、美味しまね認証の取り組みはGAPに特化した認証であるということで、それは1つの弱点でもあると考えております。GAPに取り組むのであれば、民間認証が既に用意されておりますし、将来GAPが非常に一般的になったときにどうするかという課題もございます。したがいまして、将来的な美味しまね認証をGAPプラスアルファという形にして、県が目指す農業生産の方向性にオリジナリティーを加えて、他の都道府県や産地と差別化を図るというのが一つの方向、選択肢だというふうに思っております。
現在のスケジュールを申し上げますと、美味しまね認証を大幅に拡大するために、令和6年までに50%、農業生産の半分で美味しまね認証ゴールドを取得していただく、あるいは既存の美味しまね認証からゴールドへの移行を進めるというのを令和5年度末までに実施する計画としております。
こういったことを勘案しますと、議員御提案のように美味しまね認証にさらにプレミアム基準、そういったものを設けるというスケジュール的なものは、令和6年まで5年間の計画期間内にはなかなか難しいと考えておりますが、先ほど申し上げた目標の達成や移行が順調に進めば、その先のあり方については検討しなくてはいけない時期が来るというふうに考えてございます。
美味しまね認証をどうするかは、消費者や実需者がどのような商品に価値を見出しているかということで表裏一体でございますので、制度の見直しの着手にかかわらず、常にマーケットに評価される農業生産を推進してまいりたいと考えております。
農薬の使用基準や残留基準は、議員御指摘のとおりそれぞれ農薬取締法、食品衛生法に基づき農薬の種類、成分ごとに品目、栽培段階では作物、流通過程では食品ですけれども、品目別に定めております。したがって、ある作物を栽培する際に複数の農薬を使用する場合には、それぞれの農薬ごとに使用基準等を遵守していても、さまざまな種類の農薬が複合的に利用され、利用される農薬の総量にも特段の規制がないという状況になっております。
厚生労働省では、個々の食品添加物を実際にどの程度摂取しているのか、マーケットバスケット方式、これはサンプリング調査でございますけども、これを用いて1日許容摂取量を超過していないかどうかの調査を毎年行っております。その調査では、実際の食品添加物の摂取量は1日摂取許容量を大幅に下回っており、健康への悪影響はないというふうにされております。
また、複数の食品添加物を摂取した場合のいわゆる複合影響につきましては、平成18年度の内閣府に設置された食品安全委員会の調査報告書によりますと、複数の食品添加物が体内に摂取された場合の健康への影響は、現状の摂取レベルから見て問題はないとされております。
また、現在使用が認められているは蓄積性がなく、かつその評価が十分に行われているので、その複合影響についても安全性は確保されているということでございました。
食品の表示につきましては、食品表示法に基づく食品表示基準に規定されております。加工食品につきましては、使用した原材料、添加物について重量の割合の高い順に表示し、その割合が一番高い材料につきましては原産地表示が必要とされております。また、遺伝子組み換え表示につきましては、大豆やトウモロコシなどの対象8農産物、それと原材料とし33の加工食品群、豆腐やスナック菓子などでありますが、について遺伝子組み換え食品であればその旨を表示することが義務づけられております。
こうした現行の制度におきましては、議員御指摘のとおり、原材料表示や遺伝子組み換え表示を省略できる場合があります。例えば、原材料表示では加工食品の複合原材料の表示で製品の原材料に占める割合、複合原材料の割合が5%未満である場合、また遺伝子組み換え表示では加工食品の原材料に占める対象農産物の重量割合が上位4位以下のもの、または原材料及び添加物の重量に占める割合が5%未満であるものなどであります。
国においては遺伝子組み換え表示の対象となる農産物は、食品衛生法に基づく安全性審査を行ったものでなければ輸入、販売ができないことから、表示が省略されても食品の安全性に問題はないとされております。
食品表示のあり方につきましては、国において引き続き検討されておりますので、そうした動向を注視し、消費者への適切な情報提供に努めてまいります。
また、環境面では国において法律等により遺伝子組み換え生物等の使用等を規制しておりまして、環境への影響は生じていないとされております。
国、環境省におきましては、人の健康を保護し、生活環境を保全する上で維持されることが望ましい基準として環境基準が設定されておりまして、県では水質汚濁防止法に基づき県内の河川、湖沼等の公共用水域で水質調査を実施しております。グリホサートにつきましては、これまでの科学的知見や河川等での検出実態等から環境基準の項目となっていないため、調査対象には含まれておりません。
国においては環境基準の追加、見直しが適宜行われており、検討を進める際に優先的に科学的知見の集積を図るべき物質を要監視項目、次いで要調査項目としてリスト化されております。グリホサートは、このよう調査項目に含まれておりますので、調査については国の検討状況を注視し、対応してまいります。
また、グリホサートは広く流通している農薬でありますので、その使用実態の把握は困難な状況であり、農薬の適正な使用等について周知等図っております。