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国は、「地方創生」とする政策が掲げていますが、東京一極集中は収まるどころか、むしろ加速しています。
そこで、超低金利、通貨の量的緩和などを主とした「アベノミクス」とする経済対策の問題点を指摘したいと思います。
はじめに、令和元年末の島根県に存する金融資産はどのくらいと見ているのかお尋ねします。(政策企画局長)
金融機関が保有する資産の運用先はどのようなものですか。
また、そのうち、島根県内の住民や法人に投資している金額はどのぐらいですか。(政策企画局長)
従来、金融機関に預託している預金などの金融商品には3~5%程度の利息が支払われていました。小生が帰郷したのは40年前の昭和53年秋で、金利はずいぶん高かったように記憶しています。
40年前(昭和53年)と20年前(平成10年)、昨年(令和1年)の公定歩合とごうぎんの1年ものの定期預金の利率はいくらですか。(政策企画局長)
同年の島根県が受け取った利子等に係る県税収入はいくらで、そこから推定できる島根県内の住民、法人が受け取った預金利子等はどのくらいになりますか。(総務部長)
また、株式の配当はどうですか。(総務部長)
マネー経済の中で、通貨を商品と置き換えて考えると、言わば、私たちは生産者、銀行は卸売業者、政府や上場企業は消費者になります。現代社会では、多くの事業体で卸売業者が淘汰され、小売りはチェーン化されたり、巨大化しています。仲卸が衰退している流通の実態を考えれば、現在の金融のあり方や投資の仕組みに欠陥があることは自明です。
私は、過去にも「アベノミクス」に異を唱えてきましたが、日銀のゼロ金利政策によって、本来、利子・配当として地方が受け取るべき「アベノミクス」の付加価値のほとんどが、上場企業や国債発行者である政府など、資本の受け手に集中し、地方はマネーの面でも細っており、このままでは、「地方早世」は必至です。
「島根創生」を掲げる丸山知事には、知事会や経済界との意見交換などで、是非、こうした知見を披露し、地方が持つ金融資産に正当な付加価値が得られるような制度改正を求めてもらいたいと思います。(丸山知事)
│掲載日:2020年03月05日│
地方の経済が活性化するために、地方の住民、また企業から集められた預金などの金融資産を原資とした金融機関によります地方への融資や投資が活発に行われて、その果実として地方の金融資産から得られる付加価値を高めていくということが必要であると思っています。このために、その受益者であります上場企業、この偏在が問題でありまして、3大都市圏に集中している状況を是正することが必要だというふうに思っております。
現在、企業が本社機能を地方移転する場合に、税制の優遇措置が講じられておりまして、来年度の税制改正に向けて、現在国会で審議中でありますけども、制度拡充が盛り込まれているところであります。
私としましては、3大都市圏、3大都市圏以外の地方は同じような課題を抱えているというふうに認識をいたしておりまして、こういった地域経済や地域基金のあり方について意見交換をしまして、状況認識を共有しながら企業の本社機能の地方移転の優遇措置のさらなる拡充を始め、企業や人の地方への分散を進める政策をより強く推進してもらうよう、国に働きかけていきたいというふうに思っております。
日銀松江支店と中国財務局に確認したところ、統計データとして把握できる範囲として、昨年12月末時点での県内の銀行、信用金庫、信用組合、労働金庫、農業協同組合、水産業協同組合、商工中金の昨年12月末時点での預金残高は4兆2,637億円余で、ゆうちょ銀行の預金残高9,143億円余を合わせますと約5兆円となります。
このほか、生命保険会社、証券会社も保有しているわけではございますが、問い合わせたところ、エリアを区切った金融資産の金額は算出することはできないというふうに回答を得ております。
運用先の一つであります貸出金につきましては、ゆうちょ銀行を除いた金融機関の昨年12月末時点での貸出金残高は2兆1,232億円余であります。
先ほど申し上げました金融機関における運用先全体を把握できる統計データはございませんが、公表されております山陰合同銀行の資料におきまして、山陰合同銀行の平成30年度の主な運用先は有価証券が1兆6,004億円余り、貸出金が3兆1,210億円余りとなっております。この有価証券のうち国債が5,887億円余りを占めており、山陰両県内の貸出金は1兆6,484億円であります。
公定歩合は、昭和53年3.5%、平成10年0.5%でございます。公定歩合は、その後役割と名称を変えて基準貸付金利となっておりますが、令和元年の基準貸付金利は0.3%でございます。
次に、山陰合同銀行の1年物の定期預金の利率でございますが、3月時点で申し上げますと、昭和53年の一般定期預金は5.25%、平成10年のスーパー定期300が0.3%、同じく令和元年は0.01%でございます。
利子等への課税制度は、昭和63年度から始まっており、税収が平年度化した平成元年度以降についてお答えいたします。
銀行等の金融機関の預貯金利子に対する税収は、平成元年度が約17億3,000万円、平成10年度が約10億1,000万円、直近の平成30年度が約3億3,000万円でございます。また、同年度における銀行等の金融機関からの申告に基づく預貯金利子の金額は、平成元年度が約1,277億6,000万円、平成10年度が約354億5,000万円、直近の平成30年度が約67億4,000万円でございます。
上場株式の配当への課税制度は平成15年度から始まっており、税収が平年度化した平成16年度と直近の平成30年度の上場株式会社等からの申告によれば、配当の額は平成16年度が約22億円、直近の平成30年度が約53億6,000万円でございます。